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建設業許可の技術的根幹となるのが専任技術者(現行の呼称は「営業所技術者」)。29業種ごとに認められる資格、学歴に応じた実務経験年数の短縮、10年実務経験による証明、特定建設業の指導監督的経験など、ルートは多岐にわたります。各営業所に必ず1名以上配置する必要があるこの要件を、行政書士が実務視点で整理します。


建設業許可の技術的根幹となるのが専任技術者(現行の呼称は「営業所技術者」)。29業種ごとに認められる資格、学歴に応じた実務経験年数の短縮、10年実務経験による証明、特定建設業の指導監督的経験など、ルートは多岐にわたります。各営業所に必ず1名以上配置する必要があるこの要件を、行政書士が実務視点で整理します。
🏆 結論:専任技術者は「資格」か「実務経験」のいずれかで満たす
専任技術者は、①国家資格・技能検定合格によるルート、②指定学科卒業+3〜5年の実務経験、③10年以上の実務経験のいずれかで要件を満たします。最もハードルが低いのは国家資格保有者の採用ですが、資格者が社内にいない場合は10年実務経験ルートが実務上多く使われます。ただし10年分の在籍証明・工事実績・常勤性を全て揃える必要があり、現実には「書類収集が最大の関門」となります。特定建設業ではさらに「2年以上の指導監督的実務経験」が必要です。
専任技術者とは、建設業許可を受けた各営業所に必ず1名以上置かなければならない、技術的な専門性を有する者です。令和2年10月改正に伴う運用見直しで、実務上の呼称は「営業所技術者」へ順次移行しています。本記事では便宜上、一般的に定着している「専任技術者」を主に用いて解説します。
専任技術者の役割は、建設業法第7条第2号・同第15条第2号に定められており、各営業所で見積・契約・施工計画を技術的にチェックすることで、不適切な工事の発生を防ぐ制度設計です。条文の詳細はe-Gov 建設業法で確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法令 | 建設業法第7条第2号(一般)・第15条第2号(特定) |
| 配置場所 | 各営業所(本店・支店・営業所)に必ず1名 |
| 業種ごと | 29業種それぞれで1名必要(複数業種を1名が兼任可) |
| 常勤要件 | 専属・常勤(他営業所兼務・他社兼任不可) |
| 経管との関係 | 同一営業所内で経営業務管理責任者と兼任可能 |
| 欠員時 | 2週間以内の変更届、代替者確保できない場合は廃業届 |
専任技術者の要件を満たす道は、以下の3ルートに整理できます。M列スニペット狙い「list」に対応した流れです。
このうち、特定建設業の専任技術者になる場合は、上記いずれかの要件に加えて「発注者から4,500万円以上の工事を受注し、その工事で2年以上の指導監督的実務経験」が追加で必要です。
| ルート | 要件 | 実務での採用率 | 証明難易度 |
|---|---|---|---|
| ①資格ルート | 対応国家資格・技能検定合格 | ★★★(最多) | 低(資格証のみ) |
| ②学歴+実務経験 | 指定学科卒+3〜5年 | ★★(資格なし学歴あり) | 中(卒業証明+実務) |
| ③10年実務経験 | 業種に関する10年実務 | ★★★(資格なし) | 高(10年分書類) |
最もスムーズなルートです。国土交通省が公表する「営業所技術者資格区分一覧」で、29業種それぞれに対応する国家資格・技能検定が列挙されています。主要な業種と対応資格を整理します。
| 業種 | 代表資格(一般建設業) | 代表資格(特定建設業) |
|---|---|---|
| 土木工事 | 2級土木施工管理技士・技術士 | 1級土木施工管理技士・技術士 |
| 建築工事 | 2級建築施工管理技士・2級建築士 | 1級建築施工管理技士・1級建築士 |
| 大工工事 | 2級建築施工管理技士(躯体)・技能士2級 | 1級建築施工管理技士(躯体) |
| 左官工事 | 技能士1級・2級+3年実務 | 1級建築施工管理技士(仕上げ) |
| とび土工工事 | 2級土木施工管理技士・とび技能士1級 | 1級土木施工管理技士 |
| 電気工事 | 第一種電気工事士・2級電気工事施工管理技士 | 1級電気工事施工管理技士・電気主任技術者 |
| 管工事 | 2級管工事施工管理技士・技能士1級 | 1級管工事施工管理技士 |
| 鋼構造物工事 | 2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装除く) | 1級土木施工管理技士・技術士(建設) |
