公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
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法人事業税と外形標準課税|計算方法・分割基準・特別法人事業税
「法人事業税と特別法人事業税って別物?」「外形標準課税の対象になるのはどんな法人?」と疑問を持つ経営者に向けて、所得割・付加価値割・資本割の計算方法、特別法人事業税の税率、分割基準を完全ガイドします。


法人事業税と外形標準課税|計算方法・分割基準・特別法人事業税
「法人事業税と特別法人事業税って別物?」「外形標準課税の対象になるのはどんな法人?」と疑問を持つ経営者に向けて、所得割・付加価値割・資本割の計算方法、特別法人事業税の税率、分割基準を完全ガイドします。
🏆 結論:法人事業税は「中小法人=所得割のみ」「大法人=所得割+付加価値割+資本割」
資本金1億円以下の中小法人は所得割(標準税率3.5%〜7.0%の3段階)のみ。資本金1億円超の法人は外形標準課税が適用され、所得割(低い税率)に加え付加価値割(1.26%)と資本割(0.525%)が課されます。さらに全法人に対し、法人事業税の一部を原資とする「特別法人事業税」(国税)が上乗せされます。法人事業税は損金算入できる点が法人税・法人住民税と異なる大きな特徴です。
法人事業税とは、法人が事業を行うにあたって受ける行政サービスの経費を負担するために、事業所のある都道府県に納める地方税です。
| 項目 | 法人事業税 | 法人住民税 | 法人税 |
|---|---|---|---|
| 種類 | 地方税 | 地方税 | 国税 |
| 納付先 | 都道府県 | 都道府県+市町村 | 国(税務署) |
| 課税標準 | 所得+付加価値+資本 | 法人税額+資本金等 | 課税所得 |
| 損金算入 | 可 | 不可 | 不可 |
| 赤字の場合 | 所得割は非課税(外形は課税) | 均等割は課税 | 非課税 |
法人住民税の詳細は「法人住民税のしくみ|法人税割・均等割の計算と申告方法」をご覧ください。
資本金1億円以下の普通法人(外形標準課税の対象外)は、所得に対する所得割のみで法人事業税を計算します。
| 所得区分 | 標準税率 | 超過税率(東京都) |
|---|---|---|
| 年400万円以下 | 3.5% | 3.75% |
| 年400万円超〜800万円以下 | 5.3% | 5.665% |
| 年800万円超 | 7.0% | 7.48% |
🧮 シミュレーション:所得1,000万円の中小法人(標準税率)
400万円 × 3.5% = 14万円
400万円 × 5.3% = 21万2,000円
200万円 × 7.0% = 14万円
合計:49万2,000円
外形標準課税は、原則として事業年度末の資本金が1億円超の普通法人に適用されます。令和6年度税制改正で対象が拡大されました。
| 基準 | 内容 | 適用開始 |
|---|---|---|
| ① 資本金基準 | 事業年度末の資本金が1億円超 | 従来から |
| ② 減資対応 | 前期に外形対象だった法人が資本金1億円以下に減資したが、払込資本(資本金+資本剰余金)が10億円超 | 令和7年4月〜 |
| ③ 100%子法人等 | 特定法人(払込資本50億円超)の100%子法人で、払込資本が2億円超 | 令和8年4月〜 |
📢 令和6年度改正の注意点
基準②③の判定には「資本金等の額」ではなく、会計上の「資本金+資本剰余金」を使用します。自己株式の取得では金額が変わらないため、自己株取得による対象回避はできません。新たに対象となる子法人等には、初年度2/3・次年度1/3の激変緩和措置が設けられています。
外形標準課税法人の法人事業税は所得割+付加価値割+資本割の3つの合計です。
| 区分 | 標準税率 | 超過税率(東京都) |
|---|---|---|
| 所得割(400万円以下) | 0.4% | 0.495% |
| 所得割(400万超〜800万以下) | 0.7% | 0.835% |
| 所得割(800万円超) | 1.0% | 1.18% |
| 付加価値割 | 1.26% | 1.26% |
| 資本割 | 0.525% | 0.525% |
付加価値額は以下の4つの合計です。
付加価値額 = 収益分配額 + 単年度損益
| 構成要素 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 報酬給与額 | 役員報酬・従業員給与・賞与・退職給与等 | 3億円 |
