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「この取引はどの勘定科目で仕訳すればいい?」「交際費と会議費の違いがわからない」という経理初心者・個人事業主の方に向けて、主要な勘定科目を5分類で一覧にまとめ、業種別のテンプレートと迷いやすい科目の判定基準まで完全ガイドします。


「この取引はどの勘定科目で仕訳すればいい?」「交際費と会議費の違いがわからない」という経理初心者・個人事業主の方に向けて、主要な勘定科目を5分類で一覧にまとめ、業種別のテンプレートと迷いやすい科目の判定基準まで完全ガイドします。
🏆 結論:勘定科目は「5グループ」と「自社でよく使う20〜30科目」を押さえれば十分
勘定科目は全部で100種類以上ありますが、中小企業が実務で日常的に使うのは20〜30科目程度です。まず「資産・負債・純資産・収益・費用」の5グループを理解し、自社の業種でよく使う科目を優先的に覚えましょう。会計ソフトには一般的な科目があらかじめ登録されているため、ゼロから設定する必要はありません。ただし「一度決めた科目は継続して使う」「迷ったら雑費に入れず専用科目を作る」の2つのルールは必ず守ってください。
勘定科目とは、事業で発生するお金の動き(取引)を分類するための「見出し」です。たとえば、電車代なら「旅費交通費」、事務所の賃料なら「地代家賃」という科目を使って帳簿に記録します。
勘定科目が正しく設定されていれば、決算書(貸借対照表・損益計算書)を見ただけで「何にいくら使っているか」が一目でわかり、経営判断に役立ちます。逆に科目がバラバラだと、年度ごとの比較ができず、経費の無駄にも気づけません。
| 役割 | 具体的な場面 |
|---|---|
| 仕訳の記録 | 日々の取引を「借方・貸方」に分けて正確に記録するための分類基準 |
| 決算書の作成 | 科目ごとに集計することで、貸借対照表と損益計算書を自動生成できる |
| 税金の計算 | 法人税・消費税の計算では、勘定科目の分類が課税・非課税の判定に直結する |
簿記の基本的なしくみ(複式簿記・借方貸方の考え方)については、「簿記の基礎知識|複式簿記・単式簿記の違いと仕訳の基本ルール」で詳しく解説しています。
勘定科目は、貸借対照表に載る「資産・負債・純資産」と、損益計算書に載る「収益・費用」の5グループに分類されます。
資産とは、企業が所有する財産や将来お金に変わる権利のことです。
| 区分 | 勘定科目 | 内容 | 使用頻度 |
|---|---|---|---|
| 流動資産 | 現金 | 手元にある紙幣・硬貨 | ★★★ |
| 普通預金 | 銀行の普通預金口座 | ★★★ | |
| 売掛金 | 商品・サービスの代金を後で受け取る権利 | ★★★ | |
| 棚卸資産(商品) | 販売目的で保有する商品・製品 | ★★☆ | |
| 前払費用 | 翌期以降のサービスに対して先に支払った費用 | ★★☆ | |
| 仮払金 | 使途が確定する前に仮に支払った金額 | ★☆☆ | |
| 固定資産 | 建物 | 事務所・店舗などの建物 | ★★☆ |
| 車両運搬具 | 営業車・トラックなど | ★★☆ | |
| 工具器具備品 | PC・机・エアコンなど10万円以上のもの | ★★★ | |
| ソフトウェア | 業務用ソフトのライセンス(取得価額10万円以上) | ★★☆ |
| 区分 | 勘定科目 | 内容 | 使用頻度 |
|---|---|---|---|
| 流動負債 | 買掛金 | 仕入先への未払い代金 | ★★★ |
| 未払金 | 経費の後払い(クレカ利用分など) | ★★★ | |
| 預り金 | 源泉所得税・社保料の従業員天引き分 | ★★★ | |
| 未払法人税等 | 決算で確定した法人税の未払い分 | ★★☆ | |
| 固定負債 | 長期借入金 | 返済期限が1年超の借入金 | ★★☆ |
