【税理士×行政書士のダブル監修】不動産取得税の軽減措置|新築・中古・長期優良住宅の控除額一覧

【税理士×行政書士のダブル監修】不動産取得税の軽減措置|新築・中古・長期優良住宅の控除額一覧
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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不動産取得税の軽減措置|新築・中古・長期優良住宅の控除額一覧

不動産取得税の軽減措置がいくらになるか知りたい方に向けて、新築・中古・長期優良住宅・買取再販の4カテゴリの控除額を一覧で比較します。この記事を読めば、自分のケースで軽減措置を最大限活用できるかどうかを判断できます。

🏆 結論:軽減措置をフル活用すれば税額ゼロも可能

不動産取得税の軽減措置は「建物の控除」と「土地の減額」の2本柱です。新築住宅なら評価額から1,200万円を控除でき、長期優良住宅なら1,300万円。中古住宅も築年数に応じて最大1,200万円の控除があります。さらに土地は、住宅用であれば税額から大幅な減額が受けられます。これらを組み合わせれば、一般的な住宅では税額がゼロになるケースが多数。ただし軽減措置は原則申告制なので、取得後30〜60日以内に都道府県税事務所への申告が必須です。

不動産取得税の軽減措置の全体像【4カテゴリ一覧比較】

不動産取得税の軽減措置は、取得する住宅の種類によって4つのカテゴリに分かれます。まず全体像を一覧表で把握しましょう。

カテゴリ 建物の控除額 床面積要件 居住要件 申告要否
①新築住宅1,200万円50〜240㎡居住用・セカンドハウス要申告
②長期優良住宅1,300万円50〜240㎡居住用・セカンドハウス要申告
③中古住宅100万〜1,200万円50〜240㎡自己居住用のみ要申告
④買取再販住宅築年数別50〜240㎡個人の居住用に譲渡要申告

💡 実務のポイント

4カテゴリの中で最も注意が必要なのは③中古住宅です。新築は一律1,200万円の控除ですが、中古は築年数によって控除額が大きく異なり、昭和29年以前の住宅は控除がゼロです。また、中古は「自己居住用」が必須で、セカンドハウスや投資用には適用されません。

不動産取得税の基本的な計算方法については「不動産取得税とは?税率・計算方法・宅地の特例をわかりやすく解説」で解説しています。本記事では軽減措置の詳細に特化して解説します。

新築住宅の軽減措置【1,200万円控除の要件と計算】

新築住宅を取得した場合、一定の要件を満たせば建物の評価額から1,200万円を控除できます。控除後の評価額がゼロ以下になれば、建物の不動産取得税は0円です。

新築住宅の軽減措置の要件

要件 内容 注意点
用途居住用またはセカンドハウス用投資用(賃貸専用)も対象になるが、1戸あたりの面積要件あり
床面積50㎡以上240㎡以下戸建以外の貸家は40㎡以上240㎡以下
面積の計算方法物置・車庫を含む延べ床面積マンションは共用部分の按分面積を加算した課税床面積で判定

計算式と具体例

新築住宅の不動産取得税の計算式は次のとおりです。

(建物の評価額 − 1,200万円)× 3% = 建物の不動産取得税

🧮 計算例:評価額1,500万円の新築住宅

軽減なし:1,500万円 × 3% = 45万円
軽減あり:(1,500万円 − 1,200万円)× 3% = 9万円
→ 軽減効果:36万円の節税

評価額が1,200万円以下であれば、控除後の課税標準がゼロになるため、建物の不動産取得税は0円です。一般的な木造一戸建ての場合、建物の評価額は新築価格の5〜6割程度になるため、建築費が2,000万円程度までなら評価額が1,200万円以下に収まり、税額ゼロになる可能性が高いです。

認定長期優良住宅の軽減措置【1,300万円控除】

認定長期優良住宅として認定を受けた新築住宅は、控除額が通常の1,200万円から1,300万円に100万円上乗せされます。

長期優良住宅の軽減の要件

要件 内容
認定長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定を受けていること
取得期限平成21年6月4日〜令和8年3月31日までに取得したもの
床面積新築住宅と同じ(50〜240㎡)

