【行政書士が解説】建設業許可29業種の区分と選び方ガイド|業種別の要件と複数業種申請・補助金活用

【行政書士が解説】建設業許可29業種の区分と選び方ガイド|業種別の要件と複数業種申請・補助金活用
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

建設業許可29業種の区分と選び方ガイド|業種別の要件と複数業種申請・補助金活用

建設業許可は29業種から取得するため、自社の工事内容に合った業種選定が最重要。業種区分の判断基準、複数業種申請の実務、業種誤りによる違反リスクまで網羅します。

🏆 結論:業種選定の誤りは「建設業法違反」に直結する

建設業許可は2つの一式工事と27の専門工事、計29業種に分類され、実施する工事に対応する業種ごとに許可を取得する必要があります。例えば、内装リフォーム事業者が「内装仕上工事業」の許可しか取得していないのに、外壁の塗装工事を500万円以上請け負えば建設業法違反となります。業種選定の判断は、①工事の対象物と目的、②使用材料、③施工方法、の3軸で行うのが実務。とび・土工と石工、鋼構造物ととび・土工の境界など、業種間の区分はしばしば誤りやすく、行政書士と事前相談することが不可欠です。複数業種を同時申請する場合の手数料は1業種目9万円+追加ごとに5万円と有利な料金体系となっており、業態が多様な事業者ほど戦略的に複数業種を取得するメリットがあります。業種取得後の事業拡大には、小規模事業者持続化補助金(補助上限200万円、採択率48.1%)の活用も効果的です。

建設業許可29業種の全体像

建設業法第2条に基づく建設業許可の業種は、以下の29業種に分類されます。2つの一式工事と27の専門工事で構成され、請け負う工事の種類に対応する業種ごとに許可を取得します。

一式工事(2業種)

業種 工事内容
土木一式工事業総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物を建設する工事(ダム、道路、橋梁、トンネル、上下水道)
建築一式工事業総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事(ビル、マンション、戸建住宅の新築工事)

⚠️ 注意:一式工事の最も多い誤解

「建築一式工事の許可があれば、大工・内装・電気など全ての工事ができる」は誤解です。一式工事は元請として総合的に複数の専門工事を束ねて行う工事を意味し、専門工事を単独で請け負うことはできません。例えば、内装リフォーム500万円以上の工事を単独受注する場合、建築一式ではなく「内装仕上工事業」の許可が必要です。弊所で相談を受けた事例では、建築一式の許可で内装単独工事を繰り返し受注していた会社が、発注者との紛争時に建設業法違反が発覚し、行政処分(営業停止30日)を受けた事例があります。

専門工事27業種の詳細一覧

専門工事は分野別に5つのカテゴリに整理できます。以下、各業種の工事内容と典型的な例示を示します。

躯体系(9業種)

業種 工事内容・例示
大工工事業木材の加工・取付けにより工作物を築造。大工工事・型枠工事・造作工事
左官工事業モルタル・プラスター・しっくいの塗装、壁土塗り、吹付け
とび・土工・コンクリート工事業足場組立、重量物運搬、鉄骨組立、コンクリート打設、くい打ち、土砂掘削、地すべり防止
石工事業石材の加工・積方、コンクリートブロック積み・張り
屋根工事業瓦・スレート・金属薄板による屋根葺き
タイル・れんが・ブロツク工事業タイル・れんが・コンクリートブロックによる築造・取付
鋼構造物工事業形鋼・鋼板等の加工・組立による工作物築造(鉄塔、橋梁、鉄骨製作・組立)
鉄筋工事業鉄筋の加工・組立・継手
解体工事業工作物の解体(平成28年6月新設業種)

仕上げ系(6業種)

業種 工事内容・例示
板金工事業金属薄板等の加工・取付(板金加工・屋根板金・建築板金)
ガラス工事業ガラスの加工・取付(ガラス加工取付・ガラスフィルム)
塗装工事業塗料・塗材の吹付け・塗り(塗装・路面標示・看板工事)
防水工事業アスファルト・モルタル・シーリング材による防水(アスファルト防水・シーリング)
内装仕上工事業木材・石膏ボード・壁紙・たたみ等による内装仕上(インテリア・天井仕上・床仕上・ふすま)
建具工事業建具の工作物への取付(金属製建具取付・サッシ取付・シャッター取付)

