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IPO準備における税理士・会計士の役割と選び方|フェーズ別の完全ガイド
IPOを目指しているが税務・会計面で何を準備すべかわからないスタートアップ経営者に向けて、IPO準備の各フェーズで税理士・会計士が果たす役割と選び方を解説します。この記事を読めば、IPO準備のどの段階で誰に何を依頼すべきかが明確になります。


IPO準備における税理士・会計士の役割と選び方|フェーズ別の完全ガイド
IPOを目指しているが税務・会計面で何を準備すべかわからないスタートアップ経営者に向けて、IPO準備の各フェーズで税理士・会計士が果たす役割と選び方を解説します。この記事を読めば、IPO準備のどの段階で誰に何を依頼すべきかが明確になります。
🏆 結論:IPO準備では「顧問税理士」と「監査法人」の2つの専門家が不可欠
IPO準備には一般的に3年以上の期間が必要です。その間、顧問税理士は税務申告・税務構造の最適化・ストックオプションの設計を担い、監査法人(公認会計士)はショートレビュー・2期分の会計監査・内部統制の整備を担当します。両者の役割は異なるため、IPOを見据えた段階で「IPO支援実績のある税理士」と「監査法人」の両方を早期に確保することが成功の鍵です。
IPO(Initial Public Offering=新規株式公開)の準備は、大きく4つのフェーズに分かれます。各フェーズで関与する専門家が異なるため、まず全体像を把握しましょう。
| フェーズ | 時期の目安 | 主な作業 | 関与する専門家 |
|---|---|---|---|
| N-3期(準備初期) | 上場3年前 | 経理体制の整備、会計方針の見直し、ショートレビュー | 顧問税理士+監査法人 |
| N-2期(監査1期目) | 上場2年前 | 準金商法監査の開始、内部統制の構築 | 監査法人+顧問税理士+主幹事証券 |
| N-1期(監査2期目) | 上場1年前 | 内部統制の運用、上場申請書類の作成 | 監査法人+主幹事証券+顧問税理士 |
| N期(申請・上場) | 上場年 | 上場審査、公開価格の決定、上場 | 全専門家チーム |
日本取引所グループの上場審査基準では、「最近2年間の財務諸表等について、監査法人または公認会計士の監査等を受けていること」が要件とされています。つまり、上場申請の2年前には監査法人との契約が必要です。
IPO準備において税理士は、監査法人とは異なる独自の役割を担います。以下の5つが税理士の主な業務です。
上場審査では、過去の税務申告に問題がないかも確認されます。税務調査で指摘を受けた履歴や、修正申告の有無は審査に影響するため、顧問税理士による適正な税務申告が上場の土台になります。
実務では、IPO準備段階に入ってから「過去の税務処理に問題があった」と発覚するケースが少なくありません。たとえば、交際費と会議費の区分が曖昧だったり、役員報酬の手続きに不備があったりすると、修正申告が必要になり、上場スケジュールに影響します。
上場前にグループ会社の整理や事業再編を行うケースが多く、税理士はその税務面の設計を担当します。組織再編の税制適格要件の判定、繰越欠損金の引継ぎ可否の検討、グループ間取引の移転価格リスクの洗い出しなど、高度な税務判断が求められます。
スタートアップでは、従業員や役員にストックオプションを付与するケースが一般的です。ストックオプションの税務上の取扱いは、税制適格SOか非適格SOかで大きく異なり、設計を誤ると従業員に予期せぬ課税が発生するリスクがあります。
💡 実務のポイント
税制適格ストックオプションの場合、権利行使時には課税されず、株式売却時に初めて譲渡所得として課税されます(税率20.315%)。一方、非適格SOの場合、権利行使時に「権利行使価格と時価の差額」が給与所得として課税され、最大で所得税45%+住民税10%が適用されます。この違いだけで数百万〜数千万円の税負担差が生じるため、SO設計の段階で税理士への相談が不可欠です。
参考: 国税庁「ストック・オプション税制の概要」(No.1543)
上場に向けた資本政策(増資・株式移動・株式分割など)には、それぞれ税務上の影響があります。税理士は、各施策の実行タイミングと税務コストをシミュレーションし、最適な資本政策を提案します。
上場後は四半期ごとの税金計算(税効果会計)、連結納税(グループ通算制度)、開示に必要な税率差異分析など、未上場時代にはなかった税務業務が発生します。税理士は上場前の段階からこれらの体制構築を支援します。
公認会計士は主に監査法人に所属し、IPO準備では以下の役割を担います。金融商品取引法に基づく監査は公認会計士の独占業務であり、税理士では代替できない領域です。
