【行政書士×税理士が解説】経営・管理ビザの取得要件と事業計画書作成のポイント|2025年10月厳格化対応

【行政書士×税理士が解説】経営・管理ビザの取得要件と事業計画書作成のポイント|2025年10月厳格化対応
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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経営・管理ビザの取得要件と事業計画書作成のポイント|2025年10月厳格化対応

日本で起業を計画する外国人と受入支援企業に向けて、経営・管理ビザの取得要件を解説します。この記事を読めば、2025年10月施行の新基準(資本金3,000万円・常勤職員雇用義務・日本語N2要件)と事業計画書の書き方が具体的にわかります。

🏆 結論:2025年10月16日施行の新基準で、経営・管理ビザは資本金3,000万円・常勤職員1名雇用・日本語N2が必須化

2025年10月16日に施行された基準省令改正により、経営・管理ビザの取得要件が大幅に厳格化されました。資本金要件は従来の500万円から3,000万円に引き上げ、常勤職員1名以上の雇用が必須化、申請者または常勤職員のいずれかが日本語B2(JLPT N2)相当以上、事業計画書は中小企業診断士・公認会計士・税理士等による第三者確認が義務化、さらに経営・管理の実務経験3年以上または関連学位(修士・博士・専門職)のいずれかが必要となりました。改正前と同じ感覚で申請すると確実に不許可になるため、資金計画・採用計画を新基準で再設計する必要があります。

経営・管理ビザとは?対象となる活動

経営・管理の在留資格は、入管法別表第一の二の表に定められた活動系就労ビザの一つで、外国人が日本で会社を設立・経営したり、既存企業の管理者として働いたりするために必要な在留資格です。旧称は「投資・経営」で、2015年から「経営・管理」に名称変更されました。

経営・管理ビザで認められる活動

経営・管理ビザで認められない活動

📢 2025年10月16日施行の基準省令改正

法務省は、ペーパーカンパニー設立や移住目的での経営管理ビザの悪用が増加していたことを受け、2025年10月16日施行の基準省令改正で要件を大幅に厳格化しました。改正前の運用では資本金500万円と形式要件の充足で許可されるケースが多かったため、実体のある経営活動を重視する方針へ転換しています。2025年10月16日以降の申請受付分から新基準が適用されます。

2025年10月改正後の新要件【5つのポイント】

改正後の経営・管理ビザの取得要件は、旧基準から大きく変わりました。主な変更点を整理します。

要件 改正前(〜2025年10月15日) 改正後(2025年10月16日〜)
資本金・投下総額500万円以上3,000万円以上
常勤職員雇用常勤職員2名以上 または 資本金500万円以上(いずれか)常勤職員1名以上 必須(日本人・身分系在留資格者等)
学歴・実務経験管理者は実務経験3年以上(経営者は不問)申請者本人が 経営・管理の実務経験3年以上 または 関連分野の修士・博士・専門職学位 のいずれか
日本語能力特に明示なし申請者 または 常勤職員のいずれかが 日本語B2(JLPT N2)相当以上
事業計画書原則提出・内容は審査官が判定中小企業診断士・公認会計士・税理士等による第三者確認が必須

⚠️ 改正前のつもりで申請すると確実に不許可

2025年10月16日以降の申請受付分から新基準が適用されます。改正前の「資本金500万円・常勤職員なし」の体制のまま申請すると、形式要件を満たさず確実に不許可となります。既に旧基準で許可を受けている方も、次回の更新申請時には新基準への対応が求められる可能性が高いため、資金・雇用計画の見直しが必要です。

新要件の詳細解説

要件1:資本金3,000万円以上の払込・投下

会社形態の場合、登記簿上の払込資本金が3,000万円以上必要です。個人事業の場合は事業への投下総額が3,000万円以上と判定されます。資本金の出所については以下の書類で合理的に証明する必要があります。

