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事前確定届出給与とは?届出方法・記載例・否認されないためのポイント
「役員にも賞与を出したいが、損金にできるのか?」とお考えの経営者に向けて、事前確定届出給与の届出書の書き方・提出期限・否認されるNGパターンまで完全ガイドします。この記事を読めば、届出書を正しく作成し、損金算入を確実に受けられるようになります。


「役員にも賞与を出したいが、損金にできるのか?」とお考えの経営者に向けて、事前確定届出給与の届出書の書き方・提出期限・否認されるNGパターンまで完全ガイドします。この記事を読めば、届出書を正しく作成し、損金算入を確実に受けられるようになります。
🏆 結論:事前確定届出給与は「届出書の期限厳守」と「届出どおりの支給」が鉄則
事前確定届出給与とは、役員に賞与を支給する際に支給日・金額を事前に税務署へ届け出ることで損金算入が認められる制度です。提出期限は「株主総会決議日から1ヶ月」と「事業年度開始から4ヶ月」のいずれか早い日。届出と1円でも・1日でもズレれば全額が損金不算入となるため、正確な手続きが欠かせません。
事前確定届出給与とは、役員に対して支給する賞与のうち、支給時期と金額をあらかじめ確定させ、税務署に届け出たうえで届出どおりに支給するものをいいます。法人税法第34条第1項第2号に規定されており、届出の要件を満たせば全額が損金(経費)として算入できます。
通常、役員への賞与は法人税の計算上、損金に算入できません。しかし事前確定届出給与の制度を利用すれば、従業員と同じように役員にも賞与を支給しつつ、法人税の節税効果を得ることが可能です。
💡 実務のポイント
実務では、中小企業の役員報酬設計で最も多く使われるのが「定期同額給与+事前確定届出給与」の組み合わせです。毎月の役員報酬(定期同額給与)に加え、年1〜2回の賞与を事前確定届出給与として支給するケースが一般的です。ただし、届出の手続きにミスがあると全額が損金不算入になるため、届出書の提出は税理士と一緒に進めることをおすすめします。
法人税法では、役員に対する給与のうち損金算入が認められるのは以下の3つに限定されています。
| 区分 | 概要 | 届出の要否 | 中小企業での利用 |
|---|---|---|---|
| 定期同額給与 | 毎月同額を支給する役員報酬 | 不要 | ◎ ほぼ全社で利用 |
| 事前確定届出給与 | 届出どおりの時期・金額で支給する賞与等 | 必要 | ○ 賞与を出す場合 |
| 業績連動給与 | 利益指標に連動して支給する給与 | 不要(有報記載が必要) | × ほぼ使われない |
業績連動給与は有価証券報告書を提出する上場企業向けの制度であり、中小企業ではまず利用されません。したがって中小企業の経営者が役員に賞与を支給する場合、実質的な選択肢は事前確定届出給与の一択です。
なお、役員報酬の全体像については「役員報酬の基礎知識|3つの支給方法と決め方・税務上の注意点」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
事前確定届出給与の届出書は、以下の2つの日付のうちいずれか早い日までに、納税地の所轄税務署長へ提出する必要があります。
| 基準 | 起算日 | 期限 |
|---|---|---|
| ① 株主総会等の決議日基準 | 決議日の翌日 | 決議日から1ヶ月を経過する日 |
| ② 事業年度基準 | 事業年度開始日 | 事業年度開始日から4ヶ月を経過する日 |
⚠️ 注意:1日でも遅れると全額損金不算入
届出期限に1日でも遅れた場合、届出自体が無効となり、支給した金額の全額が損金不算入になります。提出期限が土日祝日に当たる場合は翌営業日まで延長されますが、ギリギリの提出は避け、余裕を持って提出しましょう。
最も多い3月決算法人を例に、届出から支給までの流れをタイムラインで確認します。
| 時期 | 手続き | ポイント |
|---|---|---|
| 5月下旬 | 定時株主総会で事前確定届出給与を決議 | 議事録を作成・保管 |
| 6月下旬まで | 届出書+付表を税務署に提出 | 決議日から1ヶ月以内(①基準) |
| 7月31日 | ②基準の期限(4月1日から4ヶ月) | ①と②の早い方が期限 |
| 届出した月日 | 届出どおりの金額を届出どおりの日に支給 | 1円・1日のズレも不可 |
