【税理士×社労士が解説】税理士との面談で聞くべき質問20選|印刷用チェックリスト

【税理士×社労士が解説】税理士との面談で聞くべき質問20選|印刷用チェックリスト
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

税理士との面談で聞くべき質問20選|印刷用チェックリスト

税理士を選ぶ際の初回面談で「何を聞けばいいか分からない」という経営者・個人事業主に向けて、面談で必ず確認すべき質問20問を回答の判定基準付きで解説します。この記事を読めば、税理士との面談を最大限に活用し、後悔のない選択ができます。

🏆 結論:面談は「質問する場」であり「説明を聞く場」ではない

多くの経営者が初回面談で「税理士の説明を聞くだけ」で終わってしまいます。しかし面談の本質は、こちらから質問を投げかけて税理士の「本音」と「実力」を引き出すことです。本記事の20問を持参すれば、30〜60分の面談で税理士の専門性・対応力・料金の透明性・税務調査への姿勢まで網羅的に確認できます。

面談前の準備|持ち物と心構え

面談に手ぶらで行くと、税理士のペースで進んでしまい、聞きたかったことを聞けないまま終わるケースが非常に多いです。以下の3点を準備してから面談に臨んでください。

面談に持参すべきもの

第一に、直近の決算書(確定申告書)のコピーです。税理士が現在の経営状況を把握し、具体的なアドバイスをするために必要です。第二に、本記事の質問チェックリストです。20問をプリントアウトして持参すれば、聞き漏れがなくなります。第三に、現在の不満・希望を書いたメモです。「今の税理士のここが不満」「新しい税理士にはこうしてほしい」を箇条書きにしておくと、面談の冒頭で共有でき、税理士も的確に対応できます。

💡 実務のポイント

面談は最低3社、できれば5社で行ってください。1社だけでは比較の軸が作れません。質問への回答を横並びで比較すると、各事務所の特徴が明確に見えてきます。面談後すぐにメモを残すことも忘れずに。

カテゴリA:専門性・実績を確認する質問(5問)

まずは税理士の専門性と実績を確認します。「何でもできます」と言う税理士より、自社の業種・規模に合った経験を具体的に語れる税理士のほうが信頼できます。

質問1:「当社と同じ業種の顧問先は何社ありますか?」

判定 回答例
「IT業のお客様は15社ほどいらっしゃいます。SaaS型の売上計上や開発費の資産計上は得意分野です」
「IT業は5社ほどです。御社の業種に近い事例はお伝えできます」
「業種は問いません。どんな業種でも対応します」

質問2:「当社の売上規模(年商○億円)の法人を何社担当していますか?」

業種だけでなく、売上規模の一致も重要です。年商3,000万円の会社と年商10億円の会社では、必要な税務知識のレベルが全く異なります。「同規模の顧問先が10社以上」なら安心、「うちが一番大きい」は注意が必要です。

質問3:「先生ご自身の専門分野・得意分野は何ですか?」

税理士にも「法人税に強い」「相続に強い」「国際税務に強い」など専門分野があります。自社のニーズと合致しているかを確認してください。

質問4:「スタッフの中に税理士資格保有者は何名いますか?」

事務所全体のレベルを測る質問です。資格保有者が複数いる事務所は、所長が不在でも質の高い対応が期待できます。逆に「所長だけが有資格者」の場合、所長が対応できない場面での品質低下リスクがあります。

質問5:「顧問先の平均契約年数はどのくらいですか?」

平均契約年数が長いほど、顧問先の満足度が高い可能性があります。「平均8年です」なら安心ですが、「入れ替わりが多い」場合は解約が多い理由を深掘りすべきです。

⚠️ 注意

平均契約年数が長すぎる(15年以上など)場合も注意してください。長年の関係に安住して、最新の税制改正やクラウド会計への対応が遅れている可能性があります。「長く続いている理由」も合わせて確認しましょう。

カテゴリB:料金・サービス範囲を確認する質問(5問)

