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事業承継税制とは?法人版・個人版の適用要件と特例措置を完全ガイド
「自社株を後継者に渡したいが相続税・贈与税が数千万円かかる」「特例措置の期限が迫っているが何から始めればいいかわからない」とお悩みの中小企業経営者に向けて、法人版・個人版の事業承継税制を体系的に解説します。この記事を読めば、自社に適用できるかの判断と、手続きのスケジュールがわかります。


事業承継税制とは?法人版・個人版の適用要件と特例措置を完全ガイド
「自社株を後継者に渡したいが相続税・贈与税が数千万円かかる」「特例措置の期限が迫っているが何から始めればいいかわからない」とお悩みの中小企業経営者に向けて、法人版・個人版の事業承継税制を体系的に解説します。この記事を読めば、自社に適用できるかの判断と、手続きのスケジュールがわかります。
🏆 結論:特例承継計画の提出期限は2026年3月末。検討中なら今すぐ動くべき
事業承継税制とは、後継者が先代経営者から非上場株式(法人版)や事業用資産(個人版)を贈与・相続で取得した際に、贈与税・相続税の納税が猶予・免除される制度です。特例措置では納税猶予割合が100%(実質的に税負担ゼロ)になり、対象株式数の上限も撤廃されています。ただし、特例承継計画の提出期限は2026年3月31日、法人版の事業承継実施期限は2027年12月31日と期限が迫っています。適用後も5年間の雇用維持要件や継続届出が必要で、取消事由に該当すると猶予された税金を一括納付するリスクもあります。メリット・デメリットを十分理解した上で、認定支援機関(税理士等)と相談しながら判断してください。
📢 特例承継計画の提出期限が迫っています
特例措置の適用に必要な「特例承継計画」の提出期限は2026年3月31日です。法人版の事業承継実施期限は2027年12月31日、個人版は2028年12月31日です。計画の提出は適用を確定させるものではなく「オプションの確保」ですので、少しでも検討中であれば先に計画だけ提出しておくことを強くおすすめします。
事業承継税制とは、中小企業の後継者が先代経営者から会社の株式や事業用資産を贈与・相続で取得した際に、一定の要件を満たせば贈与税・相続税の納税が猶予され、最終的に免除される制度です。
制度には「法人版」と「個人版」の2種類があり、それぞれに「一般措置」と「特例措置」があります。
| 区分 | 法人版 | 個人版 |
|---|---|---|
| 対象 | 非上場会社の株式等 | 事業用の土地・建物・減価償却資産 |
| 対象者 | 中小企業の後継者(経営者) | 個人事業主の後継者 |
| 猶予される税 | 贈与税・相続税 | 贈与税・相続税 |
| 特例措置の事業承継期限 | 2027年12月31日 | 2028年12月31日 |
| 計画提出期限 | 2026年3月31日(法人版・個人版共通) | |
事業承継税制の「一般措置」は恒久的な制度ですが、「特例措置」は期限付き(10年間)で大幅に拡充されたものです。現在検討するなら、ほぼ全てのケースで特例措置を選ぶべきです。
| 比較項目 | 一般措置 | 特例措置 |
|---|---|---|
| 事前の計画策定 | 不要 | 必要(特例承継計画を2026年3月末まで提出) |
| 適用期限 | なし(恒久措置) | 2027年12月31日まで(法人版) |
| 対象株式数 | 発行済株式の2/3まで | 全株式(上限なし) |
| 納税猶予割合 | 贈与100%・相続80% | 贈与・相続とも100% |
| 後継者の人数 | 1人 | 最大3人 |
| 承継元 | 先代経営者1人のみ | 全株主から(複数の株主から承継可) |
| 雇用確保要件 | 5年間平均8割維持必須 | 8割を下回っても理由報告で猶予継続 |
| 売却・廃業時の減免 | なし | あり(売却・廃業時の株価で再計算) |
| 相続時精算課税の適用 | 推定相続人・孫のみ | 親族外含む全ての後継者 |
💡 実務のポイント
一般措置では相続時の猶予割合が80%にとどまるため、株式評価額の20%分は相続税を納付する必要があります。自社株評価額が3億円なら約6,000万円の相続税が残る計算です。特例措置なら100%猶予のため、実質的に税負担ゼロ。この差は非常に大きいため、期限内に特例措置を選ぶべきです。
法人版事業承継税制の対象となるのは、中小企業基本法に定める「中小企業」に該当する非上場会社です。以下の会社は対象外です。
⚠️ 注意
「資産管理会社」の判定は要注意です。不動産賃貸業を営む同族会社や、投資有価証券を多く保有する持株会社は、資産管理会社に該当して事業承継税制を使えない可能性があります。ただし、一定の従業員数(5人以上)があり、事務所を有し、3年以上事業を継続している場合は除外されるケースもあるため、個別に判定が必要です。
| 要件 | 贈与の場合 | 相続の場合 |
|---|---|---|
| 代表者就任 | 贈与時に代表者であること | 相続開始から5ヶ月以内に代表者就任 |
| 役員就任期間 | 贈与直前まで役員就任(2025年改正で緩和) | 相続開始直前に役員であること |
| 年齢 | 18歳以上 | 制限なし |
| 議決権 | 同族関係者と合わせて50%超、かつ同族内で筆頭株主等 | |
| 特例承継計画 | 計画に記載された後継者であること(特例措置の場合) | |
個人版事業承継税制は、個人事業主が後継者に事業用資産(土地400㎡まで、建物800㎡まで、一定の減価償却資産)を贈与・相続で移転する際に、贈与税・相続税の納税を100%猶予する制度です。
法人版との主な違いは、対象が「株式」ではなく「事業用資産」である点と、事業承継実施期限が2028年12月31日とやや長い点です。
個人版の詳しい要件と手続きは「個人版事業承継税制」で解説しています。
