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3割特例とは|2割特例終了後の経過措置・適用要件・移行判断を完全ガイド
2割特例の終了が近づき、「次は何特例?」と不安を感じる個人事業主・フリーランスは多いはずです。令和8年度税制改正大綱(2025年12月22日閣議決定)で新設された「3割特例」は、令和9年・10年の個人事業者を対象に、消費税の納付額を売上消費税の3割に抑える経過措置です。本記事では適用要件・計算方法・2割特例との違い・移行判断を年商500〜950万円のケース別に税理士が解説します。
🏆 結論:3割特例は「令和9年・10年」「個人事業者限定」「売上消費税の3割」
3割特例(令和8年度税制改正大綱で創設)は、2026年9月30日を含む課税期間で終了する2割特例の後継として、令和9年(2027年)・令和10年(2028年)の2年間に限り適用される経過措置です。免税事業者からインボイス発行事業者になった個人事業者のみが対象で、法人は対象外。基準期間(2年前)の課税売上高1,000万円以下が要件で、納付税額は売上消費税の3割(売上消費税×70%を仕入税額控除)に抑えられます。確定申告書に3割特例適用の旨を付記するだけで、事前届出は不要。2割特例の延長ではなく税負担が1.5倍になる新制度のため、年商800万円超なら簡易課税との比較も必須です。
3割特例とは|令和8年度改正で新設の経過措置
制度の背景
2023年10月のインボイス制度開始時、免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)に転換した小規模事業者の負担軽減として「2割特例」が設けられました。2割特例は2026年9月30日を含む課税期間で終了する予定で、終了後の急激な税負担増を緩和するため、令和8年度税制改正大綱で「3割特例」が新設されました。
3割特例の正式名称と根拠
3割特例の正式名称は「インボイス発行事業者となる個人事業者の経過措置の見直し」です。令和8年度税制改正大綱(2025年12月22日閣議決定)で創設方針が示され、2026年通常国会での消費税法改正により正式に導入される予定です。
参考: 財務省 令和8年度税制改正大綱
2割特例から3割特例へ|段階的縮小
| 期間 | 経過措置 | 納付税額 |
|---|---|---|
| 2023年10月〜2026年9月30日を含む課税期間 | 2割特例(個人・法人) | 売上消費税の2割 |
| 令和9年・令和10年(2027〜2028年) | 3割特例(個人事業者のみ) | 売上消費税の3割 |
| 令和11年(2029年)以降 | 特例なし(本則課税または簡易課税) | 通常計算 |
💡 実務のポイント
弊所のフリーランス顧問先で、2割特例で年6〜10万円程度の納税で済んでいた方々から「次は3割になる」と聞いて衝撃を受ける方が多くいます。年商550万円のイラストレーターで、2割特例なら納税11万円が3割特例で16.5万円、本則計算なら25〜30万円と、段階的に税負担が上がっていく設計です。早めに簡易課税との比較を行い、適切な制度選択をすることが重要です。
3割特例の適用要件|4つの条件
適用要件4つのチェックリスト
3割特例の適用を受けるには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①事業者の区分 | 個人事業者に限る(法人は対象外) |
| ②インボイス転換要件 | 免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受けたこと、または課税事業者選択届出書を提出したことにより課税事業者となった者 |
| ③課税売上高要件 | 基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下 |
| ④対象期間 | 令和9年(2027年)分・令和10年(2028年)分の課税期間 |
法人が対象外となった理由
⚠️ 注意:法人(株式会社・合同会社)は3割特例の対象外
