法人住民税のしくみ|法人税割・均等割の計算と申告方法

法人住民税のしくみ|法人税割・均等割の計算と申告方法
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

「法人住民税っていくらかかるの?」「赤字でも払うの?」と疑問を持つ法人経営者に向けて、法人税割と均等割の計算方法・税率一覧・申告手順を完全ガイドします。この記事を読めば、自社の法人住民税額を自分で計算できるようになります。

🏆 結論:法人住民税=法人税割+均等割の合計額

法人住民税は「法人税割」と「均等割」の2本立てです。法人税割は法人税額に税率(標準で都道府県1.0%+市町村6.0%=計7.0%)を掛けた金額。均等割は資本金等の額と従業者数で決まる定額(最低年7万円)で、赤字でも免除されません。東京23区は都民税として一括申告し、それ以外は都道府県と市町村に別々に申告します。

法人住民税とは?全体像を5つのポイントで解説

法人住民税とは、法人が事業所を置く地方自治体に納める地方税です。個人の住民税と同じく「地域社会の一員としての会費」という性格を持っています。

まず押さえるべき5つのポイントを整理します。

  1. 法人税割+均等割の2本立てで計算する
  2. 法人税割は黒字の場合のみかかる(法人税額×税率)
  3. 均等割は赤字でも必ずかかる(最低年7万円)
  4. 都道府県民税と市町村民税の2つの申告先がある(東京23区は一括)
  5. 事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に申告・納付

法人住民税・法人税・法人事業税の違い

項目 法人住民税 法人税 法人事業税
種類地方税国税地方税
納付先都道府県+市町村国(税務署)都道府県
課税標準法人税額+資本金等課税所得所得+付加価値+資本
赤字の場合均等割は課税非課税原則非課税
損金算入不可不可

参考: 総務省「法人住民税」

法人事業税と外形標準課税の詳細については、「法人事業税と外形標準課税|計算方法・分割基準・特別法人事業税」で解説しています。

法人税割の計算方法と税率

法人税割は、法人が国に納める法人税額を基準に計算します。計算式はシンプルです。

法人税割 = 法人税額 × 法人税割税率

法人税割の標準税率と制限税率

区分 標準税率 制限税率
都道府県民税1.0%2.0%
市町村民税6.0%8.4%
合計7.0%10.4%

東京23区の場合は都民税として一括で、法人税割の税率は7.0%(標準税率の合計)です。多くの自治体は標準税率を適用していますが、超過税率を採用している自治体もあるため、事業所の所在地の税率を確認してください。

💡 実務のポイント

実務で最もよくある質問が「法人税がゼロなら法人住民税もゼロですか?」です。答えは「法人税割はゼロだが、均等割は最低7万円かかる」です。赤字決算でも法人住民税の納付義務があることを忘れないでください。

均等割の税額一覧【9段階】

均等割は法人の規模(資本金等の額と従業者数)に応じた定額です。法人の利益に関係なく、赤字であっても課税されます。

都道府県民税の均等割(5段階)

資本金等の額 年額
1,000万円以下2万円
1,000万円超〜1億円以下5万円
1億円超〜10億円以下13万円
10億円超〜50億円以下54万円
50億円超80万円

市町村民税の均等割(9段階)

資本金等の額 従業者数50人以下 従業者数50人超
1,000万円以下5万円12万円
1,000万円超〜1億円以下13万円15万円
1億円超〜10億円以下16万円40万円
10億円超〜50億円以下41万円175万円
50億円超41万円300万円

中小企業(資本金1,000万円以下・従業者50人以下)の均等割は、都道府県2万円+市町村5万円=年間7万円が最低額です。

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法人住民税の合計額シミュレーション【4パターン】

法人税割+均等割の合計で、法人住民税がいくらになるか確認しましょう。

📐 シミュレーション前提条件

  • 事業所は1ヶ所(東京23区内)
  • 資本金1,000万円以下、従業者数50人以下
  • 法人税割税率=7.0%(東京都標準税率)
  • 均等割=7万円(都道府県2万円+市町村5万円)
項目 赤字 法人税100万円 法人税300万円 法人税500万円
法人税割0円7万円21万円35万円
均等割7万円7万円7万円7万円
合計7万円14万円28万円42万円

