菓子製造業・惣菜製造業の許可|2021年食品衛生法改正の業種再編対応

菓子製造業・惣菜製造業の許可|2021年食品衛生法改正の業種再編対応
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

2021年6月施行の改正食品衛生法で、営業許可は34業種から32業種に再編されました。菓子製造業はあん類製造業を統合し、調理パンや店内カフェ提供も一本で可能に。惣菜製造業には複合型が新設され、弁当製造の許可業務が柔軟化されました。業種別の施設基準・小分け包装業の活用法まで行政書士が解説します。

🏆 結論:2021年改正で菓子製造業の守備範囲が大幅拡大、惣菜には複合型が新設

2021年6月施行の改正食品衛生法により、営業許可業種は34から32に整理されました。菓子製造業は①あん類製造業を統合、②菓子・パンと飲料の店内提供が飲食店許可不要化、③調理パンの製造がそうざい製造業許可不要化、と守備範囲が大きく拡大。惣菜製造業には「複合型そうざい製造業」が新設され、HACCPに基づく衛生管理を実施すれば、惣菜業者が付随的に食肉処理・菓子製造・水産製品製造・麺類製造まで行えるようになりました。小分け包装業の新設で、既存製造品を別事業者が再包装する業態も許可対象になっています。

2021年改正の全体像|34業種→32業種

2021年6月1日施行の改正食品衛生法により、営業許可業種が大幅に再編されました。改正は食品衛生法本体および施行規則の大改正として実施され、主要な変更点は次のとおりです。

📢 令和3年6月(2021年)改正の主要ポイント

①営業許可は34業種から32業種へ整理/②「漬物製造業」「水産製品製造業」が新設/③「あん類製造業」が菓子製造業に統合/④「複合型そうざい製造業」「複合型冷凍食品製造業」の新設/⑤「食品の小分け包装業」の新設/⑥菓子製造業で調理パンや店内飲料提供が許可不要化/⑦新たに「営業届出制度」創設(リスク低業種)/⑧HACCPに沿った衛生管理の完全義務化。全体像は厚生労働省 営業許可業種の解説で確認できます。

改正後の32業種一覧

参考として、2021年改正後の32の許可業種を整理します(本記事では菓子・惣菜を中心に深掘り)。

📋 32業種の概観
カテゴリ 業種
飲食・調理系飲食店営業、調理機能自動販売機
菓子・パン系菓子製造業(あん類統合)
食肉系食肉処理業、食肉販売業、食肉製品製造業
水産系魚介類販売業、魚介類競り売り営業、水産製品製造業(新設)
乳系乳処理業、特別牛乳搾取処理業、乳製品製造業
惣菜系そうざい製造業、複合型そうざい製造業(新設)
冷凍系冷凍食品製造業、複合型冷凍食品製造業(新設)
麺・豆・味噌系麺類製造業、豆腐製造業、納豆製造業、みそ・しょうゆ製造業
アイス・氷系アイスクリーム類製造業、氷雪製造業、氷雪販売業
その他食品製造食用油脂製造業、漬物製造業(新設)、添加物製造業
飲料系清涼飲料水製造業、乳酸菌飲料製造業、酒類製造業
小分け・集乳食品の小分け包装業(新設)、集乳業

菓子製造業の守備範囲|2021年拡大

2021年改正で菓子製造業は最も大きく守備範囲が拡大した業種です。以下の3つの重要変更があります。

変更1:あん類製造業の統合

従来の「あん類製造業」(つぶあん・こしあん等の製造)が菓子製造業に統合されました。2021年6月以降に菓子製造業許可を取得すれば、あん類の製造・販売も同一許可で可能です。大福・おはぎ・和菓子の事業者にとって手続きが1本化されました。

変更2:店内飲料提供の飲食店許可不要化

菓子製造業の許可を受けた施設で、客が購入した菓子やパンに飲料を添えて施設内で提供する場合、飲食店営業の許可は不要です。つまり、店内に椅子・テーブルを設置して菓子+コーヒーを提供する程度なら、菓子製造業の許可1本でOKとなりました。