料金トラブルは税理士との不満で常に上位にランクインします。「月額顧問料が安い」だけで決めると、追加料金で結局高くつくケースが非常に多いです。

質問6:「月額顧問料に含まれるサービスの範囲を教えてください」

判定 回答例
「顧問料には月次仕訳チェック・税務相談・チャット対応が含まれます。別途かかるのは決算申告料・年末調整・消費税申告の3つで、見積書をお渡しします」
「顧問料は月3万円です」(内訳の説明なし。何が含まれるか不明)

質問7:「年間の総費用の見積もりを出してもらえますか?」

月額顧問料だけでなく、決算申告料・記帳代行料・年末調整・消費税申告料など、年間でかかる全費用の見積もりを依頼してください。「年間の総額」で比較しないと意味がありません。詳しい料金相場は「顧問税理士の費用相場」で解説しています。

質問8:「値上げの頻度と基準を教えてください」

契約当初の料金が安くても、毎年値上げされるのでは意味がありません。「売上が○○万円を超えたら」「従業員が○名を超えたら」など、値上げの基準が明確な事務所は信頼できます。

質問9:「追加料金が発生するケースを全て教えてください」

たとえば、税務調査の立会い、修正申告、スポット相談、議事録作成など、顧問料に含まれないサービスの一覧を確認してください。「基本的に追加料金はかかりません」と言い切る事務所か、「追加サービス一覧はこちらです」と明細を出す事務所か、どちらが透明性が高いかは明らかです。

質問10:「契約期間と解約条件を教えてください」

多くの税理士事務所は「1年契約・自動更新・解約は○ヶ月前に通知」としています。解約条件が極端に厳しい場合(違約金が高額など)は、契約を避けたほうが無難です。

💡 実務のポイント

年間100社以上の経営相談を受けてきた経験上、料金トラブルの8割は「最初に総額を確認しなかった」ことが原因です。面談で年間総額の見積もりを出してもらい、各社の見積もりを横並びで比較する習慣をつけてください。

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カテゴリC:対応力・コミュニケーションを確認する質問(4問)

税理士との日常のやり取りがストレスなく進むかどうかは、契約後の満足度を大きく左右します。

質問11:「質問へのレスポンスは何日以内ですか?」

判定 回答例
「原則翌営業日中に一次回答します。調査が必要な場合は、いつまでに回答するかをまずお伝えします」
「2〜3営業日以内に返信します」
「なるべく早く返します」(具体的な基準なし)

質問12:「連絡手段はメール・電話以外に何がありますか?」

Chatwork、Slack、LINE WORKS、Zoom等に対応しているかを確認します。特にクラウド会計を利用する場合、チャットでのやり取りは必須級です。「メールか電話のみ」の事務所は、日常的なやり取りにストレスが生じやすいです。

質問13:「繁忙期(2〜3月)のレスポンスはどうなりますか?」

確定申告シーズンの2〜3月は、税理士事務所の最繁忙期です。「繁忙期でも対応品質は変わりません」と言い切れる事務所は体制が整っています。「繁忙期は多少遅れます」は正直な回答ですが、具体的に何日遅れるかも確認してください。

質問14:「私の担当者は誰になりますか?面談できますか?」

初回面談は所長が対応し、契約後は別のスタッフが担当するケースが非常に多いです。担当予定者との面談を契約前に依頼してください。それを断る事務所は、担当者の品質に自信がない可能性があります。

カテゴリD:節税提案・経営サポートを確認する質問(3問)

税理士に「税金の計算と申告」だけを求めるのか、それとも「経営のパートナー」を求めるのかで、聞くべき質問が変わります。多くの経営者は後者を望んでいるはずです。

質問15:「決算前に節税シミュレーションを出してもらえますか?」

判定 回答例
「決算3ヶ月前に着地予測を出し、節税策を3〜5つ提案します。役員報酬の見直し・設備投資の前倒し・経営セーフティ共済など、お客様の状況に合わせて具体的に数字をお見せします」
「決算が終わってみないと分かりません」

