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法人税の別表とは|主要な別表の種類と書き方
法人税の別表は、申告書(別表1)・所得計算明細(別表4)・利益積立金明細(別表5)・税額計算明細など、所得と税額を法的に計算するための明細書群です。本記事では、中小法人が実際に使う9枚の代表的別表(別表1・2・4・5(1)・5(2)・7(1)・15・16(6)等)の役割と書き方、効率的な作成順序、別表間の連動関係を、税理士・公認会計士の実務目線で完全解説します。
🏆 結論:中小法人が使う別表は9枚、作成順序は別表2→15→16→5(2)①→5(1)①→4①→7→1の流れ
法人税の別表は全部で18種類(付表含め300以上の様式)ありますが、通常の中小法人で実際に使うのは9枚程度に絞れます。基本セットは別表1(申告書)・別表2(同族会社判定)・別表4(所得計算)・別表5(1)(利益積立金)・別表5(2)(租税公課)・別表7(1)(欠損金繰越)・別表15(交際費)・別表16(1)(2)(7)(減価償却)。最重要は別表4で、決算書の当期純利益から加算・減算で税務上の所得を算出します。別表5(1)は税務上の純資産管理、別表5(2)は租税公課の納付状況管理で、両者は別表4と密接に連動します。実務上、作成順序を間違えると数値整合性が崩れるため、別表2→別表15→別表16系→別表5(2)→別表5(1)→別表4→別表7→別表1の順で進めるのが定石です。
法人税の別表とは|申告書を構成する明細書群
法人税の別表とは、法人税申告書を構成する各種の明細書のことで、所得金額・税額の計算根拠を法的に証明する書類です。「別表1」が申告書本体、「別表2〜18」が計算明細書という位置付けになります。
別表の数と種類
| 区分 | 種類 | 概要 |
|---|---|---|
| 本表 | 別表1〜18 | 主要な計算明細書 |
| 付表 | 各別表の付表(数十種類) | 本表で書き切れない詳細明細 |
| 次葉 | 別表1次葉・別表4次葉等 | 本表のページ追加分 |
| 付属書類 | 決算書・内訳明細書等 | 別表とは別の添付書類 |
別表の役割
別表は単なる「書類」ではなく、法人税の所得・税額計算の法的根拠を示す重要な書類です。税務調査では別表を出発点として調査が行われ、別表の不備は申告内容自体の不備とみなされます。
💡 実務のポイント
300以上の別表様式すべてを覚える必要はありません。実務では「中小法人で使う9枚」「特定取引がある場合の追加5〜10枚」を理解すれば、ほぼすべての中小法人の申告に対応できます。税務申告ソフト(達人シリーズ・JDLシリーズ・freee申告等)を使えば、必要な別表が自動選別され、別表間の数値リンクも自動化されるため、手書きでは現実的に困難な複雑な別表作成も標準化できます。
中小法人が使う9枚の基本別表
通常の中小法人(資本金1億円以下・特殊取引なし)で、ほぼすべての申告で使われる基本セットを整理します。
中小法人の必須9枚
| 別表 | 名称(略称) | 役割 |
|---|---|---|
| 別表1 | 申告書(本体) | 最終的な所得金額・税額の集約 |
| 別表1次葉 | 申告書次葉 | 税率適用区分の詳細 |
| 別表2 | 同族会社判定 | 同族・特定同族の判定 |
| 別表4 | 所得計算 | 税務調整の中核(加算・減算) |
| 別表5(1) | 利益積立金額 | 税務上の純資産管理 |
| 別表5(2) | 租税公課納付状況 | 法人税・住民税・事業税の動き |
| 別表7(1) | 欠損金繰越 | 過年度赤字の繰越管理 |
| 別表15 | 交際費等 | 交際費の損金算入限度額計算 |
| 別表16(6) | 繰延資産 | 創立費・開業費等の償却 |
取引別の追加別表
上記9枚に加えて、自社の取引内容に応じて以下の別表を追加で提出します。
| 取引・状況 | 追加別表 |
|---|---|
| 受取利息・配当がある | 別表6(1)所得税額控除・別表8(1)受取配当益金不算入 |
| 減価償却資産あり | 別表16(1)定額法・別表16(2)定率法 |
| 少額減価償却資産特例適用 | 別表16(7)少額減価償却資産 |
| 一括償却資産 | 別表16(8)一括償却資産 |
| 貸倒引当金の計上 | 別表11(1)個別評価・別表11(1の2)一括評価 |
| 研究開発費の税額控除 | 別表6(6)〜試験研究費の特別控除 |
| 賃上げ促進税制適用 | 別表6(24)等 |
| 寄付金の支出 | 別表14(2)寄付金損金不算入 |
効率的な作成順序|9つのステップ
別表の作成は順序が重要で、各別表の数値が他の別表に転記される連動関係があります。効率的な作成順序を理解することで、申告書作成の品質と速度が大きく向上します。
中小法人の基本作成順序
📢 別表の作成順序フロー
STEP1: 別表2(同族会社判定)→ 同族会社か否かを確定
STEP2: 別表15(交際費)→ 交際費損金不算入額を確定
STEP3: 別表16(1)・(2)・(6)・(7)・(8)(減価償却関連)→ 償却超過額を確定
STEP4: 別表5(2)第1段階 → 期首から期中までの租税公課納付を集計
STEP5: 別表5(1)第1段階 → 期首から期中までの利益積立金を集計
STEP6: 別表4第1段階 → 当期純利益から加算・減算で所得を仮計算
STEP7: 別表7(1)→ 繰越欠損金の損金算入を計算
STEP8: 別表1次葉・別表1 → 法人税額を計算
STEP9: 別表5(2)・別表5(1)・別表4を第2段階で確定 → 申告書全体を完成
