贈与税の申告と納税|申告期限・提出先・申告書の書き方

贈与税の申告と納税|申告期限・提出先・申告書の書き方
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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「贈与税の申告はいつまでに、どこに出せばいい?」「申告書はどう書く?」とお悩みの方に向けて、申告の要否判定・申告書の種類と書き方・必要書類・納付方法・ペナルティまで、6ステップで完全解説します。この記事を読めば、贈与税の申告手続きを自分で進められるようになります。

🏆 結論:贈与税の申告期限は翌年2月1日〜3月15日

贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、受贈者の住所地を管轄する税務署に申告書を提出し、同日までに納税します。申告書は国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成でき、e-Taxでオンライン提出も可能です。期限を過ぎると無申告加算税(最大20%)と延滞税が課されます。

贈与税の申告手続きの全体フロー【6ステップ】

贈与税の申告手続きは全部で6ステップです。以下のフローに沿って進めれば、初めての方でも対応できます。

ステップ 内容 時期の目安
①申告要否の判定贈与額が110万円超か、非課税特例を使うか確認贈与を受けた年の12月まで
②必要書類の準備本人確認書類・添付書類を収集翌年1月中
③申告書の作成第一表(+第二表・第一表の二)を記入翌年1〜2月
④申告書の提出管轄税務署へ窓口・郵送・e-Taxで提出翌年2月1日〜3月15日
⑤納税現金・振替・クレジット等で納付翌年3月15日まで
⑥控えの保管申告書の控え・贈与契約書を保管提出後〜7年以上

申告が必要なケース・不要なケースの判定表

すべての贈与に申告が必要なわけではありません。以下の判定表で、ご自身のケースを確認してください。

ケース 申告 理由
暦年課税で年間110万円以下の贈与不要基礎控除以下のため課税されない
暦年課税で年間110万円超の贈与必要基礎控除を超えた部分に贈与税が発生
相続時精算課税で年間110万円以下不要令和6年改正で基礎控除内は申告不要に
相続時精算課税で年間110万円超必要特別控除の範囲内でも申告が必要
相続時精算課税の初回選択時必要選択届出書の提出が必須
住宅取得等資金の非課税を使う場合必要申告が非課税適用の要件
配偶者控除(おしどり贈与)を使う場合必要申告が非課税適用の要件
生活費・教育費の都度払い不要そもそも非課税財産のため

⚠️ 注意

住宅取得等資金の非課税や配偶者控除を使って贈与税がゼロになる場合でも、申告書の提出は必須です。申告しなければ非課税の適用を受けられず、通常の贈与として課税されます。「税額ゼロ=申告不要」ではありません。

贈与税の基本的な仕組み・税率・計算方法については「贈与税とは?課税の仕組み・税率・計算方法」で詳しく解説しています。

申告書の種類と使い分け

贈与税申告書は3種類

贈与税の申告書には第一表・第一表の二・第二表の3種類があります。どの申告書が必要かは、贈与の内容によって異なります。

申告書の種類 用途 必要なケース
第一表贈与税の額の計算明細書全員(必須)
第一表の二住宅取得等資金の非課税の計算明細書住宅取得等資金の非課税を使う場合
第二表相続時精算課税の計算明細書相続時精算課税を選択する場合

申告書は国税庁のホームページからダウンロードできるほか、税務署の窓口でも入手できます。確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に従って入力するだけで申告書を作成できます。

ケース別の必要書類一覧

ケース 必要な申告書 主な添付書類
暦年課税のみ(現金贈与)第一表本人確認書類のみ
相続時精算課税(初回選択)第一表+第二表+選択届出書本人確認書類・戸籍謄本
住宅取得等資金の非課税第一表+第一表の二本人確認書類・戸籍謄本・登記事項証明書・売買契約書等
配偶者控除(おしどり贈与)第一表本人確認書類・戸籍謄本・登記事項証明書・住民票の写し

💡 実務のポイント

現金の暦年課税のみの申告であれば、必要書類は本人確認書類(マイナンバーカードの両面コピー)だけです。申告書も第一表のみなので、自分で十分に対応できます。一方、住宅取得等資金の非課税や相続時精算課税を使う場合は添付書類が多く、要件を満たしているかの確認も必要なため、税理士への相談をおすすめします。

