地積規模の大きな宅地の評価(旧・広大地評価)|適用要件と計算方法

地積規模の大きな宅地の評価(旧・広大地評価)|適用要件と計算方法
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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相続した土地の面積が大きくて評価額が高すぎないかとお悩みの不動産オーナーに向けて、地積規模の大きな宅地の評価の適用要件・規模格差補正率の計算方法・旧広大地評価との違いを完全ガイドします。この記事を読めば、自分の土地が適用対象かどうかを判定し、どの程度の評価減が見込めるかを把握できます。

🏆 結論:面積が大きい土地は「規模格差補正率」で約2〜4割の評価減が可能

地積規模の大きな宅地の評価は、三大都市圏で500㎡以上・それ以外で1,000㎡以上の土地に適用できる評価減の制度です。規模格差補正率を使うことで、通常の路線価評価から約2〜4割の減額が可能になります。旧広大地評価と異なり、適用要件が明確で形状補正との併用もできるため、適用対象であれば確実に活用すべき制度です。ただし除外要件(市街化調整区域・工業専用地域・指定容積率400%以上など)に該当しないかの確認が必須です。

地積規模の大きな宅地の評価とは?制度の基本

地積規模の大きな宅地の評価とは、面積が一定以上の宅地について、「規模格差補正率」を使って相続税評価額を減額できる制度です。平成30年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した宅地に適用されます。

この制度の趣旨は、面積が大きすぎる土地は戸建住宅用地として分割分譲する際に道路(いわゆる潰れ地)の設置が必要になるなど、そのまま活用しにくいことを評価に反映させるものです。財産評価基本通達20-2に規定されており、路線価に規模格差補正率を乗じることで、通常の評価額から約2〜4割の減額効果があります。

💡 実務のポイント

実務では、この制度を見落としたまま申告してしまうケースが少なくありません。特にマンション敷地や市街地農地など、「一見すると対象外に思える土地」も要件を満たせば適用できます。土地の面積が三大都市圏で500㎡以上であれば、まず適用可否を検討することが相続税申告の鉄則です。

制度の背景と改正の経緯

この制度は、平成29年度税制改正で旧「広大地評価」が廃止されたことに伴い新設されました。広大地評価は最大65%の評価減が可能な制度でしたが、適用要件があいまいで、納税者と課税当局の間で争点になることが多いという問題がありました。地積規模の大きな宅地の評価では、面積・用途地域・容積率など客観的な基準で適用を判定できるようになり、実務上の混乱が大幅に解消されています。

どの程度の評価減が見込めるか

評価減の幅は土地の面積と所在地域によって異なりますが、目安は以下のとおりです。

地積 規模格差補正率の目安 評価減の割合
500㎡(三大都市圏の最低面積)0.80前後約20%
1,000㎡0.78前後約22%
3,000㎡0.74前後約26%
5,000㎡以上0.72前後約28%

※補正率はB・C値(三大都市圏か否か)と具体的な面積で変わります。ここでは三大都市圏の普通住宅地区の概算値です。

適用要件の全体像【6つのチェックポイント】

地積規模の大きな宅地の評価を適用するには、以下の6つの要件を全て満たす必要があります。1つでも要件に該当しない場合は適用できません。

# 要件 具体的な基準 確認方法
地積要件三大都市圏:500㎡以上
それ以外:1,000㎡以上
登記簿謄本・公図で確認
地区区分要件(路線価地域のみ)普通商業・併用住宅地区
または普通住宅地区
路線価図で地区区分を確認
市街化調整区域でないこと市街化調整区域に所在しないこと(ただし都市計画法第34条第10号・11号の区域は除外されない)市区町村の都市計画課で確認
工業専用地域でないこと用途地域が工業専用地域でないこと都市計画図で確認
指定容積率要件400%未満(東京都特別区は300%未満)都市計画図で指定容積率を確認
大規模工場用地でないこと(倍率地域のみ)財産評価基本通達22-2に該当しないこと固定資産税の課税明細で確認

