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固定資産税の基礎知識|税率・評価替え・都市計画税との違い
不動産や事業用資産を所有している経営者・個人事業主に向けて、固定資産税の計算方法・評価替えの仕組み・都市計画税との違いを完全ガイドします。この記事を読めば、納税通知書の内容を自分で確認し、使える軽減措置を見落とさずに済みます。


不動産や事業用資産を所有している経営者・個人事業主に向けて、固定資産税の計算方法・評価替えの仕組み・都市計画税との違いを完全ガイドします。この記事を読めば、納税通知書の内容を自分で確認し、使える軽減措置を見落とさずに済みます。
🏆 結論:固定資産税は「評価額×1.4%」が基本だが、特例で大幅に下がる
固定資産税の標準税率は1.4%、都市計画税は上限0.3%です。ただし住宅用地特例で土地の課税標準が最大1/6に、新築住宅は3〜5年間税額が1/2になります。3年ごとの評価替えで税額が変わるため、納税通知書の「評価額」と「課税標準額」の違いを理解しておくことが重要です。
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地・家屋・償却資産(事業用の機械や備品)を所有している人に対して、市町村が課税する地方税です。地方税法第341条以下に規定されています。
まず全体像を押さえるために、固定資産税の基本を5つのポイントに整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ❶ 課税主体 | 市町村(東京23区は都) |
| ❷ 課税対象 | 土地・家屋・償却資産 |
| ❸ 標準税率 | 1.4%(自治体により異なる場合あり) |
| ❹ 賦課期日 | 毎年1月1日時点の所有者に課税 |
| ❺ 納付方法 | 年4回の分割 or 一括(4〜6月に通知書届く) |
💡 実務のポイント
実務でよくある誤解は「1月2日に売却すれば固定資産税を払わなくていい」というものです。確かに1月2日以降に所有権が移転すれば、その年の納税義務者は前の所有者です。しかし不動産売買の実務では、引渡日以降の固定資産税を日割りで買主が負担する精算条項を入れるのが通例です。
法人が所有する不動産や事業用資産も固定資産税の対象です。特に注意すべきは、法人税の損金算入のタイミングです。固定資産税は「賦課決定があった日の属する事業年度」に損金算入できます(法人税法基本通達9-5-1)。つまり、納税通知書が届いた事業年度の経費として計上するのが原則です。
同一市区町村内で同一人が所有する固定資産の課税標準額の合計が、土地30万円未満・家屋20万円未満・償却資産150万円未満の場合、固定資産税は課税されません(地方税法第351条)。ただし同一市区町村内の複数の土地を合算して判定するため、1筆ごとではなく合計で判定される点に注意が必要です。
固定資産税と都市計画税は同じ納税通知書で届くため混同しがちですが、性質が異なる2つの税金です。最大の違いは「課税範囲」と「税率」です。
| 比較項目 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 税の性質 | 普通税(使途自由) | 目的税(都市計画事業に限定) |
| 課税地域 | 全国の市町村 | 市街化区域内のみ |
| 課税対象 | 土地・家屋・償却資産 | 土地・家屋のみ(償却資産は対象外) |
| 税率 | 標準税率1.4% | 制限税率0.3%(上限) |
| 住宅用地特例(小規模) | 課税標準 × 1/6 | 課税標準 × 1/3 |
| 住宅用地特例(一般) | 課税標準 × 1/3 | 課税標準 × 2/3 |
| 新築住宅の減額 | あり(税額1/2、3〜5年間) | なし |
| 免税点 | 土地30万円・家屋20万円未満 | 固定資産税と同じ基準を適用 |
📝 行政書士の視点
「市街化区域」か「市街化調整区域」かは、物件の所在地の都市計画図で確認できます。役所の都市計画課やWebサイトで公開されています。市街化調整区域なら都市計画税は非課税です。事業用物件の取得前に、このチェックを忘れると年間のランニングコスト試算を誤ることがあります。
都市計画税は全国一律に課税されるわけではありません。以下のケースでは都市計画税が発生しません。
| ケース | 都市計画税 | 理由 |
