【税理士×行政書士が解説】固定資産税の軽減措置|住宅用地特例・新築減額・空き家の特例解除

【税理士×行政書士が解説】固定資産税の軽減措置|住宅用地特例・新築減額・空き家の特例解除
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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固定資産税の軽減措置|住宅用地特例・新築減額・空き家の特例解除

「固定資産税を少しでも安くしたい」「新築の減額がいつ終わるか知りたい」「相続した空き家の税金が心配」という不動産オーナー・経営者に向けて、使える軽減措置を全7種類一覧で整理します。この記事を読めば、自分の物件に使える特例を見落とさずに済みます。

🏆 結論:軽減措置で固定資産税は最大1/6まで下がる。ただし空き家は逆に6倍リスクあり

住宅用地特例で土地の課税標準が最大1/6に、新築減額で建物の税額が3〜7年間1/2に軽減されます。一方、2023年12月の改正空家法により、管理不全空家でも勧告を受けると住宅用地特例が解除され、固定資産税が最大6倍になります。「使える特例を最大限活用し、外れるリスクを最小限に」が基本戦略です。

固定資産税の軽減措置一覧【全7種類を比較】

固定資産税には大きく分けて「土地の特例」「建物の減額」「リフォーム減税」の3カテゴリ、合計7種類の軽減措置があります。まず全体像を把握しましょう。

軽減措置 対象 減額内容 期限 申告
① 小規模住宅用地特例200㎡以下の部分課税標準1/6期限なし原則不要
② 一般住宅用地特例200㎡超の部分課税標準1/3期限なし原則不要
③ 新築住宅の減額(一般)新築住宅税額1/2(3年間)令和8年3月31日まで多くの自治体で不要
④ 新築住宅の減額(耐火建築)3階建以上の耐火建築税額1/2(5年間)令和8年3月31日まで多くの自治体で不要
⑤ 長期優良住宅の減額認定長期優良住宅税額1/2(5〜7年間)令和8年3月31日まで申告必要
⑥ リフォーム減税耐震・バリアフリー・省エネ改修翌年度の税額1/3〜1/2減額令和8年3月31日まで申告必要
⑦ マンション長寿命化促進税制一定の大規模修繕工事翌年度の建物税額1/6〜1/2減額令和7年3月31日まで申告必要

固定資産税の基本的な計算方法や都市計画税との違いについては「固定資産税の基礎知識|税率・評価替え・都市計画税との違い」で詳しく解説しています。

💡 実務のポイント

顧問先から「固定資産税が急に上がった」と相談を受けた場合、まず確認すべきは新築減額の終了時期です。一般住宅なら新築後4年目、耐火建築なら6年目、長期優良住宅なら6年目(耐火なら8年目)に本来の税額に戻ります。「上がった」のではなく「減額が終わった」だけという説明で安心される方がほとんどです。

住宅用地特例の詳細【小規模住宅用地1/6・一般住宅用地1/3】

住宅用地特例とは、人が住むための家屋が建っている土地の固定資産税・都市計画税を大幅に軽減する制度です(地方税法第349条の3の2)。適用期限がなく、住宅が建っている限り永続的に適用されます。

小規模住宅用地と一般住宅用地の区分

区分 面積 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地住戸1戸あたり200㎡以下の部分課税標準×1/6課税標準×1/3
一般住宅用地200㎡超の部分(床面積の10倍まで)課税標準×1/3課税標準×2/3
非住宅用地(更地等)特例なし(評価額そのまま)特例なし

アパート・マンションの住宅用地の判定

アパートやマンションなど集合住宅の場合、小規模住宅用地は「200㎡ × 住戸数」まで適用されます。たとえば10室のアパートであれば、200㎡×10=2,000㎡まで小規模住宅用地として課税標準が1/6になります。

🧮 シミュレーション:10室アパートの土地(500㎡・評価額5,000万円)

小規模住宅用地の上限=200㎡×10室=2,000㎡ → 敷地500㎡は全体が小規模住宅用地に該当。課税標準=5,000万円×1/6=約833万円。固定資産税=833万円×1.4%=約11.7万円。特例なしの場合は5,000万円×1.4%=70万円なので、年間約58万円の軽減効果です。

住宅用地特例が外れる5つのケース

住宅用地特例が解除されると固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。以下の5ケースに該当しないか確認しましょう。

ケース 具体例 税額への影響
① 建物を取り壊して更地にした古い住宅を解体して駐車場にした翌年から最大6倍
② 特定空家として勧告を受けた倒壊の危険がある空き家を放置勧告翌年から最大6倍
③ 管理不全空家として勧告を受けた窓や壁が破損した空き家を放置(2023年12月〜)勧告翌年から最大6倍
④ 住宅以外に用途変更した住宅を事務所・店舗に転用翌年から最大6倍
⑤ 構造上住宅と認められない状態屋根や外壁が大きく損傷翌年から最大6倍

