【税理士×社労士が解説】個人住民税とは?計算方法・税率・非課税限度額をわかりやすく解説

【税理士×社労士が解説】個人住民税とは?計算方法・税率・非課税限度額をわかりやすく解説
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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個人住民税とは?計算方法・税率・非課税限度額をわかりやすく解説

「住民税って結局いくらかかるの?」「所得税がゼロでも住民税は発生する?」と疑問を持つ給与所得者・個人事業主に向けて、住民税の計算方法を5つのステップで解説します。この記事を読めば、自分の住民税額を概算で把握し、非課税になるかどうかを判定できるようになります。

🏆 結論:住民税=所得割(課税所得×10%)+均等割(年5,000円)

個人住民税は「所得割」と「均等割」の合計です。所得割は前年の課税所得に対して一律10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)が課され、均等割は所得に関係なく年額5,000円(都道府県民税1,000円+市区町村民税3,000円+森林環境税1,000円)が定額で課されます。住民税の基礎控除は43万円で、所得税の基礎控除(最大104万円)より低いため、所得税がゼロでも住民税が発生するケースがあります。

個人住民税とは?所得割と均等割の2つの仕組み

個人住民税とは、都道府県と市区町村に納める地方税です。教育・福祉・消防・ごみ処理など、日常生活を支える行政サービスの財源になっています。住民税は「所得割」と「均等割」の2つで構成されています。

所得割:前年の所得に応じて課税

所得割は、前年1月1日〜12月31日の所得に基づいて計算されます。税率は標準税率で一律10%です。所得税のように累進課税(所得が高いほど税率が上がる仕組み)ではありません。

税の種類 税率
都道府県民税(所得割)4%
市区町村民税(所得割)6%
合計10%

均等割:所得に関係なく定額で課税

均等割は、一定以上の所得がある住民全員に定額で課される税です。令和6年度以降は森林環境税(国税)1,000円が加わり、合計で年額5,000円になっています。

項目 年額
都道府県民税(均等割)1,000円
市区町村民税(均等割)3,000円
森林環境税(国税)1,000円
合計5,000円

💡 実務のポイント

個人事業主のお客様から「住民税が高すぎる」という相談を受けることが多いですが、原因のほとんどは「前年の所得が想像以上に多かった」ことです。住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、独立1年目で売上が好調だった方は、2年目の6月に届く住民税の通知書を見て驚くケースが少なくありません。

住民税の計算方法|5ステップで完全理解

住民税の計算は、以下の5ステップで行います。所得税の計算と似ていますが、控除額や税率が異なります。

STEP 計算内容 具体例(年収400万円・会社員・独身)
1収入金額を確定給与収入400万円
2給与所得控除を差し引いて所得金額を計算400万−124万=276万円
3所得控除を差し引いて課税所得を計算276万−43万(基礎控除)−60万(社保控除)=173万円
4所得割を計算(課税所得×10%)173万×10%=17.3万円
5均等割を加算17.3万+0.5万=約17.8万円

※概算値です。調整控除等により実際の金額は異なります。

⚠️ 注意:住民税の基礎控除は43万円

令和7年度税制改正で所得税の基礎控除は最大95万円(R8改正で最大104万円)に引き上げられましたが、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きです。この差が「所得税はゼロなのに住民税は課される」原因です。給与所得控除の最低保障額は住民税でも65万円に引き上げられましたが、基礎控除の差には注意してください。

所得税と住民税の控除額の違い|一覧表

住民税と所得税では、同じ名前の所得控除でも金額が異なるものがあります。主要な控除の差額を一覧で整理します。

所得控除 所得税 住民税 差額
基礎控除最大104万円43万円最大61万円
配偶者控除(一般)38万円33万円5万円
扶養控除(一般)38万円33万円5万円
扶養控除(特定・19〜22歳)63万円45万円18万円
ひとり親控除35万円33万円2万円
生命保険料控除最大12万円最大7万円最大5万円
社会保険料控除全額全額差額なし
iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)全額全額差額なし

