【会計士×税理士が解説】簿記の基礎知識|複式簿記・単式簿記の違いと仕訳の基本ルール

【会計士×税理士が解説】簿記の基礎知識|複式簿記・単式簿記の違いと仕訳の基本ルール
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

簿記の基礎知識|複式簿記・単式簿記の違いと仕訳の基本ルール

「簿記って何から覚えればいいの?」「複式簿記と単式簿記の違いがよくわからない」という経理初心者・個人事業主の方に向けて、簿記のしくみ・仕訳の基本ルール・帳簿の種類・会計ソフトの選び方まで、公認会計士・税理士がゼロから完全ガイドします。

🏆 結論:簿記は「取引を2面から記録するルール」さえ覚えれば怖くない

簿記の基本は「1つの取引を借方(左)と貸方(右)の両面から記録する」ことです。複式簿記を使えば、お金の増減だけでなく「なぜ増減したか」の原因まで記録でき、正確な決算書(貸借対照表・損益計算書)を作成できます。個人事業主なら青色申告で最大65万円の特別控除を受けるために複式簿記が必須。法人は会社法で複式簿記が義務です。現在は会計ソフトが仕訳を自動化してくれるため、簿記の「考え方」さえ理解すれば、手書きの仕訳帳を作る必要はありません。

簿記とは?なぜ経営に不可欠なのか

簿記の定義と目的

簿記(ぼき)とは、事業で発生する取引を一定のルールに従って帳簿に記録・整理し、最終的に決算書(財務諸表)としてまとめる技術のことです。「帳簿に記す」の略語が語源とされています。

簿記を行う目的は大きく3つあります。第一に、事業のお金の流れを正確に把握すること。第二に、税務署に提出する確定申告書・法人税申告書の基礎資料を作ること。第三に、銀行融資や取引先との信用構築に必要な決算書を作成することです。

💡 実務のポイント

年間100社以上の記帳代行を担当していますが、「簿記がわからないまま開業して、確定申告直前にレシートの山と格闘する」ケースが後を絶ちません。簿記の基礎を最初に30分学ぶだけで、1年後の作業量が10分の1になります。

簿記が必要な人・不要な人

すべての事業者に簿記は必要です。個人事業主・フリーランスは所得税法で帳簿の作成・保存が義務づけられています(所得税法第148条・第231条の2)。法人は会社法第432条で「適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない」と定められています。

「自分は白色申告だから簿記は不要」と思っている方もいますが、白色申告でも収入金額や必要経費を記帳する義務があります。違いは、白色申告は単式簿記でOKですが、青色申告で最大65万円の特別控除を受けるには複式簿記が必要だという点です。

複式簿記と単式簿記の違い【一覧表で比較】

簿記には「複式簿記」と「単式簿記」の2種類があります。最大の違いは、1つの取引を記録する面の数です。

比較項目 単式簿記 複式簿記
記録する面お金の増減のみ(1面)お金の増減+その原因(2面)
イメージ家計簿・お小遣い帳企業の会計帳簿
必要な知識ほぼ不要簿記3級程度
作成できる書類現金出納帳のみ貸借対照表+損益計算書
青色申告特別控除最大10万円最大65万円(e-Tax利用時)
経営状況の把握現金残高しかわからない資産・負債・利益が全てわかる
法人での利用不可(会社法で複式簿記が義務)必須
会計ソフトの対応Excel・手書きで可freee/マネーフォワード/弥生等

単式簿記の具体例

単式簿記では、「4月1日に仕入れ代金5万円を現金で支払った」場合、次のように記録します。

日付 摘要 支出 残高
4/1商品仕入れ50,000150,000

「5万円減った」ことはわかりますが、それが仕入れなのか光熱費なのか、後から見返しただけでは分類の集計が困難です。

複式簿記の具体例

同じ取引を複式簿記で記録すると、次のようになります。

日付 借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
4/1仕入50,000現金50,000

「仕入れという費用が発生した(原因)」と「現金が減った(結果)」の2面が同時に記録されます。これが複式簿記の「二面性の原則」です。

複式簿記に移行すべき?判定フローチャート

今の記帳方法を続けるべきか迷っている方は、以下の判定表を確認してください。

あなたの状況 判定 理由
法人(株式会社・合同会社)複式簿記必須会社法で義務
個人事業主・青色申告で65万円控除を受けたい複式簿記必須所得税法施行規則第56条
個人事業主・青色申告で10万円控除でOK単式簿記でも可ただし55万円分の控除を逃す
個人事業主・白色申告単式簿記でも可ただし節税メリットなし
将来、融資を受けたい複式簿記推奨銀行は決算書(B/S・P/L)を要求

