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株主総会議事録・取締役会議事録の作成実務|法的要件・電子化対応の完全ガイド
登記申請で差し戻しを受けない議事録を作りたい経営者に向けて、会社法上の記載必須事項・署名押印ルール・電子化の実務までを解説します。この記事を読めば、自社で適切な議事録を整え、電子化で実務効率を大きく改善できます。


登記申請で差し戻しを受けない議事録を作りたい経営者に向けて、会社法上の記載必須事項・署名押印ルール・電子化の実務までを解説します。この記事を読めば、自社で適切な議事録を整え、電子化で実務効率を大きく改善できます。
🏆 結論:議事録は会社法の必須記載事項を満たしつつ、電子署名による電子化で作成・保管を効率化できる
株主総会議事録は会社法施行規則第72条、取締役会議事録は同第101条で記載事項が定められており、登記添付書類として使う場合は特に記載不備が差し戻しの原因になります。取締役会議事録には出席取締役・監査役の署名または記名押印が必須で、電子化する場合は電子署名が必要です。2020年の法務省見解によりクラウドサイン等の立会人型電子署名も有効とされ、ハンコ集めの負担が大きく減っています。書面決議(みなし総会決議)は小規模会社の効率化に有効な選択肢です。
結論から言えば、議事録とは株主総会・取締役会の議事の経過と決議内容を記録した公式文書で、会社法により作成・保管が義務付けられています。作成義務違反には過料の可能性があり、登記申請や税務調査の添付書類としても使われる重要書類です。
| 議事録の種類 | 作成義務の根拠 | 本店保管期間 | 支店保管期間 |
|---|---|---|---|
| 株主総会議事録 | 会社法第318条第1項 | 10年間 | 5年間(写し) |
| 取締役会議事録 | 会社法第369条第3項 | 10年間 | 本店保管のみ |
| 監査役会議事録 | 会社法第393条第2項 | 10年間 | 本店保管のみ |
| 書面決議(みなし決議)の同意書 | 会社法第319条第2項/第370条 | 10年間 | - |
参考: e-Gov法令検索「会社法」、e-Gov法令検索「会社法施行規則」
株主総会議事録には、会社法施行規則第72条第3項に基づき以下の7項目を記載する必要があります。1つでも欠けると登記申請時に補正の対象となるため、項目ごとに漏れなく記載します。
📝 株主総会議事録の基本骨格
💡 実務のポイント:議決権数を正確に記載する
弊所が2026年1月に法務局で補正指示を受けた議事録事例では、「議決権の過半数の賛成で可決」とのみ記載し、具体的な賛成議決権数の記載がなかったために差し戻しとなりました。登記申請に使う議事録は「出席議決権数○○個のうち○○個の賛成により可決」と数字を明記することが必須です。議決権総数と出席議決権数を正確に把握するため、最新の株主名簿を総会直前に確認してください。
取締役会議事録には、会社法施行規則第101条第3項で以下の項目の記載が定められています。株主総会議事録より項目が多く、特別取締役による決議の記載など細部の要件もあります。
会社法第369条第3項は、取締役会議事録への「出席した取締役および監査役の署名または記名押印」を義務付けています。議長のみの押印では不十分で、出席役員全員の署名または押印が必要です。
⚠️ 株主総会議事録と取締役会議事録の押印要件は異なる
株主総会議事録には、会社法上、出席取締役の署名押印義務はありません(ただし商業登記規則第61条により登記申請用として代表取締役の印鑑届出印の押印が必要な場合あり)。一方、取締役会議事録には出席役員全員の署名または記名押印が法律上必須です。この違いを理解しないと、押印漏れで登記が差し戻しになるケースが実務で頻発しています。
議事録は書面だけでなく電磁的記録(電子ファイル)でも作成できます。会社法施行規則第101条第2項は「取締役会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない」と定めており、株主総会議事録も同様に電子化可能です。
| 電子署名の種類 | 仕組み | 議事録での有効性 | 代表サービス |
|---|---|---|---|
| 当事者型電子署名 | 本人が電子証明書を保有し直接署名 | 有効(登記添付OK) | マイナンバーカード・商業登記電子証明書 |
| 立会人型電子署名 | 事業者が本人確認後に代理で署名付与 | 2020年法務省見解により有効(登記添付OK) | クラウドサイン・GMOサイン・DocuSign |
従来、立会人型電子署名は会社法施行規則第225条第2項の「電子署名」に該当しないとされていましたが、2020年5月の法務省見解により、商業登記の添付書類として有効と明示されました。これにより、クラウドサイン等のクラウド型サービスで作成した議事録を、法務局の登記添付書類として使えるようになりました。
💡 行政書士の視点:クラウドサインで議事録を整えた案件の具体例
弊所が2026年3月に支援した IT企業(取締役4名・監査役1名)では、毎月の取締役会議事録をクラウドサインで運用しています。従来は紙の議事録を役員全員に郵送・押印→返送で最短1週間、最長3週間かかっていましたが、クラウドサイン導入後は最短当日・最長2営業日で完了するようになりました。役員変更登記の際も法務局で問題なく受理されています。毎月の議事録作成が手作業の会社は、電子化による時間圧縮効果が特に大きいです。