| 退職給付引当金 | 将来の退職金支払いに備えた積立 | ★☆☆ |
| 勘定科目 | 内容 | 法人/個人 |
|---|---|---|
| 資本金 | 株主が出資した元手 | 法人のみ |
| 利益剰余金 | 過去の利益の蓄積 | 法人のみ |
| 元入金 | 事業開始時の元手+過去の利益蓄積 | 個人のみ |
| 勘定科目 | 内容 | 使用頻度 |
|---|---|---|
| 売上高 | 本業の商品・サービス販売による収入 | ★★★ |
| 受取利息 | 預金利息など | ★★☆ |
| 雑収入 | 本業以外の少額収入(還付金、ポイント等) | ★★☆ |
| 固定資産売却益 | 車・設備を帳簿価額より高く売った場合の利益 | ★☆☆ |
| 勘定科目 | 内容 | 具体例 | 使用頻度 |
|---|---|---|---|
| 仕入高 | 販売目的の商品・原材料の購入代金 | 食材、商品 | ★★★ |
| 給料手当 | 従業員への給与・賞与 | 月給、残業代 | ★★★ |
| 法定福利費 | 社会保険料の会社負担分 | 健保・厚生年金・雇用保険 | ★★★ |
| 地代家賃 | 事務所・店舗の賃料 | 月額賃料、管理費 | ★★★ |
| 水道光熱費 | 電気・ガス・水道料金 | 電気代、ガス代 | ★★★ |
| 通信費 | 電話・インターネット・郵送料 | 携帯料金、切手代 | ★★★ |
| 旅費交通費 | 出張・移動にかかる費用 | 電車代、タクシー代、宿泊費 | ★★★ |
| 消耗品費 | 10万円未満の事務用品・備品 | 文房具、コピー用紙 | ★★★ |
| 交際費 | 取引先との接待・贈答にかかる費用 | 接待飲食、お中元 | ★★☆ |
| 広告宣伝費 | 広告・宣伝にかかる費用 | Web広告、チラシ印刷 | ★★☆ |
| 支払手数料 | 銀行振込手数料、仲介手数料等 | 振込手数料、クラウド利用料 | ★★★ |
| 減価償却費 | 固定資産の価値減少を費用として計上 | PC・車両・建物の償却 | ★★☆ |
| 租税公課 | 事業に関連する税金・公的負担金 | 印紙税、固定資産税、自動車税 | ★★☆ |
| 外注費 | 外部への業務委託費 | デザイン制作、清掃委託 | ★★☆ |
| 雑費 | 他の科目に該当しない少額の費用 | ごみ処理費、引越し費用 | ★☆☆ |
⚠️ 注意
「雑費」は万能科目ではありません。決算書の雑費が売上の5%を超えると、税務調査で「内容を精査したい」と言われやすくなります。雑費に計上する前に、既存の科目に該当しないか確認し、該当しなければ専用の科目を新設しましょう。
実務で最も困るのが「似た科目のどちらを使うか」の判断です。税務調査でも指摘されやすいポイントなので、判定基準を明確にしておきましょう。
| 迷う組み合わせ | 判定基準 | 税務上の違い |
|---|---|---|
| 交際費 vs 会議費 | 1人あたり5,000円以下の飲食は会議費。超えたら交際費 | 交際費は法人で年800万円超が損金不算入。会議費は全額損金OK |
| 消耗品費 vs 工具器具備品 | 取得価額10万円未満→消耗品費。10万円以上→固定資産 | 固定資産は減価償却が必要。中小企業は40万円未満なら一括損金も可 |
| 広告宣伝費 vs 販売促進費 | 不特定多数向け→広告宣伝費。特定顧客向け→販売促進費 | 税務上は大きな違いなし。社内管理目的で分ける |
| 外注費 vs 給料手当 | 雇用関係あり→給料。業務委託契約→外注費 | 外注費は源泉徴収・社保が不要。税務調査で「偽装外注」を厳しくチェック |
| 地代家賃 vs 賃借料 | 不動産(事務所・駐車場)→地代家賃。動産(コピー機リース等)→賃借料 | 消費税の課税/非課税の判定が異なる場合あり |
| 租税公課 vs 法人税等 | 事業税・固定資産税等→租税公課(損金算入)。法人税・住民税→法人税等(損金不算入) | 損金算入の可否が異なるため、混同すると税額計算が狂う |