社会保険料控除やiDeCoの掛金控除は所得税・住民税で同額ですが、基礎控除や扶養控除は住民税の方が低い金額です。この差があるため、同じ所得でも住民税の課税所得の方が高くなり、結果として「所得税はゼロだけど住民税はかかる」年収帯が生まれます。

非課税限度額の判定|均等割と所得割で基準が違う

住民税が非課税になるかどうかは、「均等割の非課税」と「所得割の非課税」の2段階で判定します。両方が非課税になって初めて「住民税非課税」(住民税が完全にゼロ)です。

均等割の非課税基準(東京23区の場合)

世帯構成 合計所得金額 給与収入の目安
単身者45万円以下110万円以下
配偶者あり(扶養1人)101万円以下約171万円以下
配偶者+子1人(扶養2人)136万円以下約210万円以下

※均等割の非課税基準は自治体により異なります。上記は東京23区の基準です。

💡 実務のポイント

「住民税非課税世帯」として各種支援制度(国保料の7割軽減・医療費の自己負担軽減・保育料の減免など)を受けるには、均等割も所得割も非課税である必要があります。iDeCoや生命保険料控除を増やしても、それらは所得割の計算には使えますが均等割の非課税判定には影響しません。均等割の非課税判定に使えるのは、主に人的控除(扶養控除・ひとり親控除等)だけです。

住民税の制度全体を理解するうえで、「加算税の全体像」も合わせて確認しておくと、税金のペナルティ構造も把握できます。

「所得税ゼロなのに住民税がかかる」年収帯

令和7年度の税制改正以降、所得税と住民税の基礎控除の差が大きくなりました。この差により、所得税が発生しない年収帯でも住民税が課される「逆転現象」が起きます。

📐 シミュレーション前提条件

  • 給与所得者・独身・扶養親族なし
  • 所得控除は基礎控除+社会保険料控除(年収の15%と仮定)のみ
  • 給与所得控除の最低保障額:65万円
給与年収 所得税 住民税(所得割) 住民税(均等割)
100万円0円0円0円
110万円0円0円0円
120万円0円約7,000円5,000円
150万円0円約37,000円5,000円
178万円0円約65,000円5,000円
200万円約15,000円約87,000円5,000円

※概算値です。社会保険料控除額や自治体の非課税基準により異なります。

年収120万〜178万円の帯が「所得税ゼロ・住民税あり」の逆転ゾーンです。この年収帯のパート・アルバイトの方は、「所得税が引かれていないから税金はかからない」と思っていたら、6月に住民税の通知が届いて驚くケースがあります。

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特別徴収と普通徴収の違い|納付方法の比較

住民税の納付方法は「特別徴収」(給与天引き)と「普通徴収」(自分で納付)の2種類があります。

比較項目 特別徴収(給与天引き) 普通徴収(自分で納付)
対象者会社員・パート等の給与所得者個人事業主・フリーランス・退職者
納付回数年12回(6月〜翌5月の毎月給与天引き)年4回(6月・8月・10月・1月)
納付方法事業主が天引きして市区町村に納付納付書・口座振替・クレジットカード等
通知書の届き先勤務先経由で本人に交付自宅に直接届く

🔷 社労士の視点

副業の住民税を会社にバレないようにする方法として「普通徴収」を選ぶ方がいますが、確定申告時に「住民税に関する事項」欄で「自分で納付」にチェックを入れる必要があります。ただし、自治体によってはこの選択が反映されないケースもあるため、100%確実ではありません。副業が給与所得の場合は特別徴収にまとめられることが多い点にも注意してください。

住民税の申告が必要なケース

確定申告を行っている方は、住民税の申告は不要です(確定申告の情報が自治体に送られるため)。ただし、以下のケースでは住民税の申告が必要になることがあります。

ケース 住民税の申告
確定申告を行った不要
会社で年末調整を受けた(他の所得なし)不要
前年に収入がなかった(非課税証明書が必要)必要(非課税証明書の発行に必要)
所得税は不要だが住民税は課税される必要(所得20万円以下の副業等)
ふるさと納税のワンストップ特例を利用不要(申請済みの場合)