申告書第一表の書き方【記入の流れ】

贈与税の申告書第一表の主な記入項目を順番に説明します。

①税務署名・提出年月日:受贈者の住所を管轄する税務署名と提出日を記入します。②受贈者の情報:住所・氏名・マイナンバー・生年月日・職業を記入します。③贈与者の情報:贈与者の住所・氏名・生年月日を記入します。④続柄:受贈者から見た贈与者の続柄(父・母・祖父・祖母など)を選択します。⑤贈与財産の内容:財産の種類(現金・土地・建物等)・所在場所・価額を記入します。⑥税額計算:課税価格(合計額−110万円)に税率を掛けて控除額を引き、税額を算出します。

基礎控除後の課税価格が300万円を超え、特例税率の適用を受ける場合は、受贈者の戸籍謄本(直系尊属からの贈与であることの証明)の添付が必要です。

申告書の提出方法【3つの方法】

方法1:税務署の窓口に持参

最も確実な方法です。不備があればその場で指摘してもらえます。開庁時間は平日8:30〜17:00ですが、申告期間中は一部の税務署で土日の対応がある場合もあります。時間外は収受箱への投函も可能です。

方法2:郵送(信書便)

郵便または信書便で管轄税務署に送付します。消印(通信日付印)の日付が提出日とみなされるため、3月15日の消印があれば期限内提出です。申告書は信書に該当するため、宅配便やゆうパックでは送付できません。

方法3:e-Tax(電子申告)

国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書を作成し、e-Taxで送信します。マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォン)があれば自宅から提出できます。24時間受付で、提出の即時確認が可能です。

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贈与税の納付方法【5つの選択肢】

贈与税の納付期限は申告期限と同じ翌年3月15日です。以下の5つの方法から選択できます。

納付方法 特徴 注意点
金融機関・税務署の窓口納付書を使って現金で納付納付書は税務署で入手
コンビニ納付バーコード付き納付書で30万円以下が対象事前にバーコード付き納付書の取得が必要
振替納税口座引落し。引落日は4月中旬事前に振替依頼書の提出が必要
クレジットカード国税クレジットカードお支払サイトから決済手数料がかかる(税額1万円あたり約83円)
ダイレクト納付(e-Tax)e-Taxで申告後にそのまま口座引落し事前にダイレクト納付の届出が必要

一括で納付できない場合の延納

一度に全額を納付するのが困難な場合は「延納」を申請できます。延納は最長5年、年率6.6%の利子税がかかります(延納特例基準割合により利率は変動)。延納の要件は、①贈与税額が10万円を超えること、②納期限までに延納申請書と担保提供関係書類を提出すること、③担保を提供すること(延納税額が100万円以下かつ延納期間3年以下の場合は不要)です。

💡 実務のポイント

贈与税は相続税と異なり物納が認められていません。現金での一括納付が原則です。不動産などの現物を贈与された場合でも、贈与税は現金で納付する必要があるため、納税資金の確保を事前に計画してください。延納の利子税(年率6.6%相当)は銀行ローンの金利と比較して高いため、可能であれば一括納付が有利です。

申告期限を過ぎた場合のペナルティ一覧

贈与税の申告・納税期限を過ぎると、本来の税額に加えて以下のペナルティが課されます。

ペナルティの種類 税率 発生条件
無申告加算税15〜20%(自主的に期限後申告した場合は5%)期限までに申告書を提出しなかった場合
過少申告加算税10〜15%申告した税額が実際より少なかった場合
重加算税35〜40%意図的に財産を隠蔽・仮装した場合
延滞税年率最大14.6%(納期限後2ヶ月以内は軽減税率)納期限までに税金を納付しなかった場合

⚠️ 注意

申告期限を過ぎた場合でも、税務署からの指摘を受ける前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税が5%に軽減されます。気づいた時点ですぐに申告・納税することが最善の対応です。

贈与税と相続税の申告の違い

贈与税と相続税の申告は似ているようで、期限・提出先・申告書の種類が異なります。混同しやすいポイントを比較表で整理します。

比較項目 贈与税 相続税
申告期限翌年2月1日〜3月15日相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内
提出先受贈者の住所地の税務署被相続人の住所地の税務署
申告義務者受贈者(もらった人)相続人・受遺者
納付方法現金一括 or 延納(物納不可)現金一括 or 延納 or 物納

相続税の申告手続きの詳細は「相続税申告の流れと必要書類」で解説しています。

申告後に間違いに気づいた場合の対処法

税額が少なかった場合:修正申告

申告した税額が実際より少なかった場合は、修正申告書を提出して不足分を納付します。税務署から指摘を受ける前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税は課されません。国税庁ホームページに「贈与税の修正申告書作成コーナー」があります。

