【行政書士が解説】許認可とは?種類一覧と取得しないリスク|届出・登録・認可・許可・免許の違い

【行政書士が解説】許認可とは?種類一覧と取得しないリスク|届出・登録・認可・許可・免許の違い
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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許認可とは?種類一覧と取得しないリスク|届出・登録・認可・許可・免許の違い

「自分の事業に許認可が必要かわからない」「届出と許可の違いが曖昧」という創業者・経営者に向けて、許認可5種類の基本、代表的な業種、未取得時のリスクを整理します。

🏆 結論:許認可は5種類、取得しないと罰金・営業停止・逮捕リスクあり

許認可は一般に「届出」「登録」「認可」「許可」「免許」の5種類に分類されます。全国で1万件を超える許認可権限があり、業種ごとに必要な種別が異なります。代表例として、飲食店・食品製造業は食品衛生法の許可(32業種)、建設業は500万円以上の請負で建設業許可、古物売買は古物商許可など。許認可が必要な業種で無許可営業をすれば、業法により罰金・拘禁刑・営業停止・許可取消などの処分があり、代表例として食品衛生法違反は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、建設業法違反は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。会社設立前に自社事業に必要な許認可を行政書士と確認し、事業目的の設計段階から許可要件を踏まえることが事業の持続性を確保する第一歩です。

許認可とは|事業活動を行うための「お墨付き」

許認可とは、事業を行うにあたって行政機関から必要な手続きを経て事業遂行の適法性を確保する制度の総称です。日本では事業は自由に行えるのが原則ですが、公衆衛生・環境保全・消費者保護・社会秩序等の観点から一部の業種については行政機関の関与が義務付けられています。

なぜ許認可制度があるのか

💡 実務のポイント:許認可は現在1万件を超える

日本の行政省庁が持つ許認可・届出・登録等の規制権限は、内閣府の集計で1万件を超えています。行政書士業務の中心はこれらの許認可申請代行で、弊所でも年間を通じて建設業許可・飲食店営業許可・古物商許可・宅建業免許・産廃業許可・在留資格など多様な申請を扱っています。「自分の事業に許認可が必要か不明」という段階で、まず行政書士に相談することで、創業時のスケジュール遅延を防げます。

許認可5種類の違い|届出・登録・認可・許可・免許

許認可は規制の強さによって以下の5種類に分類されます。届出が最も緩く、免許が最も厳格な要件を課される類型です。

種類 規制の性質 規制強度 代表例
①届出一定事項を行政機関に通知クリーニング所開設、理容所・美容所開設、深夜酒類提供営業
②登録行政機関の名簿への登録が必要★★旅行業登録、貸金業登録、旅館業登録
③認可法令要件を満たす場合に行政機関が是認★★★私立学校、警備業、宗教法人
④許可一般禁止を個別解除★★★★飲食店営業、建設業、産業廃棄物処理、風俗営業
⑤免許一定資格要件+行政機関の付与★★★★★宅地建物取引業免許、酒類販売業免許、運送業免許

🔷 行政書士の視点:呼称と性質は必ずしも一致しない

自動車運転免許は法律上「免許」の呼称ですが、規制の性質としては「許可」(一般禁止の解除)に分類されます。同様に、宅建業は「免許」という名称ですが、実態は登録的性質を持つため登録と許可の中間という見方もあります。分類はあくまで規制の性質を理解するための枠組みであり、個別の許認可については業法の条文を確認する必要があります。実務では「何の法律に基づく許認可か」を起点に、要件・期限・費用を調べるのが正攻法です。

許認可が必要な主要業種一覧

業種別に主要な許認可を整理すると以下の通りです。会社設立前に、自社事業がどれに該当するかを確認することが必須です。

業種 必要な許認可 種類 窓口
飲食店飲食店営業許可(食品衛生法)許可保健所
食品製造業食品製造業許可(32業種の別)許可保健所
深夜営業(酒類提供)深夜酒類提供飲食店営業届出警察署
風俗営業(スナック・クラブ等)風俗営業許可許可警察署
建設業(500万円超の請負)建設業許可(29業種)許可都道府県庁・国交省
不動産仲介・売買宅地建物取引業免許免許都道府県庁・国交省
中古品売買古物商許可許可警察署
運送業(貨物)一般貨物自動車運送事業許可許可運輸局
旅行業旅行業登録登録観光庁・都道府県庁
旅館・ホテル旅館業許可許可保健所
産業廃棄物処理業産業廃棄物収集運搬業許可・処分業許可許可都道府県庁
介護事業所介護保険事業者指定指定(認可類似)都道府県庁・市区町村
医療法人医療法人設立認可認可都道府県庁
警備業警備業認定認可公安委員会
酒類販売酒類販売業免許免許税務署
人材派遣労働者派遣事業許可許可厚生労働省
有料職業紹介有料職業紹介事業許可許可厚生労働省
貸金業貸金業登録登録都道府県庁・財務局
クリーニング所クリーニング所開設届届出保健所
理容所・美容所開設届届出保健所