| 福利厚生費 vs 交際費 | 全従業員が対象→福利厚生費。特定の人だけ→交際費 | 福利厚生費は全額損金OK。交際費は限度額あり |
| 修繕費 vs 資本的支出 | 原状回復・維持→修繕費。価値向上・使用期間延長→資本的支出(固定資産) | 修繕費は全額即時損金。資本的支出は減価償却が必要 |
💡 実務のポイント
税務調査で最も指摘が多いのは「交際費 vs 会議費」と「外注費 vs 給料」の2組です。交際費の判定は1人あたり5,000円が境界線ですが、「会議の事実」を証明するために参加者名・議題・日時をメモしておくことが不可欠です。外注費については、指揮命令関係・勤務時間の拘束・報酬の固定性などを総合的に判断されます。
業種によって頻出する勘定科目は大きく異なります。自社の業種に合わせて、会計ソフトの初期設定を最適化しましょう。
| 業種 | 特有の勘定科目 | 使い方・注意点 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 材料費(原材料費) | 食材の仕入れ。「仕入高」でも可だが、材料費として分けると原価率管理がしやすい |
| 衛生費 | 洗剤・消毒液・白衣のクリーニング代等 | |
| 容器包装費 | テイクアウト容器・割り箸等。消耗品費でもよいが量が多い場合は分離推奨 | |
| IT・Web | サーバー利用料 | AWS・GCPなどのクラウド利用料。通信費または支払手数料でも可 |
| ソフトウェア利用料 | SaaSの月額利用料(Slack、Zoom等)。支払手数料でも可 | |
| 外注費(開発) | フリーランスエンジニアへの開発委託。源泉徴収の要否に注意 | |
| 建設業 | 材料費 | 建設資材の購入代金 |
| 労務費 | 現場作業員の人件費(給料手当とは別管理) | |
| 外注加工費 | 下請け業者への工事代金 | |
| 小売業 | 荷造運賃 | 商品の発送・配送にかかる費用 |
| 販売手数料 | ECモールの販売手数料(Amazon・楽天等) | |
| フリーランス | 事業主貸 | 事業のお金をプライベートに使った場合(詳細は後述) |
| 事業主借 | プライベートのお金を事業に使った場合(詳細は後述) |
📊 公認会計士の視点
建設業は「完成工事高」「未成工事支出金」など独自の科目体系があり、一般企業とは決算書の構成が異なります。建設業許可の更新には「建設業用の財務諸表」の提出が必要なので、会計ソフトの初期設定で建設業向けテンプレートを選択することが重要です。
AYUSAWA PARTNERS
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初回相談無料。公認会計士・税理士が、あなたの業種に最適な勘定科目の初期設定と運用ルールを提案します。
鮎澤パートナーズに相談する個人事業主には法人にはない3つの特有な勘定科目があります。これを正しく使えないと、確定申告時に混乱する原因になります。
事業のお金をプライベートの目的で使った場合に使う科目です。たとえば、事業用口座から生活費を引き出した場合は「事業主貸/普通預金」と仕訳します。事業主貸は「事業が経営者に貸した」という意味です。
プライベートのお金を事業のために使った場合に使う科目です。自分のクレジットカードで事業用の備品を購入した場合は「消耗品費/事業主借」と仕訳します。事業主借は「事業が経営者から借りた」という意味です。
法人の「資本金+利益剰余金」にあたる科目です。期首の元入金は、前期の元入金+前期の所得(青色申告特別控除前)+前期末の事業主借−前期末の事業主貸で計算されます。毎年自動的に更新されるため、期中に触ることはありません。
| 科目 | 使う場面 | 仕訳例 |
|---|---|---|
| 事業主貸 | 事業のお金→個人利用 | 事業主貸 100,000 / 普通預金 100,000 |
