法人税の納付方法まとめ|ダイレクト納付・クレジット・振替納税を比較

法人税の納付方法まとめ|ダイレクト納付・クレジット・振替納税を比較
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

「法人税はどうやって払えばいいの?」「クレジットカードで払うとポイントが貯まるって本当?」とお悩みの経理担当者に向けて、法人税の7つの納付方法を手数料・手間・上限額で徹底比較します。この記事を読めば、自社に最適な納付方法を選べます。

🏆 結論:法人にはダイレクト納付が最適解

法人税の納付方法は7種類ありますが、法人にはダイレクト納付が最もおすすめです。手数料無料・金額上限なし・期日指定可能・e-Taxと連動で操作も簡単。一度届出を済ませれば翌年以降は数クリックで完了します。資金繰りの調整が必要な場合のみクレジットカード納付を検討しましょう。

法人税の7つの納付方法【一覧表で比較】

法人税の納付方法は全部で7種類あります。結論から言えば、法人にはダイレクト納付が最適ですが、状況によって他の方法が有利なケースもあります。まずは全7方法を一覧で比較します。

⭐ おすすめは「ダイレクト納付」
納付方法 手数料 上限額 事前届出 法人おすすめ度
ダイレクト納付無料上限なし必要(届出書)
インターネットバンキング金融機関による上限なし必要(口座開設)
クレジットカード約0.99%(税込)1,000万円未満不要
スマホアプリ納付無料30万円以下不要×
コンビニ納付(QRコード)無料30万円以下不要×
振替納税無料上限なし必要(依頼書)△(個人向き)
窓口納付(金融機関・税務署)無料上限なし不要

ダイレクト納付の手順とメリット【法人に最もおすすめ】

ダイレクト納付とは、e-Taxで申告書を送信した後、届出済みの銀行口座からクリック操作だけで法人税を引き落とす方法です。手数料無料・金額上限なし・即時納付と期日指定の両方に対応しており、法人にとって最も効率的な納付方法です。

ダイレクト納付の始め方【3ステップ】

ステップ やること 所要期間
e-Taxの利用開始手続きを済ませる(利用者識別番号の取得)即日
「ダイレクト納付利用届出書」を税務署に提出即日(オンライン提出可)
税務署・金融機関の審査完了を待つ約1ヶ月

⚠️ 注意

届出から利用開始まで約1ヶ月かかります。決算月の直前に届出しても間に合わないため、会社設立時や事業年度の開始時に早めに届出しておくのがベストです。

即時納付と期日指定納付の使い分け

ダイレクト納付には「今すぐ納付」と「期日を指定して納付」の2つのモードがあります。申告書送信後、e-Taxの受信通知画面からどちらかを選ぶだけです。

モード 引落しタイミング おすすめ場面
今すぐ納付操作した直後に引落し口座残高に余裕がある場合
期日指定納付指定した日に自動引落し入金予定に合わせて納付日を調整したい場合

💡 実務のポイント

実務では期日指定納付を使うケースが多いです。たとえば申告書は早めに送信しておき、納付期限日を指定しておけば、ギリギリまで口座に資金を残せます。3月決算法人で5月末が納付期限なら、5月29日(銀行営業日)を指定しておく、といった使い方です。

自動ダイレクト(令和6年4月開始の新機能)

令和6年4月から「自動ダイレクト」機能が開始されました。税理士が代理送信する際にダイレクト納付の意思表示をすると、法定納期限に自動的に引落しされるしくみです。納付忘れを完全に防止できます。ただし上限額があり、令和8年3月31日までは1,000万円、令和10年3月31日までは3,000万円です。

電子申告の詳しい手順については「法人税のe-Tax電子申告ガイド」をご確認ください。

AYUSAWA PARTNERS

法人税の申告・納付のご相談は鮎澤パートナーズへ

初回相談無料。公認会計士・税理士・社労士・行政書士がワンストップで対応します。

鮎澤パートナーズに相談する

クレジットカード納付の手順とコスト計算

クレジットカード納付は「国税クレジットカードお支払サイト」から手続きします。事前届出が不要でカード情報を入力するだけで完了するため、最も手軽な方法です。ただし決済手数料がかかる点が最大の注意点です。

クレジットカード納付の決済手数料

納付税額 決済手数料(税込) 実質手数料率
10万円836円0.84%
50万円4,158円0.83%
100万円8,360円0.84%
500万円41,800円0.84%

※手数料は最初の1万円まで83円(税込)、以降1万円ごとに83円(税込)が加算されます。

ポイント還元率との損益分岐点

🧮 シミュレーション

法人税100万円をクレジットカードで納付した場合の損得計算です。決済手数料は8,360円(税込)。カードのポイント還元率が1.0%なら10,000ポイント(10,000円相当)獲得できるため、差し引き約1,640円のプラスになります。還元率0.5%なら5,000円相当で、差し引き約3,360円のマイナスです。つまり、ポイント還元率が約0.84%以上のカードでなければ手数料負けします。