|---|---|---|
| 市街化調整区域の土地・家屋 | 非課税 | 課税対象外 |
| 都市計画区域外の土地・家屋 | 非課税 | 課税対象外 |
| 償却資産(機械・備品等) | 非課税 | 都市計画税の課税対象は土地・家屋のみ |
| 都市計画税を課していない自治体 | 非課税 | 条例で都市計画税を課さない自治体もある |
固定資産税の計算式は「課税標準額 × 税率(1.4%)」です。ポイントは「固定資産税評価額」と「課税標準額」が異なる場合があることです。
固定資産税の計算は、以下の3ステップで行います。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① | 固定資産税評価額を確認 | 納税通知書の「価格」欄に記載 |
| ② | 課税標準額を算出 | 住宅用地特例・負担調整措置を適用 |
| ③ | 税額を計算 | 課税標準額 × 1.4%(新築減額がある場合はさらに1/2) |
納税通知書には「価格(評価額)」と「課税標準額」の両方が記載されています。この2つが異なる理由は、住宅用地特例や負担調整措置が適用されるためです。
土地の場合、住宅用地特例や負担調整措置が適用されるため、課税標準額は評価額より低くなるのが一般的です。一方、家屋の場合は原則として評価額=課税標準額になります(新築住宅の減額措置を除く)。
💡 実務のポイント
実務で経営者から「固定資産税の評価額って何を基準にしてるの?」と聞かれることが多いです。土地の場合は公示地価の約70%が目安、建物の場合は再建築価格(同じ建物をもう一度建てた場合の費用)の50〜60%程度が目安です。時価(売買価格)とは異なりますので混同しないよう注意してください。
住宅用地特例や新築減額の有無で、固定資産税+都市計画税の合計額は大きく変わります。土地評価額2,000万円・建物評価額1,500万円のケースで4パターンを比較します。
📐 シミュレーション前提条件
| パターン | 土地の税額 | 建物の税額 | 合計(年額) |
|---|---|---|---|
| A:特例なし(更地) | 34.0万円 | — | 34.0万円 |
| B:住宅用地特例あり(既存建物) | 7.6万円 | 25.5万円 | 33.1万円 |
| C:住宅用地+新築減額あり | 7.6万円 | 15.0万円 | 22.6万円 |
| D:事業用(非住宅) | 34.0万円 | 25.5万円 | 59.5万円 |
※概算値です。個別の状況により異なります。負担調整措置の影響で実際の税額はさらに変わることがあります。正確な計算は税理士にご相談ください。
住宅用地特例が適用されるかどうかで土地の税額に約4.5倍の差がつくことがわかります。空き家を取り壊して更地にすると特例が外れて税額が跳ね上がるため、解体前に必ず税額シミュレーションを行いましょう。空き家対策特別措置法との関連については「固定資産税のトラブルと対処法」で詳しく解説しています。
⚠️ 注意
パターンDの事業用(非住宅)は、住宅用地特例が一切適用されません。事務所・店舗・工場などの敷地は更地と同じ課税標準で計算されます。事業用不動産を取得する際は、固定資産税のランニングコストを必ず試算に含めてください。
固定資産税の評価額は3年に1度見直されます(地方税法第341条第6号)。この見直しを「評価替え」といい、評価替えの年度を「基準年度」と呼びます。
| 年度 | 区分 | 評価額の扱い |
|---|---|---|
| 令和6年度(2024年度) | 基準年度 ★ | 全件見直し |
| 令和7年度(2025年度) | 据置年度 | 原則据置(地価下落時は修正あり) |
| 令和8年度(2026年度) | 据置年度 | 原則据置(地価下落時は修正あり) |
| 令和9年度(2027年度) | 基準年度 ★ | 全件見直し |
| 令和10年度(2028年度) | 据置年度 | 原則据置 |
| 令和11年度(2029年度) | 据置年度 | 原則据置 |
| 令和12年度(2030年度) | 基準年度 ★ | 全件見直し |
評価替えの年に「いきなり固定資産税が上がった」と驚く方が多いですが、主な原因は3つあります。
| 原因 | 対象 | 対処法 |
|---|---|---|
| 地価の上昇 | 土地 | 負担調整措置で急激な上昇は緩和される。縦覧制度で近隣の評価額と比較 |
