税理士に依頼できる業務の全体像|一覧表で税理士の仕事を解説

税理士に依頼できる業務の全体像|一覧表で税理士の仕事を解説
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

「税理士にはどこまで頼めるのか」「確定申告以外に何を依頼できるのか」と疑問を持つ経営者・個人事業主に向けて、税理士の業務を独占業務・付随業務・依頼できない業務に分類した完全ガイドです。この記事を読めば、税理士に何を頼むべきかが明確になります。

🏆 結論:税理士の業務は「独占業務3つ」+「付随業務10以上」で構成され、税務だけでなく経営支援まで幅広い

税理士法第2条第1項に定められた独占業務は「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つです。しかし、実務ではこれに加えて記帳代行・給与計算・年末調整・経営コンサルティング・資金調達支援・会社設立の税務面サポートなど、10以上の付随業務を提供しています。一方、監査(公認会計士)・社保届出(社労士)・登記(司法書士)・紛争解決(弁護士)は税理士の業務範囲外です。

税理士に依頼できる業務の全体一覧表

税理士に依頼できる業務を「独占業務」「付随業務(非独占)」「依頼できない業務」の3カテゴリに分けて整理します。

業務 分類 内容 費用目安
法人税の確定申告独占決算書・法人税申告書の作成・提出15万〜30万円/年
所得税の確定申告独占個人事業主・不動産所得等の申告書作成5万〜20万円/件
消費税の申告独占消費税申告書の作成・提出・インボイス対応5万〜15万円/年
相続税の申告独占相続財産の評価・申告書の作成・提出遺産総額の0.5〜1.0%
税務調査の立会い独占税務調査への立会い・税務署への対応日当3万〜5万円
税務相談独占個別の税額計算を伴う相談・節税アドバイス顧問料に含む or 30分5,000円〜
年末調整独占源泉徴収票・法定調書の作成・提出基本料2万+1人1,500円〜
記帳代行付随仕訳入力・帳簿作成の代行月1万〜3万円
給与計算付随毎月の給与額の算出・明細書の作成基本料1万+1人1,000円〜/月
月次顧問(月次決算)付随月次試算表の作成・経営数値の確認月2万〜5万円
節税対策の提案付随合法的な節税スキームの提案・実行支援顧問料に含む
会社設立の税務面サポート付随資本金・決算月・届出書の作成0〜5万円(顧問契約セット)
資金調達・融資支援付随事業計画書の作成・金融機関との折衝支援5万〜20万円/件
経営コンサルティング付随経営計画・財務分析・KPI管理月3万〜10万円
事業承継・M&Aの税務面付随株価算定・税務シミュレーション案件ごと(30万〜100万円)
クラウド会計の導入支援付随freee/MF/弥生の初期設定・運用指導3万〜5万円
書面添付制度の活用付随税理士法第33条の2に基づく書面の添付顧問料に含む or 2万〜5万円

※費用は一般的な相場です。事務所や案件の内容により異なります。

参考: 国税庁「第2条関係(税理士業務)」

独占業務の3本柱を正確に理解する

税務代理(税理士法第2条第1項第1号)

税務代理とは、納税者に代わって税務申告書の提出や税務調査への立会いを行う業務です。確定申告の代行、修正申告の手続き、更正の請求、税務調査における税務署への対応はすべて税務代理に含まれます。

実務では、e-Taxを利用した電子申告の代行も税務代理に該当します。「知り合いに頼んでe-Taxで申告してもらう」という行為は、その知り合いが税理士でなければ税理士法第52条違反となる可能性があるため注意が必要です。

税務書類の作成(税理士法第2条第1項第2号)

確定申告書、法人税申告書、消費税申告書、源泉徴収票、法定調書合計表、各種届出書(青色申告承認申請書・法人設立届出書等)の作成が該当します。これらの書類を税理士以外が有償で作成することは法律で禁止されています。

税務相談(税理士法第2条第1項第3号)

