【税理士×行政書士のダブル監修】事業承継税制のデメリットとリスク|取消事由・雇用維持・継続届出を解説

監
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。
事業承継税制のデメリットとリスク|取消事由・雇用維持・継続届出を解説
事業承継税制の適用を検討しているが「取消事由が多すぎて不安」「利子税がどれくらいかかるのか知りたい」という中小企業経営者に向けて、デメリットとリスクの全容を解説します。この記事を読めば、自社にとって事業承継税制を使うべきか・使わない方がいいかを判断できます。
🏆 結論:事業承継税制は「使うべき会社」と「使わない方がいい会社」がはっきり分かれる
事業承継税制は相続税・贈与税の全額猶予という強力なメリットがある一方、取消事由は23項目以上、免除までの道のりは20〜30年に及ぶこともあります。株式評価額が1億円以上で3代目以降の承継が見込める会社には有効ですが、税額1,000万円以下で納税資金が確保できるなら通常の納税の方がトータルコストは低くなります。
事業承継税制のデメリット全体像|11の注意点を深刻度別に整理
事業承継税制は贈与税・相続税の100%猶予という強力な制度ですが、適用後に守るべきルールが非常に多く、「猶予=免除」ではない点を最初に理解しておく必要があります。
実務では、事業承継税制の適用を検討する段階で「メリットだけに目が行き、デメリットの検討が不十分だった」というケースを何度も見てきました。とくに利子税リスクと継続届出の手間は、適用後に初めて実感するという経営者が少なくありません。
デメリットの「発生確率×影響度」マトリクス
11のデメリットを発生確率と影響度の2軸で分類すると、優先的に対策すべきリスクが見えてきます。
| デメリット |
発生確率 |
影響度 |
深刻度 |
| ①猶予であり免除ではない | 確実 | 大 | ★★★ |
| ②取消事由が23項目以上 | 中 | 大 | ★★★ |
| ③廃業時に利子税が発生 | 低〜中 | 大 | ★★★ |
| ④特例承継計画の提出期限あり | 確実 | 中 | ★★☆ |
| ⑤継続届出の長期管理負担 | 確実 | 中 | ★★☆ |
| ⑥雇用8割維持の報告義務 | 中 | 中 | ★★☆ |
| ⑦専門家報酬が高額 | 確実 | 小〜中 | ★☆☆ |
| ⑧株価対策を怠りがちになる | 中 | 中 | ★★☆ |
| ⑨M&A・株式譲渡の選択肢が制約 | 低 | 大 | ★★☆ |
| ⑩資産管理会社に該当するリスク | 低 | 大 | ★★☆ |
| ⑪次の後継者への承継が前提 | 確実 | 大 | ★★★ |
※深刻度:★★★=最優先で検討すべき ★★☆=対策しておくべき ★☆☆=認識しておけばよい
⚠️ 注意
事業承継税制は「猶予」であり「免除」ではありません。免除に至るには、次の後継者への再贈与・後継者の死亡・会社の倒産など限られた事由に該当する必要があります。実務では「使ったら税金ゼロ」という誤解が非常に多いため、必ず免除条件を確認してください。
取消事由の全容|5年以内と6年目以降で何が変わるか
事業承継税制の取消事由は、経営承継期間(申告期限から5年間)とそれ以降で大きく異なります。5年以内は取消事由に1つでも該当すると猶予税額の全額+利子税を一括納付しなければなりません。
5年以内 vs 6年目以降の取消事由比較表
| 取消事由 |
5年以内 |
6年目以降 |
特例措置の緩和 |
| 後継者が代表者を退任 | 全額取消 | 取消なし | — |
| 雇用が平均8割を下回る | 全額取消 | 取消なし | 理由報告で継続可 |
| 同族関係者の議決権50%以下 | 全額取消 | 取消なし | — |
| 後継者が筆頭株主でなくなる | 全額取消 | 取消なし | — |
| 対象株式の一部譲渡 | 全額取消 | 一部取消 | — |
| 後継者以外が黄金株を保有 | 全額取消 | 取消なし | — |