⚠️ 注意

容積率の判定では「指定容積率」のみを使います。前面道路の幅員から計算する「基準容積率」は考慮しません。旧広大地評価では基準容積率も考慮する必要がありましたが、現行制度では指定容積率だけを確認すれば判定できます。これは実務上、判定ミスが起きやすいポイントです。

三大都市圏の範囲はどこまでか

三大都市圏とは、首都圏整備法・近畿圏整備法・中部圏開発整備法で定められた既成市街地・近郊整備地帯・都市整備区域のことです。東京都23区はもちろん、横浜市・川崎市・さいたま市・千葉市など、首都圏の主要都市の大部分が含まれます。近畿圏では大阪市・京都市・神戸市など、中部圏では名古屋市周辺が該当します。

具体的にどの市区町村が三大都市圏に該当するかは、国土交通省の大都市圏整備法に関する資料で確認できます。実務では「自分の土地がどちらに該当するか」を必ず事前に確認してください。

市街化調整区域の例外規定

市街化調整区域は原則として適用対象外ですが、都市計画法第34条第10号または第11号に基づき宅地分譲に係る開発行為が認められている区域は例外として適用対象になります。これは条例で指定された区域なので、市区町村の都市計画課で確認できます。

なお、都市計画法第34条第12号(市区町村の個別判断による開発許可)の区域は対象外です。過去の裁決事例でも、第12号の区域で適用した納税者が否認されたケースがあります。

規模格差補正率の計算方法【算式と具体例】

地積規模の大きな宅地の評価で最も重要なのが、規模格差補正率の計算です。この補正率を路線価に乗じることで評価減を実現します。

規模格差補正率の算式

規模格差補正率は、以下の算式で計算します(小数点以下第2位未満切捨て)。

📐 規模格差補正率の算式

規模格差補正率 = (地積【A】× 【B】 + 【C】) ÷ 地積【A】 × 0.8

【A】:対象宅地の地積(㎡)
【B】【C】:地域と面積区分に応じた定数(下表参照)

B・C値の一覧表

三大都市圏に所在する場合:

地積区分 B C
500㎡以上 1,000㎡未満0.9525
1,000㎡以上 3,000㎡未満0.9075
3,000㎡以上 5,000㎡未満0.85225
5,000㎡以上0.80475

三大都市圏以外に所在する場合:

地積区分 B C
1,000㎡以上 3,000㎡未満0.90100
3,000㎡以上 5,000㎡未満0.85250
5,000㎡以上0.80500

計算例:三大都市圏・750㎡の場合

📐 シミュレーション前提条件

  • 所在地:東京都世田谷区(三大都市圏)
  • 地積:750㎡
  • 路線価:30万円/㎡(普通住宅地区)
  • 奥行価格補正率:0.95

ステップ1:規模格差補正率の計算

三大都市圏・500㎡以上1,000㎡未満 → B=0.95、C=25

規模格差補正率 =(750 × 0.95 + 25)÷ 750 × 0.8
=(712.5 + 25)÷ 750 × 0.8
= 737.5 ÷ 750 × 0.8
= 0.983… × 0.8
= 0.786… → 0.78(小数点以下第2位未満切捨て)

ステップ2:評価額の計算

30万円 × 0.95(奥行補正) × 0.78(規模格差補正) × 750㎡ = 1億6,672万5,000円

通常評価との比較:

通常評価:30万円 × 0.95 × 750㎡ = 2億1,375万円
差額:4,702万5,000円の評価減(約22%の減額)