📊 公認会計士の視点

「単式簿記のままでいい」と判断できるケースは実務上ほとんどありません。年間売上が数十万円のごく小規模な副業を除けば、複式簿記の方が節税効果・経営管理の両面で圧倒的に有利です。現在は会計ソフトが自動で複式簿記の仕訳を作成してくれるため、「複式簿記は難しい」というハードルは実質的に消えています。

仕訳の基本ルール|借方・貸方の覚え方

仕訳(しわけ)とは、取引を「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」に分けて記録する作業のことです。複式簿記の核となるルールです。

借方と貸方の位置と覚え方

借方は帳簿の左側、貸方は右側に記載します。「かりかた」の「り」は左にはらう→左側、「かしかた」の「し」は右にはらう→右側、と覚えるのが定番です。

5グループ×増減の判定マトリクス

仕訳で最も重要なのは、「その勘定科目が5つのグループのどれに属するか」と「増えたのか減ったのか」の2つを判断することです。以下の表を暗記してしまえば、どんな取引も仕訳できます。

グループ 増加した時 減少した時 覚え方のキーワード 代表的な勘定科目
資産借方(左)貸方(右)「持ち物が増えた→左」現金・預金・売掛金・建物
負債貸方(右)借方(左)「借金が増えた→右」買掛金・借入金・未払金
純資産貸方(右)借方(左)「元手が増えた→右」資本金・利益剰余金
収益貸方(右)借方(左)「売上が立った→右」売上・受取利息・雑収入
費用借方(左)貸方(右)「お金を使った→左」仕入・給料・地代家賃

💡 実務のポイント

記帳代行を何千件とこなしてきた経験上、「資産と費用は左(借方)、負債・純資産・収益は右(貸方)に増える」とだけ覚えれば十分です。B/S(貸借対照表)の左側に載るもの=増加は借方、P/L(損益計算書)の左側に載る費用=増加は借方、と覚えると一貫性が出ます。

仕訳のルール:必ず借方=貸方になる

複式簿記の大原則として、1つの仕訳の借方合計と貸方合計は必ず一致します。これを「貸借平均の原則」と呼びます。借方と貸方の金額がズレている場合は、必ずどこかに記帳ミスがあるということです。

よく使う仕訳パターン10選【業種別】

仕訳の考え方を理解したら、次は実際によく使うパターンを見ていきましょう。業種によって頻出する仕訳は異なります。

# 取引内容 借方 貸方 よく使う業種
1商品を現金で仕入れた仕入 50,000現金 50,000小売・飲食
2売上代金が振り込まれた普通預金 100,000売掛金 100,000IT・建設
3事務所の家賃を支払った地代家賃 120,000普通預金 120,000全業種
4従業員に給料を支払った給料手当 300,000普通預金 255,000 / 預り金 45,000飲食・建設
5交通費を現金で支払った旅費交通費 1,200現金 1,200全業種
6クレジットカードで備品購入消耗品費 30,000未払金 30,000IT・フリーランス
7クライアントに請求書を発行売掛金 500,000売上 500,000IT・建設
8銀行から融資を受けた普通預金 3,000,000長期借入金 3,000,000建設・飲食(開業時)
9パソコン(20万円)を購入工具器具備品 200,000普通預金 200,000IT・全業種
10従業員が立替えた経費を精算旅費交通費 5,000未払金 5,000全業種

※消費税の仕訳は税込経理方式で記載。税抜経理方式の場合は仮払消費税・仮受消費税を使用します。

勘定科目の全一覧や設定のコツについては、「勘定科目一覧と設定のポイント|業種別テンプレート付き」で詳しく解説しています。

⚠️ 注意

仕訳#4(給料の支払い)では、源泉所得税や社会保険料の天引き分を「預り金」として別に処理する必要があります。「給料30万円を振り込んだから、借方30万/貸方30万」とすると、源泉徴収の記録が漏れてしまいます。これは税務調査で指摘を受けやすいポイントです。

