【税理士×社労士が解説】フリーランスの確定申告の基礎と必要書類|小規模企業共済・iDeCoの活用まで完全ガイド

【税理士×社労士が解説】フリーランスの確定申告の基礎と必要書類|小規模企業共済・iDeCoの活用まで完全ガイド
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

フリーランスの確定申告の基礎と必要書類|小規模企業共済・iDeCoの活用まで完全ガイド

「確定申告って何から始めればいい?」「青色申告にすると本当にお得?」そんなフリーランスの疑問に、税理士・社労士がワンストップで回答します。この記事を読めば、必要書類の準備から節税制度の活用まで、確定申告の全体像がつかめます。

🏆 結論:フリーランスは青色申告65万円控除+小規模企業共済+iDeCoの3本柱で節税を最大化

フリーランスが確定申告で最大限に手取りを増やすには、①e-Taxによる青色申告65万円控除、②小規模企業共済の掛金全額控除(最大年84万円)、③iDeCoの掛金全額控除(最大年81.6万円)の3つを組み合わせることがポイントです。事業所得400万円の場合、3制度を満額活用すると年間約69万円の節税が見込めます。まずは開業届と青色申告承認申請書の提出から始めましょう。

フリーランスの確定申告とは?会社員との違い

確定申告の基本的なしくみ

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得と税額を計算し、翌年2月16日から3月15日までに税務署へ申告・納付する手続きです。所得税法第120条の規定により、その年の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合は、確定申告書を提出しなければなりません。

会社員は給与から所得税が天引き(源泉徴収)され、年末調整で精算が完了するため、多くの場合は確定申告が不要です。一方、フリーランスは自分で収入と経費を集計し、所得税を計算して申告する必要があります。

💡 実務のポイント

実務では、フリーランス1年目の方が「請求書を出しているから源泉徴収で完結している」と誤解しているケースをよく見かけます。源泉徴収はあくまで所得税の前払いであり、経費や各種控除を反映した正確な税額は確定申告で確定します。源泉徴収されていても確定申告は必要です。

フリーランスに確定申告が必要なケース・不要なケース

ケース 確定申告 理由
事業所得が95万円超(令和7年分〜)必要基礎控除を超えるため
事業所得が95万円以下で他に所得なし不要(任意)基礎控除の範囲内
赤字(事業所得がマイナス)不要(推奨)青色申告なら赤字を3年繰越可
報酬から源泉徴収されている必要(推奨)経費控除で還付の可能性大
副業フリーランス(所得20万円超)必要給与以外の所得が20万円超
消費税の課税事業者必要所得税+消費税の2つの申告

※令和7年分から基礎控除額が最大95万円に引き上げ。令和6年分以前は48万円。

フリーランスの確定申告に必要な書類一覧

全員共通で必要な書類

書類 入手先 備考
確定申告書国税庁HP / e-Tax / 税務署e-Taxなら画面上で作成
青色申告決算書 or 収支内訳書同上青色→決算書、白色→収支内訳書
マイナンバーカード(本人確認書類)市区町村役場e-Taxに必須
売上台帳・請求書の控え自分で管理収入金額の根拠資料
経費の領収書・レシート自分で管理7年間保存義務(青色)
銀行口座の取引明細銀行ネットバンキングで取得可

控除を受ける場合に追加で必要な書類

控除の種類 必要書類 入手先
社会保険料控除国民年金控除証明書・国保の納付額年金機構 / 市区町村
小規模企業共済等掛金控除掛金払込証明書中小機構 / 国民年金基金連合会
生命保険料控除控除証明書保険会社
医療費控除医療費の明細書(領収書の保管)自分で作成
ふるさと納税(寄附金控除)寄附金受領証明書寄附先自治体

⚠️ 注意

現場の経験上、確定申告直前に慌てて書類を集める方が非常に多いです。特に「国民年金の控除証明書」は毎年11月頃に届きますが、紛失して再発行に時間がかかるケースが目立ちます。届いたらすぐに「確定申告用」のファイルにまとめておくことをおすすめします。

