リスケジュール(返済条件変更)の実務|銀行との交渉術から経営改善計画の作成まで【公認会計士・税理士監修】

監
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。
リスケジュール(返済条件変更)の実務|銀行との交渉術から経営改善計画の作成まで
「このままでは資金繰りが続かないが、金融機関にリスケを申し出るべきか迷っている」経営者に向けて、リスケの判断基準・交渉手順・経営改善計画書の作り方・卒業までのロードマップを実例で完全ガイドします。この記事を読めば、メインバンクとの交渉で主導権を握り、2〜3年での正常化復帰を現実的に設計できます。
🏆 結論:リスケは「早期着手×経営改善計画×2パターン資金繰り表」が成功の三原則
リスケジュールは延命策ではなく事業再生の出発点です。資金ショートの3〜6ヶ月前に動き出し、認定経営革新等支援機関と連携して経営改善計画書を作成、リスケあり/なしの2パターンの資金繰り表で金融機関を説得するのが成功パターンです。2〜3年で月商1ヶ月分の預金残高を確保できれば正常化卒業が見えてきます。
リスケジュール(返済条件変更)とは?基本と現実
結論から言えば、リスケジュール(以下リスケ)とは、金融機関との契約に基づき、元金返済の一時猶予や返済期間の延長などを行う正式な返済条件変更のことです。金融庁の指導により金融機関は中小企業の申請に柔軟に対応する姿勢をとっており、申請自体のハードルは下がっています。
実務では、年間で複数件の経営改善計画策定支援を担当してきた経験上、リスケに踏み切る経営者の多くが「もっと早く動けばよかった」と振り返ります。預金残高が月商の0.5ヶ月分を切ってから慌てて相談に来るケースと、1.5ヶ月分ある段階で相談に来るケースでは、交渉の自由度がまったく異なります。
リスケで変更できる4つの条件
| 変更の種類 |
内容 |
金融機関の応諾度 |
| 元金返済猶予 | 利息のみ支払い、元金返済を一時停止(通常6〜12ヶ月) | ◎ 最も一般的 |
| 返済期間延長 | 残存期間を延長して月額返済額を減額 | ○ 経営改善計画必須 |
| 金利減免 | 利率引き下げ | △ 認定計画必須のケース多い |
| 元金一部カット(債権放棄) | 元金の一部を免除 | × ごく例外・法的整理同等 |
💡 実務のポイント:最も通りやすいのは「元金返済猶予」
現場の肌感覚では、まず6〜12ヶ月の元金返済猶予を申請し、その間に経営改善で業績を回復させ、猶予明けは「返済期間延長」に切り替えて月額を下げる、という二段階アプローチが最も成功率が高いです。いきなり期間延長を狙うと金融機関の警戒が強まる傾向があります。
リスケのメリット・デメリット
| メリット |
デメリット |
| 月次返済負担が大幅減、CF改善 | リスケ中は新規融資が原則受けられない |
| 資金繰りに追われず経営改善に集中できる | 金融機関の債務者区分が引き下げられる可能性 |
| 倒産・法的整理を回避できる | 3〜6ヶ月ごとのモニタリング報告義務 |
| 計画達成で正常化復帰の道が開ける | 経営者保証解除が遠のく可能性 |
| 従業員・取引先への影響を最小化 | 経営者の精神的負荷・時間拘束が増える |
リスケを検討すべきタイミング|5つの危険信号
リスケは「資金ショート直前」ではなく、その3〜6ヶ月前に検討着手するのが鉄則です。以下の5つの危険信号が出たら、認定経営革新等支援機関への相談を始めるべきタイミングです。
危険信号チェックリスト
- 月末現預金残高が月商の1ヶ月分を切った(正常水準は1.5〜3ヶ月)
- 運転資金借入を繰り返し、借入金月商倍率が3倍を超えた
- 税金・社会保険料の滞納が発生、または3ヶ月以内に発生見込み
- 2期連続の赤字・または債務超過(会社法第440条の決算公告も影響)