2割特例は個人・法人ともに対象でしたが、3割特例は個人事業者のみに限定されています。2割特例を利用していた法人(マイクロ法人・1人会社含む)は、2026年9月30日を含む課税期間で2割特例が終了した後、本則課税または簡易課税に移行する必要があります。簡易課税を選択する場合は、別途「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。
簡易課税制度選択届出の特例
2割特例の適用を受けた小規模事業者のうち、法人および3割特例を適用しない個人事業者は、2026年10月1日以後最初の課税期間に係る確定申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けられます。通常は適用前年末までの届出が必要なところ、特例的に申告期限まで延長されています。
3割特例の計算方法|売上消費税×30%
計算式の構造
📐 3割特例の計算式
納付税額 = 課税標準額に対する消費税額 − (課税標準額に対する消費税額 × 70%)
= 課税標準額に対する消費税額 × 30%
※売上消費税の70%を仕入税額控除として認める仕組み
具体的な計算例
🧮 シミュレーション(年商550万円・税抜500万円・10%税率)
・売上消費税(課税標準額に対する消費税額)=500万×10%=50万円
・仕入税額控除=50万×70%=35万円
・納付税額=50万−35万=15万円(=売上消費税の30%)
【参考】2割特例なら納付10万円、本則計算で実際の仕入消費税が20万円なら納付30万円
事前届出は不要・確定申告書に付記
3割特例は、確定申告書の「3割特例適用」欄に付記するだけで適用を受けられます。事前の届出は不要で、毎期適用するかを選択可能です。簡易課税制度を選択している場合でも、3割特例の適用が有利なら3割特例を選択できます(択一適用)。
2割特例と3割特例の違い|4つの比較ポイント
| 比較項目 | 2割特例 | 3割特例 |
|---|---|---|
| 対象事業者 | 個人・法人 | 個人事業者のみ |
| 適用期間 | 2023年10月〜2026年9月30日を含む課税期間 | 令和9年・令和10年(2年間) |
| 納付税額 | 売上消費税×20%(2割) | 売上消費税×30%(3割) |
| 基準期間要件 | 課税売上高1,000万円以下 | 課税売上高1,000万円以下 |
📢 令和8年度税制改正(2025年12月22日閣議決定)
3割特例の創設・買い手側の仕入税額控除経過措置の延長・見直しが大綱で示されました。仕入税額控除の経過措置は、令和8年10月以降「70%→50%→30%」と段階的に引き下げられる予定です(改正前は令和8年10月以降一律50%の予定でした)。
移行判断フローチャート|あなたの最適な制度は?
判定フローの4ステップ
| ステップ | 判定 | 分岐 |
|---|---|---|
| ①事業者区分 | 個人事業者か?法人か? | 法人=3割特例不可。簡易課税or本則へ |
| ②基準期間売上 | 2年前の課税売上高1,000万円超か? | 超=3割特例不可。本則または簡易課税 |
| ③インボイス転換 | 免税事業者からインボイス転換した個人事業者か? | 該当しない=3割特例不可 |
| ④仕入率の状況 | 業種の仕入率は何%? | 仕入率70%超なら本則有利、それ以下なら3割特例or簡易課税 |
業種別の最適制度の傾向
- サービス業(IT・コンサル・士業):仕入率20〜40%→3割特例が有利(簡易課税の第5種=50%控除より有利)
- 飲食店・理容美容:仕入率40〜50%→簡易課税(第4種・第5種)と3割特例で比較必要
- 小売業・卸売業:仕入率70〜80%→本則課税が有利
- 建設業:仕入率50〜60%→本則課税or簡易課税(第3種)が有利
具体例|年商別シミュレーション
事例1: 年商500万円のイラストレーター(サービス業)
🧮 シミュレーション(年商550万円・税抜500万円・仕入率15%)
・売上消費税=500万×10%=50万円
・仕入消費税=500万×15%×10%=7.5万円
【納付税額の比較】
・2割特例:50万×20%=10万円
・3割特例:50万×30%=15万円
・簡易課税(第5種50%控除):50万×50%=25万円
・本則課税:50万−7.5万=42.5万円
