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「自分の業種は個人事業税がかかるの?」と気になっている個人事業主に向けて、非課税業種15種の完全一覧・開業届の職業欄の書き方・経費算入の仕訳方法を解説します。この記事を読めば、自分が非課税に該当するかを判断し、正しく手続きできます。


「自分の業種は個人事業税がかかるの?」と気になっている個人事業主に向けて、非課税業種15種の完全一覧・開業届の職業欄の書き方・経費算入の仕訳方法を解説します。この記事を読めば、自分が非課税に該当するかを判断し、正しく手続きできます。
🏆 結論:法定70業種に該当しなければ個人事業税はかからない
個人事業税は地方税法で定められた70の「法定業種」にのみ課税されます。文筆業・漫画家・プログラマー・翻訳業・スポーツ選手・農業などは法定業種に含まれず、事業所得がいくら高くても個人事業税は非課税です。ただし、実際の業務内容が「請負業」や「デザイン業」と判断されると課税される可能性があるため、開業届の職業欄の書き方と契約形態に注意が必要です。
個人事業税が非課税となる業種とは、地方税法第72条の2で定められた「法定業種」70種に該当しない事業のことです。法定業種に含まれなければ、所得金額にかかわらず個人事業税は一切かかりません。
個人事業税が課税されるかどうかは、以下の2つの条件を両方満たした場合に限られます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 条件① | 法定業種70種のいずれかに該当する事業を営んでいる |
| 条件② | 事業所得(青色申告特別控除前)が290万円(事業主控除)を超えている |
つまり、法定業種に該当しない業種であれば、条件①を満たさないため、年間所得が1,000万円でも5,000万円でも個人事業税は非課税です。
💡 実務のポイント
実務では、非課税業種のはずなのに個人事業税の納付書が届くケースが年に数件あります。原因の多くは開業届の「職業」欄の書き方にあります。たとえば、プログラマーなのに「IT業」と書いたために「コンサルタント業」と判定されたケースがありました。後述する「開業届の職業欄の書き方」を参考にしてください。
法定業種70種に含まれない代表的な非課税業種を、「課税されるリスク」と「安全な開業届の書き方」の3軸でまとめました。
| 非課税業種 | 課税リスク | 安全な職業欄の記載例 |
|---|---|---|
| 文筆業(作家・小説家・ライター) | 低:請負契約だと「請負業」認定の可能性 | 「文筆業」「著述業」 |
| 漫画家 | 中:イラスト制作がメインだと「デザイン業」認定リスク | 「漫画家」 |
| 画家・彫刻家 | 中:受注制作がメインだと「デザイン業」認定リスク | 「画家」「造形美術家」 |
| 音楽家(作曲・作詞・演奏) | 低:コンサート主催は「演劇興行業」に該当 | 「音楽家」「作曲家」 |
| プログラマー・SE | 高:請負契約だと「請負業」認定リスク大 | 「プログラマー」「システムエンジニア」 |
| 翻訳・通訳 | 低 | 「翻訳業」「通訳業」 |
| スポーツ選手 | 低 | 「プロスポーツ選手」 |
| 芸能人・俳優 | 低:雇用契約なら個人事業主に非該当 | 「芸能人」「俳優」 |
| 農業 | 低 | 「農業」 |
| 林業(造林〜伐採) | 中:伐採のみは対象外にならない | 「林業」 |
| 声優・ナレーター | 低 | 「声優」「ナレーター」 |
| YouTuber(動画配信) | 高:広告代理業やコンサル業と判定されるリスク | 「動画制作業」「映像クリエイター」 |
| Webライター | 中:請負契約だと課税リスク | 「文筆業」「Webライター」 |
| 社会保険診療の医師 | 低:自由診療部分は課税 | 「医師」(社会保険診療分のみ非課税) |
| 漁業(自家労力主体) | 低:雇用者が多いと水産業に該当 | 「漁業」 |
参考: 東京都主税局「個人事業税」
⚠️ 注意:業種名ではなく「実態」で判断される
都道府県税事務所は開業届の職業名だけでなく、確定申告書や収支内訳書の「業種欄」「取引内容」を見て業種を判定します。たとえば、プログラマーと名乗っていても、SES契約ではなく成果物の完成を約束する請負契約で仕事をしていれば「請負業(第1種・5%)」と判定される可能性があります。
非課税業種のうち、課税リスクが「中」「高」の業種については、以下のフローで自分のケースを判定してください。
| 判定項目 | 非課税 | 課税リスクあり |
|---|---|---|
| 契約形態 | 準委任契約・業務委託(時間報酬型) | 請負契約(成果物納品型) |
| 報酬の決め方 | 稼働時間×単価 | 成果物完成で一括支払い |