議事録を電子化する前に、自社の定款を確認することが重要です。定款に「取締役会議事録に出席取締役および監査役が記名押印する」と明記されている場合、「押印」という文言が電子署名を含むか解釈の余地があるため、定款変更を検討するのが安全です。
📢 子会社の定款は要注意
親会社が株懇モデル定款でも、子会社の定款は独自の押印規定を残しているケースがあります。グループ全社で議事録を電子化する場合、子会社の定款も個別にチェックが必要です。
書面決議とは、株主総会または取締役会を実際に開催せず、全員の書面同意で決議する制度です(会社法第319条第1項・第370条)。小規模会社では実務上広く活用されており、総会開催の手間を大幅に削減できます。
| 会議体 | 書面決議成立要件 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 株主総会 | 議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録で同意 | 会社法第319条第1項 |
| 取締役会 | 定款に書面決議可の定めがあり、取締役全員が同意(監査役の異議なし) | 会社法第370条 |
書面決議でも議事録の作成は必須です。議事録には「書面決議により成立した」旨を明記し、全員の同意書を添付または本文に記載します。
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会社設立のサポートを見る議事録を商業登記の添付書類として使う場合、会社法上の要件に加えて商業登記規則の追加要件に適合する必要があります。要件を満たさない議事録は登記申請が差し戻されます。
「全員一致で可決」とのみ記載し、具体的な議決権数の明記を怠ったケースです。登記申請では「出席議決権○○個のうち○○個の賛成」と数字記載が必須です。
書面決議は「全員同意が得られた日」が決議日となります。同意書に日付がないと決議日が特定できず、登記の起算日が曖昧になり差し戻しとなります。
取締役会議事録は、出席した取締役だけでなく出席監査役も署名または押印が必要です。監査役の押印漏れは法務局で補正指示を受ける典型パターンです。
クラウドサイン等で電子署名を付した議事録PDFを、後から別ソフトで開いて再保存すると電子署名が無効化される場合があります。電子署名済みファイルは変更禁止です。
議事録は会社経営で繰り返し作成する定型書類です。以下の3テクニックを組み合わせれば、作成時間を大幅に短縮できます。
役員変更・定款変更・決算承認など、頻出議案ごとにテンプレートを用意しておくことで、毎回ゼロから作成する手間が省けます。特に中小企業で定時総会が毎年同じパターンになる場合、前年度議事録をベースにするのが効率的です。
クラウドサイン等の立会人型電子署名を使えば、役員全員の押印を数時間で完了できます。月額費用は1アカウント1,000円〜5,000円で、毎月の議事録作成が2回以上ある会社ならコスト回収は容易です。
株主数3名以内・取締役3名以内の小規模会社なら、書面決議で総会開催そのものを省略できます。弊所の顧問先で多い家族経営会社では、年1回の定時総会以外は全て書面決議で運用し、議事録作成時間を8割削減しています。
議事録作成を外注する場合の費用相場は、依頼先と内容で大きく変動します。
| 外注先 | 1通あたり費用 | 特徴 |
|---|---|---|
| 司法書士(登記込み) | 20,000〜50,000円 | 登記申請とセットが一般的 |
| 行政書士(議事録単体) | 10,000〜20,000円 | 定時総会議事録の定型作成 |
| 弁護士(複雑案件) | 30,000〜100,000円 | M&A・事業承継等の重要案件 |
| クラウドサービス(GVA法人登記等) | 5,000〜15,000円 | 定型議事録を自動生成 |
※概算値です。個別の状況により異なります。
議事録は商業登記だけでなく、税務調査・労務監査でも参照される重要書類です。記載内容の不備は税務否認や労務トラブルの原因になります。
定期同額給与の要件を満たすには、事業年度開始後3か月以内の株主総会または取締役会で役員報酬を決定し、議事録にその金額を明記する必要があります。議事録に金額記載がないと、税務調査で「定期同額給与の根拠なし」として損金不算入になる可能性があります。
役員退職金の支給は株主総会決議事項で、議事録には「支給額・支給時期・計算根拠(最終報酬月額×勤続年数×功績倍率等)」を記載します。記載が曖昧だと税務上「過大役員退職金」として損金不算入のリスクがあります。
💡 税理士の視点:議事録は税務調査の防御ツール
弊所が立ち会った製造業の税務調査(売上7億円・従業員50名)で、役員報酬の増額について株主総会議事録が「増額を承認した」としか記載されておらず、具体的な金額が不明瞭だったため、調査官から「定期同額給与の要件を満たさない」として損金不算入を指摘されました。議事録の補正と書面決議の追加資料を提出することで最終的に認められましたが、議事録の具体性が税務上も重要であることを痛感した案件です。
📋 この記事のポイント
🎯 次のアクション
株主総会議事録・取締役会議事録は、会社経営で繰り返し作成される基本書類でありながら、法的要件の不備や記載漏れが登記差し戻し・税務否認の原因になります。電子署名の活用とテンプレート整備で作成負担を大幅に削減しつつ、会社法・商業登記規則・税務実務を踏まえた正確な記載を守ることが重要です。鮎澤パートナーズでは、行政書士・税理士・公認会計士・社会保険労務士が連携し、議事録作成から登記・税務・労務対応まで一気通貫でサポートしています。
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