→3割特例が圧倒的に有利(令和9・10年)。令和11年以降は簡易課税へ移行検討。
事例2: 年商800万円の美容師(個人事業)
🧮 シミュレーション(年商880万円・税抜800万円・仕入率20%)
・売上消費税=800万×10%=80万円
・仕入消費税=800万×20%×10%=16万円
【納付税額の比較】
・2割特例:80万×20%=16万円
・3割特例:80万×30%=24万円
・簡易課税(第5種50%控除):80万×50%=40万円
・本則課税:80万−16万=64万円
→3割特例が依然有利。仕入率の低い業種なら3割特例の効果大。
事例3: 年商950万円のIT受託(フリーランスエンジニア)
🧮 シミュレーション(年商1,045万円・税抜950万円・仕入率10%)
・売上消費税=950万×10%=95万円
・仕入消費税=950万×10%×10%=9.5万円
【納付税額の比較】
・2割特例:95万×20%=19万円
・3割特例:95万×30%=28.5万円
・簡易課税(第5種50%控除):95万×50%=47.5万円
・本則課税:95万−9.5万=85.5万円
→3割特例が最有利。経費の少ない知識労働型は3割特例の恩恵が大きい。
※ただし基準期間1,000万円超になると3割特例不可、簡易課税も売上5,000万円以下要件あり。
AYUSAWA PARTNERS
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初回相談無料。インボイス転換後の最適な消費税申告制度の選択・移行設計を税理士が対応します。
鮎澤パートナーズに相談する3割特例を選ぶべき人・選ぶべきでない人
3割特例を選ぶべき個人事業主
- 2025年・2026年に2割特例を利用していた個人事業者
- 仕入率が30%以下のサービス業・知識労働者
- 令和9年・10年の基準期間(令和7年・8年)の課税売上高が1,000万円以下の見込み
- 簡単な計算で消費税申告を済ませたい(本則の煩雑な経理を避けたい)
3割特例を選ぶべきでない人
- 法人(株式会社・合同会社など。マイクロ法人含む)→対象外
- 仕入率70%超の小売業・卸売業→本則課税が有利
- 基準期間の課税売上高1,000万円超→対象外、本則または簡易課税へ
- 大型設備投資・店舗開業を予定→本則で還付の可能性あり
確定申告の手続き|申告書への付記方法
申告書への記載方法
3割特例を適用する場合、確定申告書(消費税確定申告書)の所定の欄に「3割特例適用」の旨を付記します。事前の届出は不要で、申告時に選択できます。e-Taxを使用する場合は、画面の選択欄でチェックを入れるだけで自動計算されます。
毎年の選択が可能
3割特例は、令和9年・令和10年の各課税期間ごとに適用するかを選択できます。例えば令和9年は3割特例で申告し、令和10年は簡易課税で申告するといった切替が可能(ただし簡易課税を選択する場合は事前届出が必要)。
よくある質問(FAQ)
まとめ|2割特例終了後の最適な移行戦略
📋 この記事のポイント
- 3割特例は令和8年度税制改正大綱で創設、令和9年・令和10年の2年間限定の経過措置
- 対象は個人事業者のみ(法人は対象外、簡易課税or本則課税へ移行)
- 納付税額=売上消費税×30%(売上消費税の70%を仕入税額控除)
- 適用要件は①個人事業者、②インボイス転換、③基準期間1,000万円以下、④令和9・10年
- 事前届出不要、確定申告書への付記のみで適用可能
- 仕入率30%以下のサービス業は3割特例が圧倒的有利
- 仕入率70%超なら本則課税、卸売業なら簡易課税が有利
- 令和11年以降は3割特例も終了、本則or簡易課税で恒常運用へ
3割特例は、インボイス制度導入による小規模事業者の負担急増を緩和する経過措置として、令和9年・令和10年の2年間限定で個人事業者に適用されます。2割特例の延長ではなく税負担が1.5倍に増える設計のため、年商800万円超のフリーランス・個人事業主は簡易課税との比較が必須です。令和11年以降の最終形(本則or簡易)への移行戦略を、3割特例期間中に組み立てておくことが、長期的な節税の鍵となります。インボイス制度全体の流れについては2割特例(小規模事業者の負担軽減措置)もあわせてご覧ください。







