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不動産取得税が非課税となるケース|相続・法人合併・判例解説
不動産を取得しても税金がかからないケースを知りたい方に向けて、相続・法人合併・会社分割など不動産取得税が非課税になる全パターンを一覧で解説します。この記事を読めば、自分の取得が非課税に該当するかどうかを判断できます。


不動産を取得しても税金がかからないケースを知りたい方に向けて、相続・法人合併・会社分割など不動産取得税が非課税になる全パターンを一覧で解説します。この記事を読めば、自分の取得が非課税に該当するかどうかを判断できます。
🏆 結論:相続と合併は非課税、分割は要件次第
不動産取得税が非課税になる主なケースは、相続による取得、法人の合併による取得、一定要件を満たす会社分割による取得の3つです。相続と合併は無条件で非課税ですが、会社分割は5つの要件を全て満たす必要があります。一方、生前贈与・死因贈与・事業譲渡は課税対象です。「相続」と「贈与」、「合併」と「事業譲渡」の違いを正確に理解することが、想定外の課税を避けるポイントです。
不動産取得税が非課税(または免除)になるケースは、地方税法第73条の7に規定されています。実務で重要な12パターンを一覧表にまとめました。
| 取得方法 | 課税/非課税 | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| ①相続(法定相続・遺産分割) | 非課税 | 地方税法73条の7第1号 |
| ②包括遺贈 | 非課税 | 受遺者が相続人か否かを問わない |
| ③相続人への特定遺贈 | 非課税 | 被相続人→相続人への遺贈 |
| ④相続人以外への特定遺贈 | 課税 | 法定相続人以外は「取得」扱い |
| ⑤法人の合併 | 非課税 | 地方税法73条の7第2号前段 |
| ⑥会社分割(要件充足時) | 非課税 | 地方税法73条の7第2号後段+施行令37条の14 |
| ⑦共有物の分割(持分内) | 非課税 | 持分割合を超える部分は課税 |
| ⑧土地区画整理の換地 | 非課税 | 換地処分による形式的な取得 |
| ⑨公共道路・用水路の取得 | 非課税 | 公共の用に供する場合 |
| ⑩生前贈与 | 課税 | 相続時精算課税制度を使っても課税 |
| ⑪死因贈与 | 課税 | 契約に基づく贈与のため |
| ⑫事業譲渡 | 課税 | 個別の売買取引として扱われる |
不動産取得税の基本的な計算方法と軽減措置については「不動産取得税とは?税率・計算方法・宅地の特例をわかりやすく解説」をご参照ください。
相続による不動産の取得は、不動産取得税が一切課されません。これは、相続が被相続人の権利義務を包括的に承継する手続きであり、新たな不動産流通としての性質が乏しいと考えられているためです。
| 取得の形態 | 非課税? | 理由 |
|---|---|---|
| 法定相続 | ○ | 包括承継のため |
| 遺産分割協議による取得 | ○ | 相続の一形態 |
| 包括遺贈(「全財産の1/2を遺贈」等) | ○ | 相続と同視される |
| 相続人への特定遺贈(「A不動産をBに」) | ○ | 受遺者が法定相続人の場合 |
| 相続人以外への特定遺贈 | × | 相続ではなく「取得」 |
| 死因贈与 | × | 契約に基づく贈与 |
| 生前贈与(相続時精算課税含む) | × | 贈与税が非課税でも不動産取得税は課税 |
| 夫婦間贈与の特例 | × | 贈与税の非課税と不動産取得税は別制度 |
⚠️ 最も多い誤解:相続時精算課税と不動産取得税
相続時精算課税制度を使って親から不動産の贈与を受けた場合、贈与税は非課税(または軽減)になりますが、不動産取得税は通常どおり課税されます。贈与税と不動産取得税は全く別の制度であるため、贈与税の特例が適用されても不動産取得税には影響しません。実務では、この点を理解せずに「相続精算課税を使ったから非課税」と思い込んでいるケースが少なくありません。
💡 実務のポイント