| 建築資材の高騰 | 家屋 | 再建築費評点補正率の上昇(令和6年度:木造1.11、非木造1.07)。経年減点補正率との相殺を確認 |
| 新築減額の終了 | 家屋 | 3年 or 5年の減額期間終了で本来の税額に戻る。終了時期をカレンダーに記入 |
💡 実務のポイント
固定資産税が急に上がった場合、まずは新築減額の終了時期を確認してください。新築から3年(マンションなど耐火建築物は5年)で減額が終了し、見かけ上「倍増」します。評価額自体は変わっていないのに税額が倍になるため、顧問先からの問い合わせが多いポイントです。
固定資産税の全体像や加算税・延滞税との関係は「加算税・延滞税の全体像」で解説しています。
負担調整措置とは、評価替えで評価額が急上昇した場合に、課税標準額を段階的に引き上げることで税負担の急激な増加を抑える制度です。負担水準(前年度の課税標準額÷当年度の評価額×100)に応じて、以下のように調整されます。
商業地等(住宅用地以外)の場合、負担水準が70%を超えていれば引き下げ、60〜70%の範囲なら据置、60%未満なら段階的に引き上げ、というルールです。この措置により、地価が急上昇しても1年で税額が大きく跳ね上がることは抑えられています。
固定資産税を大幅に軽減する2大特例が「住宅用地特例」と「新築住宅の減額」です。それぞれの適用条件と効果を整理します。
| 区分 | 面積の基準 | 固定資産税の特例率 | 都市計画税の特例率 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 1/6 | 1/3 |
| 一般住宅用地 | 200㎡超の部分 | 1/3 | 2/3 |
住宅1戸につき200㎡までが小規模住宅用地です。アパートなど複数戸の場合は「200㎡×住戸数」までが小規模住宅用地の対象になります。詳しい軽減措置については「固定資産税の軽減措置|住宅用地特例・新築減額・空き家の特例解除」をご覧ください。
新築住宅で以下の要件を満たす場合、一定期間の固定資産税額が1/2になります(都市計画税には適用されません)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 床面積 | 50㎡以上280㎡以下(一戸建以外の貸家は40㎡以上) |
| 居住割合 | 居住部分が1/2以上 |
| 減額対象 | 居住部分のうち120㎡までの税額が1/2 |
| 減額期間(一般住宅) | 新築後3年度分 |
| 減額期間(3階建以上の耐火建築) | 新築後5年度分 |
AYUSAWA PARTNERS
固定資産税のご相談は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。公認会計士・税理士・社労士・行政書士がワンストップで対応します。不動産の取得・保有・売却にかかる税金を一括でサポート。
鮎澤パートナーズに相談する平成29年度税制改正により、居住用超高層建築物(いわゆるタワーマンション、高さ60m超・おおむね20階以上)は、階層別の補正率が適用されるようになりました。
補正率は中間階を基準(1.0)として、1階上がるごとに約0.256%加算、1階下がるごとに約0.256%減算されます。具体的な計算式は次のとおりです。
補正率 = 100 + 10/39 ×(階数 − 中間階)÷ 100
🧮 シミュレーション:40階建タワマンの1階 vs 40階
中間階を20.5階として、1階の補正率は約0.95、40階の補正率は約1.05になります。1戸あたりの建物評価額が3,000万円の場合、1階の固定資産税は約39.9万円、40階は約44.1万円となり、年間で約4.2万円の差が生じます(固定資産税1.4%+都市計画税0.3%の合計)。
この階層別補正はあくまで固定資産税の評価における補正であり、購入価格とは連動しません。高層階は市場価格が高いにもかかわらず固定資産税の差が小さいため、相続税の節税手段として利用されるケースがありましたが、令和6年1月1日以降の相続ではマンション評価の新ルール(区分所有補正率の適用)が導入されています。
事業用の機械・器具・備品などの償却資産も固定資産税の課税対象です。土地・家屋と異なり、償却資産は所有者が毎年1月31日までに申告する必要があります。
| 対象 | 対象外 |
|---|---|
| 工場の機械・プレス機 | 自動車(自動車税の対象) |
