公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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法人で古物商許可を取得する経営者に向けて、定款の目的記載、役員全員分の書類準備、取得後の帳簿3年保存義務、本人確認義務、令和7年10月の対象品目追加までを行政書士が完全ガイドします。この記事を読めば、法人申請の特有ポイントと許可取得後の実務運用が理解できます。


法人で古物商許可を取得する経営者に向けて、定款の目的記載、役員全員分の書類準備、取得後の帳簿3年保存義務、本人確認義務、令和7年10月の対象品目追加までを行政書士が完全ガイドします。この記事を読めば、法人申請の特有ポイントと許可取得後の実務運用が理解できます。
🏆 結論:法人申請は「定款記載+役員全員分書類」が要、取得後は「帳簿3年保存+本人確認」が永続義務
法人の古物商許可は、定款の目的に古物営業関連文言の記載が実質的に必須で、なければ定款変更が必要です。役員・監査役全員の住民票・身分証明書・略歴書・誓約書を揃える必要があり、個人申請より書類数が3〜10倍になります。取得後は、1万円以上の買取時の本人確認と帳簿への取引記録(3年保存)の防犯三大義務が永続的に課され、違反すると営業停止・許可取消の対象になります。
法人で古物商許可を取得する場合、個人申請と比べて書類の種類・分量・準備期間が大きく異なります。最大の違いは、役員全員が欠格事由の審査対象になる点と、定款の目的欄に古物営業関連の記載が必要な点です。e-Govの古物営業法に基づき、警察署が会社全体の適格性を審査します。
| 項目 | 個人申請 | 法人申請 |
|---|---|---|
| 手数料 | 19,000円 | 19,000円(同額) |
| 審査期間 | 約40日 | 約40〜60日(役員数で変動) |
| 書類種類 | 5〜7種類 | 8〜12種類 |
| 欠格事由審査対象 | 申請者と管理者 | 役員全員+監査役+管理者 |
| 定款要件 | 不要 | 目的に古物営業の記載が必須 |
| 行政書士報酬相場 | 4〜8万円 | 8〜15万円 |
| 準備期間の目安 | 2〜3週間 | 3〜5週間 |
💡 実務のポイント
役員5名の法人の場合、書類収集のボリュームは個人申請の5倍以上になります。特に監査役は古物商業務に関与していなくても書類提出が必須で、実務で最も見落としやすい論点です。顧問税理士・公認会計士からの紹介で法人古物商の申請支援を受けた際、監査役の住民票取得を失念して受理拒否となり、再申請で2週間遅延したケースがありました。役員の本籍地が全国に分散する法人は、3週間前から郵送請求で書類を集める必要があります。
法人で古物商許可を取得するには、会社の定款の「事業の目的」欄に古物営業を行う旨の記載が必要です。記載がない場合、警察署から「会社の事業範囲に古物営業が含まれていない」と判断され、申請が受理されない可能性があります。
| 事業内容 | 定款記載例 |
|---|---|
| リサイクルショップ全般 | 古物営業法に基づく古物商 |
| 中古家電販売 | 中古家電製品の売買及びリサイクル事業 |
| ブランド品買取 | 古物(ブランド品・貴金属)の売買及び買取業 |
| 中古車販売 | 中古自動車・自動二輪車の売買及び輸出入業 |
| 古書店 | 古本の売買及び古書籍の販売事業 |
| ネット中古販売 | インターネットによる古物の売買及び輸出入業 |
既存法人で定款に古物営業関連の記載がない場合、以下の3つの選択肢があります。
⚠️ 警察署ごとの運用の違い
定款目的欄に古物営業の記載がなくても、「中古品販売」「リサイクル事業」等の関連文言があれば受理する警察署と、明確に「古物」「古物営業」の文言がないと受理しない警察署があります。警視庁管内は後者の運用が厳格で、定款変更を求められるケースが多い一方、地方都市の警察署では弾力的運用も見られます。必ず事前相談で確認してください。
| 書類 | 取得先 | 費用 | 有効期限 |
|---|---|---|---|
| 古物商許可申請書 | 警察署HP | 無料 | - |
| 法人の登記事項証明書 | 法務局 | 600円/通 | 3か月以内 |
| 定款の写し(原本証明付) | 自社保管 | 無料 | 最新版 |
| 営業所の賃貸借契約書・使用承諾書 | 大家/管理会社 | 無料 | - |