- 役員報酬の減額・未払い・役員借入金による資金補填が常態化
⚠️ 注意:税金・社保の滞納はリスケより先行処理
国税・地方税・社会保険料の滞納がある状態でリスケを申請しても、金融機関は「これ以上の公租公課滞納の恐れあり」として応諾しづらくなります。税金・社保の滞納は国税通則法第46条の納税の猶予や社会保険の分納相談を先に済ませ、公租公課の支払計画を立てた後にリスケ交渉に臨むのが実務の順序です。
リスケの実行プロセス|9ステップ完全タイムライン
リスケは思いつきで動けるものではなく、事前準備・交渉・モニタリング・卒業まで約2〜3年の長期プロセスです。9ステップで全体像を把握してください。
ステップ1:認定経営革新等支援機関への相談(T−6ヶ月)
まず税理士・公認会計士のうち認定経営革新等支援機関の登録を受けた専門家に相談します。中小企業庁の経営改善計画策定支援事業(405事業)を活用すれば、計画策定費用の2/3(上限200万円)が国から補助されます。なお政府系金融機関である日本政策金融公庫の返済条件変更窓口も早期相談の選択肢として有効です。
ステップ2:現状把握と資金繰り予測(T−5ヶ月)
過去3期の決算書・直近の試算表・資金繰り実績を整理し、現状での残金尽きタイミングを月次で予測します。このフェーズで「このままなら何ヶ月で資金が尽きる」が明確になります。
ステップ3:経営改善計画書の作成(T−4ヶ月)
5ヶ年の損益計画・貸借対照表計画・資金繰り計画を作成します。認定支援機関がサポートに入り、金融機関の評価基準(80%基準)に耐える計画を組み上げます。
ステップ4:メインバンクへの事前相談(T−3ヶ月)
正式申請の前に、メインバンクの支店長・融資担当者に「相談」という形で状況を伝えます。この段階で金融機関の姿勢を読み、本申請に向けた調整を行います。
ステップ5:2パターンの資金繰り表を提示(T−2ヶ月)
「リスケしない場合(資金ショートする)」と「リスケした場合(回復軌道に乗る)」の2パターンの資金繰り表を作成し、リスケの必要性を定量的に示します。
ステップ6:正式申請と全行一斉交渉(T)
複数の金融機関から借入がある場合、プロラタ(残高按分)原則に基づき全金融機関に同日一斉に申請します。特定の金融機関だけリスケするのは他行の反発を招くため避けます。
ステップ7:モニタリング報告(T+3〜12ヶ月)
3ヶ月〜6ヶ月ごとに金融機関への実績報告・計画差異分析を行います。認定支援機関のサポートを継続し、実績80%達成を目指します。
ステップ8:中間見直しと計画の柔軟修正(T+12〜18ヶ月)
1年経過時点で計画との乖離が10%以上ある場合は、計画の見直しを金融機関に提案します。「計画未達」で隠すより、「乖離の原因と修正計画」を示す方が信頼回復につながります。
ステップ9:卒業(正常化復帰)の交渉(T+24〜36ヶ月)
月次返済が再開できる状態まで回復したら、正常化復帰の交渉を開始します。直近2期黒字・債務償還年数10年以内・預金残高が月商1ヶ月分以上、の3条件がそろえば金融機関は前向きに検討します。
経営改善計画書の作成術|80%基準を踏まえた実務
経営改善計画書は金融機関を説得するための最重要文書です。単なる希望的観測ではなく、達成可能性80%(8割基準)で計画を組み立てるのが金融機関の評価基準に適合する書き方です。
経営改善計画書の構成要素
| 要素 |
記載内容 |
ボリューム |
| 1. 企業概要 | 沿革、事業内容、組織図、株主構成 | 1〜2ページ |
| 2. 業績推移と窮境原因 | 過去3期の実績・窮境に陥った根本原因 | 2〜3ページ |
| 3. 経営改善の基本方針 | 再建ビジョン、事業ポートフォリオ見直し | 1〜2ページ |
| 4. 具体的な改善施策 | 売上改善策・コスト削減策・資産処分計画 | 3〜5ページ |
| 5. 5ヶ年損益計画 | 5期の売上・粗利・営業利益・経常利益 | 1〜2ページ |