📢 期限に注意:令和8年3月31日まで

長期優良住宅の1,300万円控除は令和8年3月31日までの取得が対象です。この期限を過ぎると控除額は通常の1,200万円に戻ります。令和7年度中に取得を検討中の方は早めの手続きをおすすめします。

通常の新築と長期優良住宅の比較

項目 通常の新築 長期優良住宅
建物の控除額1,200万円1,300万円
控除額の差+100万円
税額の差(100万円×3%)最大3万円の節税
固定資産税の減額期間3年間(マンション5年)5年間(マンション7年)
住宅ローン控除借入限度3,000万円借入限度4,500万円

不動産取得税だけ見ると3万円の差ですが、固定資産税の減額期間延長と住宅ローン控除の借入限度額の拡大を合わせると、長期優良住宅のトータルの税メリットは数十万円〜100万円以上になるケースがあります。

中古住宅の軽減措置【築年数別控除額の完全一覧】

中古住宅の不動産取得税は、その住宅が新築された時期に応じて控除額が段階的に変わります。以下が全10区分の控除額一覧表です。

築年数別控除額の一覧表

新築された日 控除額 備考
平成9年(1997年)4月1日以降1,200万円新築と同額
平成元年(1989年)4月1日〜平成9年3月31日1,000万円
昭和60年(1985年)7月1日〜平成元年3月31日450万円
昭和56年(1981年)7月1日〜昭和60年6月30日420万円
昭和51年(1976年)1月1日〜昭和56年6月30日350万円
昭和48年(1973年)1月1日〜昭和50年12月31日230万円
昭和39年(1964年)1月1日〜昭和47年12月31日150万円
昭和29年(1954年)7月1日〜昭和38年12月31日100万円
昭和29年6月30日以前控除なし軽減対象外

参考: 東京都主税局 不動産取得税Q&A(控除額は都道府県によって一部異なる場合があります)

中古住宅の軽減措置の要件

中古住宅は新築と比べて要件が厳しくなります。特に「自己居住用」であることと「耐震基準」の2点が重要です。

要件 内容
用途個人が自己の居住用に取得(セカンドハウス含む場合もあるが自治体により異なる)
床面積50㎡以上240㎡以下(課税床面積で判定)
耐震基準(昭和57年以降築)昭和57年1月1日以降に新築された住宅 → 自動的にクリア
耐震基準(昭和56年以前築)取得日前2年以内に耐震診断で新耐震基準適合の証明を受けていること

⚠️ 昭和56年以前の住宅は要注意

昭和56年12月31日以前に建築された住宅は旧耐震基準の建物です。軽減措置を受けるには、取得前に耐震診断を受けて新耐震基準への適合証明を取得するか、取得後6ヶ月以内に耐震改修を行い証明を受ける必要があります(平成26年4月1日以降取得分)。耐震診断の費用は10〜30万円程度かかるため、軽減額と比較して検討してください。

中古住宅の軽減で投資用は対象外

新築住宅の軽減措置は投資用の貸家住宅にも適用されますが、中古住宅の軽減措置は原則として「個人が自己の居住用に取得した住宅」に限られます。実務では、投資用の中古マンションを購入した方が「軽減措置を使えると思っていた」と後から気づくケースが少なくありません。投資用の中古物件は軽減措置の対象外であることを、購入前に理解しておくことが重要です。

住宅用土地の減額制度【新築・中古共通】

建物の軽減措置の要件を満たす住宅の敷地(土地)を取得した場合、土地の不動産取得税からさらに減額を受けられます。この減額制度は新築・中古ともに共通です。

土地の減額の計算方法

次の(A)(B)のうち大きい方の金額が、土地の税額から差し引かれます。

方式 計算式 向いているケース
(A)定額方式45,000円土地面積が小さい場合
(B)面積方式土地1㎡あたり評価額×1/2×住宅の課税床面積×2(上限200㎡)×3%一般的な住宅(こちらが大きくなることが多い)