| URL使用権疎明資料(ネット販売時) | 契約書類 | 無料 | - |
法人の役員全員(取締役・代表取締役・監査役)について、以下の書類を揃える必要があります。役員が5名の場合、これらの書類が5人分必要です。
| 書類 | 取得先 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 略歴書(最近5年) | 自作 | 30分/人 |
| 本籍記載の住民票の写し | 住所地役場 | 即日〜1週間 |
| 身分証明書(本籍地発行) | 本籍地役場 | 即日〜2週間 |
| 誓約書 | 自作 | 10分/人 |
営業所ごとに1名以上の管理者を置く必要があります。管理者は役員と兼任可能ですが、営業所ごとに別々の管理者を置く場合はその人数分の書類が追加で必要です。
法人の古物商許可では、役員全員が古物営業法第4条の欠格事由に該当しないかが審査されます。1人でも該当すれば、法人全体としての許可が受けられません。
| 欠格事由 | 内容 |
|---|---|
| 破産者で復権未了 | 破産手続開始決定後、復権を得るまで |
| 拘禁刑以上の刑罰5年以内 | 執行終了または執行免除の日から5年 |
| 特定犯罪の罰金刑5年以内 | 古物営業法・背任罪・遺失物横領罪等 |
| 暴力団員・脱退後5年以内 | 現役または脱退後5年以内 |
| 住居不定 | 住居が定まっていない |
| 古物商許可取消後5年以内 | 他法人での取消処分も対象 |
| 成年被後見人・被保佐人 | 心身の故障で適切遂行不可 |
⚠️ 監査役の欠格事由にも要注意
監査役は取締役会の監督役であり、古物営業の業務執行には関与しませんが、古物営業法上の欠格事由審査対象です。実務では、会社設立時に友人・親族を形式的に監査役に入れている法人で、監査役の過去の破産履歴により申請が通らないケースがあります。申請前に必ず全役員・監査役の経歴を確認してください。
古物商許可を取得した事業者には、古物営業法で定められた「防犯三大義務」が永続的に課されます。これは個人・法人を問わず同じです。
古物を1万円以上で買い受ける場合、相手方の氏名・住所・職業・年齢を確認する義務があります。対面取引と非対面取引で確認方法が異なります。
| 取引形態 | 確認方法 |
|---|---|
| 対面取引 | 運転免許証・健康保険証・マイナンバーカード等の提示を受けて確認 |
| 非対面取引 | 本人限定受取郵便・eKYC・電子署名・少額振込確認等の5手段から選択 |
📢 令和7年10月1日施行の改正|本人確認対象品目の拡大
e-Govの古物営業法施行規則改正により、令和7年10月1日からエアコンの室外機・電気温水器のヒートポンプ・電線・グレーチングが、1万円未満の買取でも本人確認・取引記録が必要な古物に追加されました。これらは金属スクラップ窃盗の対象になりやすいため、少額取引でも確認義務が課されています。中古機械・金属リサイクル業者は運用フローの見直しが必要です。
古物を買い取る・販売する場合、取引内容を帳簿等に記録する義務があります。記録すべき5項目と保存期間は以下の通りです。
| 記録項目 | 具体的内容 |
|---|---|
| ①取引年月日 | 買取日・販売日 |
| ②古物の品目・数量 | 商品名・型番・数量 |
| ③古物の特徴 | メーカー・型番・製造番号・外観特徴 |
| ④相手方の情報 | 住所・氏名・職業・年齢 |
| ⑤本人確認方法 | 運転免許証等の種類・番号・発行元 |
保存期間:最終記載日から3年間。電子データでの保存も可能ですが、警察から求められた際は直ちに紙に印刷できる状態で保管する必要があります(PCモニター表示のみは不可)。
取引の際に、買い取ろうとする古物に不正品(窃盗品・遺失物など)の疑いがあるときは、直ちに警察官に申告する義務があります。申告を怠ると古物営業法違反として罰則対象となります。
古物営業法施行規則第16条・第17条により、1万円未満の買取・販売は原則として本人確認・帳簿記録が免除されます。ただし、以下の品目は1万円未満でも必ず確認・記録が必要です。
| 品目 | 免除されない理由 |
|---|---|
| ゲームソフト | 被害品の回復を確実にする必要 |
| DVD・CD等の光学媒体 | 同上 |
| 書籍 | 同上 |
| 自動二輪車・原付(部品含む) | 盗難車の流通防止 |
| エアコン室外機(令和7年10月追加) | 金属スクラップ窃盗対策 |