💡 行政書士の視点

資本金の「出所」が不明瞭だと、改正前から不許可要因でしたが、改正後はさらに審査が厳格化されます。実務では「現金で300万円、親族から700万円、自己預金2,000万円」のように複数の出所を組み合わせるケースが多いですが、各源泉ごとに証憑(預金通帳・贈与契約書・税務証明)を時系列で整理する必要があります。海外送金の場合は、送金元国での資金の適法性を示す書類(給与証明・税申告書等)まで求められることもあります。

要件2:常勤職員1名以上の雇用

改正後は、日本人・永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等のいずれかの在留資格を持つ者を常勤職員として1名以上雇用することが必須となります。「常勤」の基準は以下のとおりです。

IT・貿易・コンサルティング等の少人数で回せる事業でも、この1名雇用は免除されません。雇用契約書・社会保険加入手続き・労働条件通知書などで常勤性を証明します。

要件3:学歴または実務経験

改正後は、申請者本人が以下のいずれかを満たす必要があります。

  1. 経営・管理の実務経験が通算3年以上(経営準備活動の特定活動期間も含められる)
  2. 経営管理に関する博士・修士・専門職のいずれかの学位(日本・海外問わず)
  3. 事業分野に関する博士・修士・専門職のいずれかの学位(日本・海外問わず)

要件4:日本語能力B2(JLPT N2)相当

申請者本人または常勤職員のいずれかが、日本語能力試験(JLPT)N2相当以上を有することが必要です。N2は「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できる」レベルで、取引先・従業員との円滑な意思疎通が可能な水準が求められます。

証明書類としては以下が認められます。

要件5:事業計画書の専門家確認

改正後は、事業計画書について中小企業診断士・公認会計士・税理士等の国家資格保有者による確認が必須化されました。確認内容は以下のとおりです。

これまで「事業計画書は形式だけ整えて提出」というケースが多かったのですが、改正後は専門家による実質的なレビューが義務となり、書類の質が大きく向上することになります。

事業所の要件|自宅兼事務所は原則不可

経営・管理ビザでは、独立した事業所の確保が必須です。自宅兼事務所・バーチャルオフィス・レンタルオフィスの共用スペースは原則として認められません。

事業所として認められる条件

⚠️ バーチャルオフィス使用は高確率で不許可

バーチャルオフィス・共用スペースのレンタルオフィスは、事業実態が認められにくく不許可となるケースがほとんどです。事業計画の一部に「初期はバーチャルオフィス、数か月後に移転予定」と書いたとしても、申請時点で独立事業所が確保されていないと要件不備と判定されます。事業所契約は経営管理ビザ申請と同じタイミングで並行して進めてください。

事業計画書の書き方【11項目】

審査の合否を最も大きく左右する書類が事業計画書です。以下の11項目を明確に記述する必要があります。

項目1〜3:事業概要・経営者情報・市場分析

項目4〜6:競合分析・差別化戦略・マーケティング計画

項目7〜9:組織・人員計画・初期投資

項目10〜11:収支計画・資金繰り計画

📊 公認会計士の視点

事業計画書の収支計画で審査官が最も重視するのは「売上予測の根拠」です。「年間売上5,000万円」とだけ書くのではなく、「単価10万円 × 客数50件/月 × 12か月 × 稼働率83% = 約5,000万円」と内訳を明示します。顧客単価・客数・稼働率それぞれの根拠データ(競合事例・市場調査・営業パイプライン)が必要です。弊所では、初年度赤字・2年目黒字化・3年目安定成長という堅実な収支計画を、税引後利益・キャッシュフローレベルまで整理してレビューしています。

申請書類一覧と審査期間

申請時の必要書類

書類名 取得先・作成者
在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書入管窓口・法務省ホームページ
写真(縦4cm×横3cm)本人撮影
法人の登記事項証明書法務局
定款の写し法人
事業計画書(専門家確認付き)中小企業診断士・公認会計士・税理士等
資本金の払込証明・出所証明書類預金通帳・贈与契約書・海外送金明細等
事業所の賃貸借契約書・写真賃貸人
常勤職員の雇用契約書・社会保険加入証明法人・年金事務所
申請者本人の学歴証明書・実務経験証明書学校・前職企業
日本語能力証明書(N2以上)日本国際教育支援協会等
履歴書・申請理由書本人作成