| 会社の解散・清算 | 全額取消 | 全額取消 | 減免措置あり |
| 資産管理会社に該当 | 全額取消 | 全額取消 | — |
| 継続届出書の未提出 | 全額取消 | 全額取消 | — |
| 合併による消滅 | 全額取消 | 一部取消 | 認定承継可 |
| 年次報告書の未提出 | 全額取消 | 不要 | — |
参考: 国税庁「法人版事業承継税制」
💡 実務のポイント
実務で最も注意すべきなのは「継続届出書の未提出」です。5年以内は毎年、6年目以降は3年に1回の提出ですが、6年目以降に頻度が落ちることで逆に忘れがちになります。当事務所では、事業承継税制の適用先にはカレンダーリマインダーの設定と、提出3ヶ月前からの準備開始を徹底しています。
特例措置で緩和された「雇用維持要件」の実態
一般措置では「5年間の雇用平均8割維持」を満たせないと即座に取消でしたが、特例措置では8割を下回っても理由報告書の提出で猶予が継続されます。
ただし、理由が経営悪化や正当でないと認められた場合は、認定経営革新等支援機関(税理士・商工会議所等)の指導・助言を受ける義務が生じます。現場でよく見かけるのが、「特例措置だから雇用は気にしなくていい」という誤解です。書類提出義務自体は残りますし、理由の説明もしっかり求められます。
利子税リスク|猶予税額別の累積負担シミュレーション
事業承継税制が取り消された場合、猶予されていた税額に加えて利子税が発生します。利子税の計算式は「猶予税額 × 年3.6% × 特例基準割合 / 7.3%」です。
利子税の累積額シミュレーション
📐 シミュレーション前提条件
- 特例基準割合:1.4%(令和6年・7年の水準を使用)
- 利子税率 = 3.6% × 1.4% / 7.3% ≒ 0.69%(年率)
- 利子税は猶予税額に対して毎年発生(単利計算)
| 猶予税額 |
5年後の利子税 |
10年後の利子税 |
20年後の利子税 |
| 5,000万円 | 約173万円 | 約345万円 | 約690万円 |
| 1億円 | 約345万円 | 約690万円 | 約1,380万円 |
| 2億円 | 約690万円 | 約1,380万円 | 約2,760万円 |
| 3億円 | 約1,035万円 | 約2,070万円 | 約4,140万円 |
※概算値です。特例基準割合は年ごとに変動します。正確な計算は税理士にご相談ください。
⚠️ 注意
猶予税額は「もともと支払うべきだった税金」であり、利子税が追加負担です。つまり、取消された場合の実質的な追加コストは利子税のみです。ただし、猶予期間が20年以上に及ぶと利子税だけで数千万円に達するため、「最悪のシナリオ」としての金額は必ず試算しておくべきです。
特例措置の減免措置(経営環境変化対応)
特例措置を適用している場合、取消事由に該当しても「売却時・廃業時の株価」で納税額が再計算されます。これは一般措置にはない大きな安全弁です。
たとえば、承継時の株価が5億円で猶予税額が2億円だった会社が、10年後に株価3億円に下落して売却した場合、再計算後の納税額は約1.2億円となり、差額の約8,000万円は免除されます。実務経験上、この減免措置があるからこそ「特例措置なら使うべき」と判断するケースが大半です。
継続届出の管理負担|提出スケジュールと書類の全体像
事業承継税制の適用後は、都道府県庁と税務署の両方に定期的な報告・届出が必要です。「届出を1日でも遅れたら取消」という厳格なルールがあるため、スケジュール管理が不可欠です。
提出書類と頻度のタイムライン
| 時期 |
提出先 |
書類名 |
頻度 |
| 1〜5年目 | 都道府県庁 | 年次報告書 | 毎年 |
| 1〜5年目 | 税務署 | 継続届出書+確認書写し | 毎年 |
| 6年目以降 | 都道府県庁 | — | 不要 |
| 6年目以降 | 税務署 | 継続届出書 | 3年に1回 |
| 取消事由発生時 | 都道府県庁 | 随時報告書 | 随時 |
| 免除事由発生時 | 税務署 | 免除届出書/免除申請書 | 6ヶ月以内 |
