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社労士と行政書士の違い|依頼先の使い分けポイントと業務範囲の境界線
会社設立・許認可・助成金・労務管理で「社労士と行政書士、どちらに頼めばいいの?」と迷う経営者に向けて、両士業の業務範囲と使い分けの判断基準を一覧表と実務事例で解説します。


会社設立・許認可・助成金・労務管理で「社労士と行政書士、どちらに頼めばいいの?」と迷う経営者に向けて、両士業の業務範囲と使い分けの判断基準を一覧表と実務事例で解説します。
🏆 結論:社労士=労働・社会保険、行政書士=許認可・会社設立書類
社労士は労働社会保険諸法令(健康保険法・厚生年金法・雇用保険法・労働基準法等)に基づく手続きと労務管理が守備範囲で、社労士法第2条により1号・2号業務が独占業務です。行政書士は官公署に提出する書類(許認可申請・定款作成等)と権利義務・事実証明書類の作成が守備範囲で、行政書士法第1条の2により独占業務です。会社設立時は定款作成(行政書士)→登記(司法書士)→税務署届出(税理士)→社保新規適用(社労士)という4士業リレーが基本。建設業・飲食業・古物商などの許認可業種は行政書士、従業員5名を超えたら社労士を追加、というのが実務の定石です。
結論から言えば、社労士と行政書士は守備範囲がほぼ重ならない別士業です。「どちらに頼めばいいか」で迷う最大の理由は、両者とも「官公署への書類作成・提出代行」を行うため表面的に似て見えるからですが、対象となる法律と提出先が全く異なります。
| 比較項目 | 社会保険労務士 | 行政書士 |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 社会保険労務士法第2条 | 行政書士法第1条の2 |
| 主な対象法令 | 健康保険法・厚生年金法・雇用保険法・労災保険法・労働基準法 | 各種許認可法(建設業法・風営法・古物営業法・道路運送法 等) |
| 主な提出先 | 年金事務所・ハローワーク・労働基準監督署 | 都道府県庁・警察署・公証役場・保健所 等 |
| 独占業務 | 1号業務・2号業務 | 官公署提出書類・権利義務・事実証明書類の作成 |
| 違反時の罰則 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(社労士法第32条の2) | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(行政書士法第21条) |
| 典型業務 | 社保手続き・就業規則・労務相談・助成金申請 | 会社設立定款・建設業許可・在留資格・遺産分割協議書 |
💡 実務のポイント:覚え方は「従業員か、事業そのものか」
「従業員を雇う・辞めさせる・給与を払う」に関することは社労士、「事業を始める・許可を取る・契約書を作る」に関することは行政書士。この切り分けで9割は判別できます。従業員30名の建設業から「現場労災の申請と建設業許可の更新、両方できますか?」という相談があった実例では、前者は社労士、後者は行政書士がそれぞれ担当し、同じ事務所で完結したため顧問料は個別契約より約4割安く抑えられました。
社労士の業務は社会保険労務士法第2条第1項第1号〜第3号で定められ、1号(手続き代行)・2号(法定帳簿作成)が独占業務です。対象となるのは「労働社会保険諸法令」であり、具体的には健康保険法・厚生年金保険法・雇用保険法・労災保険法・労働基準法・労働安全衛生法などが含まれます。
🔷 社労士の視点:厚労省系の助成金は社労士の独占領域
キャリアアップ助成金(非正規→正社員転換で最大80万円/人)、業務改善助成金(最低賃金引上げで最大600万円)、両立支援等助成金など、厚生労働省所管の助成金は全て1号業務に該当するため社労士の独占領域です。行政書士や経営コンサルが有償で申請代行すれば社労士法違反となります。コロナ禍の雇用調整助成金不正受給事案では、受託した行政書士法人が摘発された事例もあり、申請代行の依頼先を間違えると事業主側も共犯に問われかねません。
行政書士の業務は行政書士法第1条の2で定められ、「官公署に提出する書類」「権利義務に関する書類」「事実証明に関する書類」の作成が独占業務です。対象となる法令は極めて広く、実務上は「許認可業種の申請書類」「契約書」「相続関連書類」が3大柱となります。
📝 行政書士の視点:許認可業種は「設立より取得順序」が重要
飲食店を開業予定の経営者から「会社設立と許可申請を同時に進めたい」と相談を受けた際、保健所の飲食店営業許可は法人名義で取得するため、設立登記完了→許可申請という順序でなければならないことを説明しました。また建設業許可は「過去5年間で500万円以上の請負実績」が要件の一つとなるケースもあり、個人事業から法人成りする場合は実績の引継ぎ方を設立段階で設計しないと許可が取れない事態に陥ります。許認可業種では、行政書士に設立前から相談するのが実務上の鉄則です。
社労士と行政書士の業務は原則重なりませんが、以下の2領域だけは誤解が多いため明確に整理しておきます。
| 業務 | 社労士 | 行政書士 | 判定基準 |
|---|---|---|---|
