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帳簿・書類の保存期間一覧|法人・個人事業主別の保存義務と電子保存
「領収書は何年保存すればいい?」「電子データで受け取った請求書はどう保存する?」という疑問を持つ法人経営者・個人事業主の方に向けて、帳簿・書類の保存期間を法律別に一覧表で整理し、電子帳簿保存法の対応方法まで完全ガイドします。


「領収書は何年保存すればいい?」「電子データで受け取った請求書はどう保存する?」という疑問を持つ法人経営者・個人事業主の方に向けて、帳簿・書類の保存期間を法律別に一覧表で整理し、電子帳簿保存法の対応方法まで完全ガイドします。
🏆 結論:法人は10年、個人事業主は7年で統一保存が最も安全
帳簿・書類の保存期間は、法人税法で原則7年、会社法で10年、欠損金がある事業年度は10年と、複数の法律が絡み合います。法人は会社法の10年に合わせて全書類を10年保存するのが最も安全です。個人事業主は書類の種類によって5年と7年が混在しますが、管理の手間を考えると全て7年で統一するのが現実的です。また、メールやクラウドで受け取った電子取引データは、2024年1月以降、電子データのまま保存することが義務化されています。
保存期間を理解するには、まず「帳簿」と「書類」の違いを把握することが重要です。
| 分類 | 帳簿名 | 内容 |
|---|---|---|
| 主要簿 | 仕訳帳 | 全取引を日付順に記録した帳簿 |
| 総勘定元帳 | 勘定科目別に仕訳を集計した帳簿 | |
| 補助簿 | 現金出納帳 | 現金の入出金を記録 |
| 売掛金元帳 | 取引先別の売掛金残高を管理 | |
| 買掛金元帳 | 取引先別の買掛金残高を管理 | |
| 固定資産台帳 | 固定資産の取得・減価償却を記録 | |
| 売上帳・仕入帳 | 売上・仕入の明細を記録 |
「書類」は「決算関係書類」と「取引関係書類(証憑書類)」に大別されます。決算関係書類には貸借対照表・損益計算書・棚卸表が含まれます。取引関係書類には請求書・領収書・見積書・契約書・注文書・納品書などが含まれます。
帳簿の種類や仕訳帳と総勘定元帳の違いについては、「簿記の基礎知識|複式簿記・単式簿記の違いと仕訳の基本ルール」で詳しく解説しています。
法人の帳簿・書類の保存期間は、法人税法と会社法の2つの法律で定められています。結論から言えば、法人は全書類を10年保存するのが最も安全です。
| 書類の種類 | 具体例 | 法人税法 | 会社法 | 推奨 |
|---|---|---|---|---|
| 帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳等 | 7年(欠損金あり→10年) | 10年 | 10年 |
| 決算関係書類 | B/S、P/L、棚卸表 | 7年(欠損金あり→10年) | 10年 | 10年 |
| 取引関係書類 | 請求書、領収書、契約書、見積書等 | 7年(欠損金あり→10年) | 10年 | 10年 |
| 適格請求書(インボイス) | 発行・受領した適格請求書 | 7年 | — | 10年 |
| 定款・登記関係 | 定款、株主総会議事録、登記簿謄本 | 規定なし | 10年(議事録) | 永久保存 |
※保存期間の起算日は「確定申告書の提出期限の翌日」。3月決算法人の場合、5月末日の翌日から起算。
💡 実務のポイント
「うちは毎年黒字だから7年でいいのでは?」と考える方がいますが、将来赤字になる可能性は誰にもわかりません。欠損金の繰越控除を受けるには10年保存が必要です。また、会社法は黒字・赤字を問わず10年保存を義務づけています。管理の手間を考えても、法人は「全て10年保存」に統一するのが最も合理的です。
個人事業主の保存期間は、青色申告か白色申告かで異なります。
| 書類の種類 | 具体例 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、経費帳等 | 7年 |
| 決算関係書類 | B/S、P/L、棚卸表 | 7年 |