💡 実務のポイント
都道府県によって年次報告書の様式や添付書類に差があります。東京都では標準処理期間が60日とされており、期限ギリギリの提出は認定取消リスクを高めます。書類完備後60日以内に確認書が交付されるため、決算後できるだけ早く準備を始めることが鉄則です。
管理コストの目安
継続届出の管理を税理士に依頼する場合、年間10〜30万円程度の報酬が発生します。5年間+6年目以降の3年に1回の提出を合計すると、20年間で150〜400万円程度の管理コストがかかる計算です。事業承継税制の適用判断には、この管理コストも含めて検討する必要があります。
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専門家報酬の相場|事業承継コンサルティングの費用内訳
事業承継税制の適用には、株価算定・特例承継計画の作成・認定申請・継続届出など、専門家への依頼が事実上必須です。費用は会社の規模や株式の評価額によって大きく変動します。
| 工程 |
費用目安 |
備考 |
| 自社株評価(非上場株式) | 30〜100万円 | 会社の規模・業種で変動 |
| 特例承継計画の作成・提出 | 20〜50万円 | 認定支援機関の所見含む |
| 認定申請(都道府県庁) | 20〜30万円 | — |
| 贈与税・相続税の申告 | 50〜200万円 | 遺産総額・株価で変動 |
| 年次報告・継続届出(毎年) | 10〜30万円/年 | 6年目以降は3年に1回 |
猶予税額が数千万円〜数億円に対して、コンサルティング費用が100〜400万円程度であれば十分にペイするケースが多いです。ただし、猶予税額が1,000万円以下の場合は、専門家報酬と管理コストの合計が猶予税額に近づくため、通常の納税の方が合理的になることもあります。
資産管理会社に該当するリスク|事業実態の維持が必須
事業承継税制の適用を受けた会社が「資産管理会社」に該当すると、認定が取り消されます。資産管理会社とは、特定資産(有価証券・不動産・現預金等)の保有割合が高い会社を指します。
資産管理会社の判定基準
以下のいずれかに該当すると資産管理会社と判定されます。
| 判定基準 |
内容 |
要注意な業種 |
| 資産保有型会社 | 特定資産 ÷ 総資産 ≧ 70% | 不動産業・投資業 |
| 資産運用型会社 | 特定資産運用収入 ÷ 総収入 ≧ 75% | 賃貸業・持株会社 |
ただし、上記に該当しても「常時使用する親族外従業員が5人以上」「事務所・店舗を保有」「3年以上の事業実績」の全てを満たせば適用除外となります。
現場でよくあるケースとして、事業の収益が減少して不動産の賃貸収入が相対的に増えた結果、知らないうちに資産管理会社の基準に該当してしまうことがあります。決算のたびに特定資産比率をチェックする体制が必要です。
M&A・株式譲渡との相性|出口戦略が制限される問題
事業承継税制を適用すると、対象株式の譲渡が取消事由に該当するため、M&Aによる第三者への売却が事実上制限されます。これは「3代目への承継が確定していない」会社にとって、大きなデメリットとなります。
事業承継税制適用後のM&Aシナリオ
5年以内に株式を譲渡すると猶予税額の全額+利子税が発生しますが、6年目以降であれば譲渡した株式に対応する猶予税額のみが取消対象となります。さらに、特例措置の場合は売却時の株価で再計算される減免措置が使えます。
実務では「5年間は最低限経営を続け、6年目以降にM&Aを検討する」というプランニングを組むケースがあります。ただし、利子税の累積があるため、早期のM&Aほど追加負担が少なく済みます。
📊 公認会計士の視点
事業承継税制の適用を検討する段階で、将来のM&Aの可能性がゼロでないなら、あえて一般措置を選択するか、株価引き下げ対策(退職金支給・含み損の実現等)を先行させて猶予対象の税額自体を小さくする方が、出口戦略の自由度を確保できます。
特例承継計画の提出期限|2026年3月31日は延長されるか?