※概算値です。個別の状況や自治体の条例税率により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

均等割の月割計算【年度途中の設立・移転・廃止】

事業年度の途中で事務所を設立・移転・廃止した場合、均等割は月割で計算します。

均等割(月割) = 年額 × 事務所を有していた月数 ÷ 12

計算例:10月1日に設立した法人(3月決算)

事務所を有していた期間は10月1日〜3月31日の6ヶ月。資本金500万円・従業者3人で東京23区内の場合:

均等割(年額7万円)× 6ヶ月 ÷ 12 = 3万5,000円

⚠️ 注意:月数の端数処理

1ヶ月に満たない端数は切り捨てます。ただし、事業期間の全部が1ヶ月未満の場合は1ヶ月として計算します。たとえば、10月15日〜3月31日の場合、10月は15日間で1ヶ月未満ですが、10月15日から計算して11月14日で1ヶ月、以降は11月15日〜3月31日で4ヶ月+端数。合計5ヶ月とするのが一般的です。

複数拠点がある場合の分割基準

2つ以上の都道府県・市町村に事務所がある法人は、法人住民税をそれぞれの自治体に按分して納めます。

法人税割の分割基準

法人税割は、各自治体の事務所の従業者数で按分します。

🧮 シミュレーション:2拠点の場合

A県A市(従業者30人)とB県B市(従業者20人)の2拠点。法人税額200万円。
法人税割(都道府県・標準税率1.0%):
A県=200万円 × 30/50 × 1.0% = 1万2,000円
B県=200万円 × 20/50 × 1.0% = 8,000円
法人税割(市町村・標準税率6.0%):
A市=200万円 × 30/50 × 6.0% = 7万2,000円
B市=200万円 × 20/50 × 6.0% = 4万8,000円

均等割の分割基準

均等割は按分しません。各自治体の事務所ごとに、その市町村の従業者数と法人全体の資本金等の額で税額が決まります。つまり、拠点が増えるほど均等割の負担は増加します。

💡 実務のポイント

3拠点以上ある法人の法人住民税の申告は非常に煩雑になります。均等割は拠点ごとに別々の市町村に申告し、法人税割は従業者数で按分して各自治体に申告する必要があるためです。eLTAXの共通納税を利用すれば、複数自治体への一括納付が可能です。

東京23区と23区外・他道府県の違い

東京23区は特別区制度のため、法人住民税の取り扱いが他の自治体と異なります。

項目 東京23区内 東京23区外・他道府県
税の名称法人都民税(都道府県分+市町村分を一括)都道府県民税+市町村民税(別々)
申告先都税事務所のみ都道府県税事務所+市町村役場
法人税割税率7.0%(一括)都道府県1.0%+市町村6.0%
均等割(最低額)7万円7万円(都道府県2万+市町村5万)
申告書様式第6号様式のみ第6号様式(都道府県)+第20号様式(市町村)

参考: 東京都主税局「法人事業税・法人都民税」

法人住民税の申告・納付の流れ【5ステップ】

ステップ1:法人税額を確定する

法人税の確定申告書を作成し、納付すべき法人税額を確定させます。この法人税額が法人税割の計算基礎になります。

ステップ2:法人税割を計算する

法人税額に法人税割税率(標準7.0%)を掛けます。複数拠点がある場合は従業者数で按分してから税率を掛けます。

ステップ3:均等割を確定する

資本金等の額と各自治体の従業者数から、均等割の年額を確認します。年度途中の設立・廃止があれば月割計算を行います。

ステップ4:申告書を作成・提出する

東京23区は第6号様式を都税事務所に提出。23区外は都道府県税事務所と市町村役場にそれぞれ提出します。eLTAXによる電子申告も可能です。

ステップ5:納付する

事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に納付します。納付方法は窓口納付のほか、eLTAX(クレジットカード・インターネットバンキング・ダイレクト方式)に対応しています。