| 6. 5ヶ年貸借対照表計画 | 借入金残高の推移・債務償還年数の推移 | 1〜2ページ |
| 7. 資金繰り計画 | 月次資金繰り表(36ヶ月) | 2〜3ページ |
| 8. 返済計画 | 各金融機関への返済スケジュール | 1ページ |
| 9. モニタリング体制 | 認定支援機関のサポート内容、報告頻度 | 1ページ |
80%基準(8割基準)とは
金融機関は経営改善計画の実績が計画値の80%以上であれば「計画通りに推移している」と判断します。つまり、計画策定時には「実現可能性100%の計画」を作ってはいけません。「多少下振れしても80%は達成できる堅い計画」を作る必要があります。
📊 公認会計士の視点:80%基準の組み込み方
実務では、まず現実的な「期待計画」を作成し、その80%の値を計画書の計画数値として使用します。例えば営業利益の期待値が1,000万円なら、計画書記載は800万円とする。こうすることで、実績が期待通りなら125%達成、期待値の80%なら100%達成となり、金融機関への報告で「計画達成中」と堂々と言える状態を維持できます。
資金繰り表の「2パターン作成」実例|説得力の源泉
リスケ交渉で最も威力を発揮するのが、「リスケしない場合」と「リスケした場合」の2パターンの資金繰り表です。金融機関に対して「リスケしないと資金ショートする客観的事実」と「リスケすれば回復する見通し」を同時に示せます。
2パターンシミュレーション例(月商2,000万円企業)
📐 シミュレーション前提条件
- 月商:2,000万円・月次営業CF:+80万円
- 月次元金返済額合計:200万円(5金融機関)
- 月次利息支払額:30万円
- 現在の現預金残高:1,500万円
| 経過月 |
リスケなし 月末残高 |
リスケあり (元金12ヶ月猶予) |
状況 |
| 開始時 | 1,500万円 | 1,500万円 | 同一 |
| 3ヶ月後 | 1,050万円 | 1,650万円 | 差600万円 |
| 6ヶ月後 | 600万円 | 1,800万円 | ショート懸念 |
| 9ヶ月後 | 150万円 | 1,950万円 | ショート直前 |
| 12ヶ月後 | △300万円 | 2,100万円 | 資金ショート |
| 24ヶ月後(改善反映) | — | 2,700万円 | 改善計画進捗 |
🧮 2パターン資金繰り表の説得力
上の表を金融機関に提示することで「リスケしなければ12ヶ月後に資金ショート → 倒産 → 回収不能」「リスケすれば資金繰りが安定し、経営改善によって将来の返済原資が確保できる」という2つの未来図を同時に示せます。金融機関にとって、回収不能になるより元金の一時猶予で将来的な完済を待つ方が経済合理的、という判断を自然に引き出せます。
メインバンク交渉の5段階シナリオ
リスケ交渉は一発勝負ではなく、5段階のシナリオで進めるのが実務のセオリーです。各段階で押さえるべきポイントを整理します。
第1段階:事前根回し(T−3ヶ月)
メインバンクの融資担当者にアポイントをとり、現状と今後の見通しを説明します。この段階では正式申請はせず、「状況をお伝えしたい」というスタンス。担当者からのアドバイスを引き出し、書類作成の方向性を確認します。
第2段階:第1回交渉(T)
経営改善計画書・2パターンの資金繰り表・直近の試算表を持参し、正式にリスケを申請します。支店長同席が理想。申請内容は「12ヶ月の元金返済猶予」から始めるのが最もハードルが低い選択肢です。
第3段階:中間交渉(T+1〜2ヶ月)
金融機関内部での稟議を経て条件提示があります。希望通りにならない場合は、計画書を補強して再交渉します。複数行がある場合は、メインバンクの合意を取ってから準メインバンク・第三順位行の順で交渉を広げます。
第4段階:合意形成と契約変更(T+2〜3ヶ月)