| 現金預金取引等関係書類 | 領収書、預金通帳、小切手控え | 7年 ※ |
| その他の書類 | 請求書、見積書、注文書、納品書 | 5年 |
※前々年分の所得が300万円以下の場合は5年。ただし消費税の課税事業者は7年必要。
| 書類の種類 | 具体例 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 帳簿(収入・経費の記録) | 収入金額・必要経費の記帳 | 7年 |
| 業務に関する書類 | 領収書、請求書、棚卸表等 | 5年 |
⚠️ 注意
消費税の課税事業者(インボイス発行事業者を含む)の場合、白色申告であっても仕入税額控除の適用を受けるために帳簿・請求書等を7年間保存する義務があります。インボイス制度の開始により、多くの個人事業主が課税事業者になっているため、「白色だから5年」とは限りません。迷ったら全て7年保存に統一しましょう。
書類名から保存期間を直接引ける逆引き表です。実務でよく使う書類に絞っています。
| 書類名 | 法人 | 個人(青色) | 起算日 |
|---|---|---|---|
| 領収書・レシート | 10年 | 7年 | 確定申告提出期限の翌日 |
| 請求書 | 10年 | 5年(課税事業者は7年) | 確定申告提出期限の翌日 |
| 契約書 | 10年 | 5年(課税事業者は7年) | 確定申告提出期限の翌日 |
| 見積書 | 10年 | 5年 | 確定申告提出期限の翌日 |
| 預金通帳 | 10年 | 7年 | 確定申告提出期限の翌日 |
| 給与台帳・源泉徴収簿 | 10年 | 7年 | 確定申告提出期限の翌日 |
| 確定申告書の控え | 永久保存推奨 | 永久保存推奨 | — |
| 定款 | 永久保存 | — | — |
💡 実務のポイント
税務調査で「この領収書ありますか?」と聞かれた時に「捨てました」と答えると、経費として認められなくなるリスクがあります。特に高額な経費(100万円超の設備投資、固定資産の購入など)に関する証憑書類は、保存期間を超えても保管しておくことをおすすめしています。
帳簿・書類の保存義務に違反した場合、以下の3つのペナルティが課される可能性があります。
| ペナルティ | 内容 | 金額への影響 |
|---|---|---|
| ① 青色申告の取消し | 帳簿書類の提示要求に応じない場合、青色申告の承認が取り消される | 個人:最大65万円の控除が消失。法人:欠損金の繰越控除が不可に |
| ② 推計課税 | 帳簿がない場合、税務署が業界の標準的な所得率で課税額を推計する | 実際の経費が認められず、実態より大幅に高い税額を課される可能性あり |
| ③ 重加算税の賦課 | 帳簿の意図的な破棄・隠蔽は「仮装・隠蔽」とみなされる | 本来の税額に加え35〜40%の重加算税が課される |
⚠️ 注意
税務調査で帳簿の保存義務違反が発覚すると、その事業年度だけでなく過去にさかのぼって調査範囲が拡大されるケースがあります。「たかが領収書1枚」が数十万円の追徴課税につながることもあるため、保存義務は必ず遵守してください。
電子帳簿保存法は、帳簿・書類を電子データで保存する方法を定めた法律です。2024年1月以降、電子取引データの電子保存が完全義務化されました。
| 区分 | 対象 | 義務/任意 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| ① 電子帳簿等保存 | PCで作成した帳簿・決算書を電子データのまま保存 | 任意 | 訂正・削除の履歴が残る、検索できる、ディスプレイ・プリンタで出力可能 |
| ② スキャナ保存 | 紙で受け取った請求書・領収書をスキャン→電子保存 | 任意 | 解像度200dpi以上、タイムスタンプ付与、入力期間の制限あり |
| ③ 電子取引データ保存 | メール・クラウド等で受け取った請求書・領収書の電子データ | 義務 | 真実性の確保(タイムスタンプ or 訂正削除不可のシステム等)+検索要件 |
💡 実務のポイント