| 翌年の確定申告 | 損金算入として法人税申告書に反映 | 別表四・別表十五の記載 |
この例では、5月27日に株主総会を開催した場合、①基準の期限は6月27日、②基準の期限は7月31日となり、早い方の6月27日が届出期限です。
通常の期限とは異なるケースが2つあります。
| ケース | 届出期限 |
|---|---|
| 新設法人が設立時の役員に対して定めた場合 | 設立日から2ヶ月を経過する日 |
| 臨時改定事由(役員の地位変更等)が生じた場合 | 臨時改定事由が生じた日から1ヶ月を経過する日 |
会社設立と同時に役員賞与の支給を計画している場合は、設立から2ヶ月以内に届出書を提出する必要があります。会社設立の手続き全体については「会社設立の流れ完全ガイド」をご覧ください。
事前確定届出給与の届出は、以下の2つの書類で構成されます。いずれも国税庁のWebサイトからダウンロードできます。
| 書類 | 記載する内容 |
|---|---|
| 事前確定届出給与に関する届出書(本体) | 法人の基本情報、決議日、届出期限の算定根拠 |
| 付表1(金銭交付用) | 対象役員の氏名・役職、支給時期・支給金額 |
3月決算法人が5月27日に定時株主総会を開催し、代表取締役に12月5日に100万円を支給すると決議した場合を例に、各欄の記載方法を解説します。
| 欄 | 記載する内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| 前段上部 | 管轄税務署、法人名、法人番号、代表者氏名・住所 | 新宿税務署長殿 / ○○株式会社 |
| ① 決議日・機関 | 事前確定届出給与の決議をした日と決議した機関名 | 令和8年5月27日 / 株主総会 |
| ② 職務執行開始日 | 原則、定時株主総会の開催日 | 令和8年5月27日 |
| ③ 臨時改定事由 | 通常は空欄。役員の地位変更があった場合に記載 | (空欄) |
| ④ 付表番号 | 付表1のNo.の最初と末尾 | (No.1〜No.1) |
| ⑤ 定期同額としない理由 | なぜ賞与で支給するか、支給時期の理由 | 「役員の職務遂行に対するインセンティブとして年1回の賞与を支給するため。支給時期は下半期の業績を踏まえたタイミングとして12月とした。」 |
| 届出期限イ | ①②の早い日から1ヶ月経過する日 | 令和8年6月27日 |
| 届出期限(4月経過日等) | 事業年度開始日から4ヶ月経過する日 | 令和8年7月31日 |
💡 実務のポイント:⑤の理由の書き方
⑤欄の「定期同額給与としない理由」は、税務署が内容を精査することは少ないものの、白紙のまま提出すると補正を求められることがあります。「役員の職務遂行へのインセンティブとして年○回の賞与支給を予定しているため」「非常勤役員に対する報酬を年1回支給するため」のような定型的な記載で問題ありません。
付表1は対象役員ごとに1枚ずつ作成します。複数の役員に支給する場合は、No.欄に一連番号を付してそれぞれ作成してください。
| 欄 | 記載する内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| 対象者の氏名(役職名) | 事前確定届出給与の対象となる役員 | 鮎澤 竜哉(代表取締役) |
| 職務執行開始日(職務執行期間) | 開催日〜次の定時株主総会日まで | 令和8年5月27日〜令和9年5月頃 |
| 当該事業年度 | 届出する事業年度 | 令和8年4月1日〜令和9年3月31日 |
| 今回の届出額(支給時期・支給額) | 今回届け出る支給日と金額 | 令和8年12月5日 / 1,000,000円 |
| 事前確定届出給与以外の給与 | 定期同額給与の支給時期と支給額 | 毎月25日 / 600,000円 |
年2回の賞与を予定している場合(例:12月と6月に各100万円)は、それぞれの支給日と金額を「今回の届出額」欄に2行で記載します。
議事録は税務署に提出する義務はありませんが、届出書に添付するほか、税務調査で確認されることがあるため必ず作成・保管してください。記載すべき5項目は以下のとおりです。
①開催日時と場所、②出席者(株主・取締役)、③議題「事前確定届出給与に関する件」、④対象役員ごとの支給日・金額、⑤決議結果(全員一致等)。