| 店舗の内装・看板 | ソフトウェア(無形固定資産) |
| パソコン・複合機 | 少額減価償却資産(取得価額40万円未満で一括償却したもの) |
| 太陽光発電設備 | リース資産(原則としてリース会社が申告) |
償却資産の固定資産税について詳しくは「償却資産の固定資産税」で解説しています。
📊 公認会計士の視点
償却資産の申告漏れは意外と多いです。特に注意が必要なのは、10万円以上20万円未満の備品を「一括償却資産」として3年均等償却している場合です。一括償却資産は固定資産税の課税対象外ですが、中小企業が「少額減価償却資産の特例(40万円未満)」で即時償却した場合は固定資産税の課税対象になります。処理方法によって固定資産税の扱いが変わる点に注意してください。
毎年4〜6月に届く納税通知書は、固定資産税の計算が正しいか確認するための重要な書類です。以下のチェックポイントを確認しましょう。
| チェック項目 | 確認ポイント | 異常値の目安 |
|---|---|---|
| ① 地積(面積) | 登記簿と一致しているか | 登記簿と異なる場合は要確認 |
| ② 地目・家屋用途 | 実際の利用状況と一致しているか | 住宅なのに非住宅扱い→特例が外れている可能性 |
| ③ 評価額(価格) | 土地は公示地価の約70%が目安 | 近隣の売買事例と比較して著しく高い場合 |
| ④ 課税標準額 | 住宅用地なら評価額の1/6〜1/3になっているか | 評価額と同額→住宅用地特例が適用されていない可能性 |
| ⑤ 新築減額の適用 | 新築3年(5年)以内なら「減額」欄に記載があるか | 減額欄が空白→申告漏れの可能性 |
| ⑥ 税額の計算 | 課税標準額×税率と一致するか | 電卓で検算して大幅にズレる場合 |
💡 実務のポイント
顧問先の納税通知書をチェックする際、最も多い発見は「住宅用地特例の適用漏れ」です。建物を取り壊した後に新しい建物が完成するまでの間、特例が外れて更地扱いになっているケースが典型的です。建替え中でも一定の要件を満たせば特例を継続できるため、着工前に市区町村の固定資産税課に確認することをお勧めします。
固定資産税と都市計画税は一括 or 年4回の分割で納付します。納期限は自治体によって異なりますが、多くの自治体では以下のようなスケジュールです。
| 時期 | イベント | やるべきこと |
|---|---|---|
| 1月1日 | 賦課期日(この日の所有者に課税) | — |
| 1月31日 | 償却資産の申告期限 | 事業用資産の申告(法人・個人事業主) |
| 4月頃 | 縦覧期間開始・納税通知書発送 | 評価額の確認・近隣との比較 |
| 6月末頃 | 第1期納期限(東京23区の場合) | 納付(一括 or 第1期分) |
| 9月・12月・翌2月 | 第2〜4期納期限 | 分割払いの場合は各期に納付 |
口座振替やスマートフォン決済アプリ(PayPayなど)での納付に対応する自治体も増えています。納付忘れによる延滞金(最初の1ヶ月は年2.4%程度、以降は年8.7%程度)を避けるためにも、口座振替の登録がおすすめです。
参考: 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
納税通知書の評価額が適正でないと感じた場合、以下の手順で異議を申し立てることができます。
| ステップ | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| ① | 縦覧期間に近隣の評価額を確認 | 毎年4月頃の約1ヶ月間 |
| ② | 固定資産評価審査委員会に審査申出 | 納税通知書を受け取った翌日から3ヶ月以内 |
| ③ | 審査決定に不服がある場合は取消訴訟 | 審査決定を知った日から6ヶ月以内 |
💡 実務のポイント
審査申出の前に、まず市区町村の固定資産税課に直接相談することをお勧めします。実務上は、窓口で「この評価額の根拠を教えてほしい」と申し出ると、評価明細を見せてくれる場合が多いです。地目の誤認や面積の計算ミスなど明らかな誤りであれば、審査申出をせずとも職権で修正してもらえることがあります。
📋 この記事のポイント
AYUSAWA PARTNERS
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