個別具体的な税額計算を伴う相談に応じることが税務相談です。「この経費は損金に算入できるか」「法人化した場合にいくら税金が減るか」といった具体的な数字を伴う相談は税理士にしかできません。

ただし、一般的な税制に関する情報提供(「法人税の税率は何%ですか?」など)は独占業務に該当しないため、税理士以外でも回答可能です。

💡 実務のポイント

経営者の中に「うちの経理担当に申告書を作らせている」というケースがありますが、これは本人(法人の場合は法人自身)が作成しているため問題ありません。しかし、外部の第三者に有償で申告書の作成を依頼する場合は、その相手が税理士であることが必須です。

付随業務の具体的な内容と費用相場

記帳代行・月次顧問

記帳代行は税理士の独占業務ではありませんが、月次顧問のサービスの一環として提供されるケースが最も多いです。クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード等)を活用した記帳代行は、従来の紙ベースより工数が少ないため、月額1万〜2万円で対応可能な事務所が増えています。顧問料の詳しい相場は「顧問税理士の費用相場」をご覧ください。

給与計算・年末調整

給与計算は税理士・社労士のどちらにも依頼可能ですが、年末調整(源泉徴収票・法定調書の作成)は税理士の独占業務です。給与計算と年末調整をセットで依頼する場合は税理士に一括で頼むのがスムーズです。税理士と社労士の業務境界については「税理士と社労士の違い」で詳しく解説しています。

資金調達・融資支援

税理士は「認定経営革新等支援機関」として、中小企業の事業計画策定や金融機関との折衝をサポートできます。日本政策金融公庫の創業融資では、税理士が作成した事業計画書を添付すると審査がスムーズに進むケースが多いです。

経営コンサルティング

経営コンサルティングは税理士の独占業務ではありませんが、財務データを日常的に扱う税理士は「数字に基づいた経営アドバイス」が得意です。月次決算の数字をもとに「利益率が下がっている原因は人件費率の上昇」「このままだと3ヶ月後に資金ショートする」といった具体的な警告を出せるのは、顧問税理士ならではの強みです。

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税理士に依頼できない業務(他の士業の管轄)

税理士の業務範囲外となる主な業務を整理します。これらは他の士業に依頼する必要があります。

依頼できない業務 依頼先 根拠
財務諸表監査公認会計士公認会計士法第2条
社保・労保の届出代行社会保険労務士社労士法第27条
就業規則の作成社会保険労務士社労士の専門領域
助成金の申請代行社会保険労務士社労士法第27条
会社の設立登記司法書士司法書士法第73条
不動産の相続登記司法書士司法書士法第73条
許認可申請(建設業等)行政書士行政書士法第1条の2
紛争解決・訴訟代理弁護士弁護士法第72条

ワンストップ事務所であれば、これらの業務も同じ窓口で手配できます。各士業との違いについては「税理士と公認会計士の違い」「税理士と行政書士・弁護士の違い」をご覧ください。

依頼すべきタイミング判定表

「いつ税理士に相談すべきか」を場面別に整理します。

場面 依頼すべき業務 タイミング
会社を設立する資本金・決算月の相談+税務届出設立前(登記の2〜3週間前)
個人事業を開業する開業届・青色申告承認申請の作成開業前〜開業後2ヶ月以内
初めての確定申告確定申告書の作成・提出12月〜翌年2月が理想
従業員を初めて雇う源泉徴収の手続き+給与計算雇用契約の締結前
売上1,000万円を超えた消費税・インボイスの相談超えた事業年度の翌期首前
税務調査の通知が来た立会い・事前準備の相談通知を受けたら即相談
融資を受けたい事業計画書の作成・金融機関への同行融資申込の1〜2ヶ月前
相続が発生した相続税の申告・財産評価相続開始から3ヶ月以内に初回相談

⚠️ 注意

確定申告の直前(2〜3月)に初めて税理士に依頼すると、繁忙期のため断られたり、割増料金を請求されるケースがあります。確定申告を依頼する場合は12月までに相談を開始するのが理想です。費用の目安は「確定申告を税理士に依頼する費用」をご覧ください。