特に注意が必要なのは「副業の所得が20万円以下」のケースです。所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は必要です。確定申告しない場合、副業の所得が住民税に反映されず、後から追徴される可能性があります。

ふるさと納税と住民税の関係については「ふるさと納税と住民税控除のしくみ」で詳しく解説しています。また、特別徴収と普通徴収の切替えについては「住民税の徴収方法の違い」もあわせてご覧ください。

住民税を軽減する方法|実務でよく使う5つの対策

住民税を合法的に軽減する方法を、実務でよく使われるものを中心に5つ紹介します。

優先度 対策 効果の目安
1iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金全額が所得控除。年間27.6万円拠出で住民税約2.76万円減
2ふるさと納税自己負担2,000円で住民税が控除される(限度額内)
3医療費控除年間医療費10万円超の部分が所得控除(住民税にも反映)
4生命保険料控除最大7万円の所得控除(住民税計算での限度額)
5住宅ローン控除の住民税部分所得税で控除しきれない分が住民税から控除(上限あり)

住宅ローン控除と住民税の関係については「住民税と住宅ローン控除」で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

住民税はいつの所得に対して課税されますか?
前年の1月1日〜12月31日の所得に対して課税されます。例えば、令和8年度の住民税は令和7年1月〜12月の所得が基準です。6月から翌年5月にかけて納付します。
所得税がゼロでも住民税がかかるのはなぜですか?
所得税と住民税では基礎控除額が異なるためです。所得税の基礎控除は最大104万円ですが、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きです。この差により、所得税が非課税でも住民税の課税所得が残るケースがあります。
住民税非課税世帯になるための条件は?
均等割と所得割の両方が非課税になる必要があります。単身者の場合、東京23区では合計所得金額が45万円以下(給与収入110万円以下)が目安です。扶養親族がいる場合は、人数に応じて非課税基準が上がります。なお、均等割の非課税基準は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村にご確認ください。
iDeCoに加入すると住民税は安くなりますか?
はい、iDeCoの掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除として所得から差し引かれるため、住民税の所得割が軽減されます。ただし、均等割の非課税判定には影響しないため、均等割(年5,000円)は別途課税されます。
副業の所得が20万円以下なら住民税の申告も不要ですか?
いいえ、住民税の申告は必要です。「副業の所得が20万円以下なら確定申告不要」というのは所得税のルールであり、住民税には20万円の免除規定がありません。確定申告をしない場合は、住民税の申告を別途行う必要があります。
退職した場合、住民税はどうなりますか?
退職時期によって対応が異なります。1月〜5月に退職した場合は残りの住民税が最後の給与から一括徴収されます。6月〜12月に退職した場合は、残額を普通徴収(自分で納付)に切り替えるか、退職時に一括徴収するかを選べます。
住民税の税率が10%より高い自治体はありますか?
あります。標準税率は10%ですが、条例で超過税率を設定している自治体があります。例えば、神奈川県は県民税の均等割に「水源環境保全税」300円を上乗せしています。ただし、所得割の税率を10%より高くしている自治体はほとんどありません。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 住民税=所得割(課税所得×10%)+均等割(年5,000円)
  • 住民税の基礎控除は43万円で据え置き(所得税は最大104万円)
  • 所得税ゼロでも住民税が発生する年収帯がある(120万〜178万円)
  • 均等割の非課税判定にiDeCoや医療費控除は使えない
  • 副業の所得20万円以下でも住民税の申告は必要
  • 住民税を軽減するにはiDeCo・ふるさと納税・医療費控除が有効

住民税は「知らないうちに課税されている」税金の代表格です。特に独立1年目の個人事業主は、2年目の6月に届く住民税の通知書に備えて資金を確保しておくことをおすすめします。住民税の計算で不明な点があれば、税理士にご相談ください。

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