審査期間

在留資格認定証明書交付申請で平均2〜3か月、在留資格変更許可申請で1〜2か月です。改正後の審査では第三者確認書類の内容確認に時間を要するため、改正前より1〜2週間長くなる傾向があります。

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会社設立から経営・管理ビザ取得までの全体スケジュール

外国人が日本で会社を設立し、経営・管理ビザを取得するまでの標準的なタイムラインです。

時期 実施内容
開業12か月前事業計画の検討、日本語学習開始(N2未取得の場合)、資金計画
開業6か月前経営準備活動用「特定活動」ビザ申請(4か月)、事業所物件の選定
開業4か月前事業所賃貸借契約、定款作成、登記準備、常勤職員採用活動
開業2〜3か月前会社設立(定款認証・資本金払込・登記)、社会保険加入手続き
開業1〜2か月前事業計画書の専門家確認、経営・管理ビザ申請
開業月入管審査結果を受領(標準2〜3か月)、実際の事業開始

「経営準備活動」の特定活動ビザ活用

資本金3,000万円の調達や事業所契約・人員採用は、現地からリモートで進めるのは困難です。そのため、「経営準備活動」を目的とした特定活動ビザ(4か月)を活用することで、日本に滞在して準備活動ができます。このビザの要件は以下のとおりです。

不許可になりやすい5つのパターンと対策

パターン1:資本金の出所が不明瞭

3,000万円の資本金がどこから来たかが説明できないと不許可です。対策:過去1〜2年分の預金通帳、贈与契約書・贈与税申告書、売却証憑、海外送金明細を時系列で整理。

パターン2:事業計画の実現可能性が低い

売上予測の根拠が弱い、市場規模の数値が不正確、競合分析が不十分な場合に不許可となります。対策:中小企業診断士・公認会計士による計画確認を受け、公的データ(総務省・経産省統計)を引用する。

パターン3:事業所の実態が疑わしい

バーチャルオフィス、住居と区分されていない自宅、看板のない空室では不許可です。対策:独立した事業所を確保、看板設置、事業所内部の写真撮影、契約書に「事業使用」を明記。

パターン4:常勤職員雇用の形式性

常勤職員と名ばかりで実態は家族内で完結している、雇用契約書があるが実労働していない場合は不許可です。対策:社会保険加入手続きを完了、給与振込履歴を記録、労働日報・出勤簿で実労働を証明。

パターン5:日本語能力・学歴要件の証憑不足

JLPT合格証書がない、学歴証明書の翻訳がない場合に不許可です。対策:JLPT N2に本人または常勤職員が合格しているか事前確認し、合格証書と翻訳を準備。学歴証明書は大使館認証・アポスティーユ認証を取得しておく。

更新時の留意点|2025年7月以降の厳格化

既に経営管理ビザを取得している方も、更新時の審査が2025年7月以降厳格化されています。具体的には以下の書類が原則必須となりました。

赤字決算が続いている、売上が事業計画の大幅未達、常勤職員が退職したまま補充していない等の場合、更新申請で在留期間短縮(1年のみ許可)や不許可になるリスクが高まっています。

🔷 社労士の視点

常勤職員の雇用を単なる形式ではなく、実質的な労務管理まで整備する必要があります。雇用契約書・労働条件通知書・就業規則・給与計算・社会保険の定時決定・年末調整のすべてで、「実体のある雇用」を示す記録を残してください。雇用後、半年以内に退職して未補充の状態で更新申請を迎えると、雇用要件違反と見なされる危険があります。