参考: 国税庁「No.4609 地積規模の大きな宅地の評価」

面積別の規模格差補正率シミュレーション

地積と所在地域ごとの規模格差補正率と評価額を一覧表にまとめました。路線価30万円/㎡(奥行補正なし)の前提で計算しています。

地積 三大都市圏
補正率
三大都市圏
評価額
三大都市圏
評価減額
圏外
補正率
500㎡0.801億2,000万円▲3,000万円
750㎡0.781億7,550万円▲4,950万円
1,000㎡0.782億3,400万円▲6,600万円0.78
1,500㎡0.763億4,200万円▲1億800万円0.77
2,000㎡0.754億5,000万円▲1億5,000万円0.76
3,000㎡0.746億6,600万円▲2億3,400万円0.74
5,000㎡0.7210億8,000万円▲4億2,000万円0.72

※路線価30万円/㎡、奥行補正・不整形地補正なしの前提です。実際の評価では各種画地補正率も乗じます。

面積が大きくなるほど規模格差補正率が小さく(評価減が大きく)なりますが、減額率の増加は面積に比例するわけではなく逓減します。そのため、たとえば5,000㎡の土地を2筆に分けて相続するのと一体で相続するのとでは、一体で相続した方が評価上は有利になるケースがほとんどです。

路線価地域と倍率地域の計算フロー比較

地積規模の大きな宅地の評価方法は、土地が路線価地域にあるか倍率地域にあるかで異なります。

比較項目 路線価地域 倍率地域
基本の計算式路線価 × 各種画地補正率 × 規模格差補正率 × 地積①倍率方式と②路線価準用方式のいずれか低い方
①の計算方法固定資産税評価額 × 倍率
②の計算方法近傍標準宅地の1㎡単価 × 倍率 × 奥行補正 × 規模格差補正率 × 地積
地区区分の要件普通住宅地区 or 普通商業・併用住宅地区要件なし(地区区分の概念がない)
計算時のみなし地区実際の地区区分を適用普通住宅地区とみなして計算
判定のポイント規模格差補正率を乗じた評価額がそのまま適用①と②を比較して低い方を採用。②が有利でも①が低ければ①が評価額になる

💡 実務のポイント

倍率地域では「固定資産税評価額×倍率」だけで計算を済ませてしまう税理士もいますが、路線価準用方式で計算した方が低くなるケースが少なくありません。倍率地域の大規模な土地は必ず両方の方法で計算し、低い方を採用してください。

土地の相続税評価の基本的なしくみについては、「土地の相続税評価|路線価方式・倍率方式の計算方法」で詳しく解説しています。

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旧広大地評価との5項目比較

平成30年以前に適用されていた旧広大地評価と現行の地積規模の大きな宅地の評価では、計算方法と適用ルールが大きく異なります。

比較項目 旧広大地評価(〜H29.12) 地積規模の大きな宅地(H30.1〜)
適用要件の明確さあいまい。「標準的な宅地の地積に比べて著しく広大」「戸建分譲が最有効使用」など相対的な判断が必要明確。面積・用途地域・容積率など客観的数値で判定
形状補正との併用不可。広大地補正率のみ適用(不整形でも整形でも同じ評価額)可能。奥行補正・不整形地補正・セットバック補正などを併用可
マンション敷地への適用原則不可(マンション適地は除外)可能(容積率要件を満たせば適用OK)
最大評価減の割合最大65%減(広大地補正率の下限0.35)規模格差補正率は0.8が上限だが、形状補正との併用でトータルの減額幅が大きくなるケースもある
計算方式路線価 × 広大地補正率 × 地積(3要素のみ)路線価 × 各種画地補正率 × 規模格差補正率 × 地積(個別性を反映)

📊 公認会計士の視点

旧広大地評価は「オール・オア・ナッシング」の制度だったため、適用できれば大きな減額が得られる反面、適用できなければ減額ゼロでした。現行制度は減額幅がやや縮小した代わりに、適用の可否を客観的に判断できるようになり、かつ形状に応じた公正な評価が実現しています。不整形地の場合は、形状補正を重ねることで旧制度より有利になるケースもあります。