設備系(5業種)

業種 工事内容・例示
電気工事業発電・変電・送配電・引込線・照明等の電気設備設置
管工事業冷暖房・空調・給排水・衛生・ダクト・ガス管設置(空調工事・給排水衛生工事)
熱絶縁工事業工作物等の熱絶縁(冷暖房設備・冷凍冷蔵設備・動力設備の熱絶縁)
電気通信工事業有線電気通信・無線電気通信・放送機械設備・LAN・情報処理設備
消防施設工事業消防用設備(屋内消火栓・スプリンクラー・非常警報・避難設備)

土木系(5業種)

業種 工事内容・例示
しゆんせつ工事業河川・港湾等の水底の土砂等をさらう工事
舗装工事業道路等の舗装(アスファルト舗装・コンクリート舗装・ブロック舗装)
造園工事業整地・樹木の植栽・景石の据付け等による庭園・公園・緑地等の築造
さく井工事業さく井機械等による井戸掘削(観測井・温泉掘削・石油掘削)
水道施設工事業上水道・工業用水道施設・下水道処理設備(浄水・配水施設・下水処理施設)

その他(2業種)

業種 工事内容・例示
機械器具設置工事業機械器具の組立・取付(プラント設備・運搬機械・発電設備・遊技施設・立体駐車場)
清掃施設工事業し尿処理施設・ごみ処理施設の設置

業種区分の判断が難しい典型ケース

29業種の中には、境界が曖昧で判断に迷うケースが多くあります。以下、実務でしばしば問題となる3つの典型例を解説します。

ケース1:とび・土工 vs 石工事 vs タイル・れんが・ブロック

コンクリートブロックを扱う工事は、作業内容により業種が異なります。

作業内容 該当業種
コンクリートブロックの据付け(基礎等)とび・土工・コンクリート工事業
コンクリートブロックの積み・張り(外構等)石工事業またはタイル・れんが・ブロック工事業
コンクリートブロックによる建築物建設タイル・れんが・ブロック工事業

ケース2:鋼構造物 vs とび・土工(鉄骨工事)

鉄骨工事は、作業範囲により業種が分かれます。

ケース3:電気工事 vs 電気通信工事

どちらも「電気」が関係しますが、対象が異なります。

🔷 行政書士の視点:業種判断は「主たる作業」で決まる

複数業種にまたがる複合工事では、主たる作業・目的で業種を判断します。例えば「内装リフォームの一環としての電気配線工事」は、主目的が内装仕上のため内装仕上工事業の範囲内で処理可能(電気工事士の有資格者は別途必要)。一方、電気配線工事単独で500万円以上なら電気工事業の許可が必要です。判断に迷う場合は、都道府県の建設業担当窓口での事前相談または行政書士への相談が確実です。弊所では毎年30件以上の業種判定相談に対応しており、行政窓口とのパイプを活用した最適な業種選定支援を提供しています。

業種選定の3軸判断フレームワーク

業種を選ぶ際は、以下3軸で判断するのが実務的です。

軸1:工事の対象物と目的

何を建設・加工するのか、何のために行う工事かを明確にします。例えば「橋梁の建設」なら土木一式または鋼構造物、「店舗の内装改装」なら内装仕上工事となります。

軸2:使用材料

主に使う材料で業種が特定できることが多くあります。木材なら大工、石なら石工事、タイル・ブロックならタイル・れんが・ブロック、鉄なら鉄筋または鋼構造物、というのが基本です。

軸3:施工方法

同じ材料でも施工方法により業種が変わるケースがあります。コンクリートブロックの「据付け」はとび・土工、「積み・張り」は石工事またはタイル・れんが・ブロック、という違いが典型例です。

