【税理士監修】消費税の軽減税率制度|対象品目・8%と10%の判定を具体例で解説

【税理士監修】消費税の軽減税率制度|対象品目・8%と10%の判定を具体例で解説
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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消費税の軽減税率制度|対象品目・8%と10%の判定を具体例で解説

「この商品は8%?10%?」と迷っている経営者・経理担当者に向けて、軽減税率の対象品目を判定フローチャートと具体例で完全整理します。この記事を読めば、飲食料品・外食・テイクアウト・ケータリング・一体資産・新聞の判定を自信を持ってできるようになります。

🏆 結論:軽減税率8%の対象は2種類だけ

軽減税率8%が適用されるのは、①酒類・外食・ケータリングを除く飲食料品の譲渡と、②定期購読契約に基づく週2回以上発行の新聞の2種類のみです。それ以外はすべて標準税率10%です。判定のポイントは「食品表示法に規定する食品か」「酒類か」「外食(飲食設備を使わせるサービス)か」「ケータリング(出張料理)か」の4つです。

軽減税率制度とは?制度の概要と税率の内訳

軽減税率制度とは、令和元年10月1日の消費税率10%への引き上げと同時に導入された制度で、一部の品目について消費税率を8%に据え置くものです。低所得者の負担軽減を目的に、生活必需品である飲食料品と新聞が対象とされています。

標準税率と軽減税率の内訳

区分 消費税率(国税) 地方消費税率 合計税率
標準税率7.8%2.2%10%
軽減税率6.24%1.76%8%

⚠️ 注意:旧8%と軽減税率8%は別物

令和元年9月以前の消費税率8%(消費税6.3%+地方消費税1.7%)と、軽減税率の8%(消費税6.24%+地方消費税1.76%)は、合計税率は同じ8%ですが国税と地方税の内訳が異なります。経理処理では必ず区別してください。消費税の申告書では別の欄に記載します。

軽減税率の対象品目を判定する4ステップフローチャート

「8%か10%か」を判定するには、以下の4ステップで確認します。

ステップ 確認する質問 Yesの場合 Noの場合
STEP1食品表示法に規定する「食品」か?(人の飲用・食用に供されるもの)→ STEP2へ10%(食品でないなら標準税率。ただし新聞は別途判定)
STEP2酒税法に規定する「酒類」に該当するか?(アルコール分1度以上の飲料)10%→ STEP3へ
STEP3「外食」か?(飲食設備のある場所での食事の提供)10%→ STEP4へ
STEP4「ケータリング・出張料理」か?(相手方の指定場所での調理・給仕)10%8%(軽減税率)

つまり、STEP1〜4のすべてで「軽減税率の除外対象ではない」と確認できた場合にのみ、8%が適用されます。

💡 実務のポイント

飲食業の顧問先で最もよく受ける相談は「テイクアウトとイートインの判定」です。判定の基準は「注文時点での意思表示」です。お客さんが「持ち帰り」と言えば8%、「ここで食べます」と言えば10%。注文後に気が変わって店内で食べても、事業者側で税率を変更する義務はありません。ただし、店内飲食しか想定されていない食事の提供(レストランの料理など)は、最初から10%です。

参考: 国税庁「No.6102 消費税の軽減税率制度」

飲食料品の範囲|8%と10%の境界線を具体例で整理

軽減税率の対象となる「飲食料品」は、食品表示法に規定する食品(酒類を除く)のうち、外食とケータリングを除いたものです。以下の具体例表で判定を確認してください。

品目 税率 判定理由
スーパーで購入する野菜・肉・魚8%食品表示法上の食品の譲渡
ミネラルウォーター8%飲食料品に該当
水道水10%飲用以外の用途(洗濯・風呂等)にも使われるため食品に非該当
ビール・ワイン・日本酒10%酒税法に規定する酒類(アルコール分1度以上)
ノンアルコールビール8%アルコール分1度未満のため酒類に非該当
みりん(アルコール分14度前後)10%酒税法に規定する酒類に該当
みりん風調味料(アルコール分1度未満)8%酒類に非該当
料理酒(塩を加えて飲用不可にしたもの)8%酒税法上の酒類に非該当(不可飲処理済み)
栄養ドリンク(医薬部外品)10%医薬品・医薬部外品は食品表示法上の食品に非該当
エナジードリンク(清涼飲料水)8%清涼飲料水として食品に該当
ペットフード10%人の飲食用ではないため食品に非該当
食用の生きた魚(活き造り用等)8%人の飲食用として販売されるもの
観賞用の熱帯魚10%人の飲食用ではない