💡 実務のポイント

クレジットカード納付を「お得かどうか」で判断する企業が多いですが、実務で活きるのは「キャッシュフローの調整」です。カードの引落し日は納付日の1〜2ヶ月後になるため、手元資金が一時的に厳しい時期に約0.84%のコストで「つなぎ」ができると考えれば、銀行の短期融資より安いケースもあります。

インターネットバンキングでの納付手順

インターネットバンキングでの納付は、e-Taxで発行された納付情報(収納機関番号・納付番号・確認番号・納付区分)を使って、銀行のペイジー機能から支払う方法です。ダイレクト納付の届出が間に合わない場合の代替手段として有効です。

登録方式と入力方式の違い

方式 しくみ おすすめ場面
登録方式e-Taxに納付情報を登録→納付区分番号が発行→銀行で入力e-Taxで申告済みの場合
入力方式自分で納付目的コードを作成→銀行で入力書面申告の場合

ペイジー対応の金融機関であれば利用可能ですが、金融機関によっては手数料がかかる場合があります。事前に利用する銀行の手数料を確認しておきましょう。

振替納税は法人に向いている?

振替納税は、口座振替依頼書を提出しておけば、自動的に銀行口座から引き落としてくれる方法です。手数料無料で手間もかかりません。ただし、法人にはあまり向いていません。

振替納税が法人に向かない理由

振替納税の対象は所得税と消費税のみで、法人税は対象外です。したがって法人が振替納税を使えるのは消費税の納付だけです。しかも法人は申告期限の延長を適用しているケースが多く、延長した場合は振替納税が使えなくなります。

項目 振替納税 ダイレクト納付
法人税利用不可利用可能
消費税利用可能(延長なしの場合)利用可能
申告期限延長時利用不可利用可能
期日指定振替日は固定自由に指定可能

スマホアプリ納付・コンビニ納付は法人に使える?

スマホアプリ納付

PayPay・d払い・au PAY・LINE Pay・メルペイなどのスマホ決済アプリで納付する方法です。手数料無料ですが、1回の納付上限が30万円以下のため、法人税の納付には実質使えません。消費税の中間納付で少額の場合には選択肢になりますが、通常の法人決算では金額が足りません。

コンビニ納付(QRコード)

e-TaxでQRコードを発行し、コンビニの端末で読み取って現金で支払う方法です。こちらも上限30万円以下で手数料無料ですが、現金での支払いが必要です。法人税の本税納付にはほぼ使えません。

窓口納付(金融機関・税務署)

税務署から送付された納付書を使い、金融機関の窓口や税務署の窓口で現金を直接支払う方法です。事前届出不要・手数料無料で確実に納付できますが、窓口の営業時間内にしか手続きできず、現金の準備も必要です。

💡 実務のポイント

窓口納付の最大のメリットは「領収証書が発行される」ことです。ダイレクト納付・クレジットカード納付・インターネットバンキングでは領収証書が発行されません。融資申請などで領収証書が必要な場合は窓口納付を選ぶ必要があります。ただし、e-Taxの受信通知(納付区分番号通知)が納付証明として機能するため、多くの場面では電子的な証明で十分です。

地方税(住民税・事業税)の納付方法

法人税と合わせて納付が必要な法人住民税・法人事業税は、eLTAX(地方税ポータルシステム)の共通納税システムから電子納付できます。国税のe-Taxと地方税のeLTAXは別のシステムなので、それぞれで納付手続きが必要です。

eLTAXの電子納税方法

方法 手数料 特徴
ダイレクト納付無料eLTAXで口座登録が必要。全自治体に一括納付可能
インターネットバンキング金融機関によるペイジー対応金融機関から納付
クレジットカード約0.83%(税込)1,000万円未満。F-REGI経由

国税(e-Tax)と地方税(eLTAX)の両方でダイレクト納付を設定しておくのがベストです。申告から納付まで全てオンラインで完結します。法人の決算申告の全体像は「法人決算の流れ完全ガイド」で解説しています。

納付方法の選び方フローチャート

ステップ 確認項目 はい いいえ
ダイレクト納付の届出は済んでいるか?→ ダイレクト納付→ ②へ
届出から1ヶ月待てる余裕があるか?→ 今すぐ届出して次回からダイレクト納付→ ③へ
納付額は1,000万円未満で、資金繰りの調整が必要か?→ クレジットカード納付→ ④へ
インターネットバンキングの口座があるか?→ インターネットバンキング→ 窓口納付