| 舗装工事 | 2級土木施工管理技士・技能士1級 | 1級土木施工管理技士・技術士(建設)※指定建設業 |
| 内装仕上工事 | 2級建築施工管理技士(仕上げ)・技能士1級 | 1級建築施工管理技士(仕上げ) |
| 消防施設工事 | 甲種消防設備士・乙種消防設備士 | 甲種消防設備士(特定業種該当なし) |
全29業種の詳細資格は国土交通省 営業所技術者資格区分一覧で公表されています。
📢 7つの指定建設業は資格者のみ
土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種は「指定建設業」と呼ばれ、特定建設業の専任技術者は国家資格保有者または技術士試験合格者のみです。実務経験ルートでは特定建設業の要件を満たせません。特定建設業を目指す場合は、まずこの7業種のいずれに該当するかを確認しましょう。
国家資格を持たない人物でも、指定学科を卒業していれば実務経験期間を短縮できます。建設業法施行規則第1条に定める「指定学科」該当の学校を卒業した場合の実務経験要件は以下のとおりです。
| 学歴 | 必要実務経験 | 備考 |
|---|---|---|
| 大学・高等専門学校(指定学科) | 卒業後3年以上 | 理工学部系・建築学科・土木学科等 |
| 短期大学(指定学科) | 卒業後3年以上 | 建築系・土木系短大 |
| 高等学校(指定学科) | 卒業後5年以上 | 工業高校の建築科・土木科等 |
| 専修学校(専門士・高度専門士) | 卒業後3年以上 | 建築系・土木系専門学校 |
| 専修学校(上記以外・指定学科) | 卒業後5年以上 | 1〜2年制の専門学校 |
| 学歴なし・指定学科でない | 10年以上 | ③のルート |
| 業種 | 主な指定学科 |
|---|---|
| 土木・舗装・しゅんせつ等 | 土木工学科・建設工学科・都市工学科等 |
| 建築・大工・左官等 | 建築学科・住居学科・建築工学科等 |
| 電気・電気通信 | 電気工学科・電気通信工学科・電子工学科等 |
| 管・水道施設 | 機械工学科・衛生工学科・水道工学科等 |
| 板金・鋼構造物 | 機械工学科・金属工学科等 |
学歴も資格もない場合、業種ごとに10年以上の実務経験があれば専任技術者になれます。経営業務管理責任者と並び、「書類の収集が最大の難関」と言われるルートです。
| 証明対象 | 必要書類 | 取得先 |
|---|---|---|
| ①10年の業種別工事経験 | 工事請負契約書・注文書・請求書・施工写真 | 自社または前職会社 |
| ②10年間の在籍証明 | 源泉徴収票・給与明細・在職証明書 | 前職・本人保管 |
| ③10年間の常勤性 | 健康保険被保険者記録照会回答票・年金記録 | 年金事務所 |
| ④過去勤務先の建設業許可 | 前職会社の建設業許可通知書写し | 前職会社 |
⚠️ 10年実務経験ルートの3大落とし穴
①前職会社が倒産・閉業していて証明書類を入手できない、②本人と前職社長の関係が悪化していて在職証明の協力を得られない、③10年前は社会保険未加入で常勤性の証明書類が存在しない、の3パターンが実務での代表的な頓挫要因です。とくに③は、建設業界の社会保険加入率が向上した令和以降でも、10〜15年前の記録を遡ると未加入期間が出てくるケースがあり、許可取得の大きな障壁となっています。
10年の実務経験は、異なる業種での重複期間は不可です。例えば「大工工事の10年」と「内装仕上工事の10年」を取りたい場合、同じ期間を両方にカウントすることはできず、通算20年分の実績を集める必要があります。ただし、1業種で10年を満たせば、関連する別業種でも使える制度(施行規則第7条の2)があります。
| メイン業種(10年取得済) | 追加で取れる関連業種 | 追加に必要な期間 |
|---|---|---|
| 大工 | 建築 | 12年(+2年) |
| とび土工 | 石・タイル・しゅんせつ | 12年(+2年) |
| 塗装 | 防水 | 12年(+2年) |
| 管 | 熱絶縁 | 12年(+2年) |
💡 実務のポイント
実務では、10年実務経験ルートは「2か月で集まる人」と「半年以上かかっても集まらない人」に極端に分かれます。前者は前職会社の経営者と良好な関係で、過去の工事契約書一式を快く貸してもらえるケース。後者は書類が散逸していたり、前職会社が閉業していたりで、代替資料(税務申告書の添付書類・通帳の入金履歴等)を継ぎ合わせて何とか組み立てるケースです。弊所では過去に、20年前の工事請負契約書の写しを本人の自宅倉庫から発掘して成立させた事例もあり、諦める前に徹底的に探すことが大事です。