外食・テイクアウト・ケータリング・出前の判定マトリクス

飲食料品の「提供方法」によって税率が変わるケースが、実務上最も混乱しやすいポイントです。判定の基準は「飲食設備を使わせるサービスかどうか」と「相手方の場所で調理・給仕をするかどうか」の2つです。

提供形態 税率 飲食設備 調理・給仕 判定理由
レストランでの食事10%ありあり外食に該当
ファストフードのテイクアウト8%利用しないなし飲食料品の譲渡
ファストフードのイートイン10%ありあり外食に該当
コンビニの弁当(持ち帰り)8%利用しないなし飲食料品の譲渡
コンビニのイートインコーナーで飲食10%ありあり外食に該当(「ここで食べます」の意思表示が基準)
出前・宅配(ピザ・寿司等)8%店の設備なし配達のみ飲食料品の譲渡(配達は給仕に該当しない)
ケータリング(出張料理)10%相手方の場所調理・給仕ありケータリングに該当
有料老人ホームの食事提供8%施設内ありケータリングの例外(1食640円以下・1日1,920円以下)
学校給食8%校内ありケータリングの例外(学校給食法に基づく給食)
屋台での飲食(テーブル・椅子あり)10%ありあり飲食設備で飲食させるサービス
屋台での購入(テーブル・椅子なし)8%なしなし飲食料品の譲渡

💡 実務のポイント

出前と ケータリングの違いで迷う事業者が非常に多いです。判定基準は「配達先での調理や給仕(盛り付け・配膳)を行うかどうか」です。ピザの宅配は配達だけなので8%ですが、結婚式場に出向いて料理を作り配膳する場合はケータリングで10%です。パーティーにオードブルを届けるだけなら8%、届けた上で皿への盛り付けや配膳まで行えば10%になります。

一体資産の判定|食品と非食品のセット販売はどうなる?

食品と食品以外の資産が一体となった商品(一体資産)は、原則として全体に10%が適用されます。ただし、次の2つの条件を両方満たす場合は、全体に8%が適用されます。

条件 内容
条件①税抜価格が1万円以下であること
条件②食品部分の価額の占める割合が2/3以上であること

一体資産の具体例と判定結果

商品例 税抜価格 食品割合 税率 判定理由
お菓子付きおもちゃ(食玩)500円500円お菓子70%8%1万円以下+2/3以上 → 両条件充足
高級紅茶+ティーカップセット2,000円2,000円紅茶75%8%1万円以下+2/3以上 → 両条件充足
高級陶器に入った菓子詰合せ15,000円15,000円菓子60%10%1万円超 → 条件①不充足
化粧品と食品のギフトセット5,000円5,000円食品40%10%食品割合2/3未満 → 条件②不充足
重箱入りおせち料理8,000円8,000円食品90%8%1万円以下+2/3以上 → 両条件充足
高級重箱入りおせち料理30,000円30,000円食品85%10%1万円超 → 条件①不充足

📊 公認会計士の視点

小売業の決算監査で一体資産の判定が問題になるケースがあります。特に年末のギフトセットやお歳暮は、食品と非食品の割合を正確に把握できていないことが少なくありません。仕入時に食品部分と非食品部分の原価を明確に区分して記録しておくことが、正確な税率判定の前提となります。

新聞の軽減税率|紙・電子版・コンビニ売りの判定

新聞が軽減税率8%の対象となるには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

条件 内容
①一定の題号を用いること「○○新聞」のように固有の題号があること
②一般社会的事実を掲載すること政治・経済・社会・文化等に関する事実を掲載していること
③週2回以上発行+定期購読契約週2回以上発行され、定期購読契約に基づいて購読すること