💡 実務のポイント

鮎澤パートナーズは、公認会計士・税理士の代表がすべての業務を直接担当する、完全オンライン対応の会計事務所です。記帳代行から決算・税務申告・年末調整まで、売上規模だけで決まる年間総額のみの明朗会計で一括してお任せいただけます。

変更3:調理パンの製造が菓子製造業でOK

サンドイッチ・ホットドッグ・カレーパン等の「調理パン」は、従来はそうざい製造業または飲食店営業の許可が必要でした。改正後は菓子製造業の許可を受けた施設内で製造・販売できるため、パン屋の業務範囲が柔軟化しました。

菓子製造業の対象品目

カテゴリ 対象品目(例)
和菓子どら焼き、羊羹、団子、大福、最中、かりんとう
洋菓子ケーキ、プリン、マフィン、クッキー、タルト、マカロン
パン類食パン、菓子パン、調理パン、ベーグル、バゲット
スナック飴、せんべい、チューインガム、ポテトチップス(一部)
あん類つぶあん、こしあん、白あん、黒糖あん(2021年統合)
添え物菓子・パンに添える飲料提供(イートイン)

⚠️ アイスクリーム・乳製品は別許可

アイスクリーム・ジェラート・ソフトクリーム等は「アイスクリーム類製造業」、ヨーグルト・チーズ・生キャラメル(乳製品含む)は「乳製品製造業」の別許可が必要です。菓子製造業1本で対応できない品目として実務で混同されやすいため注意が必要です。パティスリーでアイスも扱う場合は、菓子製造業+アイスクリーム類製造業の2つが必要です。

惣菜製造業の守備範囲

惣菜製造業は、弁当・惣菜・サラダ等の調理済食品を製造・販売する許可です。2021年改正で「複合型そうざい製造業」が新設され、HACCPに基づく衛生管理を実施する場合、惣菜業者が付随的に他業種の食品も製造できるようになりました。

惣菜製造業で製造できる主な品目

  • 弁当(幕の内、のり弁、唐揚げ弁当等)
  • 惣菜(煮物、和え物、炒め物、揚げ物)
  • サラダ・マリネ
  • コロッケ・メンチカツ・から揚げ(単品)
  • チャーハン・ピラフ(単品パック)
  • 煮豆・佃煮
  • 豆腐の加工品(厚揚げ等、豆腐自体は豆腐製造業)

複合型そうざい製造業|新設業種の活用

「複合型そうざい製造業」は、HACCPに基づく衛生管理を行う惣菜製造業者が、付随的に他業種の食品製造も行える業種です。

🔗 複合型で付随できる業種
付随可能な業種 具体例
食肉処理業弁当用の食肉処理
菓子製造業弁当用のデザート・菓子
水産製品製造業魚肉練り製品以外
麺類製造業弁当に添える麺類

例えば、弁当店が惣菜+デザート+食肉加工を一貫製造する場合、従来は最大4つの許可が必要でしたが、複合型なら1つの許可で対応可能です。ただし、HACCPに基づく(より厳格な)衛生管理の実施が前提となります。

📊 行政書士の視点

複合型そうざい製造業はHACCPに「基づく」衛生管理(大規模事業者向け)が要求される点で、小規模事業者向けの「考え方を取り入れた衛生管理」よりハードルが高いです。弊所が支援した弁当製造会社では、複合型への切り替えにHACCP計画書の全面改訂・従業員研修・外部コンサル費用合計で約120万円を要しましたが、従来4業種で年間払っていた許可手数料7万円の削減と、保健所検査の一本化による事務負担軽減で、3年以内にコスト回収できました。大規模事業者にとっては検討の価値があります。