土地の減額を受けるための取得タイミング

パターン 要件
土地と新築住宅を同時取得住宅が軽減要件を満たしていればOK
土地を先に取得 → 後から新築土地取得から3年以内に住宅を新築すること
新築住宅を先に建築 → 後から土地取得新築後1年以内に土地を取得すること
中古住宅と土地を同時取得住宅が軽減要件を満たしていればOK
土地を先に取得 → 後から中古住宅取得土地取得から1年以内に中古住宅を取得すること

💡 実務のポイント

土地を先に取得して後から住宅を建てる場合、住宅が完成するまでの間は軽減なしの税額で通知が届く可能性があります。この場合は都道府県税事務所に「徴収猶予」の申請ができます。住宅を建てる予定があることを申告すれば、軽減額に相当する税額の納付を猶予してもらえます。

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4パターンで税額シミュレーション【軽減前vs軽減後】

📐 シミュレーション前提条件

  • 軽減税率(土地・住宅3%)適用中の令和9年3月31日まで取得を想定
  • 土地はすべて宅地(1/2特例の対象)
  • 全パターンとも床面積要件(50〜240㎡)を満たすものとする
パターン 軽減前 軽減後 節税額
①新築一戸建て
土地評価1,500万円/100㎡、建物評価1,200万円/90㎡
58.5万円0円▲58.5万円
②長期優良住宅
土地評価2,000万円/120㎡、建物評価1,800万円/100㎡
84万円15万円▲69万円
③中古マンション(築15年)
土地持分評価600万円/20㎡、建物評価800万円/70㎡
33万円0円▲33万円
④中古マンション(築40年・昭和61年築)
土地持分評価400万円/15㎡、建物評価300万円/60㎡
15万円0円▲15万円

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

💡 パターン②の計算内訳

建物:(1,800万円−1,300万円)×3%=15万円。土地:2,000万円×1/2×3%=30万円、減額(B式)=2,000万円÷120㎡×1/2×100㎡×2×3%=50万円 → 30万円を超えるため土地は0円。合計15万円。軽減なしの場合は84万円なので、69万円の節税効果です。

「軽減措置を使えるか?」要件判定チェックリスト

自分が軽減措置を使えるかどうかを確認するためのチェックリストです。すべてに「はい」と回答できれば軽減措置の対象です。

建物の軽減措置チェック

チェック項目 新築 中古
住宅である(事務所・店舗でない)必須必須
床面積が50㎡以上240㎡以下必須必須
自己居住用またはセカンドハウス用—(投資用もOK)必須
昭和57年1月1日以降に建築—(新築は該当)必須(※)
都道府県税事務所に軽減申告済み必須必須

※昭和56年以前築でも、耐震診断で新耐震基準適合の証明があれば軽減対象。取得後6ヶ月以内の耐震改修による適合でも可(平成26年4月以降取得分)。

軽減申告の手続きと必要書類

軽減措置は自動では適用されません。取得後に都道府県税事務所へ申告する必要があります。

必要書類の比較表

必要書類 新築 中古 土地のみ先行取得
不動産取得税申告書
登記事項証明書
売買契約書の写し
住民票の写し
建築確認通知書(検査済証)
長期優良住宅認定通知書
耐震基準適合証明書
建築工事請負契約書

○=必須、△=該当時のみ、—=不要。書類の名称は自治体によって異なる場合があります。

軽減申告の期限は自治体によって異なりますが、不動産取得後30〜60日以内が一般的です。東京都の場合は取得後30日以内に登記がされていれば申告不要となるケースもありますが、軽減措置を確実に受けるためには自ら申告することをおすすめします。

軽減措置の申告漏れへの対処法

申告を忘れて高額な通知書が届いた場合

軽減措置を申告せずに納税通知書が届いた場合でも、まだ対処は可能です。以下の手順で進めてください。

ステップ 対応内容 注意点
①通知書の確認軽減が適用されていないか確認控除額・減額が記載されていなければ未適用
②税事務所に連絡軽減措置の適用を申請したい旨を伝える納期限前であれば再計算してもらえる場合が多い
③納付済みの場合還付申請を行う地方税法上の還付期限は5年以内