不動産の承継を考える際、不動産取得税の観点では「相続まで待つ」のが最もコストが低い選択肢です。生前贈与は贈与税だけでなく不動産取得税も発生するため、トータルコストで比較する必要があります。ただし、相続税の観点では生前贈与の方が有利なケースもあるため、一概に「相続が最善」とは言えません。総合的な判断が重要です。
法人の合併により不動産を取得した場合は、無条件で不動産取得税が非課税になります(地方税法第73条の7第2号前段)。合併は包括的な権利義務の承継であり、実質的に新たな不動産の取得がないと考えられるためです。
法人税法上の「適格合併」であるか「非適格合併」であるかに関係なく、合併による不動産の取得は常に非課税です。法人税では適格/非適格の判定が重要ですが、不動産取得税においてはこの区分は不要です。
会社分割により不動産を取得した場合は、原則として課税対象ですが、以下の5つの要件を全て満たせば非課税になります。
| 要件 | 内容 | 分社型 | 分割型 |
|---|---|---|---|
| ①金銭等不交付 | 対価は承継法人の株式のみ(金銭等が交付されない) | 必須 | 必須 |
| ②按分型(分割型のみ) | 株式が分割法人の株主の持株割合に応じて交付される | — | 必須 |
| ③主要資産等引継 | 分割事業の主要な資産・負債が承継法人に移転する | 必須 | 必須 |
| ④事業継続 | 分割事業が分割後も承継法人で継続される見込み | 必須 | 必須 |
| ⑤従業員引継 | 分割事業の従業員のおおむね80%以上が承継法人で業務に従事する見込み | 必須 | 必須 |
📊 公認会計士の視点
不動産取得税の非課税要件と法人税の適格要件は似ていますが、同一ではありません。法人税の適格要件には「株式継続保有要件」がありますが、不動産取得税の非課税要件にはこれがありません。つまり、法人税法上は「非適格分割」であっても、不動産取得税が非課税になるケースがあります。組織再編の税務設計では、法人税と不動産取得税の両方の要件を個別に検討する必要があります。
| 必要書類 | 書類の例 |
|---|---|
| 不動産取得税非課税申告書 | 各都道府県の書式 |
| 分割の内容がわかる書類 | 分割計画書(新設分割)または分割契約書(吸収分割) |
| 履歴事項全部証明書 | 分割法人・承継法人の両方 |
| 定款 | 分割法人・承継法人の両方 |
| 株主総会議事録 | 分割承認の議事録 |
| 承継権利義務明細表 | 移転する資産・負債の一覧 |
| 従業員の引継がわかる書類 | 労働契約承継書面、分割前後の従業者人数比較表 |
※非課税申告は、不動産の所在地を管轄する各都税事務所(県税事務所)に提出する必要があります。物件が複数の管轄にまたがる場合は、それぞれの事務所に提出が必要です。
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鮎澤パートナーズに相談する組織再編で不動産を移転する場合、手法によって不動産取得税と登録免許税の負担が大きく異なります。以下の比較表で最適な手法を検討してください。
| 組織再編手法 | 不動産取得税 | 登録免許税 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 合併 | 非課税 | 評価額の0.4% | 最も税負担が軽い |
| 会社分割(要件充足) | 非課税 | 評価額の2.0% | 登録免許税は合併より高い |
| 現物出資(90%以上保有) | 非課税 | 評価額の2.0% | 出資法人が90%以上保有の場合 |
| 事業譲渡 | 課税(3〜4%) | 評価額の2.0% | 最も税負担が重い |
💡 実務のポイント
組織再編で大型の不動産を移転する場合、事業譲渡と合併では不動産取得税だけで数百万〜数千万円の差が生じることがあります。年間30件以上の組織再編支援をしてきた経験上、「契約がシンプルだから」と事業譲渡を選んだ結果、想定外の不動産取得税が発生したケースを何度も見ています。不動産を含む再編では、税務シミュレーションを先に行うことが鉄則です。
不動産取得税の課税標準は原則として「固定資産税評価額」ですが、この評価額が適正かどうかが争われる場合があります。
| 論点 | 内容 | 実務への影響 |
|---|---|---|