| 純支払利子 | 支払利子 − 受取利子 | 500万円 |
| 純支払賃借料 | 支払賃借料 − 受取賃借料 | 2,000万円 |
| 単年度損益 | 法人税法上の当期損益 | 5,000万円 |
| 付加価値額合計 | 上記4つの合計 | 5億7,500万円 |
資本割 = 資本金等の額 × 0.525%
資本金等の額は、法人税法上の「資本金等の額」と「資本金+資本準備金」のいずれか大きい方を使用します。
💡 実務のポイント
外形標準課税法人で最も計算が複雑なのは付加価値割です。とくに派遣社員のコストは「報酬給与額」に75%相当額を含める必要があります。また、賃上げ促進税制の適用で付加価値割が軽減される場合があるため、給与増加額のチェックも欠かせません。
特別法人事業税は、法人事業税の一部を国税として徴収する制度です。法人事業税の申告書と一緒に都道府県に申告・納付し、国が地方に再分配します。
| 法人の区分 | 課税標準 | 税率 |
|---|---|---|
| 外形標準課税対象外の普通法人 | 法人事業税の所得割額 | 37% |
| 外形標準課税対象法人 | 法人事業税の所得割額 | 260% |
| 収入金額課税法人 | 法人事業税の収入割額 | 30% |
⚠️ 注意:外形標準課税法人の特別法人事業税は260%
外形標準課税法人は所得割の税率自体が低い(標準1.0%)分、特別法人事業税の税率が260%と高く設定されています。最終的な税負担は中小法人と大きく変わらないよう調整されていますが、付加価値割・資本割の分だけ赤字時の負担が重くなります。
同じ所得1,000万円の場合に、法人事業税+特別法人事業税の合計がどう変わるか比較します。
📐 シミュレーション前提条件
| 項目 | 中小法人 | 外形標準課税法人 |
|---|---|---|
| 所得割 | 49.2万円 | 8.4万円 |
| 付加価値割 | — | 252万円 |
| 資本割 | — | 262.5万円 |
| 特別法人事業税 | 18.2万円 | 21.8万円 |
| 合計 | 67.4万円 | 544.7万円 |
※外形標準課税法人は付加価値額・資本金等の額が大きいため、所得が同じでも税負担は大幅に異なります。概算値であり、正確な計算は税理士にご相談ください。
📊 公認会計士の視点
外形標準課税法人の会計処理では、所得割は「法人税、住民税及び事業税」に計上しますが、付加価値割と資本割は「販売費及び一般管理費」の租税公課に計上します。これは付加価値割・資本割が所得に対する税金ではないためです。税効果会計の繰延税金資産の計算にも影響するため、外形部分と所得部分を正確に区分してください。
2つ以上の都道府県に事業所がある法人は、法人事業税を分割基準に基づいて各都道府県に按分します。
| 法人の種類 | 分割基準 |
|---|---|
| 製造業 | 従業者数(事業所数の按分なし) |
| 非製造業 | 事務所等の数 × 1/2 + 従業者数 × 1/2 |
🧮 シミュレーション:非製造業・2拠点の場合
東京都(事業所1・従業者80人)と大阪府(事業所1・従業者20人)の2拠点。
東京都の分割割合:
事務所数=1/2 × 1/2 = 0.25(事務所比率50%の半分)
従業者数=80/100 × 1/2 = 0.40
合計=0.25+0.40=0.65(65%)
大阪府の分割割合:1 − 0.65 = 0.35(35%)
💡 実務のポイント
従業者数は原則として事業年度末日の人数を使いますが、事業年度の途中で従業者数が大きく変動した場合は、事業年度を通じた月末の従業者数の平均を使用できます。また、派遣社員は原則として派遣先の従業者数に含めません。
その他の税金の全体像は「加算税の全体像を完全解説」をご覧ください。事業所税については「事業所税とは?対象となる都市・計算方法」で解説しています。
| 種類 | 期限 | 内容 |
|---|---|---|
| 確定申告 | 事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内 | 法人事業税+特別法人事業税を一括申告 |
| 中間申告 | 事業年度開始の日から6ヶ月経過後2ヶ月以内 | 予定申告(前期の1/2)or 仮決算 |
| 納付先 | — | 事業所のある都道府県税事務所(eLTAX対応) |
📋 この記事のポイント
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