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遺言書の書き方|自筆証書遺言・公正証書遺言の違いと注意点
「遺言書を書きたいけれど、書き方がわからない」「せっかく書いても無効になったらどうしよう」とお悩みの方に向けて、遺言書の種類・書き方・保管方法・費用を完全ガイドします。この記事を読めば、自分に合った遺言書の方式を選び、正しく作成する手順がわかります。


「遺言書を書きたいけれど、書き方がわからない」「せっかく書いても無効になったらどうしよう」とお悩みの方に向けて、遺言書の種類・書き方・保管方法・費用を完全ガイドします。この記事を読めば、自分に合った遺言書の方式を選び、正しく作成する手順がわかります。
🏆 結論:遺言書はどの方式を選ぶべきか
結論から言えば、財産が多い場合や相続人間で争いが予想される場合は「公正証書遺言」が最も安全です。財産がシンプルで費用を抑えたい場合は「自筆証書遺言+法務局保管制度」を利用すれば、3,900円で紛失・改ざん防止と検認不要の効果が得られます。いずれの場合も行政書士や税理士への事前相談で「内容の不備→無効」のリスクを大幅に下げられます。
遺言書とは、自分の財産を死後に誰にどのように承継させるかを書面で残す法律行為です。民法では15歳以上であれば遺言をすることができると定められています(民法第961条)。遺言書があれば、法定相続分とは異なる財産の分け方が可能になるため、「自分の意思で財産の行き先を決めたい」という方にとって不可欠な手続きです。
遺言書がない場合、相続財産は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分け方を決めることになります。話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所での調停・審判に進み、解決まで数年かかるケースも珍しくありません。
💡 実務のポイント
実務では、遺言書がないために相続手続きが長期化するケースを多数見てきました。特に不動産が複数ある場合や、相続人が遠方に住んでいる場合は、遺言書1通で手続きの負担が大きく変わります。「まだ元気だから」と先延ばしにせず、健康なうちに作成することを強くおすすめします。
遺言書で指定できることは、相続分の指定、遺産分割方法の指定、遺贈(相続人以外への財産承継)、認知、相続人の廃除、遺言執行者の指定などです。一方で、婚姻や離婚といった身分行為を遺言で行うことはできません。また、相続人には「遺留分」(最低限の取り分)が保障されているため、特定の相続人を完全に排除する遺言は、遺留分侵害額請求の対象になります。
遺言書の方式は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類です。以下の比較表で、それぞれの特徴を一覧できます。
| 比較項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 作成方法 | 全文自筆(財産目録はPC可) | 公証人が筆記 | 本人作成(PC可)→公証人に提出 |
| 証人 | 不要 | 2人以上 | 2人以上 |
| 費用 | 無料(法務局保管は3,900円) | 財産額に応じた手数料 | 11,000円 |
| 保管 | 自宅 or 法務局 | 公証役場(原本保管) | 自己管理 |
| 検認 | 必要(法務局保管なら不要) | 不要 | 必要 |
| 無効リスク | 高い(方式不備のリスク) | 非常に低い | 高い |
| 紛失・改ざんリスク | 高い(法務局保管なら解消) | なし | 高い |
| 秘密性 | 高い(本人だけで作成) | 低い(公証人・証人に内容開示) | 高い(内容を秘密にできる) |
| 字が書けない方 | 利用不可 | 利用可能(署名代行あり) | 利用可能(PC作成可) |
| 利用数 | 多い | 多い | 非常に少ない |
参考: 日本公証人連合会「公正証書遺言と自筆証書遺言の違い」
自筆証書遺言の作成手続きは、全部で8ステップです。必要な期間は準備を含めて1〜2週間が目安です。
まず、自分の財産を全てリストアップします。不動産(土地・建物)、預貯金(銀行名・口座番号)、有価証券(証券会社・銘柄)、生命保険、車両、貴金属など、すべて書き出しましょう。この段階では正式な書式でなくてもメモ書きで構いません。
法定相続人を確認し、「誰に、何を、どのくらい」渡すかを決めます。相続人以外に財産を渡したい場合は「遺贈」として記載します。この段階で遺留分を侵害しないかも確認してください。