白色申告と青色申告の違い|4パターンの控除額を比較

白色申告と青色申告の基本的な違い

フリーランスの確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。大きな違いは、帳簿の記帳方法と受けられる特別控除の金額です。所得税法第143条の規定により、青色申告をするには事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。

比較項目 白色申告 青色申告(10万円控除) 青色申告(55万円控除) 青色申告(65万円控除)
特別控除額0円10万円55万円65万円
帳簿方式簡易簿記簡易簿記複式簿記複式簿記
提出方法紙・e-Tax紙・e-Tax紙・e-Taxe-Tax限定
赤字の繰越不可3年3年3年
専従者給与事業専従者控除(最大86万円)全額経費全額経費全額経費
貸倒引当金不可
少額減価償却不可可(40万円未満)可(40万円未満)可(40万円未満)

※少額減価償却資産の特例は、令和8年3月31日までの時限措置。令和8年4月以降は40万円未満に引き上げ。

4パターンの控除額シミュレーション

📐 シミュレーション前提条件

  • 売上600万円、必要経費200万円(経費控除前の事業所得400万円)
  • 社会保険料控除60万円、基礎控除48万円(令和6年分の場合)
  • 配偶者控除・扶養控除なし
  • 復興特別所得税(2.1%)は含まず
項目 白色申告 青色10万円 青色55万円 青色65万円
事業所得400万円390万円345万円335万円
課税所得292万円282万円237万円227万円
所得税額約19.5万円約18.5万円約14.0万円約13.0万円
住民税額約29.2万円約28.2万円約23.7万円約22.7万円
合計税負担約48.7万円約46.7万円約37.7万円約35.7万円
白色比の節税額約2万円約11万円約13万円

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

💡 実務のポイント

年間100件以上のフリーランスの確定申告を担当してきた経験上、白色申告から青色申告に切り替えただけで年間10万円以上税金が減った方がほとんどです。「複式簿記が難しそう」と敬遠する方が多いですが、クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生)を使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して仕訳がほぼ自動化されます。

職種別の経費率の目安と経費にできる項目

フリーランスの主な経費項目

フリーランスが確定申告で必要経費として計上できるのは、事業の遂行に直接必要な支出です。所得税法第37条の規定により、総収入金額に対応する売上原価や販売費・一般管理費が必要経費として認められます。

職種別の経費率と主な経費の内訳

職種 経費率の目安 主な経費項目 注意点
ITエンジニア30〜50%PC・周辺機器、サーバー代、通信費、書籍、研修費高額PC(40万円未満)は少額減価償却の特例で一括経費化可
デザイナー35〜55%Adobe等のサブスク、素材費、ディスプレイ、外注費素材サイトの年間契約は前払費用の処理が必要な場合あり
ライター・編集者20〜40%取材交通費、書籍、通信費、カフェ代(打ち合わせ)カフェ代は業務目的の記録が必須
コンサルタント15〜35%交通費、セミナー費、接待交際費、通信費接待交際費は事業関連性の証拠保全が重要
動画クリエイター40〜60%カメラ・機材、編集ソフト、スタジオ代、外注費機材の減価償却年数に注意(カメラは5年)

⚠️ 注意:経費率が極端に高い場合の税務調査リスク

経費率が同業種の平均を大きく上回る場合、税務調査の対象となりやすくなります。実務で担当したケースでは、ライターで経費率70%を計上していた方が税務調査を受け、「業務に直接関連しない書籍」「プライベートと区別できない通信費」を否認されたことがあります。経費にはかならず業務関連性の根拠(請求書・メモ・スケジュール帳)を残しておきましょう。

家事按分の目安一覧

自宅を事務所として使っている場合、家賃や光熱費の一部を経費に計上できます。これを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。按分割合は、面積比や使用時間比で合理的に算出します。

経費項目 按分基準 一般的な按分率
家賃仕事スペースの面積比20〜50%
電気代使用時間比 or 面積比20〜40%
通信費(ネット・スマホ)業務使用の割合50〜70%
自動車関連費走行距離のうち業務分業務使用割合による

なお、「フリーランス新法(特定受託事業者保護法)の影響と実務対応ガイド」では、フリーランスの取引保護に関する最新の法制度を解説しています。契約や経費管理にも影響がある内容ですので、あわせてご覧ください。