リスケ条件が決まれば、金銭消費貸借契約の変更契約書を締結します。信用保証協会付き融資の場合は保証条件の変更申請も必要で、協会の事前同意を取る必要があります。
第5段階:モニタリングと関係維持(T+3ヶ月〜)
リスケ後は3ヶ月〜6ヶ月ごとに金融機関への実績報告を行います。訪問・書面・Zoomなど金融機関の希望に合わせた形式で、経営改善の進捗を共有します。
💡 実務のポイント:プロラタ原則を守る
複数の金融機関から借入がある場合、「残高按分(プロラタ)原則」に基づき、全行に対して同じ条件・同じ減額率でリスケを申請します。特定の金融機関だけ有利・不利にすると他行の反発を招き、交渉全体が破綻するリスクがあります。返済計画の作り方は借入金の返済計画の立て方も参照してください。
AYUSAWA PARTNERS
リスケジュール・経営改善計画のご相談は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。認定経営革新等支援機関として経営改善計画策定支援事業(405事業・国の補助2/3)を活用し、金融機関交渉から計画実行まで一貫サポートします。
鮎澤パートナーズに相談する
405事業(経営改善計画策定支援事業)の活用法
中小企業庁の経営改善計画策定支援事業(通称405事業)は、金融支援を伴う経営改善に取り組む中小企業を国が補助する制度です。認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士など)に計画策定を依頼する費用の2/3(上限200万円)が補助されます。
405事業の対象要件
- 中小企業者であること
- 金融機関と調整したうえで金融支援(リスケジュール含む)を受ける前提の計画であること
- 自らでは経営改善計画の策定が困難であること
- 計画策定後、認定経営革新等支援機関によるモニタリングを受けること
405事業で補助される費用の内訳
| 費目 |
補助対象 |
上限 |
| 経営改善計画策定支援 | 認定支援機関の計画策定費用の2/3 | 200万円 |
| 伴走支援(モニタリング) | 計画策定後の3年間のモニタリング費用の2/3 | 年60万円 |
| 金融機関交渉同席 | 金融機関との交渉同席費用の2/3 | — |
参考: 中小企業庁 経営改善計画策定支援事業(通称405事業)
リスケ中にできる8つの資金調達手段
リスケ中は原則として金融機関からの新規融資が受けられませんが、以下の8つの手段で資金調達が可能なケースがあります。
リスケ中の資金調達手段一覧
- 売掛債権ファクタリング:売掛金を買取会社に売却して早期現金化(借入ではないため利用可)
- 補助金・助成金の活用:ものづくり補助金、事業再構築補助金、業務改善助成金など(返済不要)
- 取引先への支払サイト短縮交渉の逆提案:仕入先との支払猶予交渉
- 代表者個人の消費者金融・カードローン:最終手段、リスク高
- 不動産担保の追加融資(リスケ対象外資金):新たな担保価値がある場合限定
- 売掛金担保融資(ABL):在庫・売掛金を担保にした融資(条件厳しい)
- 役員借入・家族借入:金利設定に注意(税理士法第2条範囲)
- 経営者保証解除特則付き借換保証制度:信用保証協会の制度で一部利用可能
⚠️ 注意:ノンバンク借入と高金利ファクタリングは避ける
リスケ中の資金調達で最も注意すべきは、金利年率15〜18%のノンバンク融資や、手数料率20%超の悪質ファクタリングに手を出すことです。月次返済負担が急増し、経営改善計画が破綻します。認定支援機関と相談せずに即日資金調達サービスに頼るのは絶対に避けてください。
リスケ卒業までのロードマップと出口戦略
リスケは始まりより終わりの設計が重要です。金融機関・経営者双方にとって、正常化復帰(卒業)が最終ゴール。卒業までのKPIと出口戦略を具体化します。
正常化卒業の3条件
| 条件 |