📊 公認会計士の視点

法人住民税は損金不算入です。決算時に「法人税、住民税及び事業税」の勘定科目で費用計上しますが、法人税の申告書上では加算調整が必要になります。法人事業税は損金算入できるため、混同しないよう注意してください。中間申告が必要な場合は、事業年度開始の日から6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に中間申告書を提出します。

赤字法人の均等割と休眠届・みなし解散

赤字が続く法人にとって、毎年最低7万円の均等割は無視できない負担です。事業を休止している場合の選択肢を比較します。

選択肢 均等割 法人の存続 手続き
そのまま放置毎年7万円存続不要
休眠届の提出自治体により減免の可能性あり存続(休眠状態)税務署+自治体に届出
解散・清算解散後は不要消滅株主総会決議+登記+申告
みなし解散(12年放置)登記官が職権で解散消滅扱い法務局からの通知を放置

⚠️ 注意

休眠届を出しても均等割が自動的に免除されるわけではありません。免除されるかどうかは自治体の判断によります。一方、確定申告を無申告のまま放置すると、青色申告の承認が取り消されるリスクがあります。事業を休止する場合でも、毎年の確定申告は行ってください。

その他の税金の全体像については、「加算税の全体像を完全解説」もあわせてご覧ください。事業所税の詳細は「事業所税のしくみ」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

法人住民税は赤字でもかかりますか?
はい。法人税割は法人税額がゼロなので課税されませんが、均等割は赤字であっても原則として課税されます。資本金1,000万円以下・従業者50人以下の法人で、都道府県2万円+市町村5万円の合計7万円が最低額です。
法人住民税の申告期限はいつですか?
事業年度終了日の翌日から原則2ヶ月以内です。たとえば3月決算の法人なら5月31日が期限です。なお、法人税の申告期限延長の特例(1ヶ月延長)を受けている場合でも、法人住民税の延長申請を別途行わないと期限は延長されません。
東京23区の場合、法人住民税はどこに申告しますか?
東京23区内に事務所がある法人は、都道府県民税と市町村民税を一括して「法人都民税」として所管の都税事務所に申告・納付します。市区町村への別途申告は不要です。
均等割の「資本金等の額」とは何ですか?
原則として「資本金の額+資本準備金の額」です。ただし、地方税法上の「資本金等の額」と会計上の「資本金+資本準備金」が異なる場合があります。無償増資や減資を行った法人は、税務上の金額を確認してください。
複数の市町村に事務所がある場合、均等割は合計されますか?
はい。均等割は事務所のある各市町村にそれぞれ課税されます。たとえばA市とB市に事務所がある場合、A市とB市に別々に均等割を納付します。拠点が増えるほど均等割の合計額は増加します。
法人住民税は経費(損金)になりますか?
法人住民税は損金不算入です。会計上は「法人税、住民税及び事業税」として費用計上しますが、法人税の申告書で加算調整します。なお、法人事業税は損金算入が認められています。
中間申告は必要ですか?
前事業年度の法人税額が20万円を超える場合、法人税の中間申告が必要であり、法人住民税も中間申告が必要です。事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に提出します。前年の法人税割額の半額を納付する「予定申告」が一般的ですが、仮決算による中間申告も可能です。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 法人住民税=法人税割(法人税額×7.0%)+均等割(最低年7万円)
  • 法人税割は黒字のみ課税。均等割は赤字でも必ず課税される
  • 均等割は資本金等の額と従業者数で5段階(都道府県)×9段階(市町村)に区分
  • 東京23区は法人都民税として都税事務所に一括申告。それ以外は2ヶ所に別々に申告
  • 複数拠点がある場合、法人税割は従業者数で按分。均等割は各自治体に全額課税
  • 申告期限は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内。eLTAXで電子申告・納付が可能
  • 法人住民税は損金不算入。法人事業税(損金算入可)と混同しないこと

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