最も多い質問は「メールで受け取った請求書をプリントアウトして紙で保存すればOK?」というものですが、答えはNOです。2024年1月以降、電子データで受け取った取引書類は電子データのまま保存する義務があります。プリントアウトだけでは要件を満たしません。
メール添付のPDF請求書やクラウドからダウンロードした領収書は、以下の要件を満たして保存する必要があります。
| 要件 | 内容 | 対応方法 |
|---|---|---|
| 真実性の確保 | データの改ざんを防止する措置 | ①タイムスタンプ付与、②訂正・削除履歴が残るシステムの利用、③事務処理規程の備付け、のいずれか |
| 検索要件 | 日付・金額・取引先で検索できる状態 | ①ファイル名に日付・金額・取引先を記載、②Excelで索引簿を作成、③専用システムを利用、のいずれか |
専用システムを導入せずに対応する方法として、「事務処理規程+ファイル名ルール」の組み合わせが最も手軽です。
具体的には、ファイル名を「20260401_55000_株式会社山田商事.pdf」のように「日付_金額_取引先名」のルールで命名し、年度ごとのフォルダに保存します。同時に「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を社内で策定・備え付けます。事務処理規程のサンプルは国税庁のサイトで公開されています。
🧮 フォルダ構成の例
電子取引データ → 2025年度 → 請求書 → 20260401_55000_株式会社山田商事.pdf
電子取引データ → 2025年度 → 領収書 → 20260315_3300_アマゾンジャパン.pdf
このように「年度 → 書類種別 → ファイル」の3階層で整理すると管理しやすくなります。
帳簿の作成方法には大きく3つの選択肢があります。
| 方法 | メリット | デメリット | 向いている人 | 電帳法対応 |
|---|---|---|---|---|
| 手書き | コストゼロ。直感的 | 集計に手間。ミスが増える。決算書の自動生成不可 | 取引が月10件以下の超小規模 | 非対応 |
| Excel | 低コスト。関数で集計可能 | テンプレ作成が必要。仕訳の自動化なし | Excel操作に慣れた人。白色申告 | 一部対応可(要工夫) |
| 会計ソフト | 銀行連携で自動取込。AI仕訳。決算書自動生成 | 月額費用がかかる | 青色申告者。法人。全ての事業者 | 対応 |
現在は会計ソフトの価格も月額1,000〜3,000円程度まで下がっており、手書きやExcelとの差額を考えると、ほぼ全ての事業者に会計ソフトの導入をおすすめします。青色申告の65万円控除による節税効果だけでもソフト代の数十倍の効果があります。
電子帳簿保存法への対応を支援するツールは大きく「会計ソフト一体型」と「専用ツール型」に分かれます。
| ツールの種類 | 対応区分 | 主な特徴 | 向いている事業者 |
|---|---|---|---|
| 会計ソフト一体型 | ①②③全て | 仕訳と証憑を紐付けて一元管理。タイムスタンプも自動付与 | 中小企業・個人事業主(freee、マネーフォワード、弥生等) |
| 文書管理専用ツール | ②③中心 | 大量の証憑を効率的に管理。OCR読取・検索機能が充実 | 取引量が多い中堅企業 |
| 事務処理規程+フォルダ管理 | ③のみ | ツール不要。ファイル名ルール+規程の備付けで対応 | 取引が少ない小規模事業者・フリーランス |
💡 実務のポイント
当事務所のクライアントの約8割は、既に使っている会計ソフト(freee/マネーフォワード/弥生)の電帳法対応機能で十分に要件を満たしています。別途専用ツールを導入する必要があるのは、月間の取引書類が数百枚を超えるような中堅企業くらいです。まずはお使いの会計ソフトの電帳法対応機能を確認してみてください。
📋 この記事のポイント
帳簿の保存と合わせて、簿記の基本的なしくみも確認しておきましょう。仕訳帳や総勘定元帳の作り方については、「簿記の基礎知識|複式簿記・単式簿記の違いと仕訳の基本ルール」をご覧ください。
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