公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
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介護事業での新規参入を検討する創業者・法人経営者に向けて、介護保険法に基づく指定申請の全体像、訪問介護・通所介護・居宅介護支援の業態別人員・設備・運営基準、2026年6月施行の令和8年度介護報酬改定による処遇改善加算の拡大を、行政書士・社労士の視点で整理します。この記事を読めば、自社に最適な業態を選定し、指定申請を逆算できます。


介護事業での新規参入を検討する創業者・法人経営者に向けて、介護保険法に基づく指定申請の全体像、訪問介護・通所介護・居宅介護支援の業態別人員・設備・運営基準、2026年6月施行の令和8年度介護報酬改定による処遇改善加算の拡大を、行政書士・社労士の視点で整理します。この記事を読めば、自社に最適な業態を選定し、指定申請を逆算できます。
🏆 結論:介護事業は「法人+人員+設備+運営」の4要件
介護事業は介護保険法第70条に基づく指定制で、都道府県知事(地域密着型は市町村長)の指定を受けて介護報酬を請求できるようになります。訪問介護は管理者+サービス提供責任者+訪問介護員2.5人以上、通所介護は管理者+生活相談員+看護職員+介護職員+機能訓練指導員、居宅介護支援は管理者+介護支援専門員(ケアマネ)が必須です。2026年6月施行の令和8年度介護報酬改定で処遇改善加算の対象が拡大し、訪問介護最大28.7%の加算率となります。
介護保険事業とは、介護保険法に基づき要介護者・要支援者に介護サービスを提供し、介護報酬を請求する事業です。介護サービスの提供には、介護保険法第70条に基づく指定(都道府県知事または市町村長)を受ける必要があります。無指定で介護保険請求を行うと、介護保険法違反として指定取消・返還請求の対象となります。
制度の詳細は厚生労働省「介護保険制度」のページに整理されています。
介護サービスは、利用者の滞在形態により大きく3つに分けられます。
| 系統 | 代表サービス | 指定先 |
|---|---|---|
| 居宅サービス | 訪問介護・通所介護・訪問看護・訪問リハビリ | 都道府県知事 |
| 施設サービス | 特養・老健・介護医療院 | 都道府県知事 |
| 地域密着型サービス | 定員18人以下の小規模通所介護・認知症グループホーム | 市町村長 |
| 居宅介護支援 | ケアマネジメント(ケアプラン作成) | 市町村長 |
💡 実務のポイント:参入しやすい3業態
新規参入者が最初に狙うのは訪問介護・通所介護(デイサービス)・居宅介護支援の3業態です。施設サービス(特養等)は設備投資が数億円規模で、新規参入のハードルが極めて高くなります。一方、居宅系の3業態は数百万〜数千万円の初期投資で参入可能で、本記事では特にこの3業態を中心に解説します。
介護事業の指定を受けるには、業態を問わず共通する4要件を満たす必要があります。
介護事業者は法人格を有することが必須です(介護保険法第70条第2項)。個人事業主では指定を受けられません。株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人、社会福祉法人など、いずれの法人形態でも可能です。
定款の事業目的に、「介護保険法に基づく〇〇事業」の記載が必須です。記載がない場合、株主総会決議と登記変更(登録免許税3万円)が必要となります。
業態ごとに必要な職種・人数が定められており、最低基準を満たす人材の雇用が必要です(詳細は後述の業態別セクション)。
事業所の広さ・設備(相談室・静養室・浴室等)が業態別に規定されています。賃貸物件を用意する場合、契約書の使用目的が事業用であることが必須です。
運営規程、重要事項説明書、管理者の責務、秘密保持、苦情処理、事故対応、記録保存等の社内体制整備が求められます。
⚠️ 注意:欠格事由に該当すると指定不可
介護保険法第70条第2項で定める欠格事由(過去5年以内の指定取消歴、禁錮以上の刑、介護保険法・労働関係法令違反による罰金刑5年未経過、暴力団員等)に該当すると指定を受けられません。過去に介護事業で指定取消を受けた役員が新法人で事業を始めるケースでは、連鎖的に指定拒否となるため、役員選任段階からのチェックが重要です。
訪問介護(ホームヘルプサービス)は、ヘルパーが利用者宅を訪問して身体介護・生活援助を行うサービスです。初期投資が小さく、新規参入者に最も人気の業態です。
| 職種 | 必要人数 | 資格要件 |
|---|---|---|
| 管理者 | 1人(専従) | 資格要件なし(常勤) |
| サービス提供責任者(サ責) | 利用者40人に1人以上 | 介護福祉士 または 実務者研修修了者 |
| 訪問介護員 | 常勤換算で2.5人以上 | 介護福祉士/実務者研修/初任者研修の修了者 |
🔷 社労士の視点:常勤換算2.5人の意味
「常勤換算2.5人以上」とは、週の常勤勤務時間(例:40時間)を1.0として換算した合計人数を指します。週20時間勤務のパート2人なら、常勤換算で1.0人となります。実務では、常勤者1名+パート4〜5名の組合せで2.5人を確保するケースが多いです。管理者とサービス提供責任者の兼務は可能で、小規模事業所では代表者が管理者+サ責を兼ねるパターンが一般的です。
通所介護は、利用者が事業所に通って入浴・食事・機能訓練等を受けるサービスです。利用定員により一般通所介護と地域密着型通所介護に分かれます。
| 区分 | 利用定員 | 指定先 |
|---|---|---|
| 一般通所介護 | 19人以上 | 都道府県知事 |
| 地域密着型通所介護 | 18人以下 | 市町村長 |
| 職種 | 必要人数 |
|---|---|
| 管理者 | 1人(専従・常勤) |
