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「法人事業税はどうやって計算するの?」とお悩みの経営者・経理担当に向けて、中小企業の所得割と大法人の外形標準課税の計算方法を具体的な数値例つきで完全ガイドします。この記事を読めば、自社の法人事業税を自分で概算できるようになります。


「法人事業税はどうやって計算するの?」とお悩みの経営者・経理担当に向けて、中小企業の所得割と大法人の外形標準課税の計算方法を具体的な数値例つきで完全ガイドします。この記事を読めば、自社の法人事業税を自分で概算できるようになります。
🏆 結論:中小企業は「所得×税率」のシンプル計算、大法人は3種類の合計
法人事業税の計算方法は、資本金1億円以下の中小企業と、資本金1億円超の大法人で大きく異なります。中小企業は「所得金額×所得割の税率」のシンプルな計算です。大法人は外形標準課税が適用され、「所得割+付加価値割+資本割」の3つを合計して算出します。さらに両者とも「特別法人事業税」が上乗せされます。法人事業税は法人住民税と異なり損金算入できるため、翌期の法人税計算に影響する点も押さえておきましょう。
法人事業税とは、法人が事業活動を行うにあたって利用する行政サービス(道路・港湾・消防など)の経費を分担するために、事業所のある都道府県に納める地方税です。
計算に入る前に、以下の4つの基礎知識を押さえてください。
①課税主体は都道府県。法人住民税が「都道府県+市町村」の2つに納めるのに対し、法人事業税は都道府県にのみ納めます。
②赤字なら原則ゼロ。中小企業(資本金1億円以下)の法人事業税は所得が課税標準のため、赤字なら課税されません。ただし外形標準課税対象の大法人は赤字でも付加価値割・資本割が課税されます。
③損金算入できる。法人事業税は翌期の法人税の計算上、損金に算入できます(法人税法第38条第1項)。これは法人住民税(損金不算入)との大きな違いです。
④特別法人事業税が上乗せされる。法人事業税とは別に「特別法人事業税」(国税)が法人事業税額を基準に課され、事業税と一緒に都道府県に申告・納付します。
💡 実務のポイント
法人事業税と法人住民税は混同しやすいですが、「損金算入の可否」が最大の違いです。法人事業税は「行政サービスの経費分担」という性格から損金算入が認められています。一方、法人住民税は「地域社会の会費」という性格で損金不算入です。この違いは実効税率の計算にも影響するため、経理担当者は必ず理解しておきましょう。法人住民税の均等割については「法人住民税の均等割とは?」で詳しく解説しています。
法人事業税の計算は以下の4ステップで行います。まず全体の流れを把握してから、各ステップの詳細に進みましょう。
【ステップ1】自社が外形標準課税の対象か判定する。資本金1億円超なら原則として外形標準課税の対象。1億円以下なら所得割のみ。
【ステップ2】適用税率を確認する。事業所がある都道府県の税率を確認。標準税率と超過税率がある。
【ステップ3】法人事業税額を計算する。中小企業は「所得×所得割税率」。外形標準課税法人は「所得割+付加価値割+資本割」。
【ステップ4】特別法人事業税を計算して合算する。法人事業税の所得割額に特別法人事業税の税率を乗じる。
法人事業税の計算方法は、外形標準課税の対象かどうかで大きく変わります。令和6年度の税制改正で対象法人が拡大されたため、以下のフローで判定してください。
| 判定ステップ | 質問 | Yesの場合 | Noの場合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 事業年度末の資本金が1億円超ですか? | → 外形標準課税の対象 | → ステップ2へ |
| 2 | 前期に外形標準課税の対象で、かつ資本金+資本剰余金が10億円超ですか?(R7.4〜) | → 外形標準課税の対象 | → ステップ3へ |
| 3 | 特定法人(資本金+資本剰余金50億円超)の100%子法人で、資本金+資本剰余金が2億円超ですか?(R8.4〜) | → 外形標準課税の対象 | → 所得割のみ(中小企業型) |
📢 令和6年度改正:外形標準課税の対象拡大
減資で外形標準課税を逃れるケースへの対応として、「資本金+資本剰余金」を基準とする追加要件が設けられました。令和7年4月以降(減資対応)と令和8年4月以降(100%子法人対応)の2段階で施行されます。中小企業(資本金1億円以下・グループ法人でない)は影響を受けません。
| 所得金額 | 標準税率 | 超過税率(東京都) |
|---|---|---|
| 年400万円以下 | 3.5% | 3.75% |
| 年400万円超〜800万円以下 | 5.3% | 5.665% |
| 年800万円超 | 7.0% | 7.48% |
※軽減税率は資本金1億円以下かつ所得年800万円以下の法人に適用。東京都は超過税率を採用(資本金1億円超または法人税額年1,000万円超の法人に適用)。
| 税割 | 課税標準 | 標準税率 |
|---|---|---|
| 所得割 | 所得金額 | 1.0% |
| 付加価値割 | 報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料+単年度損益 | 1.2% |