⚠️ 注意

建替えのために建物を取り壊した場合、一定の要件を満たせば翌年も住宅用地特例を継続適用できるケースがあります。ただし自治体によって判断基準が異なるため、解体前に必ず市区町村の固定資産税課に確認してください。「解体してから聞く」では手遅れになることがあります。

新築住宅の減額措置【一般・耐火・長期優良住宅を比較】

新築住宅は一定期間、建物の固定資産税が1/2に減額されます(地方税法第15条の6)。住宅の種類によって減額期間が異なるため、以下の比較表で確認してください。

住宅の種類 減額期間 減額内容 適用期限
一般の新築住宅(戸建て等)3年間120㎡まで税額1/2令和8年3月31日まで
3階建以上の耐火建築(マンション等)5年間120㎡まで税額1/2令和8年3月31日まで
認定長期優良住宅(戸建て)5年間120㎡まで税額1/2令和8年3月31日まで
認定長期優良住宅(マンション)7年間120㎡まで税額1/2令和8年3月31日まで

新築減額の適用要件

新築減額を受けるためには、以下の要件を全て満たす必要があります。居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること(一戸建て以外の貸家は40㎡以上)、居住部分が床面積の1/2以上を占めていることが基本要件です。

新築減額の終了前後のシミュレーション

📐 シミュレーション前提条件

  • 建物の固定資産税評価額:1,500万円(120㎡以下)
  • 固定資産税率:1.4%、都市計画税率:0.3%
  • 住宅用地特例は土地のみ。建物の減額は固定資産税のみ(都市計画税には非適用)
時期 固定資産税(建物) 都市計画税(建物) 合計
新築減額中(一般住宅:3年間)10.5万円4.5万円15.0万円
新築減額終了後(4年目〜)21.0万円4.5万円25.5万円

※建物のみの税額です。土地の固定資産税は別途かかります。概算値であり、個別の状況により異なります。

新築減額の終了で建物の固定資産税が10.5万円→21.0万円と倍増します。都市計画税は変わらないため合計では約1.7倍ですが、「固定資産税が急に上がった」と感じるには十分な金額差です。

💡 実務のポイント

認定長期優良住宅の減額を受けるには、新築した翌年の1月31日までに「固定資産税減額申告書」と「長期優良住宅の認定通知書の写し」を市区町村に提出する必要があります。一般の新築住宅は多くの自治体で申告不要ですが、長期優良住宅は申告しないと適用されません。この期限を過ぎると救済措置がないため、建築会社から認定通知書を受け取ったら速やかに申告してください。

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空き家の固定資産税|特例解除で最大6倍になるリスク

2023年12月13日に施行された改正空家等対策特別措置法(改正空家法)により、「管理不全空家」が新設されました。従来は「特定空家」のみが住宅用地特例の解除対象でしたが、改正後は「管理不全空家」への勧告でも特例が解除されます。

空き家の3段階と固定資産税への影響

段階 状態 行政の対応 固定資産税への影響
正常な空き家定期的に管理されているなし住宅用地特例を適用(通常どおり)
管理不全空家窓や壁の破損、庭木の繁茂など指導→勧告勧告で特例解除→最大6倍
特定空家倒壊の危険・衛生上有害・景観を著しく損なう助言→指導→勧告→命令→代執行勧告で特例解除→最大6倍

特例解除で税額はどれだけ上がるか

📐 シミュレーション前提条件

  • 土地の固定資産税評価額:1,500万円(150㎡の小規模住宅用地)
  • 固定資産税率:1.4%、都市計画税率:0.3%
状態 固定資産税(土地) 都市計画税(土地) 合計
住宅用地特例あり(正常)3.5万円1.5万円5.0万円
特例解除後(勧告後)21.0万円4.5万円25.5万円

※負担調整措置の影響で実際の増加幅は異なる場合があります。概算値です。

年間の土地の税負担が5.0万円→25.5万円と約5倍に跳ね上がります。建物の固定資産税は別途かかるため、トータルの負担増はさらに大きくなります。

空き家の固定資産税を6倍にしないための対策

対策 具体的な内容 効果
定期的な管理草刈り・清掃・窓の施錠・郵便物の回収管理不全空家の指定を回避
指導段階での改善行政から指導を受けたら速やかに修繕勧告前に指定解除できる可能性あり
賃貸として活用リフォームして賃貸に出す住宅用地特例を維持+家賃収入
売却相続空き家の3,000万円特別控除を活用固定資産税の負担ゼロ+売却益の節税

空き家のトラブル対策については「固定資産税のトラブルと対処法」で詳しく解説しています。

📝 行政書士の視点

相続した空き家を売却する場合、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除」(3,000万円控除)を利用できる可能性があります。要件の一つに「相続開始から3年を経過する日の属する年の年末までに売却すること」があるため、相続後は早めに方針を決めることが重要です。相続登記の義務化(2024年4月〜)もあわせて対応しましょう。

リフォーム減税【耐震・バリアフリー・省エネ改修】

既存住宅のリフォームでも、一定の要件を満たせば翌年度の固定資産税が減額されます。

改修の種類 減額内容 対象面積 工事費要件
耐震改修翌年度の税額1/2120㎡まで50万円超
バリアフリー改修翌年度の税額1/3100㎡まで50万円超
省エネ改修翌年度の税額1/3120㎡まで60万円超

