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税理士と社会保険労務士の違い|給与計算・年末調整はどちらに依頼?
「給与計算は税理士と社労士のどちらに頼めばいいのか」「年末調整はどっちの仕事?」と迷っている経営者に向けて、両資格の独占業務の境界線と、業務項目別の最適な依頼先を完全ガイドします。この記事を読めば、自社の状況に合った外注先を迷わず選べます。


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🏆 結論:給与計算はどちらにも依頼可。年末調整(税額計算・源泉徴収票作成)は税理士、社保手続き・助成金は社労士の独占業務
給与計算そのものは税理士・社労士のどちらにも依頼できます。ただし、年末調整に伴う所得税の精算計算・源泉徴収票の作成・法定調書の提出は税務書類の作成に該当するため税理士の独占業務(税理士法第2条第1項)です。一方、健康保険・厚生年金・雇用保険の届出や助成金の申請は社会保険労務士の独占業務(社会保険労務士法第27条)です。従業員5名以下なら税理士のみでカバー可能、10名以上なら社労士の併用またはワンストップ事務所の活用をおすすめします。
税理士と社労士の違いを、経営者が日常業務で直面する観点から比較します。
| 比較項目 | 税理士 | 社会保険労務士 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 税理士法 | 社会保険労務士法 |
| 独占業務 | 税務代理・税務書類作成・税務相談 | 社保・労保の届出代行・書類作成・助成金申請 |
| 主な守備範囲 | 税金(法人税・所得税・消費税等) | 人事・労務(社保・労保・就業規則等) |
| 給与計算 | ○(対応可) | ○(対応可) |
| 年末調整 | ◎(独占業務に含む) | △(給与・社保料計算まで。税額計算は不可) |
| 社保の届出 | ×(対応不可) | ◎(独占業務) |
| 助成金申請 | ×(対応不可) | ◎(独占業務) |
| 就業規則の作成 | × | ◎ |
| 確定申告 | ◎(独占業務) | × |
| 顧問料の相場(月額) | 2万〜5万円 | 2万〜4万円 |
参考: e-Gov「税理士法」 e-Gov「社会保険労務士法」
「給与計算はどちらにも依頼できる」とよく言われますが、給与計算を構成する各工程を分解すると、実は税理士にしかできない工程と社労士にしかできない工程があります。
| 給与関連の工程 | 税理士 | 社労士 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 勤怠集計 | ○ | ○ | 独占業務ではない |
| 基本給・手当の計算 | ○ | ○ | 独占業務ではない |
| 残業代の計算 | ○ | ◎ | 労基法に精通する社労士が得意 |
| 社会保険料の計算 | ○ | ◎ | 社労士の専門領域 |
| 所得税の源泉徴収額計算 | ◎ | ○ | 税額計算は税理士の専門 |
| 住民税の特別徴収 | ◎ | ○ | 地方税の手続きは税理士寄り |
| 年末調整(税額精算・還付計算) | ◎ | × | 税務書類の作成(税理士法第2条) |
| 源泉徴収票・法定調書の作成 | ◎ | × | 税務書類の作成(税理士法第2条) |
| 算定基礎届の提出 | × | ◎ | 社保届出(社労士法第27条) |
| 月額変更届の提出 | × | ◎ | 社保届出(社労士法第27条) |
| 労働保険の年度更新 | × | ◎ | 労保届出(社労士法第27条) |
| 助成金の申請 | × | ◎ | 社労士の独占業務 |
🔷 社労士の視点
年末調整に関して、社労士が対応できるのは「給与データの整理」「社会保険料控除額の計算」「各種控除申告書の回収・チェック」までです。税額の精算計算(過不足額の算出)と源泉徴収票の作成は税理士の独占業務であり、社労士が行うと税理士法違反となります。この境界線を理解していない事務所に依頼すると、結局年末調整の時期に別途税理士を探す手間が発生します。
従業員数は「税理士のみで十分か、社労士も必要か」を判断する最もわかりやすい基準です。
| 従業員数 | 推奨する外注先 | 理由 |
|---|---|---|
| 1〜5名 | 税理士のみ | 社保手続きの頻度が低く、税理士の顧問契約内で対応できることが多い |
| 6〜10名 | 税理士+社労士(スポット) | 入退社が増え、社保届出の頻度が上がる。スポットで社労士を活用 |
| 11〜30名 | 税理士+社労士(顧問) | 就業規則の作成義務(常時10人以上)、助成金の活用余地が大きくなる |
