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「赤字なのに地方税がかかるのはなぜ?」と疑問をお持ちの経営者に向けて、法人住民税の均等割の仕組み・税額一覧・計算方法・節税策を完全ガイドします。この記事を読めば、自社の均等割がいくらかを即座に把握し、資本金の設定による税額コントロールの方法がわかります。


「赤字なのに地方税がかかるのはなぜ?」と疑問をお持ちの経営者に向けて、法人住民税の均等割の仕組み・税額一覧・計算方法・節税策を完全ガイドします。この記事を読めば、自社の均等割がいくらかを即座に把握し、資本金の設定による税額コントロールの方法がわかります。
🏆 結論:均等割は「地域社会の会費」——赤字でも最低年7万円
法人住民税の均等割とは、法人の利益に関係なく、資本金等の額と従業員数に応じて定額で課される地方税です。赤字であっても法人が存続する限り毎年必ず発生します。最低額は都道府県民税2万円+市町村民税5万円=年7万円(資本金1,000万円以下・従業員50人以下)。資本金を1,000万円以下に設定するかどうかで均等割が年7万円 vs 年20万円と大きく変わるため、会社設立時の資本金設計が重要です。
法人住民税の均等割とは、法人が事業所を構える地方自治体に対して、会社の利益に関係なく一律に課される地方税です。個人住民税に「均等割」と「所得割」があるのと同様に、法人住民税にも「均等割」と「法人税割」があり、この2つの合計額を納付します。
均等割は「地域社会の会費」という性格を持ちます。法人も個人と同様に、道路・水道・ごみ収集などの行政サービスを利用しているため、その対価として事業規模に応じた一定額を負担する仕組みです。
| 比較項目 | 均等割 | 法人税割 |
|---|---|---|
| 課税基準 | 資本金等の額+従業員数 | 法人税額 |
| 赤字の場合 | 課税される | 課税されない |
| 税額の決まり方 | 定額(区分に応じた固定額) | 法人税額 × 税率 |
| 標準税率 | 区分別の定額 | 都道府県1.0% + 市町村6.0% |
💡 実務のポイント
「赤字なのに税金を払うのか」と驚く経営者は少なくありません。均等割は法人が存続する限り必ず発生する固定コストです。設立初年度から資金計画に組み込んでおく必要があります。特に設立直後の赤字が続く期間は、均等割だけでも年間7万円のキャッシュアウトが発生します。
均等割の税額は、都道府県民税が「資本金等の額」による5区分、市町村民税が「資本金等の額×従業員数」による9区分で定められています。以下は標準税率に基づく一覧表です。
| 資本金等の額 | 年額 |
|---|---|
| 1,000万円以下 | 2万円 |
| 1,000万円超〜1億円以下 | 5万円 |
| 1億円超〜10億円以下 | 13万円 |
| 10億円超〜50億円以下 | 54万円 |
| 50億円超 | 80万円 |
| 資本金等の額 | 従業員50人以下 | 従業員50人超 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 5万円 | 12万円 |
| 1,000万円超〜1億円以下 | 13万円 | 15万円 |
| 1億円超〜10億円以下 | 16万円 | 40万円 |
| 10億円超〜50億円以下 | 41万円 | 175万円 |
| 50億円超 | 41万円 | 300万円 |
| 資本金等の額 | 従業員50人以下 | 従業員50人超 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 7万円 | 14万円 |
| 1,000万円超〜1億円以下 | 18万円 | 20万円 |
| 1億円超〜10億円以下 | 29万円 | 53万円 |
| 10億円超〜50億円以下 | 95万円 | 229万円 |
| 50億円超 | 121万円 | 380万円 |
※標準税率に基づく金額。自治体によっては超過税率(標準税率の最大1.2倍)が適用される場合があります。
参考: 総務省「法人住民税」
均等割の区分を決める「資本金等の額」は、単純に登記簿上の資本金ではない点に注意が必要です。平成27年度の税制改正以降、以下の2つの金額を比較して、大きい方が「資本金等の額」として使われます。
比較する2つの金額:
①法人税法上の「資本金等の額」(法人税法第2条第16号)
②資本金+資本準備金の合算額
このうち大きい方が均等割の判定基準になります。つまり、資本金を減額しても資本準備金が多ければ均等割は下がらない可能性があります。
⚠️ 注意
設立時に「資本金300万円+資本準備金700万円」とした場合、登記簿上の資本金は300万円ですが、均等割の判定基準は1,000万円(300万円+700万円)になります。この場合、均等割は年7万円ではなく年18万円の区分に該当します。資本金の設計は均等割の観点からも慎重に行う必要があります。
東京23区内に事業所がある法人は、「都道府県民税+市町村民税」を合算した「法人都民税」として都税事務所に一括で申告・納付します。23区には市町村民税がないため、都民税として都道府県分と市町村分を合わせた金額が設定されています。
| 資本金等の額 | 従業員50人以下 | 従業員50人超 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 7万円 | 14万円 |
| 1,000万円超〜1億円以下 | 18万円 | 20万円 |
| 1億円超〜10億円以下 | 29万円 | 53万円 |
東京23区に本店がある中小企業(資本金1,000万円以下・従業員50人以下)の場合、均等割は他の自治体と同じ年7万円です。納付先が都税事務所1箇所で済むため、手続きは比較的シンプルです。
法人住民税のうち「法人税割」は法人税額を基に計算するため、赤字で法人税がゼロなら法人税割もゼロになります。しかし「均等割」は法人の利益と無関係に、事業所の存在と規模だけで課税されます。これは、赤字の法人も道路や上下水道などの行政サービスを利用しているため、応分の負担を求めるという考え方に基づいています。
