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営業外損益の税務処理|受取利息・受取配当金・雑損失の法人税上の取扱い
「受取配当金は益金に入れなくてよい?」「協賛金はどの勘定科目で処理すべき?」とお困りの経営者・経理担当者に向けて、営業外損益の法人税上の取扱いと申告調整の方法を完全ガイドします。この記事を読めば、決算時に必要な税務調整を正しく判断できます。


「受取配当金は益金に入れなくてよい?」「協賛金はどの勘定科目で処理すべき?」とお困りの経営者・経理担当者に向けて、営業外損益の法人税上の取扱いと申告調整の方法を完全ガイドします。この記事を読めば、決算時に必要な税務調整を正しく判断できます。
🏆 結論:営業外損益で最も重要な税務論点は「受取配当金の益金不算入」
営業外収益・営業外費用には、会計上と税務上で取扱いが異なる項目が多数あります。中でも最大のインパクトがあるのは受取配当金の益金不算入制度です。持株比率に応じて配当金の20%〜100%が益金不算入となり、別表八(一)で調整します。受取利息にかかる源泉所得税は別表六(一)で法人税から控除できます。協賛金・祝金は、勘定科目の選択によって損金算入の可否が変わるため注意が必要です。
営業外損益とは、企業の本業(営業活動)以外から発生する収益と費用のことです。損益計算書では営業利益の下に表示され、営業外収益には受取利息、受取配当金、為替差益、有価証券売却益、雑収入が該当します。
営業外費用には支払利息、為替差損、有価証券売却損、雑損失、社債発行費の償却などが該当します。資金調達コストや投資活動から生じる費用です。これらの営業外収益と営業外費用を営業利益に加減した結果が経常利益になります。
📊 公認会計士の視点
実務では、営業外損益の中に「本来は営業損益に計上すべき項目」が紛れ込んでいることがあります。たとえば、不動産賃貸が副業的に行われている場合の賃貸収入を営業外収益に計上する企業がありますが、事業の実態によっては営業収益として計上すべきケースもあります。金融機関への決算書提出時には営業利益の数字が重視されるため、科目の分類は慎重に行ってください。
営業外損益の主要10項目について、会計上の取扱いと税務上の取扱いの違いを一覧にまとめました。
| 科目 | 区分 | 税務上の取扱い | 別表調整 |
|---|---|---|---|
| 受取利息 | 収益 | 益金算入。源泉所得税は法人税から控除 | 別表六(一) |
| 受取配当金 | 収益 | 持株比率に応じて20%〜100%が益金不算入 | 別表八(一) |
| 為替差益 | 収益 | 益金算入(差異なし) | 通常は調整不要 |
| 有価証券売却益 | 収益 | 益金算入(原価計算方法に注意) | 移動平均法/総平均法の差異時 |
| 雑収入 | 収益 | 益金算入(内容により判断) | 内容ごとに判断 |
| 支払利息 | 費用 | 損金算入(過大関連者間利息は制限あり) | 過大支払利子税制の適用時 |
| 為替差損 | 費用 | 損金算入(差異なし) | 通常は調整不要 |
| 有価証券売却損 | 費用 | 損金算入(関連者間は寄付金リスク) | 時価の妥当性に注意 |
| 雑損失 | 費用 | 損金算入(使途不明金は交際費or不算入) | 内容ごとに判断 |
| 協賛金・祝金 | 費用 | 勘定科目により損金算入の可否が異なる | 交際費/寄付金の場合は限度額計算 |
法人が受け取る預金利息からは、所得税15.315%(復興特別所得税含む)と住民税利子割5%の合計20.315%が源泉徴収されます。この源泉所得税は法人税の前払いとして別表六(一)「所得税額の控除に関する明細書」に記載し、法人税額から控除します。控除しきれない金額は還付を受けることができます。
仕訳例:預金利息10,000円(源泉税控除後7,969円の入金)
(借方)普通預金 7,969 /(貸方)受取利息 10,000
(借方)法人税等 2,031
※ 所得税1,531円+住民税利子割500円 = 2,031円
💡 実務のポイント