水準 |
| 1. 経常利益の2期連続黒字 | 計画達成率80%以上を2期連続維持 |
| 2. 債務償還年数10年以内 | 有利子負債÷簡易CF≤10年 |
| 3. 現預金残高が月商1ヶ月分以上 | 月次資金繰りに余力あり |
卒業タイムラインの目安
| 期間 |
状態 |
主なアクション |
| リスケ開始〜6ヶ月 | 元金返済猶予期 | コスト削減・売上回復策の実行 |
| 7〜12ヶ月 | 業績回復期 | 初年度決算で計画80%達成を確認 |
| 13〜24ヶ月 | 部分返済再開期 | 元金の一部返済再開、月次モニタリング継続 |
| 25〜36ヶ月 | 正常化復帰期 | 全額返済再開、新規融資の前向き検討開始 |
📊 公認会計士の視点:決算公告もリスケ後の関門
会社法第440条により株式会社は貸借対照表等の決算公告義務があります。債務超過の決算公告は取引先・金融機関に悪影響を与えるため、リスケと並行して増資・DES・役員借入の資本性ローン化など債務超過解消策も検討する必要があります。債務超過の解消方法については、より詳しく債務超過の判定と解消方法で解説しています。
リスケと事業承継・法的整理との関係
事業承継を控えた経営者のリスケ判断
事業承継(後継者への引継ぎ)を3〜5年以内に予定している場合、債務の状態を整えるためにリスケを先行実施するのが実務的です。後継者に過剰債務を引き継がせるのではなく、リスケ→経営改善→正常化→事業承継の流れが望ましい順序です。
リスケで再建困難な場合の次の選択肢
| 手段 |
内容 |
債権者影響 |
| 中小企業活性化協議会 | 公的機関による再生計画の策定支援 | 原則プロラタ |
| 事業再生ADR | 裁判外での債権者調整 | 債権放棄あり得る |
| 民事再生 | 裁判所関与の法的整理・事業継続前提 | 強制的債権カット |
| 破産 | 事業停止・清算 | 配当のみ |
よくある質問(FAQ)
リスケを申し出ると金融機関との関係が悪化しませんか?
適切な手続きで申し出れば関係悪化は限定的です。金融庁は「貸付条件の変更等の履歴のみを理由に新規融資を拒絶することがないよう」金融機関を指導しており、経営改善計画に基づく正式なリスケはむしろ誠実な対応と受け止められます。逆に、申し出ずに延滞を起こすと信頼を決定的に失うため、早期申請が鉄則です。
リスケ中に税金や社会保険料の滞納があるとどうなりますか?
国税・社会保険料の滞納はリスケ交渉の大きなマイナス要素です。金融機関は「公租公課優先の原則」を重視するため、まず税務署・年金事務所で国税通則法第46条の納税の猶予や分納相談を行い、公租公課の支払計画を確定させてからリスケ交渉に臨むのが正しい順序です。
リスケ中でも新規融資は絶対に受けられませんか?
原則として新規融資は困難ですが、例外があります。①信用保証協会の経営改善サポート保証制度、②自治体の制度融資の一部、③資本性劣後ローン(日本政策金融公庫)、④補助金の前払い資金など、リスケ中でも活用可能な手段があります。認定支援機関と相談しながら選択肢を探してください。
経営改善計画は自分で作れますか?
形式的には可能ですが、80%基準・プロラタ原則・金融機関評価を踏まえた計画書は専門知識が必要です。認定経営革新等支援機関の税理士・公認会計士に依頼すると、経営改善計画策定支援事業(405事業)で計画策定費用の2/3(上限200万円)が国から補助されます。費用対効果を考えると専門家依頼が合理的です。
リスケ期間はどのくらいが標準ですか?
元金返済猶予は初回6〜12ヶ月が標準的です。その後、業績が回復すれば段階的に返済額を増やし、正常化までは通常2〜3年を目安とします。3年を超えても正常化できない場合は、中小企業活性化協議会を活用した本格的な事業再生への移行を検討する段階に入ります。
複数の金融機関がある場合、全行同時にリスケすべきですか?