複数業種の同時申請|戦略的取得のすすめ

事業実態が複数業種にまたがる場合、同時申請で費用メリットが生じます。

同時申請の手数料体系

区分 法定手数料
1業種目(新規)9万円(知事)/15万円(大臣)
2業種目以降(同時申請)追加手数料なし
業種追加(後日)5万円/件

🧮 実務事例:3業種を同時申請する場合の費用比較

パターンA:同時申請(3業種同時)
法定手数料9万円+行政書士報酬15〜20万円=24〜29万円

パターンB:個別に業種追加
1業種目:9万円+15万=24万
2業種目追加:5万円+8万=13万
3業種目追加:5万円+8万=13万
合計50万円

→ 同時申請で約21〜26万円のコスト削減が可能

同時申請で注意すべき要件

AYUSAWA PARTNERS

建設業許可の業種選定・申請のご相談は鮎澤パートナーズへ

初回相談無料。行政書士・税理士・公認会計士・社労士がワンストップで業種診断から複数業種同時申請まで支援します。

建設業に強い税理士へ

業種選定の失敗例と対策

失敗例1:付帯工事の範囲を誤解

ある業種の許可を持つ事業者は、その工事に付随する他の軽微な工事を「付帯工事」として実施できますが、付帯工事の範囲は厳格に解釈されます。内装仕上工事の付帯として大規模な電気工事を請け負うと建設業法違反となります。

失敗例2:解体工事業の取得漏れ

平成28年6月に「解体工事業」が新設され、それ以前はとび・土工・コンクリート工事業の範囲とされていました。とび・土工で解体を続けていた事業者は、期限内に解体工事業の取得に移行しなかった場合、以降の解体工事が建設業法違反となるケースがあります。

失敗例3:「一式工事で全てカバー」との誤解

前述の通り、一式工事の許可で専門工事を単独受注することはできません。「建築一式工事の許可があるから内装工事も単独受注できる」との誤解は頻出です。

業種取得後の事業拡大に使える|小規模事業者持続化補助金

建設業許可を取得して本格的な事業展開を始める段階では、小規模事業者持続化補助金の活用が効果的です。販路開拓・設備投資等に幅広く活用できます。

制度の概要

項目 内容
対象小規模事業者(製造業・建設業等は従業員20人以下)
補助上限(一般型通常枠)200万円(特例活用で最大250万円)
補助上限(創業型)200万円(創業後1年以内の事業者)
補助率原則2/3(一部枠で3/4)
対象経費広報費・ウェブサイト関連・機械装置等・展示会出展費・車両・外注費
申請方法電子申請(GビズIDプライム必須)

2026年度(令和8年度)の公募スケジュール

📢 建設業事業者の活用事例

建設業許可取得後の事業者が持続化補助金を活用できる典型例:①自社ウェブサイトの新規制作・リニューアル(集客強化)、②SNS広告・リスティング広告による地域宣伝、③新工法・新資格取得のための研修参加、④工事案件受注管理システムの導入、⑤展示会出展や自社カタログ作成、⑥軽トラック等の営業車両購入(特例枠)、など。許可取得後1年目に補助金を活用して販路拡大することで、一気に売上を伸ばす建設業者も少なくありません。

業種選定から許可取得までの標準フロー

  1. 事業計画の整理(2週間):自社が実施する工事内容を書き出し、該当する業種を洗い出し
  2. 行政書士に相談(1週間):業種判定・要件充足性の事前診断
  3. 業種ごとの要件準備(1〜2カ月):専任技術者の資格・経験、必要書類の準備
  4. 申請書類の作成(2〜3週間):各業種の工事経歴書・財務諸表・書類一式
  5. 申請・審査(1〜4カ月):知事許可1〜2カ月、大臣許可4カ月
  6. 許可取得・営業開始:許可証受領後、金看板の掲示・営業スタート