菓子・惣菜製造業の施設基準

両業種の施設基準は食品衛生法施行規則別表第20で全国統一されています。飲食店営業と共通する項目が多いため、設備投資の考え方は似ています。

項目 基準
調理場の区画製造室と居住スペースを完全区分
床・壁・天井耐水性で清掃しやすい材質
手洗い設備自動・レバー・足踏み式水栓
シンク2槽以上(原材料用・洗浄用)
冷蔵・冷凍設備適正温度管理できる設備
換気設備熱気・蒸気を外部排気
給湯設備お湯が使える給湯器
トイレ製造室と直接通じない配置
包装・保管場所製品の包装・保管スペースの確保

菓子製造業特有の基準

  • オーブン・ミキサー・成形機等の製造設備
  • あん類製造にはあん炊き釜等(あん類統合により必要時に設置)
  • イートインスペース設置時は客席と製造場所の明確な区分

惣菜製造業特有の基準

  • 大型コンロ・フライヤー・寸胴鍋等の大量調理設備
  • 急速冷却設備(調理品の温度管理)
  • 盛り付け・包装専用エリア(汚染防止区画)
  • HACCP対応による温度管理記録設備

申請手続きと費用

💰 費用と期間
項目 菓子製造業 そうざい製造業 複合型
手数料約14,000〜20,000円約16,000〜22,000円約22,000〜30,000円
有効期間5〜8年5〜8年5〜8年
申請〜交付2〜4週間2〜4週間4〜6週間
食品衛生責任者必須必須必須
HACCP対応考え方取り入れ(小規模)考え方取り入れ(小規模)基づく衛生管理(必須)

AYUSAWA PARTNERS

菓子・惣菜製造業の許可は鮎澤パートナーズへ

公認会計士・税理士の代表が、記帳代行から決算・税務申告・年末調整まで一括で直接対応します。初回相談無料。

鮎澤パートナーズに相談する

食品の小分け包装業|2021年新設

2021年改正で新設された「食品の小分け包装業」は、既に許可を受けた製造業者が製造した食品を、別の事業者が小分けして容器包装に入れる業種です。OEM・ブランド転売・ギフトセット化等で実務ニーズが高い許可です。

小分け包装業の対象

以下の業種で製造された食品が対象です。

対象となる業種
菓子製造業、乳製品製造業(固形物)、食肉製品製造業、水産製品製造業
食用油脂製造業、みそ・しょうゆ製造業、豆腐製造業、納豆製造業
麺類製造業、そうざい製造業、複合型そうざい製造業
冷凍食品製造業、複合型冷凍食品製造業、漬物製造業

小分け包装業の実務活用例

  • 大手菓子メーカー製品を小口にして販売する土産物店
  • 地方の食品を都市部で小分け販売するアンテナショップ
  • ギフトセットを組み立てる通販業者
  • 大袋を個別包装にリパッケージするECショップ
  • ホテル・旅館の客室用小型菓子の詰め替え

営業許可と営業届出の区別

2021年改正で、リスクの低い業種は「営業届出制度」に移行しました。菓子・惣菜系に関係する主な区別は次のとおりです。

業態 営業許可/届出 手数料
菓子の製造(容器包装・卸売・通販)許可(菓子製造業)1.4〜2万円
弁当・惣菜製造許可(そうざい製造業)1.6〜2.2万円
既製菓子の販売のみ届出(食品の販売)無料
容器包装済食品の販売のみ届出(食品の販売)無料
焼き菓子のマルシェ出店菓子製造業(製造場所で取得)1.4〜2万円

申請時の必要書類

書類 備考
営業許可申請書食品衛生申請等システムで電子申請可
営業施設の大要設備配置・製造工程の説明
施設の平面図製造室・包装室・保管場所等のレイアウト
食品衛生責任者の資格証明調理師・栄養士等は免除
水質検査結果書井戸水等を使用する場合
法人登記事項証明書法人の場合
HACCP衛生管理計画書全事業者で作成必須
製造予定食品のリスト許可範囲の確認用