| 電気温水器のヒートポンプ(令和7年10月追加) | 同上 |
| 電線(令和7年10月追加) | 同上 |
| グレーチング(令和7年10月追加) | 同上 |
💡 販売時の記録義務は別ルール
買取時と販売時では記録義務の対象が異なります。販売時の記録義務が必要な古物は、美術品類・時計宝飾品類・自動車・自動二輪車及び原動機付自転車・金券類など限定的です。汎用性の高い部品(ねじ・ボルト・ナット・コード)については販売時の記録は免除されますが、買取時には記録が必要になる場合があります。業態別の運用は事前に警察署の防犯係に確認してください。
法人は役員変更・本店移転などが発生することが多く、古物商許可の変更届を的確に処理する必要があります。期限を過ぎると指導処分・罰金対象になります。
| 変更事項 | 期限 | 添付書類 |
|---|---|---|
| 法人名称変更 | 14日以内 | 登記事項証明書 |
| 本店移転(登記事項変更) | 20日以内 | 登記事項証明書 |
| 役員変更・就任 | 14日以内 | 新役員の住民票・身分証明書・略歴書・誓約書 |
| 役員退任 | 14日以内 | 登記事項証明書 |
| 営業所新設・移転・廃止 | 14日以内 | 営業所の賃貸借契約書・管理者書類 |
| 管理者変更 | 14日以内 | 新管理者の住民票・身分証明書・略歴書・誓約書 |
| URL変更・追加 | 14日以内 | URL疎明資料 |
| 取扱品目の追加 | 14日以内 | なし(手数料1,500円) |
💡 4士業連携での複数届出同時進行
実務では、取締役会で本店移転と役員変更を同時決議した中古家電業者の支援で、(1)法務局での本店移転・役員変更登記、(2)税務署の異動届、(3)社会保険の所在地変更届、(4)古物商の変更届(本店移転20日以内+役員変更14日以内)、の4種類の手続きを14〜20日以内に完了させた事例があります。税理士・社労士・行政書士が分担することで、手続きの期限漏れと書類の二重請求(登記簿謄本を各届出に使う)を防ぎ、合計5万円以上のコスト削減につながりました。
| 違反内容 | 罰則 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 本人確認義務違反 | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 法第33条第1号 |
| 帳簿記載義務違反 | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 法第33条第2号 |
| 帳簿保存義務違反(3年未満) | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 法第33条第3号 |
| 不正品の申告義務違反 | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 法第33条第4号 |
| 変更届出義務違反 | 20万円以下の罰金 | 法第34条第2号 |
| 営業停止処分・許可取消 | 行政処分(重大違反時) | 法第24条 |
⚠️ 法人役員への連座的な処罰
法人が古物営業法違反で許可取消処分を受けた場合、その時点で役員だった者は5年間、他の法人の役員として古物営業に関わることができなくなります。これは「役員の連座的処罰」として実務で重視される論点です。たとえば、子会社で古物営業をする際に、親会社でリサイクル事業を行う場合、親会社で許可違反が発覚すると子会社への影響も及びます。法人グループ経営では全社のコンプライアンス管理が必要です。
取得後の実務運営は、体制構築で決まります。中規模〜大規模の法人では以下の整備が実務上必須です。
手書き台帳から、クラウド型古物台帳システム(月額5,000〜20,000円)への移行が主流です。特にネット販売と実店舗を併用する場合、データ統合により帳簿記録の漏れを防げます。
本人確認方法・対象品目・記録必須項目を従業員全員が理解できるよう、業務マニュアルとチェックリストの整備が必要です。特に複数営業所を持つ法人では、営業所ごとに運用が属人化する傾向があり、定期研修が重要です。
上場企業・将来的にIPO準備をする法人の場合、古物営業のコンプライアンス体制は内部統制監査の対象となります。台帳のデジタル化・改ざん防止措置・役員による監査体制は、J-SOX対応の観点からも重要です。
📋 この記事のポイント