【税理士×行政書士が解説】小規模事業者持続化補助金の概要と申請方法|対象者・補助額・採択のコツ

【税理士×行政書士が解説】小規模事業者持続化補助金の概要と申請方法|対象者・補助額・採択のコツ
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

小規模事業者持続化補助金の概要と申請方法|対象者・補助額・採択のコツ

「持続化補助金って聞いたことはあるけど、自分は対象になるの?」「どうやって申請すればいいの?」という経営者・個人事業主に向けて、5類型の違い・対象者要件・補助額・申請方法8ステップ・採択率を上げるコツを完全ガイドします。この記事を読めば、初めてでも自信を持って申請できるようになります。

🏆 結論:従業員20人以下なら申請可能。採択のカギは「経営計画書」と「加点項目」

小規模事業者持続化補助金は、従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際に、最大250万円(通常枠50万円+特例で上乗せ)の補助を受けられる制度です。補助率は2/3。採択率は40〜55%で、経営計画書(様式2)の質と加点項目の積み上げが合否を分けます。

小規模事業者持続化補助金とは?制度の基本

制度の概要

小規模事業者持続化補助金(通称「持続化補助金」)は、中小企業基本法第2条第5項に定義される小規模事業者が、経営計画に基づいて行う販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する補助金です。2014年にスタートし、中小企業向け補助金の中で最も申請件数が多い人気の制度です。

補助金の申請にあたっては、事業所の所在する地域の商工会議所(または商工会)の支援を受けながら経営計画を策定し、「事業支援計画書(様式4)」の発行を受ける必要があります。

対象者の要件

要件 内容
業種(従業員数)商業・サービス業(宿泊・娯楽除く):5人以下 / サービス業(宿泊・娯楽):20人以下 / 製造業その他:20人以下
法人形態個人事業主・株式会社・合同会社・NPO法人等(医療法人・社会福祉法人は対象外)
商工会議所の管轄事業所の所在地の商工会議所(または商工会)から様式4の発行を受けられること
その他過去に採択された場合は「事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」の提出済みであること

💡 実務のポイント

「従業員数」は常時使用する従業員の数であり、パート・アルバイトでも週の所定労働時間が正社員のおおむね3/4以上であれば「常時使用する従業員」にカウントされます。逆に、役員や臨時の従業員は含まれません。実務では、この従業員数の数え方を誤って申請資格を失うケースがあるので注意してください。

5つの類型と補助額【横断比較マトリクス】

類型ごとの違い

持続化補助金は、2026年度は以下の5類型で運営されています。自社の状況に合った類型を選んで申請します。

類型 対象者 補助上限額 補助率 特徴
一般型(通常枠)全小規模事業者50万円(特例で最大250万円)2/3最も申請数が多い基本類型
創業型創業後1年以内200万円(特例で最大250万円)2/3創業準備中でも申請可能
共同・協業型複数事業者の共同事業5,000万円2/3商店街等の複数事業者が連携
ビジネスコミュニティ型グループ連携事業者50万円/者(グループ上限あり)2/3異業種グループでの連携事業
災害支援枠被災事業者100〜200万円2/3〜定額第9次で原則終了、通常枠で優先採択

補助上限額を引き上げる特例一覧

一般型(通常枠)の補助上限額は50万円ですが、以下の特例を活用することで上限額を引き上げることができます。

特例 上乗せ額 要件
賃金引上げ特例+150万円(合計200万円)事業場内最低賃金を地域最賃+30円以上に引き上げ
インボイス特例+50万円免税事業者からインボイス発行事業者に転換

※賃金引上げ特例+インボイス特例の併用で最大250万円。特例は公募回により変更される場合があります。

参考: 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」 / ミラサポplus

補助対象経費と業種別の活用パターン

補助対象となる経費11区分

持続化補助金で使える経費は以下の11区分に限定されています。「販路開拓」に関連する経費が中心であり、人件費や家賃など通常の運転資金は対象外です。

経費区分 具体例 注意点
機械装置等費製造機械、冷蔵庫、POSレジ汎用PCは原則対象外
広報費チラシ、パンフレット、看板試作品のサンプルは含まない
ウェブサイト関連費HP制作、ECサイト構築、SNS広告補助金総額の1/4が上限
展示会等出展費出展料、ブース装飾費オンライン展示会も対象
旅費販路開拓のための出張費グリーン車は対象外
新商品開発費試作品の原材料費、金型代
借料機器のリース料、イベント会場費既存店舗の家賃は対象外
設備処分費既存設備の撤去・処分費補助対象経費総額の1/2が上限
委託・外注費店舗改装、デザイン外注
車両購入費移動販売車、配送車買物弱者対策等に限定
修繕費店舗の修繕(バリアフリー化等)