よくある失敗と予防策

失敗パターン 予防策
菓子製造業でアイスを販売し始めて無許可にアイスクリーム類製造業を別途取得
2021年改正前に取った許可で旧制度のまま運用次回更新時に新制度で取り直し
販売のみのはずが製造も始めて無許可に製造開始時に菓子製造業等を取得
食事メニュー追加で飲食店許可必要に主食提供時は飲食店営業を追加取得
家庭用キッチンでの製造が基準不適合居住部と完全区分した製造室を別途用意

よくある質問

菓子製造業の許可で、お菓子と一緒にコーヒーを提供できますか?
できます。2021年改正により、菓子製造業の許可を受けた施設で、客が購入した菓子・パンに飲料を添えて施設内で提供する場合、飲食店営業の許可は不要となりました。ただし、食事(定食等)を提供する場合は飲食店営業の追加取得が必要です。
調理パン(サンドイッチ・カレーパン等)はどの許可で製造できますか?
菓子製造業の許可で製造可能です。2021年改正前はそうざい製造業または飲食店営業が必要でしたが、改正後は菓子製造業の守備範囲に含まれるようになりました。
自宅のキッチンで菓子製造業の許可は取れますか?
原則として取れません。製造室と居住スペースを完全に区画分離する必要があり、独立した製造専用の部屋を設ける必要があります。一般的には自宅に増築・改装するか、テナントを借りて施設基準を満たす構造にする必要があります。
あん類製造業の既存許可を持っていますが、菓子も作れるようになりますか?
改正前の「あん類製造業」許可は経過措置で継続可能ですが、菓子は作れません。菓子も製造するには、新制度の菓子製造業の許可を取り直す必要があります。次回更新時に切り替えるのが一般的です。
複合型そうざい製造業の取得条件は厳しいですか?
HACCPに「基づく」衛生管理(大規模事業者向けの本格的な7原則12手順)が要求されるため、小規模事業者向けの「考え方を取り入れた衛生管理」よりハードルが高いです。HACCP計画書の作成・外部コンサル支援・従業員研修で100万円前後のコストがかかるケースもあります。
小分け包装業はどんな時に必要ですか?
他社製造の既製品を小分けして販売する業態で必要です。例えば、大手菓子メーカーの商品を大袋で仕入れて、アンテナショップ用に個別包装するケースなどです。既製品をそのまま販売する場合は「食品の販売」の届出のみで足ります。
菓子製造業の許可申請に行政書士への依頼は必要ですか?
必須ではありませんが、施設基準の複雑さから行政書士への依頼が推奨されます。特に改装を伴う場合は、設計段階からの関与で保健所事前相談のスムーズ化・改装やり直しリスクの低減が期待できます。報酬相場は5〜10万円程度です。
他県から進出する場合、許可はどうなりますか?
新たに進出する都道府県の保健所で許可を取ります。製造施設が増えるごとに、各施設の管轄保健所で許可を取得する必要があります。本社所在地の許可だけでは他県の製造施設をカバーできません。

📋 この記事のポイント

  • 2021年食品衛生法改正で34業種→32業種に再編
  • 菓子製造業はあん類統合・調理パン許可一本化・店内飲料提供でカバー範囲拡大
  • 惣菜製造業に「複合型そうざい製造業」が新設(HACCP基づく衛生管理が前提)
  • 食品の小分け包装業が新設、OEM・ギフト販売で活用
  • アイスクリーム・乳製品は別許可(菓子製造業ではカバーできない)
  • HACCP対応が全事業者で必須(小規模は考え方取り入れ、複合型は基づく)
  • 手数料は菓子1.4〜2万円、そうざい1.6〜2.2万円、複合型2.2〜3万円

AYUSAWA PARTNERS

食品製造業の開業サポートは鮎澤パートナーズへ

公認会計士・税理士の代表が、記帳代行から決算・税務申告・年末調整まで一括で直接対応します。初回相談無料。

鮎澤パートナーズに相談する
お電話で相談03-4500-9714LINEで相談無料相談を予約