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鮎澤パートナーズに相談する認定経営革新等支援機関(税理士法人、公認会計士事務所等)の指導・助言を受けたうえで、特例承継計画を作成し、都道府県庁に提出します。記載内容は後継者の氏名、事業承継の予定時期、承継後5年間の事業計画等で、A4用紙3枚程度のボリュームです。
💡 実務のポイント
特例承継計画の提出は、事業承継税制の「予約」のようなものです。計画を提出しても、実際に適用するかどうかは後から決められます。提出しなければ特例措置のオプションが消滅するため、少しでも検討中であれば先に計画だけ提出しておくべきです。計画の変更届も可能です。
先代経営者から後継者へ、実際に株式の贈与または相続を行います。贈与の場合、先代経営者は贈与時までに代表者を退任している必要があります。
贈与の場合は翌年1月15日まで、相続の場合は相続発生後8ヶ月以内に、都道府県知事に認定申請書を提出します。
認定書の写しを添付して、贈与税・相続税の申告書を税務署に提出します。猶予税額および利子税に見合う担保(通常は猶予対象の株式そのもの)を提供します。
都道府県庁に「年次報告書」を、税務署に「継続届出書」を毎年提出します。雇用が5年平均8割を下回った場合は、その理由と認定支援機関の所見を記載した報告書も必要です。
6年目以降は、税務署に継続届出書を3年に1回提出します。後継者の死亡や、次の後継者への再贈与により猶予税額が最終的に免除されます。
猶予された税金は以下のいずれかに該当した時点で免除(=払わなくてよくなる)されます。
| No. | 免除事由 | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | 後継者が死亡した | 猶予税額の全額が免除 |
| 2 | 次の後継者に事業承継税制を適用して贈与 | 贈与税の猶予税額が免除(相続税は切替え) |
| 3 | 先代経営者(贈与者)が死亡した | 贈与税は免除→相続税の猶予に切替え |
| 4 | 会社が破産・特別清算した | 猶予税額の全額が免除 |
| 5 | 一定の障害等により後継者が代表者を退任 | やむを得ない事由として免除 |
| 判断基準 | 使うべきケース | 使わない方がいいケース |
|---|---|---|
| 自社株評価額 | 数億円以上(納税額が大きい) | 数千万円以下(他の対策で対応可能) |
| 後継者の確定度 | 後継者が明確に決まっている | 後継者が未定・M&Aを検討中 |
| 事業の継続性 | 長期的に事業を継続する意思あり | 近い将来の売却・廃業を検討中 |
| 管理コスト | 税理士報酬等の継続コストを許容できる | 猶予税額に比して税理士報酬が高すぎる |
📊 公認会計士の視点
事業承継税制を適用すると、株式を第三者に売却する際に猶予税額の一括納付が必要になるため、M&Aの柔軟性が失われます。将来的にM&Aの可能性を残しておきたい場合は、事業承継税制ではなく、株価引き下げ対策(役員退職金の支給、不動産の取得等)で自社株評価額を下げてから贈与する方法も検討すべきです。
事業承継税制には大きなメリットがある一方、以下のリスクを十分理解しておく必要があります。
デメリットとリスクの詳細は「事業承継税制のデメリットとリスク」で解説しています。
事業承継の文脈では、公益法人等への寄附による株価引き下げが検討されることがあります。特定公益増進法人や認定NPO法人に対する寄附は、法人税の損金算入枠が拡大される特例があり、結果として自社株評価額の引き下げ効果が生じます。ただし、寄附金控除は事業承継税制とは別の制度であり、株価引き下げの効果は限定的です。事業承継税制の方が直接的な節税効果が大きいため、自社株評価額が高い場合はまず事業承継税制の適用を検討し、補完的に寄附金の特例を活用する、という優先順位が妥当です。
📐 シミュレーション前提条件
| 自社株評価額 | 通常の贈与税 | 事業承継税制適用後 | 節税額 |
|---|---|---|---|
| 1億円 | 約4,800万円 | 0円 | 約4,800万円 |
| 3億円 | 約1億5,800万円 | 0円 | 約1億5,800万円 |
| 5億円 | 約2億7,300万円 | 0円 | 約2億7,300万円 |
※特例措置(猶予割合100%)の場合。一般措置では相続税の猶予割合は80%。概算値であり、実際の税額は他の控除や遺産構成により異なります。
2025年度(令和7年度)税制改正により、特例措置における後継者の役員就任要件が大幅に緩和されました。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 贈与の場合 | 贈与前3年以上の役員就任 | 贈与直前に役員就任していればOK |
| 個人版の場合 | 贈与前3年以上事業に従事 | 贈与直前に事業に従事していればOK |
| 適用開始 | — | 2025年1月1日以後の贈与から |
この改正により、後継者が他社で修業中だったケースや、急な経営悪化で承継を前倒しにしたいケースでも、特例措置を利用しやすくなりました。
🔷 社労士の視点
事業承継税制の雇用維持要件では「常時使用する従業員」の人数が問われます。パート・アルバイトの取り扱いは、雇用保険の被保険者であるかどうかが基準になります。週20時間以上勤務して雇用保険に加入している従業員はカウント対象です。事業承継前に雇用体制を整理しておくことをおすすめします。
📋 この記事のポイント
事業承継税制は正しく活用すれば数千万円〜数億円規模の節税効果がありますが、適用後の管理コストやM&Aの制約も伴います。必ず認定支援機関である税理士と相談し、自社の状況に最適な判断をしてください。
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