【税理士×行政書士が解説】納税証明書の種類と取得方法|融資・入札で必要な証明書一覧

監
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。
納税証明書の種類と取得方法|融資・入札で必要な証明書一覧
「融資の審査で納税証明書を求められたけど、どの種類を取ればいいの?」とお悩みの法人経営者・個人事業主に向けて、納税証明書6種類の違いと利用シーン別の逆引き表、e-Tax・窓口・郵送の取得方法を完全ガイドします。この記事を読めば、必要な証明書を迷わず最短で取得できます。
🏆 結論:利用シーンから必要な種類を逆引きする
国税の納税証明書は「その1」〜「その4」の6種類(その3の2・その3の3を含む)があり、融資・入札・許認可で求められる種類が異なります。法人が銀行融資を受ける場合は「その1」+「その3の3」の組み合わせが最も一般的です。取得方法はe-Taxが最安(370円/枚)・最速で、窓口は即日発行(400円/枚)、郵送は1〜2週間かかります。
納税証明書とは?基本的なしくみ
納税証明書の定義と役割
納税証明書とは、税金の納付状況や所得金額を税務署等が公的に証明する書類です。国税通則法第123条に基づき、納税者の請求により税務署長が交付します。
金融機関の融資審査、公共工事の入札参加資格審査、建設業許可の更新など、さまざまな場面で提出が求められます。「この会社(個人)は税金をきちんと納めているか」を第三者が確認するための公的証明書です。
納税証明書・課税証明書・所得証明書の違い
名前が似ている書類がいくつかありますが、それぞれ証明内容と発行元が異なります。提出先から「納税証明書」と指定されたのに「課税証明書」を持っていくと再取得が必要になるため、事前に確認してください。
| 書類名 |
証明内容 |
発行元 |
主な利用シーン |
| 納税証明書 | 税額の納付状況・未納の有無 | 税務署/都道府県/市区町村 | 融資・入札・許認可 |
| 課税証明書 | 課税額(住民税額等) | 市区町村 | 保育料算定・児童手当 |
| 所得証明書 | 1年間の所得金額 | 市区町村 | 扶養認定・年金手続き |
国税の納税証明書6種類の一覧【完全比較表】
国税の納税証明書は「その1」から「その4」まであり、「その3」にはさらに個人用(その3の2)と法人用(その3の3)の派生があります。合計6種類です。
| 種類 |
証明内容 |
対象税目 |
主な利用場面 |
| その1 | 納付すべき税額・納付済額・未納税額 | 法人税・所得税・消費税等(税目指定) | 融資審査・補助金申請 |
| その2 | 所得金額の証明 | 申告所得税(個人)/法人税(法人) | 融資審査・派遣事業更新 |
| その3 | 未納の税額がないことの証明 | 全ての国税 | 入札参加資格・建設業許可 |
| その3の2 | 所得税と消費税に未納がないことの証明 | 申告所得税+消費税(個人用) | 個人事業主の入札参加 |
| その3の3 | 法人税と消費税に未納がないことの証明 | 法人税+消費税(法人用) | 法人の融資・入札参加 |
| その4 | 滞納処分を受けたことがないことの証明 | − | 入札参加資格審査 |
参考: 国税庁「No.9208 納税証明書の請求」
💡 実務のポイント
融資の審査で「納税証明書を提出してください」と言われたとき、最も多い間違いが「その3」だけを取得して「その1」を忘れるケースです。金融機関は「未納がないこと(その3系)」だけでなく「いくら納税しているか(その1)」や「所得はいくらか(その2)」も確認します。必ず金融機関に「どの種類の、何年度分が必要か」を具体的に確認してから取得してください。
利用シーン別|必要な納税証明書の逆引き表
「あなたの目的はどれ?」以下の表で必要な証明書がすぐわかります。
| 利用シーン |
対象者 |
必要な国税の証明書 |
地方税の証明書 |
年度数の目安 |
| 銀行融資(法人) | 法人 | その1+その2+その3の3 | 法人住民税・事業税の納税証明書 | 直近3年分 |
| 銀行融資(個人事業主) | 個人 | その1+その2+その3の2 | 住民税の納税証明書 | 直近3年分 |
| 住宅ローン | 個人 | その1+その2 | 住民税の課税・納税証明書 | 直近2〜3年分 |
| 公共工事入札 | 法人/個人 | その3の3(法人)/その3の2(個人)+その4 | 法人住民税・事業税の納税証明書 | 直近1年分 |
| 建設業許可(新規・更新) | 法人/個人 | その3の3(法人)/その3の2(個人) | 都道府県による | 直近1年分 |