食品衛生法32業種|令和3年6月改正後の許可業種

飲食店や食品製造業の許認可は、2021年(令和3年)6月1日の食品衛生法改正により、許可業種が34業種から32業種に再編されました。同時にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が原則全事業者に義務化され、許可業種以外も届出制の対象となりました。

32業種の分類

分類 主な業種
飲食関連飲食店営業、調理の機能を有する自動販売機営業
食品製造菓子製造業、アイスクリーム類製造業、乳製品製造業、清涼飲料水製造業、食肉製品製造業、水産製品製造業、豆腐製造業、納豆製造業、麺類製造業、そうざい製造業、冷凍食品製造業、複合型そうざい製造業、複合型冷凍食品製造業、漬物製造業、密封包装食品製造業
食品販売食肉販売業、魚介類販売業、魚介類競り売り営業
加工処理食肉処理業、集乳業、乳処理業、特別牛乳搾取処理業
その他食品の小分け業、添加物製造業、液卵製造業、氷雪製造業、水産製品製造業、集団給食施設

📢 令和3年6月改正のポイント

①HACCP衛生管理が全事業者に義務化 ②営業許可業種が34業種→32業種に再編 ③許可業種以外で届出対象外業種を除く全事業者に届出制度を創設 ④複合型そうざい製造業・複合型冷凍食品製造業を新設(HACCPに基づく衛生管理が必要) ⑤既に営業している事業者は経過措置期間(3年)内に新制度への移行が必要でした(2024年5月末で経過措置終了)。新規開業の場合は、開業前に新制度で許可取得が必須です。

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許認可を取得しないリスク|業法別の罰則と行政処分

許認可が必要な業種で無許可営業をすれば、業法ごとに定められた罰則が科されるほか、営業停止・許可取消・社会的信用の失墜などのリスクが生じます。

主要業法の罰則一覧

業法 無許可営業の罰則
食品衛生法(飲食店・食品製造)3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法第82条)
建設業法(無許可で500万円超請負)3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法第47条)
宅地建物取引業法3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法第79条)
古物営業法3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法第31条)
風俗営業法2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(法第49条)
廃棄物処理法(産廃)5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(法第25条)
貸金業法10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金(法第47条)
道路運送法(運送業)3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法第96条)
労働者派遣法1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法第59条)

⚠️ 無許可営業の「見えないリスク」

罰金・拘禁刑だけではなく、実務上のダメージはさらに深刻です。①取引先からの契約解除・損害賠償請求(反社・コンプラ違反として解除条項が発動)、②融資の全額回収リスク(借入金の契約違反条項)、③ネット上の評判毀損(摘発情報がSNS・ニュースで拡散)、④代表者個人の役員欠格事由となり以後5年間許可取得不可、⑤保険契約の解除(事業用保険の告知義務違反)等、長期的に事業継続が困難になるリスクを伴います。「バレなければいい」という感覚での無許可営業は極めて高リスクです。

許認可取得の流れ|会社設立前から準備する

許認可取得は、会社設立の「後」ではなく「事業目的の設計段階」から準備するのが実務的です。特に許可要件で事業目的の記載が求められる業種(建設業・介護事業・労働者派遣等)は、定款作成時点で要件を満たしておく必要があります。

一般的な取得フロー

段階 作業内容 期間目安
①事業計画立案必要な許認可の特定、要件の事前確認1〜2週間
②定款作成事業目的に許認可業種を必ず記載1〜2週間
③会社設立登記資本金要件(派遣業2,000万円等)に注意2週間
④人的・物的要件整備有資格者の雇用、施設・設備の整備1〜3カ月
⑤事前相談行政窓口での要件確認1〜2週間
⑥申請書類作成添付書類の収集、申請書の作成2〜4週間
⑦申請・審査行政機関での審査(現地調査含む)1〜3カ月
⑧許可取得・営業開始許可証交付、営業スタート取得日から

📝 行政書士の視点:定款の事業目的が落とし穴

会社設立後に許認可を取ろうとして、定款の事業目的に当該業種が記載されていないため、定款変更(登録免許税3万円+時間)が必要になるケースは非常に多くあります。弊所で支援した建設業新規参入の事例では、事業目的に「土木工事の設計・施工」はあったが「建設業」という包括的な記載がなく、建設業許可申請で差し戻しになりました。設立段階で行政書士に定款内容を確認してもらえば防げる手戻りです。特に許認可業種への参入を視野に入れるなら、設立準備と許認可準備は並行して進めるのが鉄則です。

許認可取得のコスト|費用相場と期間

許認可 行政手数料(実費) 行政書士報酬相場 審査期間
飲食店営業許可16,000〜18,000円5万〜8万円2〜3週間
建設業許可(新規)9万円12万〜20万円1〜3カ月
宅建業免許(知事)33,000円10万〜15万円30〜45日
古物商許可19,000円4万〜7万円40日
労働者派遣事業許可12万円+収入印紙9万円20万〜40万円2〜3カ月
産廃収集運搬業許可81,000円10万〜15万円2〜3カ月
運送業許可12万円40万〜60万円4〜5カ月
風俗営業許可24,000円15万〜25万円55日