売上原価の計算方法と仕訳|期首・期末の棚卸しを理解する

売上原価とは、「売れた商品の原価」のことです。仕入れた金額がそのまま売上原価になるわけではなく、期首の在庫と期末の在庫を考慮して計算します。

売上原価の計算式

売上原価の計算式は次のとおりです。

売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期仕入高 − 期末商品棚卸高

売上原価の仕訳(三分法)

多くの中小企業が採用する「三分法」では、期末に以下の決算整理仕訳を行います。

タイミング 借方 貸方 意味
①期首在庫の振替仕入 200,000繰越商品 200,000前期から持ち越した在庫を仕入に含める
②期末在庫の振替繰越商品 150,000仕入 150,000売れ残った在庫を仕入から差し引く

この仕訳を「しーくりくりしー(仕入/繰越商品、繰越商品/仕入)」と覚えるのが簿記の定番です。

💡 実務のポイント

飲食店や小売業で棚卸しの仕訳漏れがあると、売上原価が正しく計算されず、利益額がズレます。税務調査では棚卸しの正確性が重点的にチェックされるポイントです。期末に実地棚卸を行い、棚卸表を必ず保存しておきましょう。

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帳簿の種類と役割|仕訳帳と総勘定元帳の違い

複式簿記で使う帳簿は大きく「主要簿」と「補助簿」に分かれます。

主要簿:仕訳帳と総勘定元帳

帳簿名 役割 記録の順序 会計ソフトでの扱い
仕訳帳全取引を日付順に記録する帳簿日付順(時系列)仕訳入力画面が該当
総勘定元帳勘定科目ごとに仕訳を集計する帳簿勘定科目別自動生成される

仕訳帳は取引の「日記」、総勘定元帳は取引の「カテゴリ別まとめ」と考えるとイメージしやすいでしょう。

補助簿の種類と用途

補助簿は主要簿を補足するための帳簿です。法律上の作成義務はありませんが、実務では以下の帳簿を作成しておくと管理がスムーズになります。

補助簿の名称 記録する内容 特に必要な業種
現金出納帳現金の入出金を日付順に記録飲食・小売(現金取引が多い)
預金出納帳銀行口座ごとの入出金を記録全業種
売掛金元帳取引先ごとの売掛金残高を管理IT・建設(掛取引が多い)
買掛金元帳取引先ごとの買掛金残高を管理小売・製造
固定資産台帳固定資産の取得価額・減価償却額を記録全業種(資産がある場合)

帳簿の保存期間については、「帳簿の保存期間と保存方法|電子帳簿保存法対応ガイド」で詳しく解説しています。

簿記の全体フロー|取引発生から決算書完成までの7ステップ

簿記の作業は、取引の発生から決算書の作成まで、以下の7ステップで進みます。

ステップ 作業内容 使う帳簿・書類 会計ソフトの自動化度
① 取引発生請求書・領収書・通帳を確認証憑書類自動取込(銀行API連携)
② 仕訳取引を借方・貸方に分ける仕訳帳AIが自動仕訳を提案
③ 転記仕訳帳から科目別に分ける総勘定元帳完全自動
④ 試算表作成借方・貸方の合計を確認合計残高試算表完全自動
⑤ 決算整理減価償却・棚卸し・未払計上決算整理仕訳一部手動(要判断)
⑥ 精算表作成決算整理後の残高を確定精算表完全自動
⑦ 決算書作成B/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)を出力財務諸表完全自動

ご覧のとおり、現在の会計ソフトでは③〜④と⑥〜⑦は完全自動で処理されます。経営者が本当に理解すべきなのは②の仕訳と⑤の決算整理です。

なお、発生主義と現金主義の違いについては、「発生主義と現金主義の違い|中小企業が採用すべき会計基準」をご覧ください。

貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)のしくみ

簿記の最終的なゴールは、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)という2つの決算書を作成することです。

貸借対照表(B/S)のしくみ

貸借対照表は、ある時点(決算日)の「資産・負債・純資産」の残高を一覧にした書類です。左側(借方)に資産、右側(貸方)に負債と純資産を記載し、左右の合計が必ず一致します。

借方(左)= 資産 貸方(右)= 負債 + 純資産
現金・預金 500万円買掛金 100万円
売掛金 200万円借入金 300万円
建物 300万円資本金 500万円
合計 1,000万円利益剰余金 100万円
合計 1,000万円