税理士の業務範囲を最大限活用するコツ

コツ1:顧問契約に何が含まれるかを事前に確認する

「月次顧問」の範囲は事務所によって異なります。A事務所は「月次決算+節税提案+経営相談」が含まれ、B事務所は「月次試算表の作成のみ」というケースがあります。契約前に「何が月額顧問料に含まれ、何がオプション(追加料金)か」を必ず確認してください。

コツ2:困ったことは何でもまず税理士に相談する

現場の経験上、「これは税理士の仕事じゃないかも」と遠慮して相談しない経営者が多いですが、良い税理士は「それは社労士の領域ですので、提携先を紹介しますね」と適切にリレーしてくれます。税理士を「経営の相談窓口」として活用するのが最も効率的です。

コツ3:セカンドオピニオンを活用する

現在の顧問税理士のサービスに不満がある場合、いきなり解約するのではなく、まずは別の税理士にセカンドオピニオンを依頼する方法があります。顧問契約を維持したまま、特定のテーマについて別の税理士の見解を聞くことで、より最適な税務判断ができます。

参考: 国税庁「税理士制度の概要」 e-Gov「税理士法」

よくある質問(FAQ)

税理士に経営コンサルティングを依頼できますか?
はい、経営コンサルティングは独占業務ではないため、税理士に限らず誰でも行えます。ただし、税理士は毎月の決算データを把握しているため、「数字に基づいた経営アドバイス」が得意です。財務分析・資金繰り・節税と連動した経営改善提案は、顧問税理士に依頼するのが最もスムーズです。
確定申告だけスポットで税理士に依頼できますか?
可能です。顧問契約を結ばず、確定申告の時期だけスポットで依頼する方法があります。ただし、スポット依頼は繁忙期(1〜3月)に集中するため、12月までに申し込むのがおすすめです。費用は個人事業主で5万〜15万円程度が相場です。
税理士に社会保険の手続きを頼めますか?
社会保険(健康保険・厚生年金)や労働保険(雇用保険・労災保険)の届出代行は社会保険労務士の独占業務であり、税理士には依頼できません。ただし、ワンストップ事務所であれば同じ窓口で社労士に取り次いでくれます。
無料で税理士に相談できる方法はありますか?
あります。各地域の税理士会が主催する無料相談会、自治体の無料税務相談、確定申告期間中の税務署の相談コーナーなどを活用できます。ただし、無料相談では一般的なアドバイスが中心で、個別具体的な税額計算までは対応してもらえないケースが多いです。
税理士と公認会計士のどちらに依頼すべきですか?
中小企業の日常的な税務・会計業務は税理士が最適です。公認会計士はIPO準備や財務諸表監査が必要な場合に依頼します。詳しくは「税理士と公認会計士の違い」をご覧ください。
税理士報酬の勘定科目は何ですか?
税理士報酬の勘定科目は「支払手数料」または「顧問料」で処理するのが一般的です。源泉徴収(報酬の10.21%)が必要な点にも注意してください。
書面添付制度とは何ですか?
税理士法第33条の2に基づき、税理士が申告書の作成にあたって計算や判断の過程を記載した書面を添付する制度です。書面添付がある申告書は、税務調査の前に税理士への意見聴取が行われるため、調査が省略されるケースもあります。すべての税理士が対応しているわけではないため、契約前に確認してください。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 税理士の独占業務は税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つ(税理士法第2条第1項)
  • 付随業務として記帳代行・給与計算・節税提案・資金調達支援・経営コンサルなど10以上の業務を提供
  • 監査(会計士)・社保届出(社労士)・登記(司法書士)・許認可(行政書士)・紛争(弁護士)は依頼不可
  • 「困ったらまず税理士に相談」が最も効率的。他士業の領域は税理士がリレーしてくれる
  • 顧問契約の内容(含まれる業務とオプション)は事前に必ず確認する
  • 確定申告は12月までに相談開始、税務調査は通知を受けたら即相談が鉄則

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