| 資本割 | 資本金等の額 | 0.5% |
外形標準課税法人は、所得割の税率が中小企業の7.0%に対して1.0%と低い代わりに、付加価値割と資本割が加わります。法人事業税全体に占める外形基準(付加価値割+資本割)の割合はおおむね5/8です。
📐 シミュレーション前提条件
400万円 × 3.5% = 14万円
400万円(400万超〜800万円)× 5.3% = 21.2万円
400万円(800万円超)× 7.0% = 28万円
法人事業税 = 63.2万円
| 所得金額 | 法人事業税 | 特別法人事業税(37%) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 19.3万円 | 7.1万円 | 26.4万円 |
| 1,000万円 | 49.2万円 | 18.2万円 | 67.4万円 |
| 2,000万円 | 119.2万円 | 44.1万円 | 163.3万円 |
※標準税率で概算。特別法人事業税率37%は中小企業(所得割のみ)の場合。都道府県により税率は異なります。
特別法人事業税は、法人事業税の所得割額を基準に計算する国税です。法人事業税と一緒に都道府県に申告・納付し、国に払い込まれます。
| 法人の区分 | 課税標準 | 税率 |
|---|---|---|
| 中小企業(所得割のみの法人) | 法人事業税の所得割額 | 37% |
| 外形標準課税法人 | 法人事業税の所得割額 | 260% |
| 収入割法人(電気・ガス等) | 法人事業税の収入割額 | 30% |
外形標準課税法人の特別法人事業税率が260%と高いのは、所得割の税率自体が1.0%と低いためです。トータルの税負担は中小企業と極端に差が出ない設計になっています。
外形標準課税法人の所得割は、中小企業と同様に所得金額が課税標準ですが、税率が1.0%(標準税率)と低く設定されています。これは付加価値割・資本割と合わせてバランスを取るためです。
付加価値割は、法人が生み出した「付加価値額」に1.2%(標準税率)を乗じて計算します。付加価値額は以下の計算式で算出します。
付加価値額 = 収益配分額 + 単年度損益
収益配分額は「報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料」の合計です。報酬給与額が最大の構成要素で、役員報酬・給与・賞与・退職金・法定福利費の事業主負担分などが含まれます。
💡 実務のポイント
付加価値割の計算で最も間違いやすいのは「報酬給与額」の範囲です。派遣社員の派遣料のうち75%相当額が報酬給与額に含まれる点、法定福利費の事業主負担分(社会保険料の会社負担分)が含まれる点は見落としがちです。
資本割は、法人税法上の「資本金等の額」に0.5%(標準税率)を乗じて計算します。資本金等の額が1,000億円を超える部分は課税標準に含めない上限があります。
法人事業税と法人住民税は混同されがちですが、税務上の取扱いに重要な違いがあります。
| 比較項目 | 法人事業税 | 法人住民税 |
|---|---|---|
| 納付先 | 都道府県のみ | 都道府県+市町村 |
| 赤字の場合 | 原則課税なし(外形標準課税法人除く) | 均等割は課税あり |
| 損金算入 | できる | できない |
| 会計上の表示 | 法人税、住民税及び事業税(所得割)/ 販管費(付加価値割・資本割) | 法人税、住民税及び事業税 |
📊 公認会計士の視点
外形標準課税法人の場合、会計処理に注意が必要です。所得割は従来どおり「法人税、住民税及び事業税」で処理しますが、付加価値割と資本割は「販売費及び一般管理費」の「租税公課」で処理します。これは付加価値割・資本割が所得に対する税金ではなく、事業規模に対する税金だからです。
2つ以上の都道府県に事業所がある法人は、法人事業税を従業者数に基づいて各都道府県に分割して申告・納付します。
分割基準は業種によって異なります。一般的な法人(非製造業など)は「事務所等の従業者数」を使います。製造業は「事務所等の従業者数の1/2 + 工場の従業者数」が基準です。
法人決算の全体的な流れと各税目の申告方法については「法人決算の流れを完全ガイド」で詳しく解説しています。
法人事業税は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に申告・納付します。法人住民税と同じ申告書(第6号様式)で都道府県税事務所に提出するため、別々に書類を作る必要はありません。eLTAXでの電子申告にも対応しています。法人税の申告期限については「法人税の申告期限と納付期限」もご確認ください。
事業年度が6ヶ月を超える法人は、中間申告が必要です。中間申告は予定申告(前期実績ベース)または仮決算に基づく中間申告のいずれかを選択できます。会社設立から決算・申告の流れについては「会社設立の流れと費用を完全ガイド」をご覧ください。
📋 この記事のポイント
法人事業税は法人税・法人住民税と並ぶ「法人三税」の一角で、特に損金算入できる点が税務戦略上重要です。自社の法人事業税を正確に把握し、キャッシュフロー計画に組み込みましょう。
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