💡 実務のポイント

不動産オーナーの税務申告を担当していると、自治体によっては軽減措置を自動で適用してくれるところもあれば、申告がないと一切適用しないところもあります。特に東京都以外の地方自治体では申告が必須のケースが多いため、「自治体が計算してくれるだろう」と安心せず、必ず自分で申告してください。

不動産取得税が非課税になるケース(相続・法人合併等)については「不動産取得税が非課税となるケース|相続・法人合併・判例解説」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

新築住宅の1,200万円控除はいつまで続きますか?
新築住宅の1,200万円控除自体には期限がありません(地方税法第73条の14第1項に基づく恒久的な制度です)。ただし、税率を4%から3%に軽減する措置は令和9年3月31日までの時限措置です。また、長期優良住宅の100万円上乗せ(1,300万円控除)は令和8年3月31日までの時限措置です。
中古住宅の控除で、投資用マンションは対象になりますか?
中古住宅の軽減措置は原則として「個人が自己の居住用に取得した住宅」が対象です。投資用(賃貸専用)の中古マンションには適用されません。一方、新築住宅の軽減措置は投資用の貸家住宅にも適用されます(1戸あたりの床面積が40㎡以上240㎡以下の場合)。
マンションの床面積はどのように判定されますか?
マンションの場合、専有部分の床面積に、共用部分の面積を持分に応じて按分した面積を加算した「課税床面積」で判定されます。登記簿上の床面積とは異なるため注意してください。課税床面積は固定資産評価証明書や納税通知書で確認できます。
軽減措置の申告を忘れた場合、後から還付を受けられますか?
はい、後から軽減の申告をして差額の還付を受けることは可能です。地方税法上、還付請求できる期間は5年以内とされています。ただし、還付手続きには追加の書類が必要で時間もかかるため、取得時に忘れず申告するのが最善です。
昭和56年以前に建てられた中古住宅でも軽減措置を受けられますか?
耐震診断を受けて新耐震基準に適合していることが証明されていれば可能です。取得日前2年以内に耐震診断が完了している必要があります。また、平成26年4月1日以降に取得した住宅であれば、取得後6ヶ月以内に耐震改修を行い証明を受けた場合にも軽減の対象になります。
建物の評価額が1,200万円以下なら申告しなくてもいいですか?
評価額が控除額以下であれば計算上は税額ゼロになりますが、それでも軽減措置の申告は行うべきです。申告しないと、自治体によっては軽減なしの税額で通知書が届く場合があります。また、建物だけでなく土地の減額も申告が必要です。
買取再販住宅の軽減措置とは何ですか?
宅地建物取引業者が中古住宅を買い取り、一定のリフォーム工事を行った上で個人に自己居住用として再販売する場合の軽減措置です。業者が取得した住宅に対して、築年数に応じた控除が適用されます。一般の個人が中古住宅を購入する場合とは異なる制度で、国土交通省が定める要件を満たす必要があります。詳しくは「課税される税金の全体像」をご確認ください。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 新築住宅は評価額から1,200万円を控除(長期優良住宅は1,300万円)
  • 中古住宅は築年数によって100万〜1,200万円の控除(平成9年以降築なら新築と同額)
  • 中古住宅は自己居住用のみ対象(投資用は対象外)
  • 土地は定額方式(45,000円)か面積方式のうち大きい方を税額から減額
  • 軽減措置をフル活用すれば一般的な住宅で税額ゼロになるケースが多い
  • 軽減措置は原則申告制。取得後30〜60日以内に都道府県税事務所へ申告が必要
  • 申告を忘れても5年以内であれば還付申請は可能

不動産取得税の軽減措置は、知っているかどうかで数十万円の差がつく制度です。特に中古住宅は築年数によって控除額が大きく異なるため、購入前に必ず確認してください。申告手続きに不安がある方は、税理士への相談をおすすめします。

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参考: 国税庁 No.1210 マイホームの取得等と所得税の税額控除東京都主税局 不動産取得税Q&A