| 瑕疵担保責任 | なし | あり(バグ修正義務) |
| 判定結果 | 非課税の可能性が高い | 請負業として課税される可能性 |
漫画の原稿やオリジナル作品の制作が主たる業務であれば非課税です。ただし、クライアントの指示に基づくロゴデザインやWebデザインの受注が売上の大半を占める場合は「デザイン業(第3種・5%)」と判定されるリスクがあります。
YouTuberは比較的新しい職業であり、都道府県によって判断が分かれています。広告収入が主であれば非課税の可能性が高いですが、企業案件(PR動画の制作請負)が売上の中心になると「請負業」や「広告業」に該当する可能性があります。
💡 実務のポイント
現場で最も多い相談が「フリーランスエンジニアの課税リスク」です。SES(客先常駐)で準委任契約なら非課税ですが、Webサイト制作を丸ごと請け負う場合は要注意です。複数の契約形態が混在する場合は、主たる収入がどの契約形態かで判断されます。管轄の都道府県税事務所に事前確認することをおすすめします。
開業届や確定申告書の「職業」欄は、都道府県税事務所が個人事業税の課税・非課税を判断する重要な情報です。記載の仕方一つで課税されるか非課税になるかが変わる場合があります。
| 業種 | ✅ OK(非課税になりやすい) | ❌ NG(課税リスクあり) |
|---|---|---|
| プログラマー | プログラマー、システムエンジニア | IT業、情報サービス業、Web制作業 |
| ライター | 文筆業、著述業 | 編集業、コンテンツ制作業 |
| 漫画家 | 漫画家 | イラストレーター、デザイナー |
| 翻訳者 | 翻訳業 | 語学サービス業 |
| YouTuber | 映像制作業、動画クリエイター | 広告業、コンサルタント業 |
⚠️ 注意
開業届の職業欄を変更したい場合は、新しい開業届を提出し直すことで修正できます。税務署に「訂正」ではなく「新規提出」として出せば受理されます。ただし、過去に課税された分を遡って非課税にすることはできないため、できるだけ最初から適切な職業名を記載しましょう。
個人事業税の基本的な計算方法や法定業種70種の全リストについては、「個人事業税とは?計算方法・税率・事業主控除290万円を完全解説」で詳しく解説しています。
非課税業種の個人事業主は、確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」欄に非課税であることを記入する必要があります。この記載を忘れると、税事務所が課税対象と誤認して納付書を送ってくるケースがあります。
確定申告書第二表には「非課税所得など」として番号を記入する欄があります。主な番号区分は以下のとおりです。
| 番号 | 対象 | 該当する業種例 |
|---|---|---|
| 1 | 畜産業のうち非課税となるもの | 自家労力主体の畜産業 |
| 2 | 水産業のうち非課税となるもの | 自家労力主体の漁業 |
| 3 | 薪炭製造業のうち非課税となるもの | 薪炭製造業 |
| 4 | 医業に類する事業のうち非課税 | あんま・はり・きゅう等 |
| 5 | 装蹄師業のうち非課税 | 装蹄師 |
| 10 | 上記以外の非課税所得 | 文筆業・漫画家・プログラマー・翻訳業・音楽家・農業等 |
ほとんどの非課税業種の方は「10」を選択し、所得金額を記入します。
💡 実務のポイント
確定申告書のこの欄を空欄にしたまま提出してしまうケースは非常に多いです。空欄だと都道府県税事務所は「法定業種に該当する」と推定して納付書を発送することがあります。申告時に必ず「10」と所得金額を記入してください。e-Taxで電子申告する場合も同様に入力欄があります。
参考: 国税庁「確定申告書の記載要領」
個人事業税は賦課課税方式(都道府県が税額を計算して通知する方式)を採用しており、自分で計算して申告する必要はありません。確定申告の内容をもとに都道府県税事務所が税額を算出し、納付書を郵送します。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2月16日〜3月15日 | 所得税の確定申告(個人事業税の申告も兼ねる) |
| 8月頃 | 都道府県税事務所から納付書が届く(第1期) |
| 8月31日 | 第1期の納付期限 |
| 11月頃 | 第2期の納付書が届く |
| 11月30日 | 第2期の納付期限 |
税額が1万円以下の場合は、8月に一括で納付します。
個人事業税は所得税や住民税と異なり、全額を必要経費として計上できます。勘定科目は「租税公課(そぜいこうか)」を使います。これは個人事業税が「事業を行うための行政サービスの対価」という性格を持つためです。
| 税金 | 経費計上 | 勘定科目 |
|---|---|---|