特例措置の適用を受けるには、2026年3月31日までに特例承継計画を都道府県庁に提出する必要があります(2027年12月31日までに贈与・相続を実行)。
令和6年度税制改正大綱では「極めて異例の時限措置であり、今後延長を行わない」と明記されました。2025年度改正で提出期限が2027年9月30日まで再延長されましたが、適用期限(2027年12月31日)の延長は行わないとの方針です。
📢 特例承継計画の期限(最新情報)
特例承継計画の提出期限は2027年9月30日まで延長済み。ただし、贈与・相続の適用期限(2027年12月31日)は延長しない方針が示されています。適用を検討しているなら、早めに認定支援機関に相談のうえ計画書を提出してください。
事業承継税制を使うべきか?判定チェックリスト
ここまでのデメリットとリスクを踏まえて、自社にとって事業承継税制を使うべきかどうかの判定基準を8項目でまとめます。
8項目の判定チェックリスト
| # |
判定項目 |
使うべき |
使わない方がいい |
| 1 | 自社株の評価額 | 1億円以上 | 3,000万円以下 |
| 2 | 猶予される税額 | 3,000万円以上 | 1,000万円以下 |
| 3 | 後継者(3代目)の見通し | 確定 or 有力候補あり | 全く未定 |
| 4 | 事業の継続可能性 | 業界安定・成長見込み | 縮小市場・廃業リスク |
| 5 | M&Aの可能性 | ほぼゼロ | 将来あり得る |
| 6 | 納税資金の確保 | 困難(現預金が少ない) | 十分に確保できる |
| 7 | 管理体制 | 顧問税理士が制度に精通 | 制度に詳しい専門家なし |
| 8 | 資産管理会社の該当性 | 事業実態が明確 | 特定資産比率が高い |
🧮 判定の目安
8項目中6つ以上が「使うべき」に該当すれば、事業承継税制の適用を前向きに検討してよいでしょう。3つ以下なら、株価引き下げ対策や相続時精算課税制度の活用など、他の方法を優先的に検討すべきです。4〜5つの場合は、税理士による個別シミュレーションで判断してください。
事業承継税制以外の選択肢|代替手法との比較
事業承継税制のデメリットが自社に合わない場合、以下の代替手法を検討します。
株式承継の主な手法比較
| 手法 |
メリット |
デメリット |
向いている会社 |
| 事業承継税制 | 税額100%猶予 | 取消リスク・管理負担 | 株価1億円超・3代目確定 |
| 株価引き下げ対策 | 管理負担なし | 引き下げ幅に限界 | 退職金支給可能な会社 |
| 相続時精算課税 | 贈与時の低い株価で固定 | 相続時に課税 | 株価上昇が見込める |
| 暦年贈与 | 少額ずつ移転可能 | 時間がかかる | 株価が比較的低い |
| 持株会社の活用 | 組織再編の柔軟性 | 設立コスト・運営コスト | グループ会社がある |
事業承継税制の制度概要や特例措置と一般措置の違いについては、「事業承継税制とは?法人版・個人版の適用要件と特例措置を完全ガイド」で詳しく解説しています。
なお、相続税全体の計算方法や基礎控除の仕組みについては「相続税の計算方法」をご覧ください。小規模宅地等の特例との併用を検討する場合は「小規模宅地等の特例の概要」も参考になります。
事業承継税制のリスクを軽減する5つの実務対策
事業承継税制のデメリットを理解したうえで適用を決断した場合に、リスクを最小化するための実務対策を解説します。
対策①:贈与での適用を選ぶ
相続より贈与での適用を選ぶことで、株価が低いタイミングを狙えます。たとえば、先代経営者への退職金支給後に株価が下がったタイミングで贈与を実行すれば、万が一取消になった場合の猶予税額自体を抑えられます。
対策②:株価引き下げ対策を併用する
事業承継税制があるからといって株価対策を省略するのは危険です。「取消されても支払える金額」まで猶予税額を引き下げておくことが、最大のリスクヘッジになります。
対策③:継続届出の管理体制を構築する
事業承継税制に精通した税理士に継続的な管理を委託し、以下の3点を仕組み化します。
① 決算後2ヶ月以内に年次報告書の素案を作成
② 提出期限の3ヶ月前にリマインダーを設定
③ 税理士の交代時に引継ぎ事項として明文化
対策④:資産管理会社の判定を毎期チェック
決算のたびに特定資産比率と特定資産運用収入比率を計算し、70%・75%の基準に近づいていないか確認します。近づいている場合は、設備投資や人員増強で事業実態を強化する対応が必要です。
対策⑤:出口戦略を複数パターン想定する
「3代目への承継」「M&A」「廃業」の3パターンについて、それぞれの場合の税額と利子税をシミュレーションしておきます。実務では、事業承継税制の適用時にこの3パターンの試算表を作成して経営者に共有しています。
📝 行政書士の視点
特例承継計画の作成には認定経営革新等支援機関の所見が必要です。行政書士も認定支援機関の登録が可能であり、許認可事業を営む会社では許認可の引継ぎ問題と事業承継税制の手続きをワンストップで対応できるメリットがあります。
よくある質問(FAQ)
事業承継税制で猶予された税金はいつ免除されますか?