特殊なケースの適用可否判定表

実務でよく問い合わせがある特殊なケースについて、適用可否を整理しました。

ケース 適用 判定理由・注意点
マンション敷地(区分所有)マンション全体の敷地面積で判定。持分面積ではなく全体面積が500㎡以上(三大都市圏)あれば対象
共有地(複数人で共有)共有地全体の面積で判定。ただし分割回避のために共有にした場合は否認リスクあり
市街地農地宅地であるとした場合に要件を満たせば適用可。計算後に宅地造成費を控除
市街地周辺農地・市街地山林宅地比準方式で評価する際に適用可
生産緑地旧広大地では対象外だったが、現行制度では要件を満たせば適用可能
中小工場地区の宅地×地区区分が普通住宅地区・普通商業併用住宅地区に該当しないため不可
大規模工場用地(倍率地域)×通達22-2に該当する大規模工場用地は明示的に除外
都市計画区域外の宅地市街化調整区域以外であれば適用可能。都市計画区域外は「市街化区域でも調整区域でもない」ため除外されない
2筆以上にまたがる宅地利用単位で判定。一体利用していれば合計面積で判定可

💡 実務のポイント

マンション一室を相続した場合でも、マンション全体の敷地面積で判定する点が見落とされがちです。例えば、世田谷区のマンション1室(持分20分の1)でも、全体敷地が600㎡あれば地積規模の大きな宅地の評価を適用できます。年間の相続税申告の中でも、この適用漏れが最も多い見落としの一つです。

各種画地補正率との併用ルール

地積規模の大きな宅地の評価では、規模格差補正率に加えて以下の各種画地補正率を併用できます。これは旧広大地評価にはなかった大きなメリットです。

併用可能な補正率一覧

補正率の種類 概要 適用される場面
奥行価格補正率奥行が深い/浅い場合の減額面積が大きい土地は奥行も長くなりがちで、適用頻度が高い
不整形地補正率形が歪な土地の減額不整形な大規模土地では大きな減額効果
側方路線影響加算率角地・準角地の加算評価額が上がる方向の調整
二方路線影響加算率裏面に路線がある場合の加算評価額が上がる方向の調整
セットバック補正建築基準法上の道路後退がある場合の減額前面道路が4m未満の場合

実務では、面積が大きい土地ほど奥行が深くなる傾向があるため、奥行価格補正率の適用頻度が特に高くなります。また、整形地でない大規模な土地の場合、不整形地補正率を重ねることで旧広大地評価より有利になるケースも実際にあります。

小規模宅地等の特例との併用

地積規模の大きな宅地の評価と小規模宅地等の特例は、併用が可能です。これは非常に大きな節税メリットになります。

計算順序が重要

併用する場合の計算順序は以下のとおりです。

①地積規模の大きな宅地の評価で評価額を算出 → ②その評価額に対して小規模宅地等の特例を適用

つまり、規模格差補正率で減額した後の金額に対して、さらに80%減額(特定居住用宅地等の場合)が適用されます。

具体的な計算例

📐 シミュレーション前提条件

  • 所在地:東京都世田谷区(三大都市圏・普通住宅地区)
  • 地積:600㎡(自宅敷地)
  • 路線価:40万円/㎡
  • 奥行価格補正率:0.97
  • 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等:330㎡まで80%減額)を適用
計算ステップ 金額
①通常の評価額(40万円×0.97×600㎡)2億3,280万円
②規模格差補正率(B=0.95, C=25 → 0.79)
③地積規模の大きな宅地の評価額(40万円×0.97×0.79×600㎡)1億8,391万円
④小規模宅地等の特例:330㎡分の80%減額
(1億8,391万円×330/600×80%)
▲8,092万円
⑤最終評価額(③−④)1億299万円
通常評価額との差額▲1億2,981万円

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

通常評価2億3,280万円に対して最終評価額1億299万円と、約56%の減額が実現しています。地積規模の大きな宅地の評価と小規模宅地等の特例の併用がいかに強力かがわかります。