| 業務 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| ショートレビュー(予備調査) | 上場に向けた課題を洗い出す短期調査 | N-3期 |
| 会計監査(準金商法監査) | 2期分の財務諸表に対する監査意見の表明 | N-2期〜N-1期 |
| 内部統制の整備支援 | 業務フロー・承認権限・IT統制の構築アドバイス | N-3期〜N-1期 |
| 会計方針の指導 | 上場企業水準の会計処理への移行指導 | N-3期〜 |
| 開示書類のレビュー | 有価証券届出書・目論見書の記載内容の確認 | N期 |
📊 公認会計士の視点
近年は監査法人のリソース不足が深刻化しており、IPO準備企業が監査法人を見つけるのに半年〜1年以上かかるケースも増えています。IPOを目指す場合は、できるだけ早い段階(N-3期以前)から監査法人との接触を始めることをおすすめします。顧問税理士に監査法人の紹介を依頼できることも、IPO経験のある税理士を選ぶメリットの一つです。
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初回相談無料。公認会計士・税理士がIPO準備に必要な経理体制の構築から税務設計まで一元的に支援します。
鮎澤パートナーズに相談するIPO準備では税理士と公認会計士(監査法人)がそれぞれ異なる役割を担います。「どちらに何を依頼すべきか」を明確にしておくことで、準備がスムーズに進みます。
| 業務 | 顧問税理士 | 監査法人 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 法人税・消費税の確定申告 | ◎ | — | 税理士の独占業務 |
| 財務諸表監査 | — | ◎ | 公認会計士の独占業務 |
| ショートレビュー | △ | ◎ | 監査法人が実施、税理士は税務面の情報提供 |
| 会計方針の見直し | ○ | ◎ | 監査法人の指導に沿って税理士が実務対応 |
| 内部統制の構築 | △ | ◎ | 監査法人がフレームワーク提示、実装は社内+税理士 |
| ストックオプションの税務設計 | ◎ | △ | 税務設計は税理士、会計処理は監査法人が確認 |
| グループ再編の税務設計 | ◎ | ○ | 税務ストラクチャリングは税理士の領域 |
| 税効果会計の計算 | ◎ | ○ | 税理士が計算、監査法人が検証 |
| 資本政策の立案 | ○ | ○ | 主幹事証券がリード、税理士は税務面を担当 |
◎=主担当、○=対応可能、△=補助的に関与
税理士の業務範囲の全体像については「税理士の業務内容と範囲の全体像」をご参照ください。
IPO準備にはさまざまな専門家費用が発生します。スタートアップ経営者が特に気になる費用項目を一覧でまとめました。
| 費用項目 | 費用の目安 | 支払先 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ショートレビュー | 150万〜400万円 | 監査法人 | 企業規模・調査範囲で変動 |
| 会計監査(年間) | 1,000万〜2,000万円 | 監査法人 | 2期分必要、合計2,000万〜4,000万円 |
| 顧問税理士(年間) | 100万〜500万円 | 税理士事務所 | IPO対応の場合は通常の顧問料より高め |
| 主幹事証券引受手数料 | 500万〜2,000万円 | 証券会社 | 成功報酬型が多い |
| IPOコンサルタント | 300万〜1,000万円/年 | コンサル会社 | 利用しない場合もあり |
| 上場審査料 | 400万円(グロース) | 取引所 | 市場区分によって異なる |
※上記は概算です。企業規模や監査法人によって大きく異なります。正確な見積もりは各専門家にご確認ください。
顧問税理士の費用相場の詳細は「顧問税理士の費用相場と選び方」をご参照ください。
すべての税理士がIPO支援に対応できるわけではありません。IPO準備には通常の顧問業務とは異なる専門知識が必要です。以下の5つの基準で選びましょう。
| # | 判断基準 | 確認方法・ポイント |
|---|---|---|
| 1 | IPO支援の実績 | 「過去にIPO準備企業の顧問を何件担当しましたか?上場まで到達した件数は?」と質問 |
| 2 | 公認会計士資格の有無 | 監査法人での勤務経験がある税理士は、監査対応の「勘所」を理解している |
| 3 | 監査法人とのネットワーク | 監査法人の紹介が可能かどうか。監査法人確保が難航する昨今、この紹介力は大きい |