業種別の補助金活用パターン

業種 活用パターン 経費区分 金額目安
飲食店テイクアウト対応の厨房設備+メニュー表リニューアル機械装置等費+広報費60万円
小売店ECサイト構築+SNS広告ウェブサイト関連費50万円
美容室予約システム導入+HP制作+チラシ配布機械装置等費+ウェブ+広報費75万円
建設業展示会出展+会社案内パンフレット+施工事例HP展示会費+広報費+ウェブ費70万円
コンサルタントセミナー開催+オンライン講座プラットフォーム構築借料+ウェブサイト関連費50万円

⚠️ 注意

ウェブサイト関連費は補助金総額の1/4が上限です。たとえば通常枠(上限50万円)の場合、ウェブサイト関連費だけで申請するとHPに12.5万円しか使えません。ウェブサイト制作を主目的にする場合は、機械装置等費や広報費と組み合わせて補助金総額を大きくする設計が必要です。

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申請方法【8ステップのタイムライン】

申請の全体フロー

持続化補助金の申請は、全部で8つのステップに分けられます。特に重要なのは、商工会議所から「事業支援計画書(様式4)」の発行を受けることで、これが実質的な第一関門です。

ステップ 内容 所要期間 ポイント
1GビズIDプライムの取得1〜2週間電子申請に必須。公募前に取得しておく
2商工会議所への相談1〜2週間経営計画の方向性を相談し、助言を受ける
3経営計画書(様式2)の作成2〜3週間審査の核心。数値と根拠を具体的に記載
4事業支援計画書(様式4)の発行依頼1〜2週間締切の2週間前が発行受付期限
5必要書類の準備1週間確定申告書・開業届等の添付書類を整備
6Jグランツで電子申請1〜3日締切直前はアクセス集中。余裕を持って
7審査・採択発表2〜3ヶ月採択結果は事務局HPで公表
8交付決定・補助事業の実施・実績報告6〜12ヶ月交付決定前の支出は補助対象外

💡 実務のポイント

最も多い失敗は「交付決定前に設備を発注してしまう」ことです。採択通知が届いても、交付決定通知が届くまでは発注・契約・支払いを一切行ってはいけません。交付決定前の支出は全て補助対象外となり、後から遡って請求することもできません。年間多くの申請を支援してきましたが、この点は繰り返しお伝えしています。

採択される経営計画書(様式2)の書き方

審査基準に沿った記載のポイント

持続化補助金の採択可否は、経営計画書(様式2)と補助事業計画書(様式3)の内容で決まります。審査の観点は公募要領に明記されており、以下の項目に沿って計画書を作成することが重要です。

審査の観点 記載すべき内容 NGの例
自社の経営状況売上・利益の推移、顧客層、強みと弱み「飲食店を経営しています」だけ
市場・顧客ニーズターゲット顧客の属性、商圏の人口動態「多くの人に利用されている」
補助事業の有効性この取り組みで売上がどう変わるかを数値で示す「売上アップを目指す」(数値なし)
実現可能性スケジュール、実施体制、必要経費の根拠「がんばります」
創意工夫自社の強みを活かした独自の取り組み「HPを作る」だけ(独自性なし)

📊 公認会計士の視点

経営計画書に記載する売上予測は、確定申告書・決算書の過去実績と整合している必要があります。たとえば過去3年間の売上が毎年横ばい1,000万円なのに、補助事業後は1,500万円(50%増)と書くと、審査員は「なぜそんなに増えるのか」と疑問を持ちます。増加分の根拠(客単価UP×新規顧客数の積み上げ計算)を必ず数値で示してください。

補助金の事業計画書の書き方全般については「補助金申請を通すコツ|採択される事業計画書の書き方と加点項目の攻略法」で詳しく解説しています。

加点項目の全種と攻略法

持続化補助金の加点項目一覧

持続化補助金には複数の加点項目があり、これらを満たすことで審査で有利になります。加点項目が1つもない場合と3つある場合では、採択率に大きな差が出ます。

加点項目 取得方法 取得難易度
賃金引上げ加点事業場内最低賃金を地域最賃+50円以上に引き上げ★☆☆(従業員がいれば容易)
赤字賃上げ加点赤字事業者が賃金引上げ特例に申請★☆☆(該当すれば自動適用)
事業継続力強化計画の認定経済産業局に計画を申請し認定を受ける★★☆(30〜45日必要)
パートナーシップ構築宣言ポータルサイトで宣言を公表★☆☆(オンラインで即日可)
事業環境変化加点原油高騰・原材料高騰の影響を申告★☆☆(該当すれば記載のみ)