中小企業でよくある誤りが、源泉所得税を「租税公課」で費用処理してしまうケースです。これだと法人税から控除するチャンスを逃し、二重課税の状態になります。必ず「法人税等」または「仮払法人税等」で処理し、別表六(一)で控除を受けてください。赤字法人の場合は特に還付金額に直結します。
配当金は、支払法人側ですでに法人税が課された後の利益から支払われます。これを受取法人側でも益金に算入して法人税を課すと、同じ利益に対して二重に課税されます。法人税法第23条では、この二重課税を排除するため、受取配当金の全部または一部を益金不算入とする制度を設けています。
| 区分 | 持株比率 | 益金不算入割合 | 負債利子控除 | 判定基準日 |
|---|---|---|---|---|
| 完全子法人株式等 | 100% | 100% | 不要 | 計算期間を通じて継続保有 |
| 関連法人株式等 | 1/3超 | 100%(負債利子控除後) | 配当額の4% | 計算期間を通じて継続保有 |
| その他株式等 | 5%超〜1/3以下 | 50% | 不要 | 基準日で判定 |
| 非支配目的株式等 | 5%以下 | 20% | 不要 | 基準日で判定 |
※ 持株比率は、令和4年4月1日以後開始事業年度より完全支配関係にあるグループ法人の保有分を合算して判定。
| ステップ | 確認項目 | Yesの場合 | Noの場合 |
|---|---|---|---|
| STEP1 | 計算期間を通じて100%保有? | → 完全子法人(100%不算入) | → STEP2へ |
| STEP2 | 計算期間を通じて1/3超保有? | → 関連法人(100%−負債利子4%) | → STEP3へ |
| STEP3 | 基準日で5%超保有? | → その他株式等(50%不算入) | → 非支配目的(20%不算入) |
⚠️ 注意
「完全子法人株式等」と「関連法人株式等」は、配当の計算期間を通じて継続保有していることが要件です。期中にM&Aで100%取得した場合、計算期間全体を通じて保有していなければ「完全子法人株式等」に該当せず、「その他株式等」(50%不算入)として扱われます。税負担が大きく変わるため、M&Aのタイミングと配当時期の関係には十分注意してください。
AYUSAWA PARTNERS
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| 区分 | 益金不算入額 | 課税される配当額 | 概算税負担 |
|---|---|---|---|
| 完全子法人株式等 | 1,000万円 | 0円 | 0円 |
| 関連法人株式等 | 960万円 | 40万円 | 約14万円 |
| その他株式等 | 500万円 | 500万円 | 約170万円 |
| 非支配目的株式等 | 200万円 | 800万円 | 約272万円 |
※ 概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
同じ1,000万円の配当でも、完全子法人なら税負担ゼロ、非支配目的株式等なら約272万円の税負担が発生します。グループ経営における持株比率の設計が税負担に大きく影響します。
受取配当金の益金不算入額は、別表八(一)「受取配当等の益金不算入に関する明細書」で計算します。法人税法第23条第7項により、この別表を添付しないと益金不算入の適用を受けることができません。
別表八(一)には、配当金の支払法人名、株式の区分、配当等の額、益金不算入額を記載します。4区分ごとに集計し、最終的な益金不算入額の合計を別表四の「減算」欄に転記して課税所得から除外します。
💡 実務のポイント
決算申告で最も間違いが多いのが、上場株式の少額配当(非支配目的株式等)の益金不算入を失念するケースです。1銘柄あたりの配当が数万円でも、保有銘柄数が多い場合は合計額が大きくなります。20%の益金不算入を適用するだけで税負担が軽減されるため、必ず別表八(一)に記載してください。
雑損失は原則として損金算入が認められますが、以下のケースでは税務上の問題が発生します。
| 雑損失の内容 | 税務上の取扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 現金過不足(少額不明金) | 損金算入可 | 多額は使途不明金として交際費認定リスク |