※費用は目安です。個別事案により変動します。正確な見積もりは行政書士に直接ご相談ください。

自分で申請するか、行政書士に依頼するか

許認可申請は自分で行うこともできますが、以下の理由で行政書士に依頼するケースが多いのが実態です。

比較項目 自分で申請 行政書士に依頼
費用行政手数料のみ行政手数料+報酬
時間要件調査・書類準備で40〜60時間打合せ・書類提供のみで10時間程度
差戻リスク書類不備で差戻が頻発専門家が事前確認で低減
要件の事前診断要件を満たせるか自己判断取得可能性の事前診断が可能
付随相談なし会社設立・税務・労務もワンストップ(4士業併設の場合)

よくある質問

許認可なしで事業を始めたらどうなりますか?
許認可が必要な業種で無許可営業をすれば、業法ごとの罰則(拘禁刑・罰金)に加え、営業停止・取引先からの契約解除・融資の全額回収・代表者の役員欠格(以後5年間は許可取得不可)・保険契約の解除等のリスクが発生します。発覚した時点で事業継続が困難になるケースが多く、短期的な利益を得ても長期的に大きなダメージとなります。
自分の事業に許認可が必要かどうか、どう確認すればいいですか?
①業種を明確にして業法を特定する、②所管行政機関(保健所・警察署・都道府県庁等)に事前相談する、③行政書士に相談する、の3段階で確認するのが実務的です。特に新規性のある事業(IT×他業種の複合型など)では、所管があいまいな場合もあるため、行政書士に相談して関連業法を全て洗い出すことをおすすめします。
届出と許可の違いは何ですか?
届出は「通知すれば適法に事業を始められる」制度で、原則として受理拒否がありません。一方、許可は「原則禁止されている行為を個別に解禁する」制度で、行政機関の裁量判断があり、要件を満たさなければ不許可となります。規制の強さが違うため、届出と許可では申請書類・審査期間・罰則も大きく異なります。
飲食店営業許可は何日くらいで取れますか?
書類提出から審査・現地調査を経て、通常2〜3週間で取得できます。ただし食品衛生責任者の資格取得(6時間の講習会)、施設の改修(2槽シンク・手洗器等の要件充足)、食品衛生責任者プレートの設置などの事前準備が必要です。開業予定日の2カ月前から準備を開始するのが現実的なスケジュールです。
許可取得後に事業を変更する場合の注意点は?
許認可には変更届・変更申請の義務があります。代表者変更・本店移転・役員変更・事業目的変更・取扱業務の追加等は、業法ごとに定められた期間内(多くは30日以内)に届出する必要があります。届出を怠ると許可取消・過料の対象になります。特に役員変更は頻繁に発生するため、社内で期限管理するか行政書士に継続支援を依頼するのが実務的です。
無店舗でインターネット販売する場合も許認可は必要ですか?
販売商品によって異なります。食品はオンライン販売でも食品衛生法の許可(32業種のいずれか)が必要。中古品販売は古物商許可(営業所の届出も必要)、酒類販売は通信販売酒類小売業免許、医薬品は医薬品販売業許可が必要です。「ネットだから不要」は誤解で、実店舗と同じ基準で判断されます。
個人事業主と法人で許認可の要件は違いますか?
基本要件は同じですが、法人固有の要件が加わる場合があります。例えば定款の事業目的記載(建設業・派遣業等)、代表取締役の欠格事由、役員の身分証明書等。また、資本金要件(労働者派遣業は2,000万円以上等)は個人にはない法人特有のハードルです。許認可業種で起業する場合は、個人事業ではなく法人設立から行政書士と相談する方がスムーズです。
許可を取り消された場合、再取得できますか?
業法により異なりますが、多くの業法で取消後5年間は再取得不可となります。また、取消時の役員(代表取締役・取締役)も「欠格事由」として5年間は新規の許可申請で役員になることができません。許可取消は事実上の事業停止命令に近く、再建の道は非常に厳しくなります。日常的なコンプライアンス遵守が最大の防御策です。

📋 この記事のポイント

  • 許認可は届出・登録・認可・許可・免許の5種類、全国で1万件超
  • 飲食・建設・不動産・運送・廃棄物・人材派遣など主要業種は全て許認可対象
  • 食品衛生法は令和3年6月改正で32業種に再編、HACCP衛生管理が原則全事業者義務
  • 無許可営業の罰則は業法により3〜10年の拘禁刑+100万〜3,000万円の罰金
  • 「見えないリスク」として取引解除・融資回収・役員欠格など長期ダメージも
  • 会社設立前の事業目的設計段階から許認可要件を踏まえるのが鉄則
  • 行政書士への依頼で差戻リスクが大幅に低減、ワンストップ事務所なら設立〜税務まで一括対応可
  • 変更届・役員変更等の継続義務も重要(届出漏れは許可取消リスク)

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