| 派遣事業許可更新 | 法人 | その2 | − | 直近3年分 |
| 補助金・助成金申請 | 法人/個人 | その1またはその3系 | 制度による | 直近1年分 |
| 自動車の車検 | 個人/法人 | −(国税ではない) | 自動車税の納税証明書 | 当年度分 |
📝 行政書士の視点
建設業許可の申請では、国税だけでなく都道府県税(事業税)の納税証明書も必要です。また、自治体ごとに求められる証明書が微妙に異なる場合があるため、申請窓口に事前確認することをおすすめします。年間数十件の許認可申請を支援していますが、「この県では必要だがあの県では不要」というケースが実際にあります。
納税証明書の取得方法【3つの方法を比較】
取得方法の比較表
| 比較項目 |
e-Tax(オンライン) |
税務署窓口 |
郵送 |
| 手数料 | 370円/枚 | 400円/枚 | 400円/枚+切手代 |
| 手数料の支払方法 | インターネットバンキング/ペイジー | 収入印紙/現金 | 収入印紙(消印しない) |
| 所要時間 | 電子ファイルなら即日〜数日 | 即日(混雑時30分〜1時間待ち) | 1〜2週間 |
| 受取方法 | 電子ファイル/郵送/窓口 | 窓口で手渡し | 郵送で返送 |
| 必要なもの | マイナンバーカード+ICカードリーダー(or スマホ) | 本人確認書類+収入印紙 | 交付請求書+収入印紙+返信用封筒 |
| 代理人の請求 | 電子委任状が必要 | 委任状+代理人の本人確認書類 | 委任状+代理人の本人確認書類 |
⭐ おすすめは「e-Tax」
【方法1】e-Tax(オンライン)で請求する手順
e-Taxでの請求は最もコストが低く、オフィスから出ずに手続きが完了するため、法人には特におすすめです。
必要なもの: マイナンバーカード(法人の場合は法人の電子証明書)、ICカードリーダーまたは対応スマートフォン
手順:
- e-Taxソフト(WEB版)にログイン(個人用/法人用を選択)
- 「納税証明書の交付請求」を選択
- 証明書の種類(その1〜その4)、税目、年度を指定
- 受取方法を選択(電子ファイル/郵送/窓口)
- 電子署名を付与して送信
- 手数料をインターネットバンキング等で納付
💡 実務のポイント
e-Taxで電子ファイル(PDF/XML)として受け取る場合、提出先がその形式を受け入れている必要があります。金融機関によっては「紙の原本」を求める場合があるため、受取方法を選ぶ前に提出先に確認してください。なお、電子ファイルで受け取る場合は何枚発行しても1件分(370円)の手数料です。
【方法2】税務署窓口で請求する手順
急いでいる場合は、税務署窓口での即日発行が確実です。
必要なもの:
- 納税証明書交付請求書(国税庁HPからダウンロード or 窓口で入手)
- 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証等)
- 収入印紙または現金(手数料分)
- 代理人の場合:委任状+代理人の本人確認書類
【方法3】郵送で請求する手順
平日に税務署に行けない場合は郵送で請求できます。以下を納税地の所轄税務署宛てに送付します。
- 記入済みの納税証明書交付請求書
- 手数料分の収入印紙(消印しない)
- 本人確認書類のコピー
- 切手を貼った返信用封筒
⚠️ 注意
郵送の場合、返送先は原則として納税者本人(法人の場合は法人の住所)に限られます。税理士事務所や代理人の住所への郵送は、委任状があっても認められない場合があるため注意してください。
AYUSAWA PARTNERS
納税証明書の取得・融資申請のサポートは鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。税理士・行政書士がワンストップで対応。融資審査に必要な書類の準備から申請手続きまでサポートします。
鮎澤パートナーズに相談する
手数料の計算方法と支払いルール
手数料の計算式
| 証明書の種類 |
書面(窓口・郵送) |
e-Tax(オンライン) |
| その1・その2 | 税目数 × 年度数 × 枚数 × 400円 | 税目数 × 年度数 × 枚数 × 370円 |
| その3・その3の2・その3の3・その4 | 枚数 × 400円 | 枚数 × 370円 |
🧮 シミュレーション:法人融資で必要な手数料