いずれも工事完了後3ヶ月以内に市区町村への申告が必要です。期限を過ぎると減税が受けられなくなるため、工事完了日をカレンダーに記録しておきましょう。

参考: 東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

東京23区の独自軽減措置

東京23区では、地方税法の特例に加えて都独自の軽減措置が設けられています。

軽減措置 内容
小規模住宅用地の都市計画税課税標準を1/3→さらに1/2に軽減(実質1/6)
税額の1.1倍超上昇の抑制前年度税額の1.1倍を超える土地は条例減額
小規模非住宅用地の減免一定の条件を満たす小規模非住宅用地は減免

💡 実務のポイント

東京23区で事業を営む法人にとって見落としがちなのが「小規模非住宅用地の減免」です。店舗や事務所の敷地でも一定の条件を満たせば固定資産税が軽減されます。この措置は毎年度の条例で延長されるため、最新の状況は都税事務所に確認してください。

加算税・延滞税の仕組みとあわせた全体的な税金のペナルティについては「加算税・延滞税の全体像」をご覧ください。

軽減措置の申告が必要なケース・不要なケース

軽減措置の中には自動適用されるものと、自分で申告しなければ適用されないものがあります。以下の判定表で確認しましょう。

軽減措置 申告の要否 期限
住宅用地特例原則不要(住宅を新築・取壊した場合は申告書提出)翌年の1月31日
新築住宅の減額(一般)多くの自治体で不要
長期優良住宅の減額申告必要新築翌年の1月31日
耐震改修の減額申告必要工事完了後3ヶ月以内
バリアフリー・省エネ改修の減額申告必要工事完了後3ヶ月以内
償却資産の申告毎年申告必要毎年1月31日

償却資産の固定資産税について詳しくは「償却資産の固定資産税|申告義務・対象資産・経費処理の方法」をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

住宅用地特例に適用期限はありますか?
住宅用地特例には適用期限がありません。住宅が建っている限り永続的に適用されます。ただし、空き家として放置して「管理不全空家」や「特定空家」の勧告を受けると特例が解除されるため、住宅を管理し続けることが条件ともいえます。
新築減額の終了はいつ通知されますか?
通常、納税通知書に「減額適用○年目」といった記載があり、最終年度には「翌年度から減額が終了します」旨の注記が入る自治体もあります。ただし通知がない自治体もあるため、新築時に「○年度で終了」と自分でメモしておくのが確実です。
空き家を取り壊すと固定資産税はどうなりますか?
住宅を取り壊すと住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍になります。ただし、1月1日の賦課期日より前に取り壊した場合は翌年度から、賦課期日後なら翌々年度からの適用です。建替えの場合は一定の条件で特例を継続できるため、解体前に市区町村に確認してください。
管理不全空家と特定空家の違いは?
特定空家は倒壊の危険や衛生上の問題が「既に発生している」状態です。管理不全空家は、放置すれば特定空家になる「おそれがある」状態で、窓や壁の破損、庭木の繁茂などが該当します。2023年12月の改正空家法で新設された区分です。いずれも勧告を受けると住宅用地特例が解除されます。
固定資産税の減額を受けるのに確定申告は必要ですか?
固定資産税の軽減措置と所得税の確定申告は別の手続きです。住宅用地特例は多くの場合自動適用されますが、長期優良住宅の減額やリフォーム減税は市区町村への申告が必要です。確定申告ではなく、自治体の固定資産税課への専用の申告書提出となります。
賃貸アパートにも住宅用地特例は適用されますか?
はい。賃貸アパートやマンションも人が住むための住宅ですので、住宅用地特例が適用されます。しかも小規模住宅用地は「200㎡×住戸数」まで適用されるため、戸数が多いほど節税効果が大きくなります。
併用住宅(1階店舗・2階住居)は住宅用地特例を受けられますか?
居住部分の割合が1/4以上であれば、敷地の一定割合に住宅用地特例が適用されます。居住部分が1/2以上なら敷地全体が住宅用地として扱われ、1/4以上1/2未満の場合は敷地の1/2が住宅用地として扱われます。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 固定資産税の軽減措置は全7種類。土地の住宅用地特例・建物の新築減額・リフォーム減税の3カテゴリ
  • 住宅用地特例で土地の課税標準が最大1/6。適用期限なしだが、空き家の勧告で解除リスクあり
  • 新築減額は一般住宅3年・耐火建築5年・長期優良住宅5〜7年。終了後に税額が倍増する点に注意
  • 2023年12月の改正空家法で「管理不全空家」が新設。勧告を受けると住宅用地特例が解除され最大6倍に
  • 長期優良住宅の減額とリフォーム減税は申告が必須。期限を過ぎると救済措置なし
  • 東京23区は都独自の軽減措置あり。小規模住宅用地の都市計画税がさらに1/2に軽減

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