質問16:「試算表はいつまでに出してもらえますか?」

月次の試算表(月次決算書)が翌月15日までに出てくるなら合格ラインです。翌月末になる場合は、数字の確認が遅れて経営判断に支障が出ます。クラウド会計を活用している事務所なら、翌月10日以内の提出も可能です。

質問17:「融資・資金調達のサポートは対応していますか?」

事業が成長すると、銀行融資や日本政策金融公庫からの借入が必要になる場面が出てきます。事業計画書の作成支援や銀行との交渉同行まで対応できる税理士であれば、資金調達のハードルが大きく下がります。

カテゴリE:リスク管理・税務調査対応を確認する質問(3問)

税務調査や税理士のミスへの対応は、平時には見えにくいが、いざという時に大きな差が出る重要なポイントです。

質問18:「税務調査では経営者側に立って主張してくれますか?」

判定 回答例
「もちろんです。書面添付制度(税理士法第33条の2)も活用しています。過去3年で書面添付により調査が省略されたケースが○件あります」
「税務署の指示に従ったほうがスムーズです」

参考: 国税庁「税理士制度について」

質問19:「税理士賠償責任保険に加入していますか?」

税理士のミスにより追徴課税が発生した場合の備えとして、税理士賠償責任保険への加入は必須といえます。日本税理士会連合会の税賠保険に加入しているかどうかを確認してください。「加入しています」と即答できる税理士なら安心です。

質問20:「契約書の免責条項の内容を見せてもらえますか?」

契約書に「一切の損害賠償責任を負わない」という極端な免責条項が含まれていないかを確認します。一般的には「依頼者が資料を提出しなかったことに起因する損害は免責」「税理士の故意・重過失による損害は賠償する」というバランスの取れた免責条項が標準的です。

📊 公認会計士の視点

免責条項の確認は「税理士を疑っている」のではなく、双方の責任範囲を明確にしてお互いに安心して仕事をするためのものです。プロフェッショナルであれば、この質問を嫌がることはありません。嫌がる税理士は、むしろリスク意識が低い可能性があります。

面談後の比較スコアリングシート

面談後に各事務所を数値で比較できるスコアリングシートです。20問を5カテゴリに分け、各カテゴリ20点満点・合計100点満点で採点します。

カテゴリ 質問数 配点 80点以上の目安
A. 専門性・実績5問各4点×5=20点同業種10社以上+資格保有者複数
B. 料金・サービス範囲5問各4点×5=20点年間総額の見積書あり+追加料金明示
C. 対応力・コミュニケーション4問各5点×4=20点翌営業日返信+チャット対応あり
D. 節税提案・経営サポート3問各7点×3=21点→20点決算前シミュレーション提示+融資対応可
E. リスク管理・税務調査3問各7点×3=21点→20点書面添付実績あり+税賠保険加入

🧮 スコアリングの判断基準

80点以上:安心して契約できるレベル。60〜79点:改善の余地あり。低得点のカテゴリについて再度確認した上で判断。59点以下:他の候補も積極的に検討すべき。税理士の選び方の全体像は「失敗しない税理士の選び方7つのポイント」をご覧ください。

面談で絶対にやってはいけないNG行動3つ

面談で良い税理士を見極めるためには、経営者側の態度も重要です。以下の3つは避けてください。

NG①:料金交渉から入る

最初から「もっと安くなりませんか?」と聞くと、税理士はサービスの質を落としてでも金額を合わせようとします。まずはサービスの内容を十分に理解した上で、最後に料金の話をしてください。

NG②:重要な情報を隠す

過去の税務調査の指摘事項、赤字の状況、資金繰りの問題などを隠すと、税理士は正確なアドバイスができません。面談はお互いの相性を確かめる場です。正直に状況を伝えてください。

NG③:1社だけで決める

最初に面談した税理士の印象が良いと、「この人でいいか」と決めてしまいがちです。しかし比較対象がなければ、その税理士が本当に最適かは判断できません。必ず3社以上と面談してください。