いきなり清書せず、まず下書きを作ります。不動産は登記事項証明書の表記どおりに記載し、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで正確に書きます。財産の特定が曖昧だと遺言が無効になるリスクがあります。
⚠️ 注意
「自宅の土地と建物を長男に相続させる」という書き方では、不動産が特定できないと無効になるリスクがあります。必ず「所在:東京都○○区○○町○丁目○番地○」「地番:○番○」のように登記簿の記載どおりに書いてください。
自筆証書遺言では、本文・日付・氏名を全て自分の手で書く必要があります(民法第968条第1項)。パソコンや代筆は不可です。ただし、2019年1月13日以降に作成する遺言書では、財産目録のみパソコン作成・通帳コピーの添付が認められるようになりました。財産目録の各ページには署名・押印が必要です。
日付は「令和○年○月○日」のように年月日を具体的に記載します。「○月吉日」のような曖昧な日付は無効になります。署名は戸籍上の氏名が原則ですが、本人との同一性が認識できればペンネーム等でも有効とされています。押印は実印が望ましいですが、認印でも有効です。
法律上は封印の義務はありませんが、改ざん防止のために封筒に入れて封印することを強くおすすめします。封筒には「遺言書」と表書きし、「開封せずに家庭裁判所に提出してください」と記載しておくとよいでしょう。
自宅の金庫やタンスに保管するのが一般的ですが、紛失・隠匿のリスクがあります。信頼できる親族や専門家に保管場所を伝えておくことが重要です。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、紛失・改ざんの心配がなくなり、検認手続きも不要になります。手数料は1件3,900円で、追加費用は一切かかりません。保管の申請は遺言者本人が法務局に出向く必要があります(代理不可)。
参考: 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
公正証書遺言は、公証人に内容を口頭で伝え、公証人が文書化する方式です。作成から完了まで通常2〜3週間かかります。以下のステップで進めます。
| ステップ | 内容 | 所要期間 |
|---|---|---|
| 1. 財産の整理 | 不動産登記事項証明書・預貯金残高・有価証券を準備 | 3〜5日 |
| 2. 遺言内容の検討 | 相続人の確認・財産配分の決定・遺留分の確認 | 2〜3日 |
| 3. 公証役場への事前相談 | 公証人に内容を伝え、文案を作成してもらう | 3〜7日 |
| 4. 証人2人の手配 | 相続人・受遺者の配偶者と直系血族は不可 | 1〜3日 |
| 5. 公証役場で正式作成 | 遺言者が口述→公証人が筆記→読み聞かせ→署名押印 | 当日30〜60分 |
| 6. 原本保管 | 原本は公証役場に保管。正本・謄本を遺言者が受け取る | 即日 |
公正証書遺言の作成に必要な書類は、遺言者の印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内)、遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本、不動産の登記事項証明書と固定資産評価証明書、預貯金の残高証明書または通帳コピー、証人2人の住所・氏名・生年月日・職業がわかる資料です。
📝 行政書士の視点
現場の経験上、公正証書遺言の作成で最も時間がかかるのは「証人2人の手配」です。相続人の配偶者や直系血族は証人になれないため(民法第974条)、友人や専門家に依頼するケースが多くなります。行政書士に遺言書作成を依頼すると、証人の手配もセットで対応できるため、手続きがスムーズに進みます。公証役場でも証人を紹介してもらえますが、その場合は証人1人につき6,000〜10,000円程度の日当がかかります。
せっかく遺言書を作成しても、要件を満たしていなければ無効になります。よくあるNG例を判定表にまとめました。
| NG例 | 無効となるか | 根拠条文 | 対策 |
|---|---|---|---|
| パソコンで本文を作成 | 無効 | 民法968条1項 | 本文は必ず全文自筆で書く |
| 日付が「令和○年○月吉日」 | 無効 | 民法968条1項 | 年月日を具体的に記載 |
| 署名がない | 無効 | 民法968条1項 | 戸籍上の氏名でフル署名 |
| 押印がない | 無効 | 民法968条1項 | 実印での押印を推奨 |
