公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。
「中間申告って何をすればいいの?」「予定申告と仮決算はどう違う?」とお悩みの経理担当者に向けて、法人税の中間申告の対象・2つの申告方法の選び方・届出手順を完全ガイドします。この記事を読めば、自社に有利な中間申告の方法を判断できます。


「中間申告って何をすればいいの?」「予定申告と仮決算はどう違う?」とお悩みの経理担当者に向けて、法人税の中間申告の対象・2つの申告方法の選び方・届出手順を完全ガイドします。この記事を読めば、自社に有利な中間申告の方法を判断できます。
🏆 結論:前期と業績が同水準なら予定申告、大幅減益なら仮決算
中間申告は法人税の「前払い」です。前期の法人税額が20万円超の法人は、事業年度開始から6ヶ月経過後2ヶ月以内に中間申告が必要です。予定申告(前期の半額を納付)か仮決算(実際の上半期実績で計算)を選べます。前期と同水準の業績なら手間のかからない予定申告、前期比で大幅に減益なら仮決算で納税額を抑えるのが基本戦略です。
中間申告とは、法人税の「前払い」制度です。事業年度が6ヶ月を超える法人は、年度の途中で法人税の一部を先に納付し、確定申告時に精算するしくみになっています。
たとえば3月決算法人の場合、4月〜9月の6ヶ月が経過した後、11月末までに中間申告・納付を行います。翌年5月の確定申告で年間の法人税額が確定したら、中間納付額を差し引いた残額を納付します。中間で払いすぎていた場合は還付されます。
結論から言えば、前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で割り、6を掛けた金額(前期実績基準額)が10万円を超える法人に中間申告義務があります。具体的には以下の計算式です。
前期実績基準額 = 前事業年度の確定法人税額 ÷ 前事業年度の月数 × 6
| 前期の確定法人税額 | 前期実績基準額(12ヶ月の場合) | 中間申告 |
|---|---|---|
| 20万円以下 | 10万円以下 | 不要 |
| 20万円超 | 10万円超 | 必要 |
| 0円(前期が赤字) | 0円 | 不要 |
| 設立1期目 | 前期実績なし | 不要 |
💡 実務のポイント
設立1期目は前期実績がないため中間申告は不要です。2期目から前期の法人税額をもとに判定されます。会社設立後の決算申告の全体像については「会社設立の流れ完全ガイド」をご覧ください。
中間申告には「予定申告」と「仮決算に基づく中間申告」の2つの方法があり、法人が自由に選択できます。事前の届出は不要で、毎年変更も可能です。
| 比較項目 | 予定申告 | 仮決算 |
|---|---|---|
| 計算方法 | 前期法人税額の半額 | 上半期の実績で決算を行い税額を計算 |
| 事務負担 | 軽い(税務署からの通知で完了) | 重い(通常の決算と同等の作業) |
| 提出書類 | 中間申告書のみ | 中間申告書+貸借対照表+損益計算書+別表 |
| 申告しなかった場合 | みなし申告(予定申告があったとみなされる) | 選択不可(予定申告に自動切替) |
| 有利な場面 | 前期と同水準 or 増益のとき | 前期比で大幅減益のとき |
| 制限事項 | なし | 仮決算の税額が予定申告の税額を超える場合は不可 |
| 税目ごとの選択 | 法人税は予定申告、消費税は仮決算など、税目ごとに別々の方法を選択可能 | |
中間申告の時期が来ると、税務署から「法人税予定申告のお知らせ」と納付書が送られてきます。通知には中間納付額(前期実績基準額)が記載されています。
予定申告の場合、申告書を提出しなくても「みなし申告」として前期実績基準額で中間申告があったとみなされます。つまり、申告書の提出自体を省略しても問題ありません。ただし納付は必須です。
税務署から送られてきた納付書の金額を、期限(事業年度開始の日以後6ヶ月経過した日から2ヶ月以内)までに納付します。3月決算法人であれば11月30日が期限です。
⚠️ 注意
「みなし申告」で申告自体は省略できますが、納付を忘れると延滞税がかかります。延滞税は損金に算入できないため、実質的な負担は額面以上です。税務署から通知が届いたら、すぐに納付日をカレンダーに登録しましょう。
事業年度開始の日から6ヶ月間を1事業年度とみなして、通常の決算と同じ手続き(棚卸、経費計上、減価償却など)を行います。確定申告ほど精密でなくても構いませんが、合理的な根拠に基づく数値が必要です。
上半期の課税所得に法人税率を掛けて中間納付額を算出します。この時点で、予定申告による中間納付額と比較します。仮決算の税額が予定申告の税額を超える場合は、仮決算方式は選択できません。
仮決算の場合は、中間申告書に加えて貸借対照表・損益計算書・法人税別表などの添付が必要です。確定申告とほぼ同じボリュームの書類を準備することになります。
予定申告と同じく、事業年度開始の日以後6ヶ月経過した日から2ヶ月以内に提出します。仮決算の場合は「みなし申告」が適用されないため、必ず申告書を提出する必要があります。
仮決算で算出した税額を期限内に納付します。仮決算の結果、納付額が0円になる場合でも申告書の提出は必要です。申告を怠ると予定申告の金額で中間納付が必要になります。
| ステップ | 確認項目 | はい | いいえ |
|---|---|---|---|
| ① | 今期の上半期は前期比で大幅な減益か?(目安:売上30%以上減 or 赤字転換) | → ②へ | → 予定申告 |