小規模宅地等の特例の詳しい要件については、「小規模宅地等の特例の要件と計算方法」をご覧ください。

適用にあたっての注意点と失敗事例

注意点①:指定容積率の判定ミス

東京都特別区では指定容積率300%以上で除外される点を見落とすケースがあります。他の地域では400%以上で除外です。特別区と他の地域で基準が異なることに注意してください。

注意点②:2以上の用途地域・容積率にまたがる場合

土地が複数の用途地域にまたがる場合、用途地域や容積率は加重平均で判定します。たとえば、土地の60%が容積率200%の地域、40%が容積率500%の地域にまたがる場合、加重平均は200%×0.6+500%×0.4=320%となり、400%未満なので要件を満たします。

注意点③:共有地の分割に関するリスク

面積要件を満たすためだけに土地を共有持分として相続し、相続後すぐに分割するような行為は、地積規模の大きな宅地の評価の適用が否認される可能性があります。共有に経済的合理性があるかどうかが判断のポイントです。

⚠️ よくある失敗事例

現場で実際に見かけるのが、「地区区分の見落とし」です。路線価図で確認した際に、対象地が「ビル街地区」や「高度商業地区」に該当していたにもかかわらず、面積要件だけで適用できると判断してしまったケースがありました。路線価地域では地区区分が「普通住宅地区」か「普通商業・併用住宅地区」であることが必須です。

注意点④:利用単位の判定

地積の判定は筆単位ではなく、利用単位で行います。2筆の土地を一体として利用している場合は、合計面積で判定します。逆に、1筆の土地でも異なる用途で使い分けている場合は、利用単位ごとに判定する必要があります。

申告手続きと必要書類

地積規模の大きな宅地の評価を適用する場合、通常の相続税申告書に加えて以下の書類を添付します。

必要書類チェックリスト

# 書類名 入手先・確認方法
1土地および土地の上に存する権利の評価明細書国税庁の様式をダウンロード
2「地積規模の大きな宅地の評価」適用チェックシート国税庁ホームページからダウンロード
3登記簿謄本(地積の確認)法務局で取得
4都市計画図(用途地域・容積率の確認)市区町村の都市計画課で取得
5路線価図のコピー(地区区分の確認)国税庁ホームページで閲覧・印刷
6公図・地積測量図法務局で取得

国税庁のチェックシートは、6つの要件を順番に確認できる形式になっており、これに沿って判定すれば適用可否を間違える可能性が低くなります。

相続税の計算方法の全体像については、「相続税の計算方法|基礎控除・税率・申告の流れ」で解説しています。

ケーススタディ:3つの土地を持つ不動産オーナーの評価

実務的なケーススタディとして、複数の土地を所有するオーナーの評価を見てみましょう。

📐 シミュレーション前提条件

  • Aさん(東京都在住)が3つの土地を所有して死亡
  • 土地①:自宅敷地700㎡(世田谷区・路線価35万円/㎡・普通住宅地区・容積率200%)
  • 土地②:賃貸アパート敷地550㎡(杉並区・路線価30万円/㎡・普通住宅地区・容積率200%)
  • 土地③:月極駐車場300㎡(世田谷区・路線価40万円/㎡・普通住宅地区・容積率200%)
土地 面積要件 規模格差
補正率
通常評価 適用後評価 減額幅
①自宅700㎡○(500㎡以上)0.782億4,500万円1億9,110万円▲5,390万円
②賃貸550㎡○(500㎡以上)0.791億6,500万円1億3,035万円▲3,465万円
③駐車場300㎡×(500㎡未満)1億2,000万円1億2,000万円
合計5億3,000万円4億4,145万円▲8,855万円

※概算値です。奥行補正・不整形地補正は省略。さらに小規模宅地等の特例や貸家建付地の評価減を適用すれば、評価額はさらに下がります。

この事例では、土地①と②に地積規模の大きな宅地の評価を適用することで合計約8,855万円の評価減が実現しています。さらに、土地①には小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)、土地②には貸家建付地の評価減+小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)を重ねることで、大幅な節税が可能です。