特定建設業の専任技術者は、一般建設業の要件に加えて「発注者から直接請け負い、その請負金額が4,500万円以上の工事について、2年以上の指導監督的な実務経験」が追加で必要です(建設業法第15条第2号)。
ただし、令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正により、下請金額基準が4,500万円→5,000万円(建築一式は7,000万円→8,000万円)に引き上げられたものの、指導監督的実務経験の判定金額は引き続き4,500万円のままです。
| 該当する役割 | 該当しない役割 |
|---|---|
| 現場主任・現場監督 | 一般技術者としての単純作業 |
| 工事主任・工事長 | 発注者側での工事発注経験 |
| 技術面の総合指導監督 | 事務系管理職 |
| 設計・施工の主任経験 | 下請として受注した工事 |
前述のとおり、指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)では、指導監督的実務経験ルートは使えず、1級国家資格か技術士試験合格のみが特定建設業の専任技術者になれます。
AYUSAWA PARTNERS
専任技術者の要件確認・証明書類のご相談は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。行政書士・税理士・公認会計士・社労士がワンストップで対応します。資格ルート・実務経験ルートの選定から、10年分の証明書類収集支援まで、専任技術者の設計を伴走します。
建設業に強い税理士へ専任技術者は「専任」という名が示すとおり、その営業所に専属で常勤する必要があります。経営業務管理責任者と同じく、他社の役員兼任・他営業所兼任は原則認められません。
| 証明項目 | 書類 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 雇用関係 | 健康保険被保険者証の写し(事業所名・資格取得日) | 申請会社名義 |
| 給与支給 | 源泉徴収票・給与台帳・住民税特別徴収決定通知書 | 継続した給与支給 |
| 通勤可能性 | 住民票 | 営業所から通勤可能な距離 |
| 他社雇用なし | (必要な場合)退職証明書・前職の離職票 | 他社保険未加入 |
⚠️ 主任技術者・監理技術者との兼任は原則不可
専任技術者は営業所に「専属」するため、現場の主任技術者や監理技術者として頻繁に現場に出ることは原則できません。とくに請負金額4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の工事では現場の主任・監理技術者が専任配置される必要があり、営業所の専任技術者が現場兼任できません。この配置ルールを誤ると建設業法違反に該当するため、小規模事業者では経営者1人が経管+専任技術者+現場監督を兼ねる構造にならざるを得ず、500万円未満の軽微な工事に限られるケースも多いのが実情です。
専任技術者の交代・退任は、2週間以内に変更届を提出する必要があります(建設業法第11条第1項)。経管と同じく、後任が見つからない場合は廃業届の対象となります。
| 事由 | 期限 | 書類 |
|---|---|---|
| 専任技術者の交代 | 2週間以内 | 変更届(様式第8号)+新専技の要件証明 |
| 専任技術者の退任(後任あり) | 2週間以内 | 退任届+後任の就任届 |
| 専任技術者の退任(後任なし) | 30日以内 | 該当業種の廃業届 |
| 国家資格の取得(追加) | 4か月以内 | 様式第8号(変更届) |
中小建設会社では、専任技術者の確保に苦慮するケースが多く、採用・内部育成・合併・M&A等の選択肢を比較検討することがあります。実務で採用される戦略を整理します。
最もスピード感のある方法。2級施工管理技士等の有資格者を1名採用し、常勤役員または常勤従業員として配置します。採用コストは年収500〜700万円程度(有資格者プレミアム込み)が相場です。
若手従業員が指定学科高卒または大卒であれば、実務経験3〜5年で専任技術者になれるため、実務経験をカウントしながら2級施工管理技士の受験を並行させる育成プランが有効です。
経営者自身が建設業で10年以上の実務経験があれば、資格なしでも専任技術者になれます。ただし中小企業では経管と専任技術者を経営者1人が兼ねることになり、現場への配置制限が厳しくなる点に注意が必要です。
既に建設業許可を持つ会社との合併やM&Aによって、専任技術者を有する組織を丸ごと取得する方法もあります。ただしこの場合、合併・事業承継に伴う許可の承継手続きが必要で、行政庁への事前相談が不可欠です。
📋 この記事のポイント
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