税額が多かった場合:更正の請求

申告した税額が実際より多かった場合は、更正の請求を行って過払い分の還付を受けます。更正の請求の期限は、法定申告期限から6年以内です。

📊 公認会計士の視点

贈与税の時効は原則6年(悪意がある場合は7年)です。申告をしなくても6〜7年で時効が成立するように思えますが、実際には税務署は被相続人の相続発生時にまとめて調査を行うことが多く、過去の贈与が相続税の調査の中で発覚するケースが大半です。「黙っていればバレない」は非常にリスクの高い判断です。

贈与税申告を自分でできるケース・税理士に依頼すべきケース

自分で申告できるケース

現金の暦年課税のみで、特例や非課税制度を使わない場合は、自分で十分に対応できます。申告書は第一表だけで、添付書類も本人確認書類のみです。国税庁の確定申告書等作成コーナーで画面に従って入力すれば完成します。

税理士に依頼すべきケース

以下のケースは要件の確認や書類の準備が複雑なため、税理士への依頼を検討してください。①不動産(土地・建物)の贈与で評価が必要な場合、②住宅取得等資金の非課税を使う場合、③相続時精算課税を初めて選択する場合、④非上場株式の贈与で評価が必要な場合、⑤複数の特例を併用する場合。

贈与税がかからないケースの詳細は「贈与税がかからないケース一覧」で解説しています。相続税の計算方法については「相続税の計算方法と税率」もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

贈与税の申告期限はいつですか?
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。3月15日が土日祝日の場合は翌平日が期限になります。申告だけでなく、納税も同じ期限までに行う必要があります。
贈与税の申告書はどこに提出しますか?
受贈者(贈与を受けた人)の住所地を管轄する税務署に提出します。贈与者の住所地ではない点に注意してください。管轄の税務署は国税庁のホームページで検索できます。
贈与税の申告書はどこで入手できますか?
税務署の窓口で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードできます。また、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に従って入力するだけで申告書を作成できます。e-Taxでそのまま送信することも可能です。
贈与税の確定申告と所得税の確定申告は同じですか?
別々の手続きです。贈与税の申告書と所得税の確定申告書は異なる書類で、それぞれ別々に提出する必要があります。ただし、申告期限は近く(贈与税は2月1日〜3月15日、所得税は2月16日〜3月15日)、e-Taxで両方を同時期に提出することは可能です。
贈与税の申告を忘れたらどうすればよいですか?
気づいた時点ですぐに期限後申告を行ってください。税務署から指摘を受ける前に自主的に申告すれば、無申告加算税が15〜20%から5%に軽減されます。期限後であっても、申告・納税することでペナルティを最小限に抑えられます。
贈与税は延納(分割払い)できますか?
一定の条件を満たせば最長5年間の延納が可能です。要件は、贈与税額が10万円超であること、納期限までに延納申請書と担保提供関係書類を提出すること、担保を提供すること(税額100万円以下かつ3年以下の場合は不要)です。延納には年率6.6%相当の利子税がかかります。なお、贈与税は相続税と異なり物納はできません。
相続時精算課税を選択した場合、毎年申告が必要ですか?
令和6年1月1日以降の贈与から、相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が設けられました。この基礎控除以下の贈与であれば申告は不要です。110万円を超える贈与を受けた年は申告が必要です。なお、初めて相続時精算課税を選択する年は、贈与額にかかわらず選択届出書の提出が必須です。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 贈与税の申告期限は翌年2月1日〜3月15日、受贈者の住所地の税務署に提出
  • 暦年課税で110万円以下の贈与なら申告不要。非課税特例を使う場合は税額ゼロでも申告必要
  • 申告書は第一表(全員必須)・第一表の二(住宅資金)・第二表(精算課税)の3種類
  • 提出方法は税務署窓口・郵送・e-Taxの3つ。e-Taxなら24時間提出可能
  • 納付方法は5つ(窓口/コンビニ/振替/クレジット/ダイレクト納付)。延納も条件付きで可能
  • 期限を過ぎると無申告加算税(最大20%)+延滞税。自主的な期限後申告で5%に軽減
  • 現金の暦年課税のみなら自分で申告可能。不動産贈与や非課税特例の利用は税理士に相談

贈与税の申告は、現金の暦年課税であれば手続きはシンプルです。ただし、非課税特例の申告漏れや期限超過のペナルティは大きいため、「申告が必要か」を正しく判断することが最も重要です。判断に迷う場合は、早めに税理士に相談してください。

参考: 国税庁「No.4429 贈与税の申告と納税」

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