損益計算書(P/L)のしくみ

損益計算書は、一定期間(事業年度)の「収益と費用」を記載し、その差額として利益(または損失)を示す書類です。

借方(左)= 費用 貸方(右)= 収益
売上原価 400万円売上 1,000万円
給料手当 200万円受取利息 5万円
地代家賃 100万円
当期純利益 305万円
合計 1,005万円合計 1,005万円

📊 公認会計士の視点

B/SとP/Lは「つながっている」と意識してください。P/Lで計算された当期純利益は、B/Sの利益剰余金に加算されます。つまり「1年間の成績表(P/L)が会社の健康診断書(B/S)を更新する」関係です。銀行は融資審査でB/SとP/Lの両方を見ますから、日々の仕訳の正確さが資金調達力に直結します。

会計ソフト3社の比較|freee・マネーフォワード・弥生

現在の経理業務では、会計ソフトを使わずに手書きで簿記を行うメリットはほとんどありません。主要3社の特徴を比較します。

比較項目 freee マネーフォワード 弥生会計
仕訳の入力方式取引ベース(簿記の知識不要)仕訳ベース(伝統的な方式)仕訳ベース(伝統的な方式)
簿記知識の必要度低い(初心者向け)やや必要やや必要
銀行口座連携○(自動取込+AI仕訳提案)○(自動取込+AI仕訳提案)○(スマート取引取込)
税理士との連携○(アドバイザー制度あり)◎(税理士利用率が高い)◎(会計事務所利用率1位)
個人事業主向け◎(やよいの青色申告)
法人向け
向いている人簿記の知識ゼロで始めたい人給与・経費・請求を一元管理したい人税理士に顧問を依頼している人

※各社の料金プランやサービス内容は変更される場合があります。最新情報は各社の公式サイトをご確認ください。

💡 実務のポイント

税理士に記帳代行や決算を依頼する場合は、「税理士が使っているソフトに合わせる」のが最も効率的です。鮎澤パートナーズでは、3社いずれのソフトにも対応していますが、法人のお客様にはマネーフォワードまたは弥生をおすすめするケースが多いです。税理士との連携機能が充実しており、月次のデータ共有がスムーズだからです。

立替経費の精算方法と仕訳

従業員が立て替えた経費を会社が精算する場面は、どの業種でも日常的に発生します。仕訳の方法を正しく理解しておきましょう。

立替発生時の仕訳

従業員Aさんが取引先への電車代1,200円を自腹で立て替えた場合、会社側の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
旅費交通費 1,200未払金 1,200

精算時の仕訳

月末にまとめてAさんに精算金を振り込んだ場合の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
未払金 1,200普通預金 1,200

⚠️ 注意

立替経費の精算漏れは、未払金が膨らむ原因になります。実務では「月末締め翌月10日精算」などルールを決めて運用しましょう。また、経費精算にはレシートまたは領収書の原本保存が必要です(電子帳簿保存法の要件を満たせばスマホ撮影でもOK)。

簿記で失敗しないための5つのチェックリスト

経理初心者がやりがちなミスをチェックリスト形式でまとめました。月末・年末に確認してください。

# チェック項目 具体的な確認方法 頻度
1残高が合っているか帳簿上の預金残高と通帳の残高を照合毎月
2借方と貸方が一致しているか試算表の合計借方=合計貸方を確認毎月
3勘定科目の選択は正しいか似た科目(交際費と会議費等)の使い分けを確認仕訳のたび
4領収書・請求書は揃っているか証憑が欠けている取引がないか月次で棚卸し毎月
5消費税の課税区分は正しいか課税/非課税/不課税/免税の4区分を確認仕訳のたび

💡 実務のポイント

年間100社以上の決算に携わっていますが、チェック項目3の「勘定科目の選択ミス」が最も多いです。特に交際費と会議費の境界線を曖昧にしていると、税務調査で指摘されるリスクがあります。1人あたり5,000円以下の飲食代は会議費として損金算入できますが、金額だけでなく「会議の事実」も必要ですので、参加者名と議題をメモしておきましょう。

よくある質問(FAQ)