よくある質問

1つの工事で複数業種にまたがる場合、どちらの許可が必要ですか?
主たる工事部分に対応する業種の許可が必要です。例えば「ビル建設工事で内装も電気も全て含む」場合、元請として総合的に実施するなら建築一式工事、内装工事を単独で500万円以上受注するなら内装仕上工事業の許可が必要。実務では「主たる作業・目的」で判断し、付随する他業種の部分は「付帯工事」として実施可能ですが、付帯工事の範囲は厳格に解釈されるため注意が必要です。
リフォーム会社は何業種の許可を取るべきですか?
業態により異なりますが、全面リフォームを元請として総合的に請け負うなら「建築一式工事業」、内装のみ単独受注するなら「内装仕上工事業」が基本。実際には、①建築一式、②内装仕上、③大工、④塗装、⑤防水の5業種を同時取得するリフォーム会社が多くあります。500万円以上の工事を受注する場合に必要となるため、小規模リフォーム中心なら無許可でも営業は可能です。
解体工事業は、とび・土工の許可とどう違いますか?
平成28年6月以前は、工作物の解体は「とび・土工・コンクリート工事業」の範囲でしたが、解体工事の事故増加等を背景に独立した業種として「解体工事業」が新設されました。現在は、解体工事を500万円以上請け負う場合は必ず解体工事業の許可が必要です。経過措置により、平成28年6月以前のとび・土工での解体経験は、解体工事業の経営業務管理責任者の経験としても認められます。
業種は後から追加できますか?
追加できますが、手数料(5万円)と審査期間(1〜2カ月)が追加でかかります。事業計画上、将来的に必要となる業種が明確なら、最初の申請時に同時取得する方が費用・時間の両面で効率的です。弊所で支援した建設会社では、当初「塗装工事業のみ」で申請予定だったのを、相談の結果「塗装+防水+内装仕上」の3業種同時取得に変更し、結果的に30万円以上のコスト削減になった事例があります。
1人で複数業種の専任技術者になれますか?
同一営業所での常勤であれば可能です。例えば、1級建築施工管理技士の資格があれば、建築一式・大工・内装仕上・屋根・タイル等複数業種の専任技術者を兼任できます。資格による兼任は効率的な戦略で、特に小規模な会社では1〜2名の有資格者で5〜10業種の許可をカバーするケースが一般的です。
一般許可と特定許可を同時に取れますか?
業種単位で選択可能です。例えば、建築一式工事は特定建設業(下請発注多いため)、内装仕上工事は一般建設業(自社施工中心のため)、という組合せで同時取得できます。ただし特定建設業は財産要件が厳格(資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上等)なため、全ての業種で特定を取得するのは小規模な会社には難しく、必要な業種だけ特定を選ぶのが実務的です。
業種選定を間違えた場合、どうなりますか?
申請時に窓口で指摘されるケースが多く、その場合は業種を訂正して申請し直しとなります。問題は「取得後に業種違いの工事を受注していた」と判明した場合で、建設業法違反として営業停止・許可取消・罰金の対象となります。弊所で顧問先から相談を受けた事例では、業種間違いによる違反で30日営業停止となり、売上2,500万円分の機会損失を出したケースがあります。業種選定は必ず事前に行政書士と確認することが重要です。
小規模事業者持続化補助金の建設業での採択ポイントは?
①地域の顧客開拓につながる計画、②デジタル化・生産性向上の要素、③従業員の処遇改善(賃上げ)、④新技術・新工法の導入、が採択されやすいポイントです。建設業は一般的に「地域密着型の販路開拓」が評価されやすく、自社ホームページの新規制作、地域の住宅展示会出展、軽トラック等の営業車両購入などが典型的な採択事例。採択率48.1%なので、経営計画書の作り込みが重要で、商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4)の取得が必須です。

📋 この記事のポイント

  • 建設業許可29業種(2つの一式工事+27の専門工事)から実施工事に対応する業種を選ぶ
  • 一式工事の許可で専門工事を単独受注するのは建設業法違反
  • 業種間の区分は「主たる作業・目的」「使用材料」「施工方法」の3軸で判断
  • とび・土工/石工/タイル・れんが・ブロックの境界、鋼構造物/とび・土工の境界に注意
  • 複数業種の同時申請で追加手数料は不要、後日追加は1件5万円
  • 1人で複数業種の専任技術者を兼任可能(常勤要件を満たす場合)
  • 一般と特定は業種単位で選択可能(組合せ自由)
  • 解体工事業は平成28年6月新設、とび・土工の解体経験は経過措置あり
  • 業種取得後の事業拡大に小規模事業者持続化補助金(補助上限200万円、採択率48.1%)が有効
  • 2026年度第19回公募は3/6〜4/30、第20回は秋公募見込み

AYUSAWA PARTNERS

建設業許可の業種選定・申請のご相談は鮎澤パートナーズへ

行政書士・税理士・公認会計士・社労士がワンストップで対応。29業種の業種診断、複数業種同時申請、補助金活用、決算変更届、経審まで一気通貫でサポートします。

建設業に強い税理士へ