法人が銀行融資のために「その1(法人税・3年分)」+「その2(法人税・3年分)」+「その3の3(1枚)」を窓口で取得する場合:その1=1税目×3年×1枚×400円=1,200円、その2=1税目×3年×1枚×400円=1,200円、その3の3=1枚×400円=400円。合計2,800円です。e-Taxなら合計2,590円になります。
国税・地方税の納税証明書を一覧で比較
納税証明書は国税だけでなく、都道府県税(事業税等)や市区町村税(住民税等)の証明書も必要になる場合があります。請求先と手数料が異なるため、混同しないようにしましょう。
| 区分 |
対象税目 |
請求先 |
手数料(1通) |
支払方法 |
| 国税 | 法人税・所得税・消費税等 | 所轄税務署 | 400円(e-Tax 370円) | 収入印紙/現金/電子納付 |
| 都道府県税 | 法人事業税・法人住民税(都道府県分) | 都道府県税事務所 | 400円(自治体により異なる) | 収入証紙/現金(収入印紙不可) |
| 市区町村税 | 住民税・固定資産税等 | 市区町村の税務課 | 300〜400円(自治体による) | 現金/定額小為替 |
💡 実務のポイント
都道府県税の手数料は「収入印紙」ではなく「収入証紙」で支払う自治体が多い点に注意してください。間違えて収入印紙を持参すると使えません。また、引っ越し(本店移転)をした場合、国税は移転先の税務署で過去分も取得できますが、住民税は1月1日時点の住所地の市区町村に請求する必要があります。
納税証明書が発行されない場合の原因と対処法
発行不可の主な原因
| 原因 |
影響を受ける証明書 |
対処法 |
| 確定申告直後(データ未反映) | 全種類 | 申告から2〜3週間待つ。急ぐ場合は窓口で納付書控えを持参 |
| 税金の未納・滞納がある | その3系 | 未納税額を完納する。猶予中は猶予期限内分のみ「未納なし」扱い |
| 納付直後(納付データ未反映) | 全種類 | 窓口に納付書の領収証書を持参すれば即日発行可能 |
| 確定申告をしていない | その1・その2 | 先に確定申告を行う |
| 管轄外の税務署に請求 | 全種類 | 納税地を所轄する税務署に請求し直す |
⚠️ 融資審査への影響
「その3」系の証明書が取得できない=未納税額があるということであり、融資審査ではほぼ確実にマイナス評価になります。融資申込みの前に必ず全ての税金が完納されているか確認してください。延滞税が残っている場合も「未納あり」と判定されます。猶予制度を利用中の場合は、猶予を受けている税額は猶予期限内であれば「未納税額」に含まれませんが、金融機関が猶予中の事実をどう評価するかは別問題です。
滞納がある場合の対処法については「滞納処分の流れ|督促から差押え・換価・配当までの手続き」、猶予制度については「納税が困難なときの対処法|納税の猶予・換価の猶予制度を完全解説」をご参照ください。
納税証明書の請求時に注意すべきポイント
年度の指定ルール
納税証明書で指定する「年度」は税目によって異なります。間違えると再請求が必要になるため、以下を確認してください。
| 税目 |
年度の指定方法 |
例 |
| 申告所得税 | 年分(暦年) | 令和7年分 |
| 法人税 | 事業年度 | 自 令和7年4月1日 至 令和8年3月31日 |
| 消費税 | 課税期間 | 自 令和7年4月1日 至 令和8年3月31日 |
請求可能な年度の範囲
原則として、直前の年分(事業年度・課税期間)から3年前まで遡って請求できます。それ以前の年度分が必要な場合は、税務署に個別相談が必要です。
QRコード付き納税証明書の確認方法
書面で交付された納税証明書にはQRコードが印刷されており、国税庁の「QRコード付納税証明書確認コーナー」からPDFをアップロードすることで、記載内容の真正性を確認できます。提出先がこの仕組みを利用すれば、偽造のリスクを排除できます。
加算税・延滞税と納税証明書の関係
加算税や延滞税も「国税」であり、未納があれば「その3」系の証明書は発行されません。本税を完納していても、延滞税や加算税の未納が残っていると「未納あり」と判定されるため注意が必要です。
加算税の種類と計算方法については「加算税の種類と税率を完全解説|過少申告・無申告・不納付・重加算税の全体像」で詳しく解説しています。
💡 実務のポイント
融資申込みの直前に修正申告をした場合、本税は納付しても延滞税の決定通知がまだ届いていないことがあります。この場合、延滞税が確定するまで「その3」が発行されない可能性があります。修正申告と融資申込みのタイミングが近い場合は、税理士に相談して延滞税の概算額も含めた事前対策を行いましょう。
よくある質問(FAQ)
納税証明書はコンビニで取得できますか?