主な免除事由は、①後継者が死亡した場合、②後継者が次の後継者に事業承継税制を適用した贈与を行った場合、③会社が倒産(破産・特別清算等)した場合です。①②が一般的な免除パターンで、実質的には20〜30年後になることが多いです。
取消事由に該当した場合、猶予税額はいつまでに納付する必要がありますか?
取消事由に該当した日から2ヶ月以内に猶予税額と利子税を一括で納付する必要があります。分割納付は原則として認められないため、納税資金の確保が重要です。
特例措置と一般措置のどちらを選ぶべきですか?
ほとんどのケースで特例措置を選ぶべきです。特例措置は猶予割合100%(一般は80%)、対象株数の制限なし(一般は議決権の2/3まで)、雇用維持要件の実質緩和、廃業時の減免措置があるため、デメリットの軽減効果が大きくなります。
事業承継税制を適用した後にM&Aで会社を売却できますか?
5年以内の株式譲渡は全額取消になりますが、6年目以降であれば譲渡株式に対応する部分のみが取消対象です。特例措置なら売却時の株価で再計算される減免措置もあるため、M&Aによる売却代金で猶予税額+利子税を支払えるケースが多いです。
顧問税理士が事業承継税制に詳しくない場合はどうすればよいですか?
事業承継税制の適用部分のみを専門の税理士に依頼する「セカンドオピニオン方式」が一般的です。顧問税理士はそのまま継続し、事業承継コンサルティングだけを別の専門家に委託します。費用は100万円以上かかることが多いですが、猶予税額の規模を考えれば十分にペイします。
雇用の「8割維持」はどのように計算しますか?
承継時点の常時使用従業員数を基準に、5年間の各年の従業員数の平均が80%以上であるかどうかで判定します。特例措置では、8割を下回っても理由報告書を都道府県に提出すれば猶予が継続されるため、一般措置に比べてリスクは大幅に低減されています。
事業承継税制を途中でやめることはできますか?
「やめる」=取消事由に該当することを意味するため、猶予税額+利子税を一括納付することになります。自発的に取りやめる場合は「納税猶予の取りやめ届出」を税務署に提出します。タイミングによっては利子税の累積が大きくなるため、いつやめるかのシミュレーションも事前にしておくべきです。
まとめ
📋 この記事のポイント
- 事業承継税制は「猶予」であり「免除」ではない。免除には次の後継者への承継や後継者の死亡など限られた事由が必要
- 取消事由は23項目以上。5年以内は1つでも該当すると猶予税額の全額+利子税を一括納付
- 特例措置なら雇用維持要件が実質緩和、廃業時の減免措置あり。一般措置より圧倒的に有利
- 継続届出は5年間毎年、6年目以降3年に1回。未提出は即取消のため管理体制が必須
- 株価評価額1億円以上・3代目の見通しあり・事業安定なら前向きに検討。税額1,000万円以下なら通常納税の方が合理的
- リスク軽減の鍵は「贈与での適用」「株価引き下げの併用」「管理体制の構築」の3つ
事業承継税制は「使うべき会社」には非常に強力な節税効果をもたらしますが、デメリットとリスクを正確に把握していないと、将来の取消時に大きな負担が生じます。適用の判断は、猶予税額・後継者の見通し・管理体制の3要素を総合的に検討して行ってください。
贈与税・相続税の基本的な仕組みについては「贈与税の仕組みと基礎」もあわせてご覧ください。
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