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住民税の住宅ローン控除・申告不要制度・森林環境税
「住宅ローン控除で住民税はいくら安くなる?」「配当の申告不要制度が変わったと聞いたけど何が変わった?」「森林環境税って何?」という疑問を持つ給与所得者・個人事業主に向けて、住民税に影響する3つの重要テーマを比較表付きで解説します。


「住宅ローン控除で住民税はいくら安くなる?」「配当の申告不要制度が変わったと聞いたけど何が変わった?」「森林環境税って何?」という疑問を持つ給与所得者・個人事業主に向けて、住民税に影響する3つの重要テーマを比較表付きで解説します。
🏆 結論:住民税に影響する3つのテーマを正しく理解する
①住宅ローン控除は所得税で引ききれない分が住民税から控除されるが、上限は最大9.75万円(入居時期により異なる)。②配当・株式譲渡の申告不要制度は令和6年度から所得税と住民税の課税方式が統一され、以前のような「所得税は申告・住民税は申告不要」という使い分けはできなくなった。③森林環境税は令和6年度から年額1,000円が課税され、復興特別住民税(年1,000円)と入れ替わる形で導入された。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、本来は所得税から控除する税額控除です。しかし、所得税の額が控除可能額より少ない場合、引ききれなかった部分が翌年度の住民税から控除されます。この住民税からの控除は、確定申告や年末調整を行えば自動的に適用され、市区町村への別途申告は不要です。
住民税から控除される金額は、次の2つのうち「いずれか少ない方」です。
| 比較する金額 | 計算式 |
|---|---|
| A:所得税から引ききれなかった額 | 住宅ローン控除可能額 − 実際の所得税額 |
| B:住民税の控除上限額 | 所得税の課税総所得金額等 × 5%(最大97,500円) |
※消費税率8%・10%適用の住宅で、H26.4〜R3.12入居の場合はB=課税総所得金額等×7%(最大136,500円)。
| 入居年 | 住民税の控除上限 | 備考 |
|---|---|---|
| H21〜H26.3 | 課税総所得金額等 × 5%(最大97,500円) | 消費税5%時代 |
| H26.4〜R3.12(消費税8%・10%) | 課税総所得金額等 × 7%(最大136,500円) | 消費税増税の負担軽減措置 |
| R4〜R7.12 | 課税総所得金額等 × 5%(最大97,500円) | 現行制度(控除率0.7%) |
💡 実務のポイント
住民税の住宅ローン控除は、確定申告や年末調整の情報が市区町村に共有されることで自動適用されます。初年度の確定申告さえ正しく行えば、2年目以降は年末調整だけで住民税の控除も反映されます。別途の手続きは不要です。
住宅ローン控除がどの程度住民税から控除されるかは、所得税額とローン残高によって変わります。3パターンでシミュレーションします。
📐 シミュレーション前提条件
| 項目 | 年収400万円 | 年収600万円 | 年収800万円 |
|---|---|---|---|
| 年末ローン残高 | 3,000万円 | 4,000万円 | 4,500万円 |
| 住宅ローン控除額(残高×0.7%) | 21万円 | 28万円 | 31.5万円 |
| 所得税額 | 約8.6万円 | 約20.4万円 | 約46.6万円 |
| 所得税からの控除額 | 8.6万円(全額) | 20.4万円(全額) | 31.5万円(控除額全額) |
| 引ききれない額(A) | 12.4万円 | 7.6万円 | 0円 |
| 住民税の控除上限(B) | 約6.9万円 | 約9.75万円 | 約9.75万円 |
| 住民税からの控除額 | 約6.9万円 | 約7.6万円 | 0円 |
| 控除しきれない額 | 約5.5万円 | 0円 | 0円 |
※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
年収400万円のケースでは、住宅ローン控除の約5.5万円が所得税にも住民税にも使いきれず「捨てている」状態です。経営者の方がよく聞かれる「住宅ローン控除を最大限使いきる方法」の答えは、「所得税+住民税控除上限が控除可能額を上回るだけの課税所得が必要」ということです。
上場株式等の配当所得や特定口座(源泉徴収あり)の譲渡所得は、源泉徴収により課税が完結するため、申告不要にできます。これが「申告不要制度」です。ただし、令和6年度(令和5年分)の住民税から大きな改正がありました。
令和5年度までは、上場株式等の配当所得・譲渡所得について、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できました。たとえば「所得税は総合課税で配当控除を受け、住民税は申告不要にして合計所得金額に算入しない」というテクニックが可能でした。
しかし、令和4年度税制改正により、令和6年度の住民税(令和5年分の確定申告)から、所得税と住民税で同じ課税方式が適用されることになりました。