e-Taxで請求して「コンビニ交付」を選択すれば、コンビニのマルチコピー機で受け取ることができます。ただし、利用にはマイナンバーカードと電子署名の付与が必要です。すべての納税証明書がコンビニ交付に対応しているわけではないため、e-Taxの画面で確認してください。
法人の納税証明書は誰が請求できますか?
法人の代表者が請求するのが原則です。代理人(経理担当者・税理士等)が請求する場合は、代表者からの委任状と代理人の本人確認書類が必要です。e-Taxの場合は電子委任状の事前登録が必要になります。
確定申告直後に納税証明書が必要な場合はどうすればいいですか?
申告データが税務署のシステムに反映されるまで通常2〜3週間かかります。急ぎの場合は、確定申告書の控え(受付印あり)と納付書の領収証書を持参して税務署窓口に相談してください。領収証書を提示すれば、データ反映前でも発行してもらえる場合があります。
「その3」と「その3の3」はどう違いますか?
「その3」は全ての国税に未納がないことの証明で、「その3の3」は法人税と消費税に限定した未納なし証明(法人用)です。融資や入札で「法人税と消費税の未納なし」が条件の場合は「その3の3」で足ります。全税目の未納なしが必要な場合は「その3」を請求してください。
収入印紙に消印を押してしまいました。使えますか?
消印を押した収入印紙は無効です。新しい収入印紙を用意する必要があります。窓口で現金払いにすれば収入印紙は不要です。消印済み収入印紙の交換や還付は原則としてできません。
納税の猶予を受けている場合、「その3」は発行されますか?
納税の猶予または換価の猶予を受けている税額は、猶予期限内であれば「未納税額」に含まれないため、「その3」系の証明書は発行可能です。ただし、猶予の条件を守っていない場合(分割納付の不履行等)は猶予が取り消され、未納として扱われます。
納税証明書の有効期限はありますか?
納税証明書自体に法的な有効期限はありません。ただし、提出先(金融機関・自治体等)が「発行から3ヶ月以内」「発行から6ヶ月以内」等の期限を独自に設定していることが一般的です。提出先に確認したうえで、なるべく直近に発行されたものを提出しましょう。
まとめ
📋 この記事のポイント
- 国税の納税証明書は6種類(その1〜その4、その3の2、その3の3)。利用シーンに応じて正しい種類を選ぶ
- 法人融資では「その1+その2+その3の3」の3種類セットが一般的
- 取得方法はe-Tax(370円/枚・最安)、窓口(400円/枚・即日)、郵送(400円/枚・1〜2週間)の3択
- 都道府県税・市区町村税の証明書は請求先・手数料が異なるため別途取得が必要
- 確定申告直後はデータ反映に2〜3週間かかる。急ぎの場合は領収証書を持参して窓口へ
- 未納税額(延滞税含む)があると「その3」系は発行されない。融資前に完納を確認する
融資申込みや許認可申請に必要な納税証明書の取得でお困りの方は、お気軽にご相談ください。鮎澤パートナーズでは、税務申告から納税証明書の取得、融資申請のサポートまでワンストップで対応しています。
AYUSAWA PARTNERS
納税証明書・融資のご相談は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。税理士・行政書士がワンストップで対応。必要書類の準備から融資審査のサポートまでお任せください。
鮎澤パートナーズに相談する