| 事業主借 | 個人のお金→事業利用 | 消耗品費 30,000 / 事業主借 30,000 |
| 元入金 | 期首残高の計算(自動) | 期中の仕訳は不要 |
💡 実務のポイント
個人事業主の方で「事業主貸が膨らみすぎて不安」という相談をよく受けますが、事業主貸は経費ではないため、いくら多くても所得税には影響しません。ただし、事業用口座の残高が常にマイナスに近い状態だと、融資審査では「資金管理ができていない」と見なされるリスクがあります。
勘定科目を設定する際に守るべきルールを5つにまとめました。
| # | ルール | 理由 | NG例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 一般的な科目名を使う | 第三者(税務署・銀行)が理解できること | 「お客様おもてなし費」→「交際費」 |
| 2 | 継続性の原則を守る | 年度間の比較ができなくなるため | 昨年「通信費」→今年「IT費」に変更 |
| 3 | 科目を増やしすぎない | 管理コストが増え、仕訳ミスが起きやすい | 費用科目が50個以上ある |
| 4 | 雑費を安易に使わない | 税務調査で内容を追及されやすい | 雑費が売上の5%を超えている |
| 5 | 税務上の区分を意識する | 損金算入の可否に直結する | 法人税を「租税公課」に計上(損金不算入のため不可) |
会計ソフトの初期設定には一般的な科目がプリセットされていますが、自社に合わせたカスタマイズが必要になる場面があります。
以下の3つの条件のいずれかに当てはまる場合、新しい勘定科目の追加を検討しましょう。
第一に、毎月同じ取引が発生しているのに「雑費」に計上している場合。第二に、経営管理上、特定の費用を他の費用と分けて把握したい場合(例:広告費の中でWeb広告と紙媒体を分離したい)。第三に、業種特有の取引があり、既存科目では内容が不明瞭になる場合。
勘定科目を増やすよりも「補助科目」を活用する方が効率的なケースがあります。たとえば「売掛金」という勘定科目の下に、取引先別の補助科目(A社・B社・C社)を設定すれば、取引先ごとの残高管理が可能になります。勘定科目を増やすと決算書が複雑になりますが、補助科目なら決算書の見た目は変わりません。
💡 実務のポイント
開業時に「完璧な科目体系」を作ろうとする必要はありません。まずは会計ソフトの初期設定のまま使い始め、3〜6ヶ月運用してから「この取引は専用科目があった方がいいな」と感じた時点で追加する方が、実態に合った科目体系になります。当事務所では初回相談時に業種別の推奨科目リストをお渡ししています。
新規開業時に勘定科目を設定する際の5ステップをチェックリストにまとめました。
| ステップ | 作業内容 | チェックポイント |
|---|---|---|
| ① 業種テンプレを選択 | 会計ソフトの業種別テンプレートを選ぶ | 建設業・医療法人など業種別テンプレがあるか確認 |
| ② 不要な科目を非表示 | 自社で使わない科目を非表示(削除ではなく非表示)に | 将来使う可能性もあるため削除は避ける |
| ③ 業種特有科目を追加 | 上記の業種別テンプレートを参考に必要な科目を追加 | B/S・P/Lのどちらに表示されるか確認 |
| ④ 補助科目を設定 | 売掛金・買掛金に取引先別の補助科目を設定 | 主要取引先5〜10社分を先に設定しておく |
| ⑤ 運用ルールを文書化 | 迷いやすい科目の判定基準を社内メモにまとめる | 担当者が変わっても同じ判断ができるか |
📋 この記事のポイント
勘定科目を理解したら、次は帳簿の保存ルールを確認しましょう。電子帳簿保存法の対応も含めた保存期間については、「簿記の基礎知識|複式簿記・単式簿記の違いと仕訳の基本ルール」をご覧ください。
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