簿記の知識がまったくなくても、会計ソフトを使えば帳簿を作れますか?
はい、現在の会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生)は、銀行口座やクレジットカードとの自動連携により、取引データを自動取込してAIが仕訳を提案してくれます。ただし、仕訳の提案が正しいかを判断するためには「借方と貸方」「5つのグループ」の基本知識は持っておくべきです。判断に迷う場合は税理士に月次でチェックしてもらうと安心です。
複式簿記を使わないとどんなデメリットがありますか?
個人事業主の場合、青色申告特別控除が最大10万円に制限されます。複式簿記なら最大65万円(e-Tax利用時)の控除が受けられるため、差額の55万円×税率分だけ税金が増えることになります。また、貸借対照表が作れないため、銀行融資の審査で不利になる可能性があります。
借方と貸方を間違えて仕訳した場合、どう修正すればよいですか?
会計ソフトを使っている場合は、該当の仕訳を直接修正すれば問題ありません。手書き帳簿の場合は、誤りの仕訳を「逆仕訳」で取り消してから正しい仕訳を追記します(赤字訂正法)。いずれの場合も、誤りを放置して決算をまたぐと修正が大変になるため、できるだけ早く訂正しましょう。
仕訳帳と総勘定元帳は両方作る必要がありますか?
はい、所得税法上は仕訳帳と総勘定元帳の2つが「主要簿」として作成・保存が必要です。ただし、会計ソフトを使っていれば仕訳を入力すると総勘定元帳が自動生成されるため、別途手作業で作成する必要はありません。保存期間は個人の場合7年間(法人は10年間)です。
簿記3級を取得した方がよいですか?
経営者自身が必ずしも取得する必要はありませんが、日商簿記3級レベルの知識があると、会計ソフトが提案する仕訳の正誤を判断できるようになります。勉強時間の目安は100〜150時間で、テキストとネットの解説動画を併用すれば独学でも合格可能です。
売上原価の計算で「期末棚卸高」はどうやって把握すればいいですか?
期末に「実地棚卸」を行い、実際に数えた在庫数量×仕入単価で計算します。飲食店なら食材、小売業なら商品在庫が対象です。棚卸表を作成して日付・品名・数量・単価・金額を記録し、7年間保存する義務があります。
立替経費の精算に期限はありますか?
法律上の期限はありませんが、実務では「月末締め翌月精算」が一般的です。長期間精算しないと未払金が膨らんで管理が煩雑になりますし、税務調査で「本当に事業用の支出か?」と疑われるリスクもあります。社内規定で精算ルールを明文化しておきましょう。
簿記を税理士に丸投げしてもいいですか?
記帳代行として税理士に任せることは可能です。ただし、経営判断を行うには自社の数字を理解することが不可欠です。少なくとも月次の試算表を読めるレベルの知識は身につけておくことをおすすめします。「丸投げ」と「任せつつ理解する」は大きく違います。
帳簿の保存は紙でなくても大丈夫ですか?
電子帳簿保存法の要件を満たせば、電子データでの保存が認められています。会計ソフトのクラウドデータや、スマホで撮影した領収書画像も有効です。ただし、タイムスタンプや検索要件などの条件がありますので、詳しくは「帳簿の保存期間と保存方法」をご覧ください。
個人事業主が白色申告から青色申告に変更する場合、簿記の何が変わりますか?
青色申告で65万円控除を受けるには、単式簿記から複式簿記に切り替えて仕訳帳・総勘定元帳を作成し、貸借対照表を確定申告書に添付する必要があります。変更するには「所得税の青色申告承認申請書」をその年の3月15日まで(新規開業の場合は開業から2ヶ月以内)に税務署に提出します。

参考: 国税庁「青色申告制度」

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 簿記は「取引を帳簿に記録して決算書を作る技術」。全事業者に記帳義務がある
  • 複式簿記は1つの取引を借方(左)と貸方(右)の2面から記録する方式
  • 仕訳の基本は「5グループ×増減」の判定マトリクスを覚えること
  • 個人事業主は複式簿記で青色申告すれば最大65万円の特別控除が受けられる
  • 法人は会社法で複式簿記が義務。融資審査にも貸借対照表が必須
  • 会計ソフトを使えば転記~決算書作成は自動化。経営者が理解すべきは仕訳と決算整理
  • 勘定科目の選択ミスが最も多い経理ミス。迷ったら税理士に確認を

簿記の基礎を理解したら、次のステップとして勘定科目の設定を整備しましょう。業種別のおすすめ勘定科目については、「勘定科目一覧と設定のポイント|業種別テンプレート付き」をご覧ください。

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