| 個人事業税 | ○ できる | 租税公課 |
| 固定資産税(事業用) | ○ できる | 租税公課 |
| 印紙税 | ○ できる | 租税公課 |
| 自動車税(事業用) | ○ できる(按分必要) | 租税公課 |
| 所得税 | ✗ できない | 事業主貸 |
| 住民税 | ✗ できない | 事業主貸 |
| 国民健康保険料 | ✗ できない(所得控除で対応) | 事業主貸 |
| 延滞税・加算税 | ✗ できない | 事業主貸 |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 55,000 | 普通預金 | 55,000 |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 55,000 | 事業主借 | 55,000 |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 55,000 | 現金 | 55,000 |
💡 実務のポイント
個人事業税の経費算入のタイミングは「納付した年」です。たとえば令和7年分の所得に対する個人事業税は、令和8年8月と11月に納付するため、令和8年分の経費として計上します。令和7年分の経費にはできない点に注意してください。消費税区分は「不課税(対象外)」です。
なお、この記事では「非課税業種」と「経費算入」に焦点を当てていますが、個人事業税を含む税金の全体像については「加算税の全体像を完全解説」もあわせてご覧ください。
個人事業を廃業した年には、通常の経費算入タイミング(翌年の納付時)ではなく、廃業年の経費として「見込控除」を計上できる特例があります。
廃業した翌年には事業所得がないため、通常のルールでは個人事業税を経費にできなくなります。そこで、廃業年に翌年の個人事業税額を「見込み」で計算し、未払計上することが認められています。
🧮 シミュレーション:廃業年の見込控除
例:12月31日に廃業。事業所得500万円(青色65万円控除前=565万円)、第1種事業(税率5%)の場合
見込み事業税=(565万円 − 290万円)× 5% = 13万7,500円
この13万7,500円を廃業年(=当年)の租税公課として経費計上できます。廃業後1ヶ月以内に事業税の申告と納税を行ってください。
非課税業種にもかかわらず個人事業税の納付書が届くケースがあります。慌てて納付する前に、以下の手順で対処しましょう。
| ステップ | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① | 管轄の都道府県税事務所に電話 | 納付書に記載の連絡先に問い合わせ |
| ② | 自分の業務内容と契約形態を説明 | 契約書や業務委託契約書を手元に用意 |
| ③ | 法定業種に該当しない旨を主張 | 開業届の職業欄のコピーがあると有効 |
| ④ | 非課税と認められた場合、課税取消 | 口頭で認められることが多い |
| ⑤ | 既に納付済みなら還付請求 | 5年以内であれば遡って還付可能 |
⚠️ 注意
納付期限を過ぎると延滞金が発生します。「非課税のはず」と思っても、まずは納付期限までに管轄の税事務所に連絡してください。相談中であれば通常は延滞金の発生を猶予してもらえます。
法定業種に該当する場合でも、個人事業税を合法的に節税する方法があります。事業所得300万・500万・800万円の3パターンで、節税効果を確認しましょう。
📐 シミュレーション前提条件
| 項目 | 事業所得300万円 | 事業所得500万円 | 事業所得800万円 |
|---|---|---|---|
| 青色控除前の所得 | 365万円 | 565万円 | 865万円 |
| 事業主控除 | ▲290万円 | ▲290万円 | ▲290万円 |
| 課税所得 | 75万円 | 275万円 | 575万円 |
| 個人事業税(5%) | 37,500円 | 137,500円 | 287,500円 |
| 経費算入による所得税節税効果※ | 約3,750円 | 約27,500円 | 約66,125円 |
※経費算入の所得税節税効果は概算です。所得税率(事業所得300万円=10%、500万円=20%、800万円=23%)を適用した目安です。個別の状況により異なります。
📊 公認会計士の視点
個人事業税は経費になるため、翌年の所得税・住民税が減少する「二重の節税効果」があります。とくに所得が高い方ほど効果が大きく、事業所得800万円で個人事業税28万7,500円を経費にすると、所得税23%+住民税10%で約9万5,000円の税負担軽減が見込めます。
📋 この記事のポイント
個人事業税の基本的な計算方法や法定業種70種の全リストは、「個人事業税とは?計算方法・税率・事業主控除290万円を完全解説」をご覧ください。