はい、原則として全金融機関に同日一斉申請が鉄則です。特定の金融機関だけ返済を続けていると、他の金融機関から「不公平だ」と強い反発を招き、交渉全体が破綻します。プロラタ(残高按分)原則に従い、全行に同じ減額率で申請してください。
経営者保証はリスケで外れますか?
原則として外れません。むしろリスケ中は経営者保証解除が困難になる傾向があります。ただし、経営者保証に関するガイドラインに基づく「一定の要件」(法人と経営者の資産分離・財務基盤の強化・適時適切な情報開示)を満たせば、正常化後に解除交渉が可能になります。
リスケしたら信用情報に傷がつきますか?
正式な条件変更契約によるリスケは、個人信用情報機関(CIC・JICC)への登録対象ではありません。ただし、金融機関内部の債務者区分は引き下げられるため、新規融資を受けにくくなる影響はあります。延滞や法的整理と異なり、信用情報への直接的な登録はないと考えて差し支えありません。
リスケ中の役員報酬はどうすべきですか?
リスケ中は役員報酬の減額が金融機関から求められるのが通常です。目安は前期比30〜50%減。ただし、役員報酬は法人税法の定期同額給与の論点があり、期中変更は原則として損金算入不可(臨時改定事由に該当する場合を除く)。認定支援機関・税理士と相談して適切なタイミングで変更してください。
リスケを選ばず民事再生を選ぶべきケースはありますか?
金融債務だけでなく取引債務も含めて債務整理が必要な場合、債権カットが不可欠な場合、早期に事業再生を図りたい場合などは民事再生が選択肢となります。ただし民事再生は社会的信用への影響が大きいため、まずはリスケ→中小企業活性化協議会→事業再生ADRの順で検討し、最後の選択肢として民事再生を検討するのが実務的です。
📋 この記事のポイント
- リスケは延命策ではなく事業再生の出発点。早期着手が成功の鍵
- 5つの危険信号(預金残高月商1ヶ月未満など)が出たら3〜6ヶ月前に認定支援機関へ相談
- 9ステップタイムライン(T−6ヶ月の相談開始〜T+36ヶ月の卒業)で全体設計
- 経営改善計画は80%基準で作成、期待値の80%を計画値として記載
- 資金繰り表の2パターン(リスケあり/なし)提示が交渉の決定打
- 複数行ある場合はプロラタ原則で全行同時一斉申請が鉄則
- 405事業で計画策定費用の2/3(上限200万円)が国から補助される
- 卒業条件は「2期連続黒字」「債務償還年数10年以内」「預金月商1ヶ月以上」の3つ
まとめ|リスケは再生の始まり、正しく使えば事業の未来が開ける
リスケジュールは「経営失敗の烙印」ではなく、金融庁も推奨する正式な事業再生手段です。早期着手・認定支援機関との連携・経営改善計画書の質・2パターン資金繰り表の提示・プロラタ原則の遵守、この5つが揃えば、多くの中小企業が2〜3年で正常化卒業を実現しています。
リスケを検討する段階では、先に借入金の返済計画の立て方で返済計画の全体像を確認し、債務超過に陥っている場合は債務超過の判定と解消方法も参照してください。資金調達全体の戦略については中小企業の資金調達完全ガイドで体系的に解説しています。
自社の状況がリスケに踏み切るべき段階かどうかの見極めには、早期の専門家相談が不可欠です。認定経営革新等支援機関として数多くの経営改善計画策定を手がけてきた鮎澤パートナーズが、金融機関交渉から計画策定・モニタリングまで一貫してサポートします。
AYUSAWA PARTNERS
リスケジュール・経営改善計画のご相談は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。認定経営革新等支援機関として405事業を活用した計画策定と金融機関交渉同席まで一貫対応。公認会計士・税理士・社労士・行政書士の4士業ワンストップで中小企業の事業再生を支援します。
鮎澤パートナーズに相談する