📝 行政書士の視点

「事業継続力強化計画」は中小企業等経営強化法第56条に基づく計画で、自然災害等への防災・減災対策を示すものです。認定を受けると持続化補助金の加点に加え、税制優遇(防災・減災設備の特別償却20%)も受けられます。申請は経済産業局への郵送またはe-Gov電子申請で行います。認定まで30〜45日かかるため、公募開始前に準備を進めてください。

補助金受取後の会計処理と税務

補助金の仕訳と指定寄附金の違い

持続化補助金を受け取った場合の会計処理は、法人と個人事業主で若干異なります。いずれの場合も補助金は課税対象の収入となります。

項目 法人 個人事業主
勘定科目雑収入(益金算入)事業所得の総収入金額
消費税不課税(消費税法基本通達5-2-15)不課税(同左)
圧縮記帳法人税法第42条により適用可能所得税法第42条により適用可能

なお、補助金と寄附金は異なる概念です。法人税法第37条に定める寄附金は法人が支出するものであり、国や地方公共団体への指定寄附金(法人税法第37条第3項第1号)は全額損金算入が可能ですが、補助金は「受け取る側」の処理であるためまったく別の論点です。

補助金・助成金の全体像と他の制度との比較については「中小企業向け補助金・助成金一覧」をご覧ください。資金調達全体の戦略については「中小企業の資金調達の全体像」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

商工会議所の会員でなくても申請できますか?
はい、商工会議所の会員でなくても申請可能です。ただし、事業支援計画書(様式4)の発行は商工会議所(または商工会)の窓口で行うため、事業所の所在地を管轄する商工会議所に相談する必要があります。会員でなくても無料で相談を受けられます。
持続化補助金は何回でも申請できますか?
不採択であれば次の公募回で再申請できます。過去に採択されて補助事業を完了した場合でも、「事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を提出済みであれば再申請が可能です。ただし、前回の補助事業と全く同じ内容での再申請は認められません。
ウェブサイト制作だけで申請できますか?
ウェブサイト関連費のみでの申請は可能ですが、補助金総額の1/4が上限であるため、通常枠(上限50万円)の場合は12.5万円までしか使えません。HPの制作費が50万円かかる場合は、広報費(チラシ制作)や機械装置等費(POSレジ導入)を組み合わせて補助金総額を大きくする設計がおすすめです。
申請から補助金の受取りまでどのくらいかかりますか?
申請から補助金の振込みまで、最短で8〜10ヶ月程度です。内訳は、申請締切→採択発表(2〜3ヶ月)→交付決定→補助事業実施期間(6〜12ヶ月)→実績報告→補助金振込(1〜3ヶ月)です。補助金は後払いのため、事業費は先に自己資金で立て替える必要があります。
インボイス特例とは何ですか?
免税事業者がインボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)に転換した場合に、補助上限額が50万円上乗せされる特例です。消費税法第57条の2に基づくインボイス登録を行い、申請時に登録番号を記載することで適用されます。
法人化していない個人事業主でも申請できますか?
はい、個人事業主は持続化補助金の主要な対象者です。むしろ個人事業主の申請比率は非常に高く、持続化補助金は「初めての補助金申請」に最も適した制度です。申請には確定申告書の写しと開業届の写しが必要です。
採択率はどのくらいですか?
公募回により変動しますが、通常枠の採択率はおおむね40〜55%程度です。第17回公募では約51%でした。加点項目を複数取得し、経営計画書を審査基準に沿って丁寧に作成すれば、採択率は大幅に上がります。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 持続化補助金は従業員20人以下(商業・サービス業5人以下)の小規模事業者が対象
  • 5類型(通常枠・創業型・共同協業型・ビジネスコミュニティ型・災害支援枠)から自社に合った類型を選択
  • 通常枠50万円+賃金引上げ特例150万円+インボイス特例50万円で最大250万円
  • 申請には商工会議所の「事業支援計画書(様式4)」が必須。締切の2週間前が発行受付期限
  • 採択のカギは経営計画書(様式2)。審査基準に沿った数値・根拠・独自性が必要
  • 加点項目(賃上げ・事業継続力強化計画・パートナーシップ構築宣言等)で採択率を上げる
  • 交付決定前の発注・支払いは全て補助対象外。スケジュール管理を徹底する

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