公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
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借入金の返済計画の立て方|元金均等 vs 元利均等の選び方と据置期間の活用法
「借入金の返済計画を自分で立てたいけれど、元金均等と元利均等のどちらを選ぶべきか迷っている」経営者に向けて、両方式の総返済額シミュレーション・据置期間の判断基準・会計処理・借り換えの実務までを完全ガイドします。この記事を読めば、債務償還年数10年以内を守る返済計画を自力で設計できるようになります。


借入金の返済計画の立て方|元金均等 vs 元利均等の選び方と据置期間の活用法
「借入金の返済計画を自分で立てたいけれど、元金均等と元利均等のどちらを選ぶべきか迷っている」経営者に向けて、両方式の総返済額シミュレーション・据置期間の判断基準・会計処理・借り換えの実務までを完全ガイドします。この記事を読めば、債務償還年数10年以内を守る返済計画を自力で設計できるようになります。
🏆 結論:返済計画の核心は「債務償還年数10年以内」と「据置期間の戦略設定」
借入金の返済計画を立てる際、最も重要なのは「年間返済額が簡易CF(当期純利益+減価償却費)の範囲内に収まること」です。債務償還年数10年を超える計画は金融機関から「過剰債務」と見なされ、追加融資が困難になります。元金均等・元利均等の選択と据置期間の設定は、この10年の制約の中で最適化するものです。
結論から言えば、借入金の返済計画とは「借入金をいつ・いくらずつ・どの方式で返済するか」を事前に設計し、自社のキャッシュフローで無理なく完済できることを数字で確認する作業です。計画が甘いと、利益が出ていても資金繰りが詰まり黒字倒産を招きます。
実務では、年間100社以上の融資支援を担当してきた経験上、初めての借入で最も多い失敗は「月額返済額だけを見て据置期間や返済方式を金融機関任せにする」ケースです。その結果、据置期間終了後に元金返済が始まった途端にキャッシュが足りなくなる事例を何度も見ています。
💡 実務のポイント
金融機関が最重視する指標は「債務償還年数」です。これは有利子負債÷簡易CF(当期純利益+減価償却費)で計算され、10年以内が健全水準とされています。返済計画を立てる際は、まずこの式を逆算し、「月額いくらまでなら無理なく返済できるか」を決めることから始めます。詳しくは金融機関が見る財務指標ベスト5も参照してください。
借入金は返済期限により3つに区分されます。貸借対照表上の表示場所と勘定科目が異なるため、会計処理の基本を押さえておく必要があります。これは会社計算規則第74条・第75条に基づく区分表示の要請です。
| 区分 | 返済期限 | B/S表示 | 勘定科目 |
|---|---|---|---|
| 短期借入金 | 決算日から1年以内 | 流動負債 | 短期借入金 |
| 長期借入金 | 決算日から1年超 | 固定負債 | 長期借入金 |
| 1年内返済予定長期借入金 | 長期借入のうち1年以内返済部分 | 流動負債 | 1年内返済予定長期借入金 |
参考: e-Gov 会社計算規則第75条(負債の部の区分)
「ワンイヤールール」とは、決算日翌日から1年以内に返済期限が到来する長期借入金を、流動負債「1年内返済予定長期借入金」に振り替えるルールです。会社計算規則第75条第2項に基づく処理で、多くの中小企業経理で漏れやすいポイントです。
⚠️ 注意:組替を怠ると流動比率が過大表示に
長期借入金を組替せず固定負債に残したままだと、流動負債が過少計上され流動比率が実態より高く見えるため、財務諸表が正しく会社の安全性を表さなくなります。税務調査でも指摘対象となるため、決算整理の際に必ず「1年以内返済分」を長期借入金勘定から振り替える処理を実施してください。
| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 1,000万円を10年返済で借入 | 現金預金 10,000,000 | 長期借入金 10,000,000 |
| 月次返済(元金83,334円+利息) | 長期借入金 83,334 支払利息 ○○ | 現金預金 ○○ |
| 決算時のワンイヤールール組替 | 長期借入金 1,000,008 | 1年内返済予定長期借入金 1,000,008 |
📊 公認会計士の視点
支払利息は国税庁タックスアンサーNo.5760で定める通り、全額損金算入が認められます。ただし「役員借入金の金利が高すぎる」ケースは税務調査で否認されることがあります。目安は銀行借入金利+α程度。親族からの借入は無利息でも問題ありませんが、法人側で受贈益の論点が出るため注意が必要です。
結論から言えば、事業用借入なら原則として元金均等返済を選ぶべきです。総支払利息が少なく、日本政策金融公庫の新規開業資金でも標準採用されています。ただし月々の返済額を一定にしたい場合は元利均等も選択肢となります。
| 項目 | 元金均等返済 | 元利均等返済 |
|---|---|---|
| 返済方式 | 元金部分を毎月一定額で返済し、利息は残債に応じて発生 | 元金+利息の合計額が毎月一定 |
| 毎月返済額 | 当初が最も多く、徐々に減少 | 常に一定 |