なお、不動産を活用した相続税対策の全体像については、「相続税のしくみと基礎知識」も参考になります。

よくある質問(FAQ)

地積規模の大きな宅地の評価は、贈与で取得した土地にも適用できますか?
はい、適用できます。相続・遺贈・贈与のいずれで取得した場合でも、要件を満たせば適用可能です。生前贈与で大規模な土地を移転する際にも、この評価方法を使って贈与税評価額を算出できます。
自宅の敷地が498㎡で三大都市圏にあります。あと2㎡足りませんが、何か方法はありますか?
地積の判定は登記簿の面積ではなく、実際の面積で行います。登記簿面積と実測面積が異なるケースは珍しくないため、測量を行った結果500㎡以上であることが判明すれば適用できる可能性があります。境界確定測量を実施して実測面積を確認することをおすすめします。
アパートの敷地に適用した場合、貸家建付地の評価減と二重に使えますか?
使えます。計算順序としては、まず地積規模の大きな宅地の評価で規模格差補正率を適用し、次に貸家建付地としての評価減(借地権割合×借家権割合×賃貸割合)を適用します。さらに、要件を満たせば小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等で200㎡まで50%減額)も併用でき、三重の評価減が可能です。
指定容積率が400%ちょうどの場合、適用できますか?
適用できません。除外要件は「400%以上」(東京都特別区は300%以上)ですので、400%ちょうどは除外に該当します。399%以下であれば適用可能です。容積率が2以上の地域にまたがる場合は、面積に応じた加重平均で判定します。
旧広大地評価で申告した過去の相続について、更正の請求はできますか?
旧広大地評価が適用されていた時期(平成29年12月以前)に相続が発生した場合は、旧広大地評価の要件で判断されます。地積規模の大きな宅地の評価への遡及適用はできません。ただし、旧広大地評価の適用要件を満たしていたのに適用せずに申告していた場合は、法定申告期限から5年以内(還付は5年10ヶ月以内)であれば更正の請求が可能です。
道路に面していない土地(無道路地)にも適用できますか?
適用できます。無道路地の評価では、通路部分の価額を控除して評価を行いますが、その際に地積規模の大きな宅地の評価(規模格差補正率)も併せて適用できます。無道路地補正と規模格差補正率の両方を使うことで、大幅な評価減が期待できます。
地積規模の大きな宅地の評価は、市街地農地の「宅地比準方式」でも使えますか?
使えます。市街地農地を宅地比準方式で評価する場合、「その農地が宅地であるとした場合」に地積規模の大きな宅地の要件を満たしていれば、規模格差補正率を適用できます。計算後に宅地造成費相当額を控除するのを忘れないでください。市街地周辺農地や市街地山林も同様の扱いです。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 地積規模の大きな宅地の評価は、三大都市圏で500㎡以上・それ以外で1,000㎡以上の土地に適用できる評価減の制度
  • 適用要件は6つ(地積・地区区分・市街化調整区域外・工業専用地域外・容積率・大規模工場用地でないこと)で、全て客観的に判定可能
  • 規模格差補正率により通常評価から約20〜28%の評価減。さらに各種画地補正率との併用で減額幅が拡大
  • 旧広大地評価と異なり、マンション敷地や生産緑地にも適用可能で、形状補正との併用もできる
  • 小規模宅地等の特例・貸家建付地の評価減と併用でき、三重の評価減が実現するケースもある
  • 容積率は「指定容積率」のみで判定。基準容積率は考慮不要
  • 国税庁のチェックシートに沿って判定すれば、適用漏れや判定ミスを防げる

面積が大きい土地を相続した場合、この制度を適用するかしないかで相続税の額が数千万円単位で変わることがあります。少しでも該当する可能性がある場合は、相続税に詳しい税理士に相談することを強くおすすめします。

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