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フリーランスの確定申告のご相談は鮎澤パートナーズへ

初回相談無料。公認会計士・税理士・社労士・行政書士がワンストップで対応します。

業種別サービスを見る

確定申告の全体スケジュール|開業から申告完了まで

開業初年度のロードマップ

時期 やること 届出先・期限
開業時①開業届の提出税務署(開業日から1ヶ月以内)
開業時②青色申告承認申請書の提出税務署(開業日から2ヶ月以内)
開業時③事業用口座・クレジットカードの開設金融機関
毎月④帳簿の記帳(売上・経費の仕訳入力)自分 or 税理士
11月頃⑤控除証明書の受け取り・保管各機関から届く
1月⑥年間の売上・経費を集計会計ソフトで自動集計
2月16日〜3月15日⑦確定申告書の提出・納税e-Tax / 税務署窓口 / 郵送

💡 実務のポイント

フリーランス1年目の方に最も多いのが「青色申告承認申請書の提出忘れ」です。開業日から2ヶ月を過ぎると、その年は白色申告しかできません。開業届と青色申告承認申請書はセットで同日に提出するのが鉄則です。e-Taxならオンラインで同時に提出できます。

クラウドソーシングの確定申告|仕訳と源泉徴収の扱い

クラウドソーシング特有の仕訳パターン

ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスを利用している場合、報酬の受取時にシステム手数料が差し引かれます。この手数料は「支払手数料」として経費計上できますが、売上の計上額を間違えやすいポイントです。

📐 クラウドソーシングの仕訳例(ランサーズの場合)

  • 報酬額10万円、源泉徴収10,210円、システム手数料20%(税込22,000円)の場合
  • 振込額=100,000円 − 10,210円 − 22,000円 = 67,790円
タイミング 借方 貸方
業務完了時(売上計上)売掛金 100,000円売上高 100,000円
入金時普通預金 67,790円
支払手数料 22,000円
事業主貸(源泉税) 10,210円
売掛金 100,000円

⚠️ よくある間違い

「振込額=売上」として計上してしまうミスが非常に多いです。売上はシステム手数料や源泉徴収を差し引く前の報酬額(この例では10万円)で計上してください。振込額を売上にすると、経費が二重計上にならない代わりに、源泉徴収分の還付が受けられなくなります。

源泉徴収の確認方法と還付

フリーランスへの報酬のうち、所得税法第204条に定められた特定の業務(ライティング、デザイン、コンサルティング等)は、支払者が源泉徴収を行います。源泉徴収税率は報酬額100万円以下の部分は10.21%です。確定申告で源泉徴収済みの税額を申告書に記載すると、経費や控除を反映した正確な税額との差額が還付されます。

小規模企業共済・iDeCo・経営セーフティ共済の節税効果を比較

フリーランスが使える3つの節税制度

フリーランスには会社員のような退職金制度がありません。しかし、小規模企業共済・iDeCo(個人型確定拠出年金)・経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)を活用すれば、掛金を控除しながら将来に備えることができます。

比較項目 小規模企業共済 iDeCo 経営セーフティ共済
運営中小機構国民年金基金連合会中小機構
月額掛金1,000〜70,000円5,000〜68,000円5,000〜200,000円
年間上限84万円81.6万円240万円
控除の種類小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済等掛金控除必要経費(事業所得から控除)
受取時の扱い退職所得 or 雑所得退職所得 or 雑所得雑収入(事業所得)
途中引出し任意解約可(20年未満は元本割れ)原則60歳まで不可任意解約可(40ヶ月以上で100%返戻)
貸付制度あり(低金利で借入可)なしあり(取引先倒産時)
運用リスクなし(予定利率1.0%)あり(投資信託等)なし

3制度の年間節税効果シミュレーション

📐 シミュレーション前提条件

  • 事業所得400万円(青色65万円控除後335万円)
  • 基礎控除48万円・社会保険料控除60万円
  • 所得税率10%〜20%の範囲、住民税率10%
制度 年間掛金 所得税の節税 住民税の節税 合計節税額
小規模企業共済(満額)84万円約16.8万円約8.4万円約25.2万円
iDeCo(満額)81.6万円約16.3万円約8.2万円約24.5万円
経営セーフティ共済(月5万円)60万円約12.0万円約6.0万円約18.0万円
3制度合計225.6万円約45.1万円約22.6万円約67.7万円