| 生活相談員 | サービス提供時間を通じて1人以上(社会福祉士等) |
| 看護職員 | サービス提供時間を通じて1人以上(看護師・准看護師) |
| 介護職員 | 利用者15人以下は1人以上、16人以上は利用者5人につき1人 |
| 機能訓練指導員 | 1人以上(PT・OT・ST・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ師等) |
⚠️ 注意:人員基準欠如減算のリスク
通所介護で人員基準を満たさずにサービスを提供した場合、人員基準欠如減算により介護報酬の3割が減算されます。気づかずに減算せず請求を続けると不正請求となり、指定取消+全額返還の処分対象です。人材不足時は、運営スケジュールを調整してでも人員基準を満たすことが絶対条件です。
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鮎澤パートナーズに相談する居宅介護支援は、介護支援専門員(ケアマネジャー)がケアプランを作成し、介護サービス利用者を支援する事業です。
| 職種 | 必要人数 | 資格要件 |
|---|---|---|
| 管理者 | 1人(常勤) | 主任介護支援専門員 |
| 介護支援専門員 | 利用者35人に1人以上 | 介護支援専門員(ケアマネ) |
💡 実務のポイント:管理者は主任ケアマネが必須
居宅介護支援事業所の管理者は、2021年度から主任介護支援専門員であることが義務化されました(経過措置あり)。主任ケアマネは、ケアマネとして5年以上の実務経験+主任介護支援専門員研修の修了が必要で、人材確保の最大のハードルです。主任ケアマネを雇用する場合、年収500〜700万円が相場です。
| 比較項目 | 訪問介護 | 通所介護 | 居宅介護支援 |
|---|---|---|---|
| 指定先 | 都道府県 | 都道府県/市町村 | 市町村 |
| 最低人数 | 管理者+サ責+訪問介護員2.5人 | 管理者+5職種(計4〜7人) | 管理者(主任ケアマネ)のみで開業可 |
| 初期投資 | 200〜500万円 | 1,500万〜3,000万円 | 100〜200万円 |
| 参入難易度 | ★★☆ | ★★★ | ★★☆(主任ケアマネ確保が難関) |
| 事業所面積 | 小(30㎡程度) | 大(100〜200㎡) | 小(30㎡程度) |
| 処遇改善加算(2026年6月〜) | 最大28.7% | 加算あり | 新設2.1% |
2026年6月1日施行の令和8年度介護報酬改定(臨時改定)で、処遇改善加算制度が大幅に拡充されます。
📝 行政書士の視点:居宅介護支援への新設加算
2026年6月施行の改定で居宅介護支援事業所に初めて処遇改善加算(2.1%)が新設されます。これまでケアマネは処遇改善の対象外でしたが、人材不足解消のため対象化されました。新規開業の居宅介護支援事業所は、開業時から加算取得を前提に業務運営体制を設計することで、収益性を確保しやすくなります。
介護事業の指定申請は、毎月1日指定が原則で、前月15日頃までに申請書を提出する必要があります。準備期間を含めて4〜6ヶ月を見込みます。
| 時期 | 実施事項 |
|---|---|
| −6ヶ月 | 事業計画策定、法人設立または定款変更、物件選定 |
| −5ヶ月 | 人員の確保(管理者・サ責・ケアマネ等のリクルート) |
| −4ヶ月 | 自治体窓口への事前相談、物件契約、内装工事(通所の場合) |
| −3ヶ月 | 運営規程・重要事項説明書・就業規則等の整備、設備・備品の購入 |
| −2ヶ月 | 指定申請書類の作成 |
| −1ヶ月(前月15日頃) | 申請書類の提出(電子申請・届出システム対応) |
| 指定日(毎月1日) | 指定通知受領、介護報酬請求の開始 |
2022年度から順次、介護事業所等の指定申請・届出について厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」と連動する電子申請・届出システムの運用が開始されました。自治体によって導入状況が異なるため、申請先の自治体が電子申請対応済みかを事前確認してください。
📐 費用シミュレーション前提条件
| 費目 | 訪問介護 | 通所介護 | 居宅介護支援 |
|---|---|---|---|
| 指定申請手数料 | 0〜3万円 | 0〜3万円 | 0〜3万円 |
| 物件賃貸・敷金 | 30〜80万円 | 100〜300万円 | 20〜60万円 |
| 内装工事・設備 | 30〜80万円 | 500〜1,500万円 | 10〜30万円 |
| 送迎車両(通所のみ) | — | 300〜500万円 | — |
| 備品・事務機器 | 30〜80万円 | 100〜300万円 | 20〜50万円 |
| 行政書士報酬 | 15〜30万円 | 20〜40万円 | 15〜25万円 |
| 合計(概算) | 約105〜273万円 | 約1,020〜2,643万円 | 約65〜168万円 |
これに加えて、開業後3〜6ヶ月分の運転資金(人件費・家賃・リース料等)として、訪問介護で300〜500万円、通所介護で1,000〜2,000万円、居宅介護支援で200〜400万円を確保しておく必要があります。
📊 税理士の視点:介護報酬の入金サイクル
介護報酬はサービス提供月の翌々月入金が基本です。例えば6月に提供したサービスの報酬は、7月10日までに国保連に請求し、8月下旬に入金されます。このため開業から最初の介護報酬入金まで3〜4ヶ月のタイムラグがあり、運転資金の確保は絶対条件です。日本政策金融公庫の創業融資、自治体の介護事業向け融資制度、福祉医療機構の融資等が資金調達の主要ルートです。
指定を受けた後も、以下の継続的な義務が発生します。
📋 この記事のポイント
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