| 4 | SO・資本政策の知識 | ストックオプションの税制適格要件、種類株式の税務に詳しいかを確認 |
| 5 | 他士業との連携体制 | 社労士(労務DD・就業規則)、行政書士(許認可確認)との連携が可能か |
💡 実務のポイント
IPO準備に入ってから顧問税理士を変更するケースも少なくありません。「今の顧問税理士にIPO経験がない」と気づいたら、早めにセカンドオピニオンを活用しましょう。IPO準備が進むほど税理士の変更はデータ移行の手間が増えます。セカンドオピニオンの活用方法は「セカンドオピニオン税理士の活用方法」をご参照ください。
IPOを目指す企業が早期に確認すべき税務面のチェックリストです。N-3期(準備初期)の段階で、顧問税理士と一緒に以下の10項目を確認しましょう。
| # | チェック項目 | 問題がある場合のリスク |
|---|---|---|
| 1 | 過去5年分の税務申告書に不備がないか | 修正申告→上場スケジュール遅延 |
| 2 | 役員報酬の手続き(定期同額・事前確定届出)が適正か | 損金不算入→過年度修正 |
| 3 | 関連当事者取引の価格が適正か | 移転価格リスク→審査で指摘 |
| 4 | 消費税の課税区分が正確か(インボイス対応含む) | 仕入税額控除の否認→追徴課税 |
| 5 | ストックオプションの税制適格要件を満たしているか | 非適格扱い→従業員への過大課税 |
| 6 | 繰越欠損金の残高と使用可能期間を把握しているか | 企業価値評価に影響 |
| 7 | グループ会社間取引の整理が完了しているか | 連結決算時に問題発覚→開示遅延 |
| 8 | 税効果会計の計算基盤(一時差異の管理)が整備されているか | 監査で指摘→決算修正 |
| 9 | 源泉所得税の納付漏れがないか | 不納付加算税→コンプライアンスの問題 |
| 10 | 印紙税・償却資産税の申告漏れがないか | 過怠税→審査での信用低下 |
「IPOを目指したいが、今の顧問税理士のままでいいのか?監査法人にはいつ切り替えるべきか?」——この疑問を持つ経営者は多くいます。結論から言えば、顧問税理士と監査法人は「切り替え」ではなく「併用」します。
| 状況 | 推奨アクション |
|---|---|
| IPOを漠然と考え始めた段階 | 顧問税理士にIPO経験の有無を確認。なければセカンドオピニオンや税理士変更を検討 |
| IPOを本格的に決断した段階 | 監査法人の選定を開始。顧問税理士に監査法人の紹介を依頼するのも有効 |
| N-3期(ショートレビュー前後) | 監査法人と契約。顧問税理士は税務申告・税務設計を継続して担当 |
| N-2期以降(監査期間中) | 監査法人と顧問税理士が連携して業務を進行。両者の情報共有がスムーズであることが重要 |
⚠️ 注意
顧問税理士が所属する税理士法人と監査法人が同一グループの場合(いわゆるビッグ4のグループ等)、独立性の問題で顧問契約を解消しなければならないケースがあります。IPO準備に入る前に、顧問税理士と監査法人の独立性の問題がないかを確認しましょう。
IPO準備では税務・会計以外にも、労務面・法務面の整備が不可欠です。上場審査では労務コンプライアンス(残業代の適正支払い、社会保険の加入状況、36協定の届出等)も厳しくチェックされます。
🔷 社労士の視点
IPO審査で指摘が多いのが労務管理の不備です。未払残業代、社会保険の加入漏れ、就業規則の不備はいずれも審査で問題視されます。スタートアップは少人数で運営しているため労務管理が後回しになりがちですが、N-3期の段階で社労士による労務DDを実施し、問題点を早期に是正しておくことが上場成功のポイントです。
📝 行政書士の視点
上場審査では事業に必要な許認可が適正に取得・更新されているかも確認されます。許認可の期限切れや届出の不備があると、事業の継続性に疑義が生じ、審査が通らないリスクがあります。行政書士が許認可の棚卸しを行い、更新スケジュールを管理することで、このリスクを未然に防げます。
公認会計士・税理士が連携するワンストップ事務所であれば、IPO準備に必要な税務・労務・行政手続きを一元的にカバーできます。「ワンストップ事務所のメリット」もご参照ください。
📋 この記事のポイント
IPOは企業にとって大きな成長の節目です。税務・会計の専門家を早期に確保し、N-3期から計画的に準備を進めることで、上場までの道のりがスムーズになります。まずは顧問税理士にIPO準備の相談をするところから始めてみてください。
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