| 固定資産の除却損 | 損金算入可 | 除却の事実を証明する資料が必要 |
| 棚卸資産の評価損 | 原則損金不算入 | 災害・著しい陳腐化等の特定事由がある場合のみ可 |
| 罰金・過料・延滞税 | 損金不算入 | 法人税法第55条で明確に規定 |
| 使途秘匿金 | 損金不算入+40%追加課税 | 相手方の氏名を隠ぺいした支出 |
⚠️ 注意
使途秘匿金(相手方の氏名が不明な支出)については、通常の法人税に加えて支出額の40%が追加課税されます(措法62条)。「雑損失」に使途不明な支出を安易に計上すると、税務調査で重い追加税負担を受ける可能性があります。支出の相手方と内容は必ず記録してください。
協賛金や祝金は、その目的や性質によって使用する勘定科目が変わり、損金算入の可否も異なります。税務調査では勘定科目の選択が重点的にチェックされます。
| 勘定科目 | 該当するケース | 損金算入 | 消費税 |
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 不特定多数への宣伝効果あり(看板掲出等) | 全額損金 | 課税仕入れ |
| 交際費 | 特定の取引先との関係維持が目的 | 年800万円まで(中小法人) | 不課税 |
| 寄付金 | 対価性なし・事業と無関係な支援 | 限度額計算が必要 | 不課税 |
| 諸会費 | 加入団体への会費的な支払い | 全額損金 | 不課税 |
💡 実務のポイント
地域のお祭りや花火大会への協賛金は、会社名が提灯やパンフレットに掲載される場合は広告宣伝費として全額損金にできます。一方、単なる「お付き合い」で支払い、広告掲出がない場合は寄付金または交際費に該当し、損金算入に制限がかかります。支払い時に「何の対価を得るか」を明確にし、広告掲出の証拠(写真・契約書)を残しておくことが重要です。
取引先への結婚祝金、香典、病気見舞金なども営業外費用に計上されることがあります。金額が社会通念上相当な範囲であれば交際費として損金算入が認められます。一般的な祝金として1〜3万円、香典として1〜5万円程度が相場とされていますが、取引先との関係性や業界慣行も考慮されます。
参考: 国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
| 別表 | 名称 | 関連する営業外損益 |
|---|---|---|
| 別表四 | 所得の金額の計算に関する明細書 | 全ての税務調整の集約先 |
| 別表六(一) | 所得税額の控除に関する明細書 | 受取利息・配当金の源泉所得税 |
| 別表八(一) | 受取配当等の益金不算入に関する明細書 | 受取配当金の益金不算入額 |
| 別表十五 | 交際費等の損金算入に関する明細書 | 協賛金(交際費処理分) |
| 別表十四(二) | 寄附金の損金算入に関する明細書 | 協賛金(寄付金処理分) |
決算申告の全体の流れは「法人決算の流れ」で詳しく解説しています。法人成りの際の注意点は「法人成りのタイミング」もご参照ください。
| 指摘事項 | よくある状況 | 対策 |
|---|---|---|
| 別表八(一)の添付漏れ | 配当金の益金不算入が全額否認 | 申告書チェックリストに追加 |
| 源泉所得税の控除漏れ | 赤字法人で還付を受け損ねている | 別表六(一)を必ず作成・添付 |
| 協賛金の勘定科目誤り | 広告宣伝費で処理したが対価性なし | 広告掲出の証拠を保存 |
| 雑損失の使途不明 | 相手方・内容不明で交際費認定 | 支出の相手方・目的を記録 |
💡 実務のポイント
経営者から「雑損失が多い」と相談を受けることがありますが、原因を調べると「使途が不明な現金支出」が計上されているケースが大半です。税務調査では雑損失の内容が一件ずつチェックされるため、「何に使ったかわからない」は最も危険な回答です。少額でも支出の証拠を残す習慣をつけてください。
減価償却の税務処理は「減価償却の基礎知識」、役員報酬に関連する論点は「役員報酬の基礎知識」、会社設立時の処理は「会社設立の流れ」も参考になります。
📋 この記事のポイント