納付が遅れた場合のペナルティ

法人税を期限内に納付しなかった場合、延滞税が課されます。延滞税は損金に算入できないため、通常の借入金利より実質的な負担が重くなります。

期間 延滞税率(目安) 損金算入
納期限の翌日〜2ヶ月以内年2.4%程度不可
納期限から2ヶ月超年8.7%程度不可

申告期限の延長と納付期限の関係については「法人税の申告期限と納付期限ガイド」で詳しく解説しています。

納付時の仕訳と経理処理

納付方法別の仕訳

納付方法 借方 貸方
口座引落し(ダイレクト・振替)未払法人税等普通預金
クレジットカード未払法人税等 / 支払手数料未払金(カード会社)
窓口(現金)未払法人税等現金

📊 公認会計士の視点

クレジットカードで納付した場合の決済手数料は「支払手数料」として損金算入できます。ただし、法人税本体と手数料を分けて仕訳する必要があります。また、カードの引落し日と納付日にズレが生じるため、期末を跨ぐ場合は「未払金」の計上を忘れないようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

法人税はクレジットカードで支払った方がお得ですか?
ポイント還元率が約0.84%以上のカードであれば、手数料を差し引いてもプラスになります。ただし、ダイレクト納付なら手数料ゼロなので、「ポイント目当て」だけでクレジットカードを選ぶのはおすすめしません。資金繰りの調整(引落し日を1〜2ヶ月後にする)が目的なら有効です。
ダイレクト納付の届出はオンラインでできますか?
はい、e-Taxからオンラインで届出書を提出できます。書面での提出も可能です。届出後、税務署と金融機関での審査に約1ヶ月かかるため、早めの届出をおすすめします。
法人税1,000万円以上の場合、クレジットカード納付は使えませんか?
使えません。1回の手続きで納付できるのは1,000万円未満です。分割して複数回手続きすることもできません。1,000万円以上の場合はダイレクト納付かインターネットバンキングを利用してください。
法人税の振替納税はできますか?
法人税は振替納税の対象外です。振替納税が使えるのは所得税と消費税のみで、かつ申告期限の延長を受けていない場合に限ります。法人の口座引落しにはダイレクト納付を利用してください。
税理士に申告を依頼している場合、納付はどうなりますか?
税理士が代理送信で申告書を送信した後、ダイレクト納付の「自動ダイレクト」を利用すれば、法定納期限に自動的に引き落とされます。自動ダイレクトを使わない場合は、法人側でe-Taxの受信通知から納付操作を行うか、税理士が代わりに操作することも可能です。
クレジットカード納付の手数料は経費になりますか?
はい、決済手数料は「支払手数料」として損金算入できます。法人税の本体は損金不算入ですが、クレジットカードの決済手数料は法人税そのものではないため、経費として認められます。
納付書はどこで入手できますか?
通常、中間申告や確定申告の時期に税務署から送付されます。届かない場合や紛失した場合は、最寄りの税務署で入手するか、e-Taxから納付情報を発行してキャッシュレス納付することも可能です。
eLTAXのダイレクト納付とe-Taxのダイレクト納付は別の手続きですか?
はい、別の手続きです。e-Taxは国税(法人税・消費税)、eLTAXは地方税(住民税・事業税)の納付に使います。それぞれで口座の届出が必要ですが、同じ銀行口座を指定することは可能です。
コンビニ納付やスマホアプリ納付は法人税に使えますか?
制度上は利用可能ですが、上限額が30万円以下のため、法人税の本税納付にはほぼ使えません。少額の源泉所得税の納付や、個人事業主の予定納税などに適した方法です。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 法人税の納付方法は7種類。法人にはダイレクト納付(手数料無料・上限なし)が最適
  • ダイレクト納付は届出から利用まで約1ヶ月。会社設立時に早めに届出すべき
  • クレジットカード納付は手数料約0.84%。ポイント還元率0.84%以上なら損しない
  • 振替納税は法人税に使えない(所得税・消費税のみ)
  • スマホアプリ・コンビニは上限30万円で法人税にはほぼ使えない
  • 国税(e-Tax)と地方税(eLTAX)は別々に納付手続きが必要
  • 納付遅れの延滞税は損金不算入。ダイレクト納付の期日指定で納付忘れを防止

法人税の納付方法で迷ったら、まずダイレクト納付の届出を済ませましょう。一度設定すれば翌年以降は数クリックで完了します。会社設立や決算申告のタイミングで合わせて届出するのが最も効率的です。

AYUSAWA PARTNERS

法人税の申告・納付のご相談は鮎澤パートナーズへ

初回相談無料。公認会計士・税理士・社労士・行政書士がワンストップで対応します。

鮎澤パートナーズに相談する

参考: 国税庁「クレジットカード納付のQ&A」国税庁「ダイレクト納付の手続」