| 訂正方法が不適切 | 訂正部分が無効 | 民法968条3項 | 訂正箇所を指示し、変更旨を付記・署名・押印 |
| 認知症で遺言能力なし | 無効 | 民法963条 | 判断能力があるうちに作成。医師の診断書を保存 |
| 財産の記載が曖昧 | 一部無効の可能性 | 判例法理 | 登記事項証明書どおりに記載 |
💡 実務のポイント
実務で最も多い失敗は、自筆証書遺言の「訂正方法の誤り」です。二重線を引いて書き直すだけでは無効になります。訂正箇所の指示・変更の旨の付記・署名・押印という4つの手続きが必要です(民法第968条第3項)。訂正が複数箇所になる場合は、新しい用紙に書き直す方が安全です。
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初回相談無料。行政書士・税理士がワンストップで遺言書の起案から公証役場の手配、相続税シミュレーションまで対応します。
鮎澤パートナーズに相談する自筆証書遺言書保管制度は、2020年7月10日にスタートした法務局が自筆証書遺言を保管する制度です。主なメリットは、紛失・改ざん・隠匿のリスクがゼロになること、家庭裁判所の検認手続きが不要になること、遺言者の死亡後に法務局から相続人に通知が届くこと、そして保管手数料がわずか3,900円で追加費用がかからないことです。
保管の申請は、遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局で行います。必要なものは、自筆証書遺言(封をしない状態)、遺言者の住民票(本籍地入り)、本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)、保管申請書(法務局の様式)、収入印紙3,900円です。事前予約が必須で、遺言者本人が出向く必要があります。
⚠️ 注意
法務局は遺言の「形式要件」のみを確認します(全文自筆か、日付があるか、署名押印があるか等)。遺言の「内容」についてはチェックしないため、法的に問題のある内容(遺留分を大幅に侵害する配分など)がそのまま保管されるリスクがあります。内容面のチェックは行政書士や弁護士に依頼することをおすすめします。
遺言書の作成にかかる費用は、方式によって大きく異なります。財産額別に3パターンでシミュレーションしてみましょう。
📐 シミュレーション前提条件
| 費用項目 | 財産3,000万円 | 財産5,000万円 | 財産1億円 |
|---|---|---|---|
| パターンA:自筆証書遺言+法務局保管(自力作成) | |||
| 法務局保管手数料 | 3,900円 | 3,900円 | 3,900円 |
| 合計 | 3,900円 | 3,900円 | 3,900円 |
| パターンB:公正証書遺言(自力手配) | |||
| 公証人手数料 | 約40,000円 | 約52,000円 | 約78,000円 |
| 証人日当(2人) | 約12,000円 | 約12,000円 | 約12,000円 |
| 合計 | 約52,000円 | 約64,000円 | 約90,000円 |
| パターンC:行政書士に依頼+公正証書遺言 | |||
| 行政書士報酬 | 50,000〜80,000円 | 80,000〜120,000円 | 100,000〜150,000円 |
| 公証人手数料+証人 | 約52,000円 | 約64,000円 | 約90,000円 |
| 合計 | 約10〜13万円 | 約14〜18万円 | 約19〜24万円 |
※概算値です。公証人手数料は財産額・相続人数によって変動します。正確な費用は公証役場にお問い合わせください。
💡 実務のポイント
費用だけを見ると自筆証書遺言+法務局保管が圧倒的に安いですが、内容の不備による無効リスクも考慮する必要があります。財産が5,000万円を超える場合は、遺言が無効になった際の相続人間の紛争コスト(弁護士費用・時間的コスト)の方がはるかに大きくなるため、専門家のチェックを受ける費用は「保険料」と考えてください。
「自分にはどちらが向いているかわからない」という方のために、8項目の判定チェックリストを用意しました。○が多い方を選んでください。
| 判定項目 | 自筆証書遺言向き | 公正証書遺言向き |
|---|---|---|
| 財産額 | 3,000万円未満 | 3,000万円以上 |
| 相続人の人数 | 1〜2人 | 3人以上 |
| 相続人間の関係 | 円満 | 不仲・疎遠がある |
| 不動産の数 | 0〜1件 | 2件以上 |