🔷 社労士の視点

従業員がいる場合、面談時に「社会保険の手続きや年末調整はどこまで対応してもらえるか」も確認してください。税理士事務所によっては、年末調整は対応するが社会保険手続きは非対応というケースもあります。税務と労務を別々の事務所に依頼すると、情報の重複管理が発生してコストと手間が増えます。

面談後にやるべきこと3ステップ

面談が終わったら、以下の3ステップを必ず実施してください。

ステップ1:面談直後にメモを整理する

面談の記憶は時間とともに薄れます。面談後30分以内に、各質問への回答・税理士の印象・事務所の雰囲気をメモに残してください。「帰りの電車の中でスマホにメモする」くらいの感覚で十分です。

ステップ2:スコアリングシートに点数を記入する

前述のスコアリングシートに点数を記入し、各社の合計点を比較します。数値化することで、感覚ではなくデータで判断できるようになります。

ステップ3:見積書の総額を横並びで比較する

各社から受け取った年間総額の見積書を表にまとめ、「サービス内容÷料金」のコストパフォーマンスを比較します。最も安い事務所ではなく、スコアリング得点と料金のバランスが最も良い事務所を選ぶのが正解です。

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よくある質問(FAQ)

面談は無料ですか?何分くらいかかりますか?
多くの税理士事務所では初回面談は無料です。所要時間は30分〜1時間が一般的です。20問全てを聞くには60分あると余裕があります。事前に「60分ほどお時間をいただけますか」と伝えておくとスムーズです。
面談でメモを取っても失礼になりませんか?
全く失礼ではありません。むしろ、メモを取る経営者は「しっかり比較検討している」と好印象を持たれます。質問リストを持参してチェックしながら進めると、税理士側も「この経営者はきちんとした方だ」と感じます。
質問を全部聞くのは気が引けるのですが…
20問全てを聞く必要はありません。カテゴリA〜Eの中から、自分にとって重要度の高い質問を10問ほど選んで聞くだけでも十分です。特に質問6(料金範囲)・質問11(レスポンス)・質問15(節税提案)・質問18(税務調査対応)の4問は必須です。
オンライン面談でも同じ質問は使えますか?
もちろん使えます。オンライン面談の場合は、追加で「画面共有で資料を見せてもらえるか」「オンラインでの月次面談に対応しているか」も確認してください。Zoomの操作がスムーズかどうかも、事務所のIT対応力を測る指標になります。
個人事業主でも20問全て聞くべきですか?
個人事業主の場合は、カテゴリA(専門性)とカテゴリB(料金)を重点的に確認してください。特に確定申告の料金相場を知りたい場合は「確定申告の税理士費用」も参考になります。法人化を検討している場合は、カテゴリD(節税提案)の質問も重要です。
面談で断りたい場合、どう伝えればいいですか?
「他の事務所とも面談した上で判断させてください。○月中にはご連絡します」と正直に伝えれば問題ありません。税理士側も、比較検討されることは当然だと理解しています。期限を伝えることで、お互いにすっきりした形で進められます。
面談で聞かれることは何ですか?こちらも準備すべきですか?
税理士からは「業種と事業内容」「売上規模と従業員数」「現在の会計ソフト」「税理士に何を求めるか」「困っていること」を聞かれます。これらを事前にメモしておくと面談がスムーズに進みます。特に直近の決算書を持参すると、税理士が具体的なアドバイスをしやすくなります。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 面談は「説明を聞く場」ではなく「質問して税理士の実力を見極める場」
  • 20問を5カテゴリ(専門性・料金・対応力・提案力・リスク管理)に分類して体系的に確認
  • 各質問に◎○△の判定基準があり、回答の良し悪しをその場で判断できる
  • 面談後はスコアリングシート(100点満点)で候補を数値比較し、80点以上が合格ライン
  • 最低でも3社と面談し、年間総額の見積もりを横並びで比較して最適な税理士を選ぶ
  • 質問6(料金範囲)・質問11(レスポンス)・質問15(節税提案)・質問18(税務調査対応)は必須