原則として均等割は免除されませんが、例外的に以下のケースでは免除・減免の可能性があります。
ケース①:法人を休業している場合。一部の自治体では、事業活動を完全に停止し、従業員もゼロで、売上も発生していない「休業状態」の法人に対して均等割の減免を認めています。ただし、自治体ごとに条件が異なるため、必ず所轄の自治体に確認してください。
ケース②:公益法人等で収益事業を行っていない場合。一般社団法人(非営利型)・NPO法人などで収益事業を行っていない場合は、均等割が免除される場合があります。
💡 実務のポイント
「会社を畳む予定はないが事業は休止している」という場合、法人の解散登記をしない限り均等割は発生し続けます。年間7万円でも5年で35万円です。事業再開の見込みがないなら、解散・清算を検討する方が経済的な場合もあります。会社設立から解散までの流れについては「会社設立の流れと費用を完全ガイド」をご参照ください。
法人住民税(均等割+法人税割)は地方税の一部に過ぎません。法人が納める地方税関連の税目を全体像として整理します。
| 税目 | 課税対象 | 申告先 | 赤字の場合 |
|---|---|---|---|
| 法人住民税(均等割) | 資本金等の額+従業員数 | 都道府県+市町村 | 課税あり |
| 法人住民税(法人税割) | 法人税額 | 都道府県+市町村 | 課税なし |
| 法人事業税 | 所得金額等 | 都道府県 | 課税なし |
| 特別法人事業税 | 法人事業税額 | 都道府県(事業税と併せて) | 課税なし |
| 地方法人税 | 法人税額 | 国(税務署) | 課税なし |
赤字でも課税されるのは均等割だけです。法人税割・事業税・特別法人事業税・地方法人税はいずれも法人税額や所得金額が基準のため、赤字なら課税されません。法人決算の全体的な流れは「法人決算の流れを完全ガイド」で解説しています。
事業年度の途中に設立した場合、均等割は月割で計算します。端数処理のルールは「月数は暦に従い、1ヶ月未満は切り捨て。ただし全期間が1ヶ月未満の場合は1ヶ月」です。
📐 計算例:10月15日設立・3月決算法人(資本金500万円・従業員5人)
法人化のタイミングについては「個人事業主の法人成りベストタイミング」で詳しく解説しています。設立時期によって初年度の均等割が変わるため、法人化のタイミングも考慮に入れてください。
均等割の最大の分岐点は「資本金等の額が1,000万円以下かどうか」です。1,000万円以下なら年7万円、1,000万円超1億円以下なら年18万円と、年間11万円の差があります。さらに、資本金1,000万円以下なら消費税の設立2年間の免税メリットも受けられるため、多くの中小企業にとって資本金は1,000万円未満が最適です。
前述のとおり、均等割の判定基準は「資本金」ではなく「資本金等の額」と「資本金+資本準備金」の大きい方です。設立時に出資額の一部を資本準備金に振り替えても、合算額が1,000万円を超えれば均等割は上がります。例えば出資額1,500万円のうち資本金を500万円・資本準備金を1,000万円としても、合算額は1,500万円となり、1,000万円超の区分に該当します。
均等割は事業所がある自治体ごとに課税されます。複数の自治体に事業所がある法人は、それぞれの自治体に均等割を納める必要があります。実質的に使っていない事業所があれば、閉鎖届を提出することで均等割を削減できます。
📊 公認会計士の視点
資本金の設定は均等割だけでなく、中小法人の特例(法人税の軽減税率15%、交際費の800万円控除など)にも影響します。資本金1億円以下であればこれらの特例が適用されるため、資本金の設計は税務全体を見据えて行う必要があります。
法人住民税(均等割+法人税割)は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に申告・納付します。法人税の確定申告と同じ期限です。中間申告が必要な法人は、事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に中間申告も行います。法人税の申告期限については「法人税の申告期限と納付期限」で詳しく解説しています。
都道府県民税は都道府県税事務所へ、市町村民税は市町村役場へ、それぞれ申告・納付します。東京23区内の場合は都税事務所に一括で申告・納付します。また、eLTAXを利用した電子申告・電子納税にも対応しています。
複数の自治体に事業所がある法人は、各自治体にそれぞれ申告が必要です。均等割はそれぞれの事業所の従業員数で区分が決まり、法人税割は従業員数に応じて按分して計算します。
法人住民税の均等割は、勘定科目「法人税等」で計上するのが一般的です。法人税・法人住民税・法人事業税を合わせて「法人税、住民税及び事業税」として損益計算書に表示します。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 決算時(未払計上) | 法人税等 70,000 | 未払法人税等 70,000 |
| 納付時 | 未払法人税等 70,000 | 現金預金 70,000 |
💡 実務のポイント
均等割は損金算入できません(法人税法第38条第2項)。法人税の計算上は損金不算入のため、別表四で加算する必要があります。赤字の法人は「均等割7万円を払って、かつ法人税の計算では損金にもならない」という二重の痛みがあります。この点を理解した上で、資金計画に組み込んでおくことが重要です。
📋 この記事のポイント
均等割は法人の「存在コスト」です。赤字であっても毎年発生するため、特に設立間もない時期は資金繰りへの影響を見逃さないようにしましょう。資本金の設計ひとつで年間11万円以上のコスト差が生まれることを覚えておいてください。
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