※所得税率20%で概算。課税所得の減少に伴い税率が下がる場合、実際の節税額は異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

優先順位の判断基準

あなたの状況 おすすめの優先順位 理由
手元資金に余裕がない(月2〜3万円が限界)①小規模企業共済 → ②iDeCo貸付制度があり流動性が高い
老後資金の確保が最優先①iDeCo → ②小規模企業共済運用益非課税で複利効果が大きい
取引先が少数で倒産リスクが心配①経営セーフティ共済 → ②小規模取引先倒産時に融資を受けられる
資金に余裕がある(月10万円以上可)3制度すべて併用節税効果を最大化

📊 公認会計士の視点

小規模企業共済とiDeCoは「掛金が全額所得控除」という点は同じですが、出口(受取時)の課税が異なります。小規模企業共済は廃業時に一括で受け取ると退職所得控除が使え、加入年数×40万円(20年超は年70万円)の非課税枠があります。一方、iDeCoは60歳以降の受取りで退職所得控除が使えますが、小規模企業共済と同じ年に受け取ると控除枠が重複し、税負担が増えるケースがあります。両制度を併用する場合は、受取時期をずらす計画を立てておくのが賢明です。

参考: 中小機構「小規模企業共済」  国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」

フリーランスの社会保険|国民健康保険と国民年金の負担額

会社員からフリーランスへの切り替え手続き

会社員を退職してフリーランスになると、社会保険の加入先が変わります。健康保険は「国民健康保険」に、厚生年金は「国民年金(第1号被保険者)」に切り替えが必要です。退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口で手続きを行います。

🔷 社労士の視点

退職後の健康保険には「国民健康保険に加入」「前の会社の健康保険を任意継続する」の2つの選択肢があります。任意継続は退職から20日以内に申請が必要で、最長2年間利用可能です。退職前の給与が高かった方は、国保よりも任意継続の方が保険料が安くなることがあるため、両方の金額を比較してから決めてください。特に退職年は前年の収入が高いため、国保の保険料が想像以上に高額になることがあります。

国民健康保険と国民年金の年間負担シミュレーション

📐 シミュレーション前提条件

  • 東京都新宿区在住、40歳未満(介護保険料なし)
  • 単身世帯、扶養家族なし
  • 国民年金は令和7年度保険料(月額17,510円)で計算
所得金額 国保(年間概算) 国民年金(年間) 合計負担
200万円約17万円約21万円約38万円
400万円約39万円約21万円約60万円
600万円約61万円約21万円約82万円
800万円約82万円(上限接近)約21万円約103万円

※国保の保険料は自治体によって大きく異なります。上記は新宿区の概算値です。正確な金額は市区町村の窓口でご確認ください。

なお、国民年金の支払いを増やして将来の年金額を上乗せしたい場合は「付加年金(月額400円)」の加入が有効です。付加年金は2年間受け取るだけで元が取れる非常にお得な制度ですが、iDeCoや国民年金基金と同時に加入できる点がメリットです。

確定申告でよくある失敗と対策|税務調査で指摘されるポイント

フリーランスが犯しやすい5つの失敗

失敗パターン 具体例 対策
①売上の計上漏れ12月の仕事の入金が1月→売上未計上発生主義で12月に計上する
②プライベート支出の経費混入家族との食事を交際費に計上事業用とプライベートの口座・カードを分ける
③家事按分の過大計上自宅兼事務所の家賃を90%経費計上面積比・時間比で合理的に按分
④源泉徴収の申告漏れ源泉徴収分を確定申告書に記載し忘れ支払調書を集めて確認(なくても申告可)
⑤消費税の判定ミス基準期間の売上が1,000万円超なのに未申告2年前の売上を毎年チェック