| 総支払利息 | 少ない(有利) | 多い(不利) |
| 資金繰り | 当初の負担が重い | 計画が立てやすい |
| 事業用で主流 | ◎ 日本政策金融公庫標準 | △ 一部民間金融機関のみ |
| 適合する事業 | 売上が安定し当初負担に耐えられる企業 | 毎月定額で計画を立てたい企業 |
📐 シミュレーション前提条件
| 返済期間 | 方式 | 初回月額 | 最終月額 | 総支払利息 | 総返済額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5年 | 元金均等 | 183,333円 | 166,944円 | 508,333円 | 10,508,333円 |
| 元利均等 | 175,278円 | 175,278円 | 516,680円 | 10,516,680円 | |
| 10年 | 元金均等 | 99,999円 | 83,472円 | 1,008,333円 | 11,008,333円 |
| 元利均等 | 91,962円 | 91,962円 | 1,035,446円 | 11,035,446円 | |
| 20年 | 元金均等 | 58,333円 | 41,736円 | 2,008,333円 | 12,008,333円 |
| 元利均等 | 50,588円 | 50,588円 | 2,141,209円 | 12,141,209円 |
※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は日本政策金融公庫の返済シミュレーションまたは税理士にご相談ください。
🧮 元金均等と元利均等の差額
借入1,000万円・期間20年で比較すると、元金均等の方が元利均等より132,876円総返済額が少なくなります。長期・高額の借入ほど差が広がるため、事業資金では元金均等を選ぶのが合理的です。ただし当初の月額は元金均等の方が15%程度多いため、創業直後でキャッシュが薄い時期は「据置期間で当初負担を軽くする」手法を組み合わせると最適解になります。
| あなたの状況 | おすすめの方式 |
|---|---|
| 売上が安定・利益余力あり・総返済額を最小化したい | 元金均等 |
| 日本政策金融公庫から借入(標準方式) | 元金均等 |
| 毎月の返済額を一定にしてCF予測を容易にしたい | 元利均等 |
| 創業直後で当初のCFに余裕がない → 元金均等+据置期間の組合せ | 元金均等+据置 |
| 金融機関が元利均等しか選択肢として提示しない | 元利均等(選べないケースあり) |
据置期間とは、元金の返済を待ってもらい利息のみを支払う期間のことです。日本政策金融公庫の新規開業資金では据置期間2年以内、設備資金では据置期間5年以内が設定できます。中小企業庁の経営改善計画策定支援事業でも、計画作成時に据置期間の設定が支援対象となっています。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 当初の月額返済負担が大幅減(利息のみ) | 据置期間分だけ総支払利息が増える |
| 創業期・投資回収期の資金繰り安定化 | 据置期間中は返済実績が積めない |
| 投資→売上計上までのタイムラグを吸収 | 追加融資の審査で不利になる |
| 資金使途の計画変更に柔軟に対応 | 据置期間後に月額負担が増える反動 |
💡 実務のポイント:据置期間は「出口から逆算」
現場でよく見かける失敗は、据置期間を「最長まで設定しておけば安心」という発想で取るケースです。実際は、据置期間終了後の事業計画(売上・粗利・固定費)から逆算し、元金返済開始時点でCFが黒字化している見通しが立つ期間に設定するのが正解です。目安は「売上軌道化までの期間+3ヶ月」程度。
| 期間 | 月額(元金) | 月額(利息) | 月額合計 |
|---|---|---|---|
| 据置期間(1年目) | 0円 | 約16,666円 | 約16,666円 |
| 元金返済開始直後(2年目初) | 92,593円 | 約16,666円 | 約109,259円 |
| 返済終了直前(10年目最終) | 92,593円 | 約154円 | 約92,747円 |
⚠️ 注意:据置期間終了時の「断崖」に備える
上表の通り、据置期間終了直後は月額返済額が約7倍に跳ね上がります(16,666円→109,259円)。この「断崖」を越えられずリスケジュールに至る企業が後を絶ちません。据置期間を設定する場合は、終了の6ヶ月前から資金繰り表で対応可否を検証してください。詳しくは資金繰り表の作り方と運用術を参照。
AYUSAWA PARTNERS
返済計画・融資戦略のご相談は鮎澤パートナーズへ
公認会計士・税理士の代表が、記帳代行から決算・税務申告・年末調整まで一括で直接対応します。初回相談無料。
鮎澤パートナーズに相談する返済計画は以下の6ステップで作成します。売上予測から逆算して「無理のない月額返済額」を決めるのがコツです。
簡易CF=当期純利益+減価償却費で計算します。過去3期の平均値と直近1期の値を並べ、下限値を「年間返済可能額」の基礎とします。
必要運転資金=売上債権+棚卸資産−仕入債務、で計算。この額以下の借入は「健全借入」、これを超える借入は「返済原資に要注意」となります。
年間返済可能額=借入希望額÷10年。例えば1,000万円借りる場合、年間100万円(月83,333円)が元金返済の上限目安です。