| 厚労省系助成金(キャリアアップ助成金等) | ◎独占 | ✕不可 | 労働社会保険諸法令に基づく=1号業務 |
| 経産省系補助金(ものづくり補助金等) | △付随で可 | ◎ | 官公署提出書類=行政書士の独占領域 |
| 外国人技能実習・特定技能の労働条件関連 | ◎ | △在留資格のみ | 労働条件は社労士、在留資格は行政書士 |
| 建設業許可の経営業務管理責任者証明 | △付随で可 | ◎ | 建設業法に基づく許可=行政書士 |
| 労働者派遣事業許可 | ◎ | △ | 労働者派遣法=社労士の守備範囲 |
| 有料職業紹介事業許可 | ◎ | △ | 職業安定法=社労士の守備範囲 |
⚠️ 注意:厚労省系助成金を行政書士に頼むのは違法
「助成金ならまとめて行政書士に頼める」という広告を出している事務所が散見されますが、厚労省所管の雇用関係助成金は1号業務に該当し社労士の独占業務です。雇用調整助成金のコロナ特例では、違法に申請代行した行政書士・コンサル会社が全国で摘発されました。依頼者側も加担したとみなされ、不正受給返還命令+加算金20%+3年間の助成金停止という重いペナルティを受けた事例があります。助成金の依頼先は「社労士登録番号」を必ず確認してください。
会社設立は1士業では完結できず、4士業のリレーが必要です。各士業の担当範囲を時系列で整理すると以下のようになります。
| フェーズ | 担当士業 | 業務内容 | 期限・目安 |
|---|---|---|---|
| ①定款作成・認証 | 行政書士 | 事業目的・本店所在地・機関設計の検討、公証役場での認証 | 設立予定日の2週間前 |
| ②設立登記 | 司法書士 | 法務局への登記申請(商業登記法に基づく独占) | 資本金払込後2週間以内 |
| ③税務署等届出 | 税理士 | 法人設立届、青色申告承認申請、源泉所得税納期特例 | 設立から2ヶ月以内 |
| ④社保新規適用 | 社労士 | 年金事務所への新規適用届、雇用保険適用事業所設置届 | 設立から5日以内 |
| ⑤業種別許認可 | 行政書士 | 建設業許可、飲食店営業許可、古物商許可等 | 営業開始前(審査1〜2ヶ月) |
💡 実務のポイント:社保届出の5日ルールに要注意
社会保険新規適用届は「事実発生日から5日以内」が法定期限(健康保険法施行規則第19条)です。設立登記完了日の翌日から起算するため、実質的に即日〜数日以内の提出が必要。行政書士に定款作成を頼んだあと社労士の手配を後回しにした結果、5日超過で遡及加入となり、過去分の保険料3ヶ月分(約45万円)を一括請求されたケースを弊所で見ています。設立予定の時点で4士業の手配を同時に動かすのが現場の鉄則です。
業種ごとに社労士・行政書士のどちらが「必須」「推奨」となるかを整理します。
| 業種 | 行政書士 | 社労士 | 主な依頼内容 |
|---|---|---|---|
| 建設業 | ◎必須 | ◎必須(5名超) | 建設業許可・経審/労災特別加入 |
| 飲食業 | ◎必須 | ○推奨 | 飲食店営業許可・深夜酒類提供/アルバイト労務管理 |
| 介護・福祉 | ◎必須 | ◎必須 | 指定申請・加算申請/処遇改善加算・働き方改革 |
| 運送業 | ◎必須 | ◎必須 | 一般貨物自動車運送事業許可/改善基準告示・時間外対応 |
| IT・Web | △任意 | ○推奨 | IT導入補助金/裁量労働制・リモートワーク規程 |
| 小売・EC | ○推奨 | ○推奨 | 古物商・酒類販売業/パート・アルバイト就業規則 |
| 人材派遣・紹介 | △任意 | ◎必須 | 労働者派遣事業許可/36協定・派遣元責任者講習 |
| 製造業 | ○補助金で必須 | ◎必須 | ものづくり補助金/安全衛生管理・技能実習生対応 |
| 契約形態 | 社労士 | 行政書士 |
|---|---|---|
| 顧問契約(月額) | 3万〜10万円 | 2万〜5万円(許認可業種のみ) |
| 会社設立(スポット) | 社保適用 3万〜5万円 | 定款作成 8万〜15万円 |
| 就業規則作成 | 20万〜50万円 | 対応不可 |
| 建設業許可(新規) | 対応不可 | 12万〜20万円+実費9万円 |
| 厚労省系助成金 | 受給額の15〜20% | 対応不可 |
| 経産省系補助金 | 対応困難 | 着手金10万〜+成功報酬10〜15% |
※概算値です。個別の状況により異なります。正確な見積もりは各士業にご相談ください。
社労士と行政書士のダブルライセンスを持つ事務所(または両士業が所属するワンストップ事務所)を選ぶと、以下の実務メリットがあります。
📊 実務事例:人材派遣業の設立支援
人材派遣業を新規に立ち上げた依頼主(資本金2,000万円)のケース。行政書士で定款作成(事業目的に「労働者派遣事業」を含める)→司法書士で登記→社労士で派遣業許可申請(労働者派遣法)+社保新規適用、という流れを並行で進めました。派遣業許可は資産要件(基準資産2,000万円以上・現預金1,500万円以上)と派遣元責任者講習修了が必要で、行政書士単独では対応できません。4士業リレーで約2ヶ月で営業開始に漕ぎつけたケースです。
📋 この記事のポイント
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