💡 実務のポイント

税務調査で最も指摘されやすいのは「売上の期ずれ」です。12月に納品した仕事の入金が翌年1月であっても、売上は12月に計上しなければなりません。これを「発生主義」といいます。クラウドソーシングの場合、プラットフォーム上で「検収完了」となった日が売上計上日です。

確定申告を税理士に依頼する判断基準

自分でやる vs 税理士に依頼:コスト比較

比較項目 自分で申告 クラウド会計ソフト 税理士に依頼
年間コスト0円約1〜3万円/年約10〜30万円/年
作業時間数十時間月1〜2時間年数時間(資料渡し)
節税アドバイスなしソフトの機能内個別最適な提案
税務調査リスク高い(ミスが起きやすい)中(入力ミスは自己責任)低い(プロがチェック)
おすすめの売上規模〜200万円200〜800万円800万円〜

💡 実務のポイント

「売上が1,000万円を超えたタイミング」で税理士に依頼するフリーランスが多いですが、実は売上500〜800万円の段階で一度相談するのがベストです。消費税の課税事業者になる前に、インボイス登録の要否や簡易課税の選択など、事前に検討すべき判断が複数あるためです。

事業所得と雑所得の判定基準|副業フリーランスの注意点

事業所得と雑所得の違い

フリーランスの収入が「事業所得」として認められるか「雑所得」になるかは、確定申告で受けられる控除や損益通算の可否に大きく影響します。令和4年分以降、国税庁は「帳簿を作成・保存している」ことを事業所得の重要な判断要素として明確化しました。

判断ポイント 事業所得と認められやすい 雑所得とされやすい
帳簿の有無帳簿を作成・保存している帳簿がない
収入金額300万円超300万円以下
継続性反復・継続して行っている単発・一時的
開業届提出済み未提出
青色申告の承認ありなし

※収入300万円以下でも、帳簿を作成・保存していれば事業所得として認められる余地があります。

事業所得として認められると、青色申告特別控除(最大65万円)、赤字の3年繰越控除、損益通算(給与所得との相殺)が使えるため、税負担が大幅に軽減されます。「フリーランスの確定申告の基礎」の核心部分ともいえる重要論点です。

インボイス制度とフリーランス|登録すべきかの判断基準

インボイス登録の判断フロー

2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、フリーランスは「インボイス登録をするかどうか」の判断が必要になりました。登録すると消費税の申告・納税義務が発生するため、取引先との関係と手取り額への影響を総合的に考える必要があります。

あなたの状況 判断 理由
主な取引先が法人(BtoB)登録を推奨取引先が仕入税額控除を受けるために必要
主な取引先が個人(BtoC)登録不要のケースが多い個人消費者は仕入税額控除を使わない
売上1,000万円以下の免税事業者慎重に判断登録すると消費税の納税義務が新たに発生
取引先から登録を求められている登録を検討2割特例を使えば負担を軽減可

📢 インボイス経過措置のスケジュール

免税事業者からの仕入れに対する仕入税額控除の経過措置は段階的に縮小されます。2023年10月〜2026年9月は80%控除可、2026年10月〜2029年9月は50%控除可、2029年10月以降は控除不可となります。取引先からの登録要請は、経過措置の縮小に伴い今後強まる可能性があります。

フリーランスの確定申告チェックリスト

申告前に確認すべき12項目

No. チェック項目 確認
1全ての売上を発生主義で計上したか
2経費の領収書・レシートは全て揃っているか
3家事按分は合理的な基準で計算したか
4源泉徴収税額を正しく集計したか
5国民年金・国保の控除証明書を準備したか
6小規模企業共済・iDeCoの掛金払込証明書を準備したか
7減価償却資産の計算は正しいか
8前年の赤字の繰越控除は反映したか(青色申告の場合)
9消費税の課税事業者に該当するか確認したか
10e-Taxのマイナンバーカードとカードリーダーは準備したか
11医療費控除やふるさと納税の書類は揃っているか
12申告書の控え(PDF)を保存したか

よくある質問(FAQ)