| 31名以上 | 税理士+社労士(顧問)+給与計算システム | 給与計算ソフトと連携して効率化。社労士の労務コンサルが重要に |
💡 実務のポイント
常時10人以上の労働者を使用する事業場は、労働基準法第89条により就業規則の作成・届出が義務付けられています。就業規則の作成は社労士の専門分野であり、税理士では対応できません。この義務が生じるタイミングが「社労士を顧問にすべきか」の判断の分水嶺です。顧問税理士の費用相場については「顧問税理士の費用相場」をご覧ください。
年末調整は税理士と社労士の業務が交差する典型的な場面です。以下のフローで、どの工程が誰の担当かを整理します。
| 工程 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| ① 控除申告書の配布・回収 | 扶養控除等申告書、保険料控除申告書等を従業員に配布し回収 | どちらでも可 |
| ② 給与データの確定 | 1月〜12月の給与・賞与データを確定 | どちらでも可 |
| ③ 社会保険料控除額の算出 | 健康保険・厚生年金・雇用保険の年間控除額を確定 | 社労士が得意 |
| ④ 所得税の精算計算 | 年間の所得税額を算出し、毎月の源泉徴収額との過不足を精算 | 税理士 |
| ⑤ 源泉徴収票の作成 | 従業員ごとの源泉徴収票を作成 | 税理士 |
| ⑥ 法定調書の提出 | 給与支払報告書・支払調書合計表を税務署・市区町村に提出 | 税理士 |
実務では、①〜③を社労士が担当し、④〜⑥を税理士が担当する分業パターンが最も効率的です。ただし、税理士と社労士が別々の事務所だと、データの受け渡しで手間が発生します。税理士×社労士のダブルライセンス事務所やワンストップ事務所であれば、この連携が社内で完結します。
厚生労働省が提供するキャリアアップ助成金・人材確保等支援助成金・両立支援等助成金などの雇用関係助成金の申請手続きは、社会保険労務士法第27条に基づき社労士の独占業務です。税理士がこれらの申請を代行することはできません。
実務では、助成金を活用することで「従業員を正社員に転換→キャリアアップ助成金で57万円」「育児休業の取得促進→両立支援等助成金で30万円」といった補助が受けられるケースがあります。これらの助成金は「知っているかどうか」で受給の有無が決まるため、社労士を顧問に付けていない企業は機会損失が大きいです。
例えば、従業員の処遇改善を検討する場合、社労士は「この改善パターンなら助成金が○万円受給できます」、税理士は「この方法なら人件費を損金算入して法人税を○万円軽減できます」とそれぞれの視点からアドバイスできます。
この連携が機能するには、税理士と社労士が同じ情報を共有していることが前提です。別々の事務所に依頼していると、情報の共有が不十分になり、助成金と節税のどちらか一方しか活用できないケースが実際に起こります。
📐 シミュレーション前提条件
| 費用項目 | 税理士のみ | 税理士+社労士 | ワンストップ |
|---|---|---|---|
| 税理士顧問料(年額) | 420,000円 | 420,000円 | 480,000円 |
| 決算申告料 | 200,000円 | 200,000円 | 200,000円 |
| 社労士顧問料(年額) | — | 300,000円 | (税理士料に含む) |
| 給与計算(年額) | 180,000円 | 180,000円 | 150,000円 |
| 社保手続き(自社対応コスト) | 120,000円 | (顧問に含む) | (顧問に含む) |
| 年間合計 | 920,000円 | 1,100,000円 | 830,000円 |
※概算値です。個別の状況により異なります。ワンストップ事務所はパッケージ料金で割安になるケースを想定。
ワンストップ事務所はデータ共有の手間がなく、パッケージ料金で提供されるため、税理士+社労士を別々に依頼するよりも年間27万円程度のコスト削減が見込めます。さらに、助成金の受給(仮に57万円のキャリアアップ助成金を1件受給)を含めると、実質的な費用対効果はさらに大きくなります。
税理士と社労士の違いに加えて、税理士と公認会計士の違いが気になる方も多いでしょう。会社のステージが上がりIPO準備や事業承継を検討する段階では、公認会計士の専門知識も必要になります。詳しくは「税理士と公認会計士の違い|どちらに依頼すべきかを場面別に解説」をご覧ください。
また、会社設立時の届出や許認可で行政書士が必要になるケースもあります。行政書士との違いは「税理士と行政書士・弁護士の違い」で解説しています。
参考: 国税庁「税理士制度の概要」
📋 この記事のポイント
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