新聞の形態別判定表

形態 税率 理由
紙の新聞(定期購読・宅配)8%3条件をすべて充足
紙の新聞(コンビニ・駅売り)10%定期購読契約に基づかない(都度購入)
電子版の新聞(定期購読)10%電子版は「新聞の譲渡」ではなく電気通信利用役務の提供
週刊誌(週1回発行・定期購読)10%週2回以上発行の要件を満たさない
スポーツ新聞(定期購読)8%スポーツも「一般社会的事実」に該当

💡 実務のポイント

法人の経費処理で最も間違いが多いのは、電子版の新聞を8%で処理してしまうケースです。紙の新聞を定期購読していれば8%ですが、同じ新聞社の電子版に切り替えた場合は10%に変わります。紙と電子版のセットプランの場合は、それぞれの対価を区分して、紙部分のみ8%・電子版部分は10%で処理する必要があります。

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8%と10%が混在する場合の消費税額計算方法

軽減税率8%と標準税率10%の売上が混在する場合、消費税の計算は税率ごとに区分して行います。

📐 シミュレーション前提条件

  • 食料品の小売業(簡易課税・みなし仕入率80%)
  • 年間売上:税込2,160万円(軽減税率分1,620万円+標準税率分540万円)
  • 年間仕入:税込1,296万円(軽減税率分1,080万円+標準税率分216万円)
計算項目 軽減税率8%分 標準税率10%分 合計
税込売上高1,620万円540万円2,160万円
税抜売上高1,500万円約490.9万円約1,990.9万円
売上に係る消費税額120万円約49.1万円約169.1万円
簡易課税の仕入控除税額(80%)96万円約39.3万円約135.3万円
納付税額24万円約9.8万円約33.8万円

※概算値です。実際の申告では端数処理のルールが適用されるため、正確な計算は税理士にご確認ください。

ポイントは、消費税額を税率ごとに区分して計算する点です。8%の売上と10%の売上を合算してから計算するのではなく、それぞれの税率で消費税額を算出し、合計します。消費税の基本的なしくみについては、「消費税のしくみと基礎知識」で詳しく解説しています。

業種別の軽減税率判定チェックリスト

軽減税率の判定で注意すべきポイントは業種によって異なります。

業種 よくある判定ミス 正しい判定
飲食業テイクアウトとイートインを区別せず全て10%で処理テイクアウト=8%、イートイン=10%。顧客の意思表示で判定
小売業一体資産のセット商品を全て8%で処理税抜1万円以下+食品2/3以上の場合のみ8%。それ以外は10%
卸売業業務用食材を全て8%で処理(加工食品と原材料の区分が曖昧)食品表示法上の食品なら8%。ただし酒類の仕入れは10%
EC事業送料を食品と同じ8%で処理送料が食品の販売価格に含まれていれば8%、別途請求なら10%
ケータリング業配達のみのサービスもケータリングとして10%で処理配達のみ=8%(出前)。調理・給仕を伴う場合のみ10%

軽減税率の区分を誤った場合のリスクと加算税

8%と10%の区分を誤ると、消費税額の計算が不正確になり、過少申告や過大還付のリスクが生じます。

8%を10%と誤った場合(消費者に不利)

軽減税率の対象品目を10%で販売した場合、消費者に過大な消費税を請求していることになります。この場合、総額表示義務の観点からも問題が生じる可能性があります。課税標準と税率の関係については、「消費税の課税標準と税率」で詳しく解説しています。

10%を8%と誤った場合(過少申告のリスク)

標準税率の対象品目を8%で処理すると、売上に係る消費税額が過少に計算され、過少申告となります。税務調査で指摘された場合、不足税額に加えて過少申告加算税が課されます。

加算税の種類 税率 適用場面
過少申告加算税不足税額の10%(50万円超部分は15%)税務調査で税率区分の誤りが指摘された場合
重加算税不足税額の35%意図的に税率を低く処理していた場合(仮装・隠蔽)

⚠️ 注意:インボイスの税率記載も正確に

インボイス(適格請求書)には税率ごとに区分した消費税額の記載が義務付けられています。軽減税率の区分が誤っていると、受け取った事業者が仕入税額控除を適切に行えなくなります。インボイスの記載要件については「インボイス制度の概要」をご覧ください。