| 項目 | 令和5年度まで | 令和6年度以降 |
|---|---|---|
| 課税方式の選択 | 所得税と住民税で異なる方式を選択可能 | 所得税と住民税で同じ方式が適用 |
| 例:配当所得の取扱い | 所得税=総合課税、住民税=申告不要も可 | 所得税=総合課税なら住民税も総合課税 |
| 国保料・介護保険料への影響 | 住民税で申告不要を選べば影響なし | 確定申告すると合計所得に算入 → 保険料が上がる可能性 |
| 課税方式 | 住民税率 | 配当控除 | 損益通算 | 合計所得に算入 |
|---|---|---|---|---|
| 申告不要 | 5%(源泉徴収済) | ✗ | ✗ | ✗(含まれない) |
| 総合課税 | 10% | ○(2.8%) | ✗ | ○(含まれる) |
| 申告分離課税 | 5% | ✗ | ○ | ○(含まれる) |
⚠️ 注意:改正後の影響
令和6年度以降、配当所得を確定申告すると、住民税でも合計所得金額に算入されます。これにより、①国民健康保険料が上がる、②配偶者控除や扶養控除の適用判定に影響する、③住民税の非課税判定に影響する、といった問題が発生する可能性があります。特に年金受給者や国保加入者の方は、確定申告するかどうかを慎重に判断してください。
💡 実務のポイント
改正後の実務的な判断基準は「確定申告で配当控除や損益通算を受けるメリットが、国保料等の増加を上回るか」です。年間の配当額が少額(数十万円以下)で、かつ国保に加入している場合は、申告不要を選んだほうが有利なケースが多いです。一方、多額の譲渡損失がある場合は、申告分離課税を選んで損益通算・繰越控除を適用するメリットが大きくなります。
確定申告をしていれば住民税の申告は原則不要ですが、確定申告が不要な方でも住民税の申告が必要なケースがあります。実務で多い5つのパターンを判定表にまとめます。
| ケース | 確定申告 | 住民税の申告 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 副業所得20万円以下の会社員 | 不要 | 必要 | 所得税の20万円基準は住民税には適用されない |
| 公的年金のみの収入(年400万円以下) | 不要 | 必要な場合あり | 医療費控除等を受けたい場合 |
| 前年に収入がなかった | 不要 | 必要な場合あり | 非課税証明書が必要な場合(住宅手当等の申請に使用) |
| 確定申告をした会社員 | 済 | 不要 | 確定申告の情報が市区町村に共有される |
| 年末調整のみの会社員(副業なし) | 不要 | 不要 | 給与支払報告書が市区町村に提出される |
💡 実務のポイント
副業所得20万円以下で確定申告不要でも住民税の申告は必要、という点は見落とされがちです。住民税の申告をしないと、住民税が過少になる(脱税)だけでなく、国保料の算定にも影響します。お住まいの市区町村の窓口に「住民税の申告書」を提出してください。
森林環境税は、令和6年度(2024年度)から導入された国税で、住民税の均等割と一緒に年額1,000円が徴収されます。温室効果ガス排出削減や森林整備の財源として創設されました。
森林環境税の導入は、復興特別住民税(東日本大震災の復興財源として均等割に上乗せされていた年1,000円)の終了と時期を合わせる形で行われました。そのため、住民税の均等割の総額は変わりません。
| 年度 | 市区町村民税均等割 | 都道府県民税均等割 | 復興特別住民税 | 森林環境税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 〜令和5年度 | 3,000円 | 1,000円 | 1,000円 | — | 5,000円 |
| 令和6年度〜 | 3,000円 | 1,000円 | — | 1,000円 | 5,000円 |
森林環境税は住民税の均等割が非課税の方には課税されません。つまり、住民税の均等割が非課税になる所得要件を満たしていれば、森林環境税も課税されません。なお、森林環境税は国税ですが、市区町村が住民税と一緒に徴収して国に納付する仕組みです。
個人住民税の基本的なしくみ(税率・計算方法・非課税限度額)については、「個人住民税とは?計算方法・税率・非課税限度額をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。ふるさと納税の住民税控除については「ふるさと納税と住民税控除のしくみ|限度額の計算とワンストップ特例」も参考になります。特別徴収と普通徴収の違いは「住民税の特別徴収と普通徴収の違い|退職金の住民税計算も解説」をご覧ください。加算税・延滞税の全体像は「加算税・延滞税の全体像」で確認できます。
📋 この記事のポイント
住民税に関する制度は、住宅ローン控除・金融所得課税・森林環境税と多岐にわたり、改正も頻繁です。特に配当所得の課税方式の統一は、国保加入者や年金受給者に大きな影響を与えます。自分の状況に合った最適な選択をするために、税理士に相談することをお勧めします。