ステップ3の返済可能額に収まる範囲で、元金均等・元利均等を選び、据置期間の要否を判断します。先述の「据置期間を設定すべき5ケース」を参照。
季節変動を反映した月次の売上・仕入・経費・返済を表にし、月末現預金が最低残高を下回らないか確認します。
金融機関に提出する事業計画書には、月次返済額の推移表・据置期間の根拠・返済原資(CF)の算出根拠を添付します。中小企業庁の経営改善計画策定支援事業では、この手順で計画書を作成することが推奨されています。
📊 公認会計士の視点:返済能力の3指標
返済計画を作る際は以下3指標を必ず算出します。①債務償還年数(有利子負債÷簡易CF、10年以内)、②借入金月商倍率(借入金÷月商、3倍以内)、③インタレスト・カバレッジ・レシオ(営業利益÷支払利息、2倍以上)。この3指標が基準内なら金融機関は融資継続に前向きです。詳しくは財務分析の23の重要指標一覧で解説しています。
借り換え(リファイナンス)とは、既存借入を一括返済し新たな借入に切り替える手法です。一本化は複数の借入を1本にまとめる借り換えの一種。金融庁の金融仲介機能の発揮施策では、借り換えによる資金繰り改善が支援対象となっています。
📐 シミュレーション前提条件
| 項目 | 借り換え前 | 借り換え後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 合計残高 | 1,000万円 | 1,000万円 | ±0 |
| 月額返済額合計(初回) | 約208,333円 | 約134,107円 | △74,226円 |
| 加重平均金利 | 2.25% | 1.8% | △0.45% |
| 総支払利息 | 約546,000円 | 約630,000円 | +84,000円 |
| 月額軽減による年間CF余力 | — | +890,712円 | CF改善 |
🧮 借り換えの本質
借り換えで総支払利息が増えるのは、返済期間を延ばすことで元金の滞留期間が伸びるためです。しかし月額返済額が約7万円軽減され、年間90万円近いCF余力が生まれれば、その資金を事業投資や運転資金に回せる経済的効果の方が大きいケースが多いです。「総利息」と「月次CF」の両面で検討するのが実務のコツです。
「据置期間は取れるだけ取る」という発想は、据置期間後の急激な返済額増加と、追加融資時の返済実績不足を招きます。必要最小限の設定が原則です。
月額が安く見えても期間が長ければ総支払利息は膨らみます。必ず総返済額で比較してください。
「借りられるだけ借りる」は危険。債務償還年数10年の制約で借入上限を自主的に決めることが経営の鉄則です。
長期借入では金利リスクより計画立案容易性の方が重要。固定金利で総返済額を確定させる方が中小企業には向きます。
実績と計画の乖離を四半期ごとにチェックし、10%以上の乖離が出たら計画再立案を検討してください。
返済が難しくなった場合、リスケジュール(返済条件変更)に陥る前に経営改善計画を作成することが重要です。中小企業庁の経営改善計画策定支援事業では、認定支援機関(税理士・公認会計士など)のサポートを受けて作成する経営改善計画に対し、策定費用の2/3(上限200万円)が補助されます。
📢 経営改善計画策定支援事業(405事業)
対象:金融支援を伴う本格的な経営改善に取り組む中小企業。支援内容:経営改善計画策定費用・モニタリング費用・金融機関交渉同席費用の2/3補助(上限200万円)。認定経営革新等支援機関として登録された税理士・公認会計士がサポートします。詳細は中小企業庁の公式ページをご参照ください。
🔷 社労士の視点:人件費の見直しと連動
返済計画の見直しでは、固定費の最大項目である人件費の検討も避けて通れません。解雇ではなく、助成金活用(キャリアアップ助成金・業務改善助成金)や就業規則見直しで人件費構造を改善する選択肢があります。金融機関への返済計画説明では、人件費削減策を同時に示すと説得力が増します。
支払利息は国税庁タックスアンサーNo.5760の通り、発生主義により期間按分して損金算入します。決算時に未払利息を計上し忘れるケースが散見されるため注意が必要です。
金融機関に支払う期限前返済違約金は「支払利息」ではなく「雑損失」または「支払手数料」で処理します。税理士法第2条の税務相談の範囲で判断が分かれる論点のため、個別には税理士に確認することをおすすめします。
役員からの借入は「役員借入金」として処理します。無利息・低利息でも原則として法人側に課税関係は生じませんが、金利を支払う場合は社会通念上相当な金利(銀行借入金利+α程度)に抑える必要があります。
📋 この記事のポイント
借入金の返済計画は、単なる返済スケジュール表ではなく、事業の健全性を映す鏡です。債務償還年数10年以内を維持し、元金均等・据置期間・借り換えを適切に使い分けることで、金融機関との良好な関係を保ちながら事業成長を実現できます。
返済計画に迷いが生じたときは、リスケジュールに陥る前に早めに専門家へ相談してください。詳細はリスケジュール(返済条件変更)の実務や債務超過の判定と解消方法も参照してください。資金調達全体像については中小企業の資金調達完全ガイドをご覧ください。
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