| 固定資産税評価額と時価の乖離 | 評価額は3年に1度の評価替えで決まるため、急激な地価変動があると時価と乖離する | 評価替え直後は比較的正確だが、2〜3年目は乖離が大きくなる可能性 |
| 新築家屋の評価額 | 固定資産課税台帳に未登録のため、都道府県が評価基準に基づいて算定する | 固定資産税の評価額より高くなることが多い |
| 特殊な用途の建物 | ホテル・病院・工場等は標準的な評価では適正な価格とならない場合がある | 不動産鑑定評価で争うことが可能 |
判例では、固定資産税評価額が「適正な時価」を超えているかどうかが争点となるケースがあります。最高裁は、固定資産税評価額は評価基準に従って適正に決定されたものであれば、原則として適法であるとの立場をとっています。ただし、評価基準に従っていても「著しく不合理」な場合は違法となる余地があるとしています。
| ステップ | 対応内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①評価額の確認 | 固定資産評価証明書を取得し、近隣の類似不動産と比較 | 明らかに高い場合は次のステップへ |
| ②都道府県税事務所に相談 | 評価額の算定根拠の説明を求める | 新築家屋は特に確認の価値あり |
| ③不服申立て | 不動産取得税の賦課決定に対する審査請求 | 専門家(税理士・不動産鑑定士)への相談を推奨 |
実務では、特殊な用途の建物や大規模な商業施設などで評価額が実態と乖離しているケースがあります。この場合、不動産鑑定士による鑑定評価を取得し、都道府県税事務所に減額を申し出ることが可能です。ただし、一般的な住宅で評価額が争われるケースは稀です。
不動産取得税の非課税を前提に計画を進めたものの、実際には課税されてしまったケースを紹介します。
| 失敗パターン | なぜ課税されたか | 予防策 |
|---|---|---|
| ①生前贈与を「相続」と混同 | 相続時精算課税制度を使ったが、不動産取得税は贈与として課税 | 贈与税と不動産取得税は別制度であることを理解する |
| ②死因贈与を「相続」と混同 | 贈与者の死亡で効力が生じても契約ベースの贈与は「相続」ではない | 遺言による遺贈(相続人向け)に切り替える |
| ③相続人以外への特定遺贈 | 孫や内縁の配偶者など法定相続人以外への遺贈は課税 | 養子縁組で法定相続人にする等の対策 |
| ④会社分割で要件漏れ | 従業員引継要件(80%以上)を満たせなかった | 分割前に都道府県税事務所に事前相談する |
| ⑤事業譲渡を「分割」と混同 | 事業譲渡は個別の売買取引であり、会社分割の非課税措置は適用されない | 再編手法の選択時に税務シミュレーションを行う |
💡 実務のポイント
会社分割の非課税要件は都道府県によって判断が微妙に異なることがあります。特に「主要な資産」の範囲や「従業員のおおむね80%」の解釈は、事前に管轄の都道府県税事務所に確認することを強くおすすめします。過去に、ある都道府県では非課税と認められたスキームが、別の都道府県では認められなかったケースも経験しています。
不動産取得税の軽減措置(控除額・減額)については「不動産取得税の軽減措置|新築・中古・長期優良住宅の控除額一覧」で解説しています。また、不動産取得税を含む税金の全体像は「課税される税金の全体像」をご参照ください。
非課税制度とは別に、取得した不動産の評価額が一定額未満であれば、不動産取得税が課されない「免税点」の制度があります。
| 不動産の種類 | 免税点 |
|---|---|
| 土地 | 10万円未満 |
| 家屋(新築・増築・改築) | 23万円未満 |
| 家屋(売買・贈与等) | 12万円未満 |
※1年以内に隣接する土地を取得した場合、前後の土地を合わせて免税点を判定します。意図的に分割取得して免税点を下回ろうとしても認められません。
📋 この記事のポイント
不動産取得税の非課税の判定は、取得の形態によって結論が大きく変わります。特に法人の組織再編では、手法の選択によって数百万円〜数千万円の税額差が生じるため、事前の税務シミュレーションが不可欠です。判断に迷う場合は、税理士への相談をおすすめします。
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