実務では、定時株主総会のほかの議案(計算書類承認・役員報酬改定等)と一緒に決議するのが一般的です。
事前確定届出給与が損金として認められるためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると全額が損金不算入となります。
| 要件 | 内容 | よくあるミス |
|---|---|---|
| ❶ | 支給日と金額を事前に確定させる | 決議で金額を「概算」にしてしまう |
| ❷ | 届出書を期限内に税務署に提出する | 期限日を1日でも過ぎて提出する |
| ❸ | 届出どおりの日に届出どおりの金額を支給する | 銀行休業日に振込して翌営業日着金になる |
| ❹ | 支給額が不相当に高額でないこと | 同業他社と比較して著しく高額な賞与 |
⚠️ 銀行休業日の落とし穴
支給日を12月5日と届け出たのに、その日が土曜日だった場合、銀行振込は12月7日(月曜日)の着金扱いになることがあります。この場合、届出と支給日がズレるため損金不算入になるリスクがあります。届出前にカレンダーを確認し、銀行営業日を支給日に設定することが鉄則です。
税務調査で事前確定届出給与が否認される典型的なパターンを整理します。自社の支給方法が要件を満たしているか、以下の判定表で確認してください。
| パターン | 損金算入 | 理由・結果 |
|---|---|---|
| 届出どおり12/5に100万円を支給 | ○ | 要件をすべて満たし、全額損金算入 |
| 届出期限を1日過ぎて届出書を提出 | × | 届出が無効となり全額損金不算入 |
| 届出は100万円だが、実際は120万円を支給 | × | 120万円の全額が損金不算入(差額20万円だけではない) |
| 届出は12/5だが資金繰りの都合で12/10に支給 | × | 支給日の不一致により全額損金不算入 |
| 届出は100万円だが、業績不振で80万円に減額支給 | × | 80万円の全額が損金不算入 |
💡 実務のポイント:金額のズレは「差額」ではなく「全額」が損金不算入
よくある勘違いとして「届出より多く払った差額だけが損金不算入になる」と考えるケースがあります。しかし実際には、届出額と実際の支給額が1円でも異なれば、支給した金額の全額が損金不算入になります。東京地裁令和6年2月21日判決でも、届出額と異なる金額を支給した場合の全額損金不算入が認められており、実務上も厳格に運用されています。
年2回の賞与を届け出ている場合、1回目は届出どおりに支給したが2回目の金額を変更したケースはどうなるでしょうか。
国税庁の質疑応答事例によると、2回以上の支給がある場合の「届出どおりに支給されたかどうか」の判定は、各支給ごとに行います。つまり、1回目が届出どおりなら1回目分は損金算入が認められ、2回目が届出と異なれば2回目分のみ損金不算入となります。
参考: 国税庁「定めどおりに支給されたかどうかの判定(事前確定届出給与)」
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鮎澤パートナーズに相談する事前確定届出給与の手続きは、全部で5つのステップです。以下の順番で進めれば、漏れなく手続きが完了します。
まず、対象となる役員ごとに支給額と支給日を設計します。ここで検討すべきポイントは3つあります。①法人の利益見通しに照らして、いくらまで賞与を出せるか。②支給日は銀行営業日か。③定期同額給与との合計額が不相当に高額にならないか。
役員報酬の最適な金額の決め方については「役員報酬の最適額シミュレーション|利益水準別の決め方」で解説しています。
支給内容が固まったら、株主総会または取締役会で正式に決議します。取締役会設置会社は取締役会、取締役会非設置会社は株主総会が決議機関となるのが一般的です。合同会社の場合は社員総会となります。
議事録は税務署への提出義務はありませんが、届出書に添付して提出するのが実務上の標準です。税務調査時に求められることもあるため、必ず作成・保管してください。
届出書(本体)と付表1を作成し、期限内に所轄税務署に提出します。書面での持参・郵送のほか、e-Taxでの電子提出も可能です。郵送の場合は消印日が提出日となりますので、期限ギリギリの場合は特定記録や書留で送付しましょう。
届出に記載した支給日に、届出に記載した金額をそのまま支給します。経理担当者・給与計算担当者に届出の内容を共有し、支給日をカレンダーに登録しておくことをおすすめします。