| ② | 仮決算にかかる事務コスト(税理士報酬+自社工数)を負担できるか? | → ③へ | → 予定申告 |
| ③ | 仮決算の税額は予定申告の税額を下回るか? | → 仮決算 | → 予定申告(仮決算は選択不可) |
💡 実務のポイント
実務では約9割の法人が予定申告を選択しています。仮決算を選ぶのは、前期比で売上が大幅に落ちた場合や、前期に特別利益(不動産売却益など)があって法人税額が異常に高かった場合です。それ以外のケースで仮決算を選んでも、事務コストに見合わないことがほとんどです。
📐 シミュレーション前提条件
| 項目 | A:前期同水準 | B:大幅減益 | C:増益 |
|---|---|---|---|
| 上半期の課税所得 | 500万円 | 200万円 | 700万円 |
| 予定申告の中間納付額 | 120万円 | 120万円 | 120万円 |
| 仮決算の中間納付額 | 約116万円 | 約46万円 | 選択不可(120万円超) |
| 差額(予定申告−仮決算) | 約4万円 | 約74万円 | — |
| おすすめ | 予定申告 | 仮決算 | 予定申告(仮決算不可) |
※概算値です。法人税額は課税所得×23.2%で計算。実際の税額は各種控除等により異なります。
パターンBのように前期比で大幅に減益した場合、仮決算を選ぶことで約74万円の資金を半年間手元に残せます。ただし仮決算にかかる税理士報酬(5〜15万円程度)と自社の事務負担を差し引いても、50万円以上の資金繰り改善効果があります。
法人税の中間申告と消費税の中間申告は別の制度です。法人税と消費税で申告方法を別々に選ぶことができます(法人税は予定申告、消費税は仮決算など)。
| 前期の確定消費税額(国税のみ) | 中間申告回数 | 各回の予定納税額 |
|---|---|---|
| 48万円以下 | 不要(任意で年1回可能) | — |
| 48万円超〜400万円以下 | 年1回 | 前期消費税額 × 6/12 |
| 400万円超〜4,800万円以下 | 年3回 | 前期消費税額 × 3/12 |
| 4,800万円超 | 年11回 | 前期消費税額 × 1/12 |
💡 実務のポイント
消費税の仮決算では、計算結果がマイナス(還付)になっても還付は受けられません。法人税の仮決算とは異なる点なので注意が必要です。ただし、確定申告時に年間の消費税額が確定すれば、中間で払いすぎた分は還付されます。
法人税の中間申告が必要な法人は、法人住民税と法人事業税についても中間申告が必要です。地方税の中間申告はeLTAXで電子申告できます。
地方税の中間申告方法も、法人税と同様に予定申告と仮決算の2種類から選択可能です。ただし、法人住民税の均等割部分は赤字であっても納付が必要です。均等割の半額を中間で納付します。
電子申告の詳しい手順については「法人税のe-Tax電子申告ガイド」で解説しています。
中間申告の仕訳は、予定申告でも仮決算でも同じです。中間納付時と確定申告時の仕訳を示します。
| タイミング | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 中間納付時 | 仮払法人税等 120万円 | 普通預金 120万円 | 法人税中間納付 |
| 確定申告時(追加納付) | 法人税等 250万円 | 仮払法人税等 120万円 未払法人税等 130万円 | 確定法人税額の計上 |
| 確定申告時(還付の場合) | 法人税等 100万円 未収還付法人税等 20万円 | 仮払法人税等 120万円 | 確定法人税額の計上・還付 |
📊 公認会計士の視点
会計上、中間納付額は「仮払法人税等」として資産計上するのが一般的です。「租税公課」で費用処理する方法もありますが、決算時に法人税等と相殺する必要があり、仮払法人税等で処理する方がシンプルです。法人決算の全体的な流れは「法人決算の流れ完全ガイド」で詳しく解説しています。
中間申告書を提出しなかった場合、予定申告があったものと「みなされ」ます(みなし申告)。つまり、申告書を出し忘れても無申告加算税はかかりません。ただし、みなし申告後に仮決算方式に変更することはできないため、予定申告の金額で納付義務が確定します。
| ペナルティ | 税率 | 損金算入 |
|---|---|---|
| 延滞税(納付期限から2ヶ月以内) | 年2.4%程度(特例基準割合+1%) | 不可 |
| 延滞税(納付期限から2ヶ月超) | 年8.7%程度(特例基準割合+7.3%) | 不可 |
延滞税は損金に算入できないため、実質的な負担は通常の借入金利より割高です。申告期限の延長を受けている法人でも、中間申告の期限は延長されないため注意が必要です。申告期限の延長制度の詳細は「法人税の申告期限と納付期限ガイド」をご確認ください。
グループ通算制度を適用している通算法人は、中間申告に特殊なルールがあります。
予定申告は通算法人ごとに個別に行えますが、仮決算を選択する場合はグループ内の全ての通算法人が一斉に仮決算方式を選択する必要があります。1社だけ仮決算にして他は予定申告、ということはできません。
さらに、グループ内全通算法人の仮決算税額の合計が、全通算法人の予定申告税額の合計を超える場合は、グループ全体で仮決算方式を選択できないという制限もあります。
📋 この記事のポイント
中間申告は税金の「前払い」であり、確定申告時に必ず精算されます。前期と同水準の業績なら予定申告で手間を省き、大幅な減益が見込まれる場合のみ仮決算を検討するのが効率的です。判断に迷ったら、税理士にご相談ください。