よくある質問

改正前に申請受付された案件は新基準が適用されますか?
2025年10月15日までに申請受付が完了している案件は、改正前の許可基準で審査されます。審査中に新基準が施行されても遡及適用はされません。ただし改正後の更新申請や新規申請は新基準が適用されるため、事業計画・資金計画の見直しが必要です。
3,000万円の資本金を借入で調達しても大丈夫ですか?
借入金を資本金に充てることは制度上可能ですが、返済条件・返済計画が事業計画に組み込まれており、事業継続性を損なわないことを説明する必要があります。実務的には自己資金を中心に据え、補助的に借入を活用する構成が審査上有利です。全額借入による3,000万円調達は審査官から事業の独立性・継続性を疑問視される可能性が高いです。
常勤職員は外国人でもいいですか?
常勤職員は「日本人、永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等」のいずれかの在留資格を持つ必要があります。就労系の在留資格(技人国・特定技能等)の外国人は原則として対象外です。採用時には在留カードの種類を確認してください。
既に経営管理ビザを持っていますが、更新時に新基準が適用されますか?
既存取得者の更新申請も原則として新基準が適用されます。ただし経過措置として、直近の活動実績・業績が健全であれば、ただちに3,000万円・常勤職員1名の要件を満たせていなくても柔軟に判断される余地があると実務上解釈されています。次回更新の6か月前から、新基準への対応計画を立てることを推奨します。
事業計画書の専門家確認は誰に依頼すればいいですか?
中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかの国家資格保有者への依頼が原則です。事業分野によっては専門コンサルタントが追加される場合もありますが、法定要件としては上記3資格です。複数資格を持つ事務所に依頼すると、事業計画・税務・会計の観点から総合的にレビューしてもらえるため、許可率が高まります。
経営準備活動の特定活動ビザはどのくらいの期間ですか?
経営準備活動の特定活動は原則4か月です。この期間で会社設立・資本金払込・事業所契約・常勤職員採用・事業計画書作成を完了させ、その後経営・管理ビザへの変更申請を行います。4か月で間に合わない場合は、本国から代理人として家族等を派遣したり、日本人パートナーの協力を得る運用が実務上多数見られます。
日本語N2がない場合、常勤職員にN2保有者を雇用すれば要件を満たしますか?
はい、申請者本人または常勤職員のいずれかがN2相当以上であれば要件を満たします。常勤職員にN2保有者を採用する場合、採用時に日本語能力試験の合格証書を本人から取得し、申請書類に添付します。ただし、経営者本人の日本語能力が低すぎると、後述する実際の経営活動の継続性が審査官から疑問視される可能性があるため、並行して本人も日本語学習を続けることが推奨されます。
経営管理ビザから永住権はどのくらいで取れますか?
原則として日本在留10年以上(うち就労系在留資格で5年以上の継続在留)が永住申請の要件です。経営・管理ビザの在留期間は1年・3年・5年等のいずれかで、在留期間5年が付与されるようになれば、通算10年の在留と合わせて永住申請が可能になります。高度専門職への切替や、高度人材ポイント制で80点以上獲得すれば1年で永住申請も可能です。
家族を呼び寄せることはできますか?
経営・管理の在留資格では、配偶者・子を「家族滞在」の在留資格で呼び寄せることができます。家族滞在の申請は、経営・管理ビザの取得後に別途行います。家族滞在でも資格外活動許可を得れば週28時間以内のアルバイトが可能です。
事業が軌道に乗らなかった場合、他の在留資格に変更できますか?
技術・人文知識・国際業務など、別の就労系在留資格への変更は可能ですが、就業先が決まっていることが前提です。日本人と結婚している場合は「日本人の配偶者等」への変更も選択肢となります。事業継続が困難になった段階で、早めに他資格への変更を検討することが望ましいです。

📋 この記事のポイント

  • 2025年10月16日施行の新基準で経営・管理ビザは大幅厳格化
  • 資本金3,000万円・常勤職員1名・日本語N2・学歴/実務経験・事業計画の専門家確認が必須
  • 資本金の「出所」が過去1〜2年の履歴で説明できることが重要
  • 事業所はバーチャルオフィス不可、独立した実態のあるオフィスを確保
  • 事業計画書は中小企業診断士・公認会計士・税理士による第三者確認が義務
  • 経営準備活動の特定活動ビザ(4か月)を活用して準備期間を確保
  • 更新時も2025年7月以降厳格化、活動実態説明書・決算書類が必須
  • 不許可の主因は資本金出所不明・事業計画の実現可能性・事業所実態不足

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