フリーランスの確定申告はいくらから必要ですか?
令和7年分(2025年分)からは、事業所得が95万円(基礎控除額)を超える場合に確定申告が必要です。令和6年分以前は48万円が基準でした。ただし、赤字でも青色申告なら損失の繰越控除が使えるため、あえて申告するメリットがあります。
白色申告と青色申告、どちらを選ぶべきですか?
結論から言えば、フリーランスは青色申告を選ぶべきです。クラウド会計ソフトを使えば複式簿記のハードルは低く、e-Taxで65万円の特別控除が受けられます。事業所得400万円の場合、白色と比べて年間約13万円の節税になります。
フリーランスが経費にできるものの基準は何ですか?
所得税法第37条により、事業の遂行に直接必要な支出が経費として認められます。判断のポイントは「その支出がなければ仕事ができなかったか」です。PC・通信費・交通費・書籍代は典型的な経費ですが、プライベートとの兼用品は家事按分が必要です。
クラウドソーシングの手数料は経費にできますか?
はい、クラウドソーシングのシステム手数料は「支払手数料」として必要経費に計上できます。ただし、売上は手数料を差し引く前の報酬全額で計上してください。手取り額=売上としてしまうと、手数料の二重控除や源泉徴収の申告漏れが発生します。
小規模企業共済とiDeCoはどちらを優先すべきですか?
手元資金に余裕がない場合は小規模企業共済を優先するのがおすすめです。掛金の範囲内で低金利の貸付制度が使えるため、急な資金需要に対応できます。老後の運用を重視するならiDeCoが有利ですが、60歳まで引き出せない点に注意が必要です。可能であれば両方を併用するのがベストです。
確定申告が遅れた場合のペナルティは?
期限後申告の場合、無申告加算税(原則15%、50万円超の部分は20%)と延滞税(年約8%程度)が課されます。ただし、期限後1ヶ月以内に自主的に申告すれば無申告加算税は免除される場合があります。無申告を放置すると税務調査のリスクも高まります。
フリーランスの消費税はいつから納税が必要ですか?
基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、その年から消費税の課税事業者になります。また、特定期間(前年の1月〜6月)の課税売上高が1,000万円を超えた場合も該当します。インボイス登録をした場合は売上に関係なく課税事業者です。
フリーランスでも住宅ローンは組めますか?
フリーランスでも住宅ローンを組むことは可能ですが、一般的に3年分の確定申告書の提出が求められます。安定した所得があることを証明するために、確定申告書の控えを毎年保管しておくことが重要です。なお、確定申告で所得を低く申告しすぎると、借入可能額が下がるデメリットもあります。
経営セーフティ共済は解約したらどうなりますか?
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、掛金納付から40ヶ月以上経過していれば解約手当金が掛金総額の100%返戻されます。ただし、解約手当金は事業所得として課税されるため、売上が少ない年に解約するなど、受取時期の工夫が必要です。
フリーランスの国民健康保険を安くする方法はありますか?
主な方法は3つです。①青色申告65万円控除で所得を下げる、②小規模企業共済やiDeCoの掛金で所得控除を増やす、③国保組合(文芸美術国民健康保険組合など)に加入する。特に③は、同業種の組合があれば所得に関係なく定額の保険料になるため、高所得のフリーランスほどメリットが大きいです。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • フリーランスは原則として確定申告が必要。事業所得が基礎控除額を超えたら申告義務が発生する
  • 青色申告65万円控除を使えば、白色申告と比べて年間10万円以上の節税が可能
  • 経費は事業に直接必要な支出に限定。職種別の経費率を目安に、家事按分は合理的な基準で計算する
  • 小規模企業共済・iDeCo・経営セーフティ共済の3制度をフル活用すれば、年間約68万円の節税効果が見込める
  • クラウドソーシングの売上は手数料・源泉徴収を差し引く前の報酬全額で計上する
  • 開業届と青色申告承認申請書はセットで提出するのが鉄則
  • 売上500〜800万円を超えたら税理士への相談を検討する

フリーランスの確定申告は、正しい知識があれば怖くありません。まずは開業届と青色申告承認申請書を提出し、クラウド会計ソフトで日々の記帳を始めましょう。節税制度の選択や消費税の判定に迷ったら、早めに税理士に相談することで、手戻りなく最適な税務戦略を組み立てられます。

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