実務で最も多いのが「給与計算担当者が届出の存在を知らずに、異なる金額で振込処理してしまった」という事故です。税理士に届出を依頼している場合でも、社内で届出内容を共有する体制を作っておくことが重要です。
事前確定届出給与は、通常の賞与と同様に源泉所得税の徴収が必要です。賞与に対する源泉徴収税額の算出方法(前月の給与に基づく税率)で計算します。また、社会保険料も賞与として計算されます。
会計仕訳は以下のとおりです。
📐 仕訳例:事前確定届出給与100万円を支給した場合
(借方)役員賞与 1,000,000 /(貸方)預り金(源泉所得税)○○○円
/(貸方)預り金(社会保険料)○○○円
/(貸方)普通預金 ○○○円
届出後に業績が著しく悪化した場合、届出内容を変更することが認められています。具体的には「事前確定届出給与に関する変更届出書」を、業績悪化改定事由が生じた日から1ヶ月以内に提出する必要があります。
ただし、業績悪化改定事由として認められるのは「経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ない事情がある場合」に限られます。単に「予想より利益が少なかった」程度では認められません。
| 事由 | 認められるか |
|---|---|
| 主要取引先の倒産により売上が大幅減少 | ○ |
| 銀行から融資条件として役員報酬の減額を求められた | ○ |
| 災害や感染症の影響で経営が著しく悪化 | ○ |
| 株主との関係上、減額せざるを得ない事情 | ○ |
| 予想より利益が少なかった(通常の業績変動) | × |
| 節税目的で減額したい | × |
| 役員個人の資金ニーズの変化 | × |
役員報酬の変更手続き全般については「役員報酬の変更方法と損金算入の要件」で詳しく解説しています。
届出をしたものの業績悪化等により支給しないことを決めた場合、支給日の到来前に株主総会等で不支給の決議を行い、対象役員が報酬の受領を辞退する旨の書面を提出すれば、税務上の問題は生じません。
ただし、支給日が到来した後に「やっぱり支給しない」とした場合は、いったん債務が確定しているため、役員賞与(損金不算入)と債務免除益(益金算入)が両建てになる可能性があります。不支給にする場合は、必ず支給日の到来前に手続きを完了させてください。
事前確定届出給与は、社会保険料の計算上は「賞与」として扱われます。賞与には標準賞与額の上限が設定されているため、上限を超えた分には社会保険料がかかりません。
| 保険種別 | 標準賞与額の上限 | 計算単位 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 年間573万円 | 年度累計(4月〜翌3月) |
| 厚生年金保険 | 1回あたり150万円 | 支給1回ごと |
このしくみを利用して、定期同額給与を低額にして事前確定届出給与で高額な賞与を支給すれば、社会保険料の総額を削減できます。
📐 シミュレーション前提条件
| 支給パターン | 月額給与 | 賞与 | 社保年額(概算) |
|---|---|---|---|
| A:全額を月額給与 | 100万円×12 | なし | 約338万円 |
| B:月30万+賞与840万 | 30万円×12 | 840万円 | 約203万円 |
| C:月10万+賞与1,080万 | 10万円×12 | 1,080万円 | 約161万円 |
※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士・社労士にご相談ください。
パターンAとCを比較すると、年間で約177万円の社会保険料削減になります。ただし、このスキームには重大なデメリットがあるため、安易に飛びつくべきではありません。
| デメリット | 具体的な影響 |
|---|---|
| 将来の年金受給額が減少 | 厚生年金保険料が減る分、将来受け取る老齢厚生年金の額も減少 |
| 退職金の適正額が低下 | 功績倍率法の「最終報酬月額」は定期同額給与で判定され、賞与は含まない |
| 傷病手当金・出産手当金が減少 | 月額報酬をベースに計算されるため、低月額だと手当も少額に |
| 制度改正リスク | 厚労省が標準賞与額の上限見直しを検討中(2024年11月社保審議会で議論) |