軽減税率とインボイス制度の関係

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、軽減税率の導入と密接に関連しています。複数税率のもとで正確な仕入税額控除を行うために、インボイスには税率ごとに区分した消費税額等の記載が求められます。

インボイスに記載が必要な軽減税率関連の項目

インボイスには、軽減税率の対象品目である旨(「※」マーク等)と、税率ごとに区分した対価の額および消費税額等を記載する必要があります。簡易インボイス(適格簡易請求書)の場合でも、税率ごとの区分は必須です。

消費税の基本的な課税・非課税の区分については、「課税・非課税・不課税の区分」で解説しています。また、簡易課税制度の仕組みについては「簡易課税制度の仕組み」をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

テイクアウトで注文した後に店内で食べた場合、税率は変わりますか?
税率の判定は「販売時点での顧客の意思表示」で行います。テイクアウトとして注文し8%で精算した後に、気が変わって店内で食べた場合、事業者側で改めて10%に変更する義務はありません。ただし、最初から店内飲食しか想定されていないレストランの料理などは10%です。
みりんと料理酒の税率の違いは何ですか?
判定基準は「酒税法に規定する酒類に該当するか」です。本みりん(アルコール分約14度)は酒類に該当するため10%です。一方、みりん風調味料(アルコール分1度未満)は酒類に非該当のため8%です。料理酒は、塩を加えて飲用不可にした「不可飲処理」がされていれば酒類に非該当となり8%ですが、処理されていない料理用ワインなどは酒類として10%です。
ウーバーイーツなどのフードデリバリーは8%ですか?10%ですか?
フードデリバリーは「飲食料品の出前」に該当し、8%(軽減税率)が適用されます。配達先での調理や給仕(配膳)を行わないため、ケータリングには該当しません。なお、配送手数料はサービスの対価のため10%ですが、食品の販売価格に送料が含まれている場合は、全体が8%となります。
一体資産で食品の割合が2/3以上かどうか、どうやって判定しますか?
一体資産の食品部分の割合は、原則として「合理的に計算した割合」で判定します。具体的には、その商品に含まれる食品部分の仕入原価をもとに計算するのが一般的です。販売者が合理的に食品部分の割合を算出し、結果として2/3以上であれば軽減税率の対象です。割合が不明な場合は10%で処理する方が安全です。
自動販売機で購入した飲料は8%ですか?
自動販売機で購入する飲料は、飲食料品の「譲渡」に該当し、8%(軽減税率)が適用されます。自動販売機には飲食設備の提供がないため、外食には該当しません。ただし、酒類の自動販売機で購入したアルコール飲料は10%です。
社内の会議室にケータリングを頼んだ場合は何%ですか?
ケータリングの判定は「調理・給仕を行うか」がポイントです。単に料理を配達してもらうだけ(テーブルに置いてもらうだけ)であれば出前と同様に8%です。しかし、業者が会議室まで来て、皿への盛り付けや各テーブルへの配膳まで行う場合はケータリングとして10%になります。
電子版の新聞が10%なのはなぜですか?
軽減税率の対象となる新聞は、「新聞の譲渡」(物としての新聞を引き渡すこと)に限定されています。電子版の新聞は物の引き渡しではなく「電気通信利用役務の提供」(デジタルサービス)に該当するため、軽減税率の対象外となり10%が適用されます。紙の新聞を定期購読すれば8%ですが、同じ新聞社の電子版に切り替えると10%に変わる点に注意してください。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 軽減税率8%の対象は「酒類・外食・ケータリングを除く飲食料品」と「定期購読契約の週2回以上発行の新聞」の2種類のみ
  • 外食(飲食設備を使わせるサービス)とテイクアウト(飲食料品の譲渡)の判定は、注文時の顧客の意思表示で行う
  • 一体資産(食品+非食品のセット)は原則10%だが、税抜1万円以下+食品2/3以上なら全体が8%
  • 電子版の新聞は軽減税率の対象外(10%)。紙の新聞の定期購読のみ8%
  • 8%と10%の混在する売上は、税率ごとに区分して消費税額を計算する
  • 区分を誤ると過少申告加算税(10%〜15%)のリスクがある

総額表示義務のルールについては「総額表示義務とは?消費税の価格表示ルールと対応方法」で詳しく解説しています。

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