| 遺言者の年齢・健康状態 | 若く健康 | 高齢・持病あり |
| 費用を抑えたいか | ○ 重視 | 安全性を重視 |
| 内容の秘密性 | ○ 重視 | 気にしない |
| 手書き能力 | 問題なく書ける | 書くのが困難 |
なお、遺言書は何度でも書き直すことができます。まずは自筆証書遺言で作成しておき、財産が増えたり相続人の状況が変わったりした段階で、公正証書遺言に切り替えるという方法も実務では一般的です。
遺留分とは、配偶者・子・直系尊属に保障されている最低限の相続分です(兄弟姉妹には遺留分はありません)。遺留分を侵害する遺言書は無効ではありませんが、侵害された相続人から「遺留分侵害額請求」を受ける可能性があります。遺留分は原則として法定相続分の2分の1(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1)です。
遺言書を書く際は、各相続人の遺留分を計算した上で、遺留分を侵害しない配分にするのが理想です。やむを得ず偏った配分にする場合は、付言事項(法的効力のないメッセージ部分)でその理由を丁寧に説明しておくと、紛争のリスクを下げられます。
遺言書で「Aに全財産を相続させる」と書いた場合、Aが遺言者より先に死亡すると、その部分が効力を失います。こうした事態に備え、「Aが先に死亡している場合は、Aの子Bに相続させる」という予備的遺言を記載しておくことが重要です。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを行う人です。遺言書で指定しておくと、不動産の名義変更や預貯金の解約がスムーズに進みます。指定しなかった場合は、家庭裁判所に選任してもらう必要があり、手続きに時間がかかります。信頼できる親族や専門家(行政書士・弁護士等)を指定することをおすすめします。
遺産分割の全体像について詳しくは「遺産分割協議の方法|協議書の作成とトラブル防止策」で解説しています。
遺言書でどのように財産を分けるかによって、各相続人の相続税額が変わります。特に配偶者の税額軽減(法定相続分または1億6,000万円まで非課税)を最大限活用するには、遺言書の段階で配偶者への配分を意識することが重要です。
また、小規模宅地等の特例(居住用330㎡まで80%減額)は、遺言で特定の相続人に自宅を相続させることで確実に適用できます。遺産分割協議がまとまらず申告期限に間に合わない場合、特例が使えないリスクがあるため、遺言書の存在が節税面でも大きな意味を持ちます。
相続税の基本的な計算方法について詳しくは「相続税の計算方法」で解説しています。また、小規模宅地等の特例については「小規模宅地等の特例の概要」をご覧ください。
📊 公認会計士の視点
遺言書を作成する際に「相続税のシミュレーション」を同時に行うことで、最適な財産配分を設計できます。たとえば自宅の土地を配偶者が相続するのか、同居する子が相続するのかで小規模宅地等の特例の適用要件が異なり、数百万円単位で税額が変わるケースもあります。遺言書の起案と相続税対策はセットで考えることをおすすめします。
遺言書は一度作成したら終わりではありません。以下のようなライフイベントがあった場合は、遺言書の見直しを検討してください。
具体的な見直しタイミングは、不動産の購入や売却があった場合、相続人の構成が変わった場合(子の誕生・離婚・死亡など)、大きな金融資産の変動があった場合、家族関係の変化(相続人との関係悪化・改善)があった場合、税制改正があった場合です。
複数の遺言書がある場合、作成日が新しい方が優先されます。古い遺言書と新しい遺言書の内容が矛盾する部分については、新しい遺言書の内容が採用されます(民法第1023条)。ただし、矛盾しない部分は古い遺言書も有効のままですので、混乱を避けるために、新しい遺言書を作成する際は「これまでの遺言の全部を撤回する」と記載しておくのが安全です。
遺言書で「Aに全財産を相続させる」と書いてあっても、Aが相続放棄をすれば、その部分は効力を失います。相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります(民法第915条第1項)。遺言書を作成する際には、相続人が放棄する可能性も考慮して、予備的遺言を入れておくことが重要です。
相続放棄について詳しくは「相続放棄のデメリット・手続き|借金・生命保険・相続税への影響」をご覧ください。
📋 この記事のポイント
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