🔷 社労士の視点
社会保険料削減スキームは短期的にはメリットが大きいですが、万一の病気・ケガの際の傷病手当金や、将来の年金受給額への影響を十分に理解したうえで判断すべきです。また、月額報酬を極端に低額にしたうえで多額の賞与を支給するパターンは、厚労省でも問題視されつつあり、将来的に標準賞与額の上限が見直される可能性があります。税理士だけでなく社労士にも相談しながら、トータルで有利かどうかを判断することをおすすめします。
給与の支払方法を銀行振込にしている場合、振込の指定日と実際の着金日がズレることがあります。特に支給日が銀行休業日(土日祝日)に当たる場合は要注意です。事前確定届出給与の支給日は「届出書に記載した日」に支払いが完了していることが求められるため、振込指定日を銀行営業日にしておくことが不可欠です。
税理士が届出書を作成・提出したものの、社内の給与計算担当者にその情報が伝わっておらず、異なる金額で振込処理してしまう事故が実際に発生しています。これは税理士損害賠償の事例としても報告されており、届出内容は必ず社内で共有する体制を整えてください。
非常勤役員に対して年1回や四半期ごとに報酬を支払う場合も、その報酬は事前確定届出給与に該当します。ただし、同族会社に該当しない法人が、定期給与を支給しない役員に対して支給する金銭による給与については、届出が不要とされています(法人税法第34条第1項第2号)。多くの中小企業は同族会社に該当するため、原則として届出が必要と考えてください。
💡 実務のポイント:税務調査での確認事項
税務調査では、①届出書の控えの有無、②届出期限内に提出された証拠(受付印・e-Tax送信結果)、③届出どおりの金額が届出どおりの日に支払われた証拠(振込明細)、④株主総会議事録の4点を確認されます。これらの書類は最低7年間保管してください。
事前確定届出給与が損金算入される場合、会計上は通常の「役員賞与」として費用計上します。一方、要件を満たさず損金不算入となった場合は、会計上は費用のまま、法人税の申告時に別表四で加算調整(所得金額に加算)します。
| ケース | 会計処理 | 税務処理 |
|---|---|---|
| 損金算入(要件充足) | 役員賞与 / 預り金・普通預金 | そのまま損金算入 |
| 損金不算入(要件不充足) | 役員賞与 / 預り金・普通預金 | 別表四で加算(損金不算入) |
損金不算入の場合、法人税・所得税・住民税の三重課税が発生するリスクがあります。法人側では損金にならず法人税が増え、個人側では給与所得として所得税・住民税が課税されるためです。
事前確定届出給与は税務上「賞与」として扱われるため、源泉所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って計算します。前月の定期同額給与の金額と扶養親族等の数から税率を求め、賞与額に乗じます。法人決算の全体像については「法人決算の流れ完全ガイド」も参考になります。
事前確定届出給与は以下のような場合に特にメリットがあります。
①法人の利益が安定しており、期中に賞与を支給しても資金繰りに問題がない場合。②役員のモチベーション向上のために、従業員と同様に賞与を支給したい場合。③社会保険料のトータル負担を適正化したい場合(ただしリスクを十分理解したうえで)。④非常勤役員への報酬を年1〜2回にまとめて支給する場合。
一方、以下のケースでは事前確定届出給与の利用に慎重になるべきです。
①利益の変動が大きく、届出した金額を確実に支給できるか不安がある場合。資金ショートにより届出どおりに支給できなければ全額が損金不算入になるリスクがあります。②手続きの管理体制が整っていない場合。届出書の提出忘れや支給金額の齟齬が生じやすくなります。③法人の設立初年度で利益見通しが不透明な場合。法人化のタイミングについては「法人成りのタイミング判断ガイド」をご覧ください。
📋 この記事のポイント
事前確定届出給与は、手続きを正しく行えば役員賞与を損金にできる有効な制度です。しかし、期限の1日遅れ・金額の1円の誤差で全額が損金不算入になるというリスクがあり、正確な手続き管理が求められます。初めて利用する場合や、社会保険料の最適化も含めた総合的な設計をお考えの場合は、税理士・社労士への相談をおすすめします。
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