⚠️ 鶏と卵の問題
法人税申告書作成には「法人税額を計算するためには所得が必要だが、所得を確定するためには法人税額の租税公課納付が必要」というジレンマがあります。これを解決するため、別表5(2)→別表5(1)→別表4を「第1段階」で仮計算し、別表1で税額確定後、再度「第2段階」で確定する2段階アプローチが標準です。税務申告ソフトは自動的にこれを処理しますが、手書きでは循環参照に注意が必要です。
別表4の書き方|所得計算の中核
別表4は「所得の金額の計算に関する明細書」で、法人税申告書の中で最重要の別表です。決算書の当期純利益(=会計上の利益)を、税務調整の加算・減算によって税務上の所得金額(=課税対象)に変換します。
別表4の基本構造
| 区分 | 記載内容 |
|---|---|
| ①当期利益又は当期欠損の額 | 損益計算書の当期純利益(または当期純損失) |
| ②加算項目 | 損金不算入額・益金算入額の合計 |
| ③減算項目 | 損金算入額・益金不算入額の合計 |
| ④仮計 | ①+②−③ |
| ⑤調整項目 | 所得税額控除・外国税額控除等の追加調整 |
| ⑥差引計 | ④+⑤(調整後) |
| ⑦繰越欠損金等の控除 | 別表7(1)で計算した損金算入額 |
| ⑧所得金額 | ⑥−⑦(最終的な税務上の所得金額) |
主な加算項目
| 項目 | 転記元の別表 |
|---|---|
| 損金経理をした法人税・住民税 | 別表5(2) |
| 交際費等の損金不算入額 | 別表15 |
| 減価償却の償却超過額 | 別表16(1)・(2) |
| 役員給与の損金不算入額 | 明細 |
| 寄付金の損金不算入額 | 別表14(2) |
| 納税充当金から支出した事業税等の額 | 別表5(2) |
主な減算項目
| 項目 | 転記元の別表 |
|---|---|
| 受取配当等の益金不算入額 | 別表8(1) |
| 減価償却超過額の当期認容額 | 別表16(1)・(2) |
| 納税充当金から支出した事業税等の額 | 別表5(2) |
| 還付された法人税・住民税 | 別表5(2) |
| 繰越欠損金の損金算入額 | 別表7(1) |
🧮 別表4の記載例
【前提】中小法人・当期純利益500万円・交際費損金不算入100万円・減価償却超過額50万円・繰越欠損金200万円
①当期利益: 5,000,000円
②加算合計: 1,500,000円(交際費100万+償却超過50万)
③減算合計: 0円
④仮計: 6,500,000円
⑦繰越欠損金: 2,000,000円
⑧所得金額: 4,500,000円
この所得金額が別表1に転記され、法人税額の計算根拠となります。
別表5(1)・5(2)の書き方|連動する2枚
別表5(1)の構造
別表5(1)は「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」で、税務上の純資産(利益積立金額+資本金等)の動きを管理します。会計上の純資産とは異なり、税務調整による留保項目を含みます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 期首現在利益積立金額 | 前期末の確定値(前期申告の翌期繰越) |
| 当期中の増加・減少 | 別表4の留保項目を反映 |
| 差引翌期首現在利益積立金額 | 期末時点の確定値 |
| 資本金等の額 | 資本金+資本準備金+資本剰余金等 |
別表5(2)の構造
別表5(2)は「租税公課の納付状況等に関する明細書」で、法人税・住民税・事業税の確定額・中間納付額・還付額の動きを管理します。
| 税目 | 記載内容 |
|---|---|
| 法人税 | 前期確定分・当期中間分・当期確定分の納付状況 |
| 道府県民税・市町村民税 | 同上(地方法人税含む) |
| 事業税 | 同上(損金算入) |
| 利子税・延滞税 | 納付状況 |
| 納税充当金の計算 | 未払法人税等の動き |
別表4・5(1)・5(2)の連動関係
💡 3表の連動関係
①別表5(2)で確定した「損金経理をした法人税・住民税」「納税充当金から支出した事業税等」は別表4の加算・減算に反映
②別表4の「留保項目」の合計は別表5(1)の「当期増減欄」に転記
③別表5(1)の翌期繰越額は会計上の純資産との差(税効果)を生み、別表5(2)の納税充当金と一致
この3表の整合性が法人税申告の品質の指標で、税理士の重要な確認ポイントです。整合しないとすべての申告がやり直しになるため、税務申告ソフトの自動チェック機能の活用が不可欠です。
AYUSAWA PARTNERS
法人税申告書・別表作成のご相談は鮎澤パートナーズへ
公認会計士・税理士の代表が、記帳代行から決算・税務申告・年末調整まで一括で直接対応します。初回相談無料。
鮎澤パートナーズに相談する別表15の書き方|交際費等の損金算入限度額
別表15は「交際費等の損金算入に関する明細書」で、交際費・接待飲食費・会議費・福利厚生費等の処理結果を整理し、損金不算入額を算出します。
中小法人の交際費損金算入特例
| 中小法人(資本金1億円以下)の選択肢 | 内容 |
|---|---|
| A: 定額控除限度額 | 年800万円まで損金算入可 |
| B: 接待飲食費50%控除 | 接待飲食費の50%を損金算入可 |
| どちらか有利な方を選択 | 通常は定額控除800万円が有利 |
大法人(資本金1億円超)の取扱い
資本金1億円超の大法人は、接待飲食費の50%控除のみ適用可能で、定額控除800万円は使えません(資本金100億円超は接待飲食費も全額損金不算入)。
別表16の書き方|減価償却関連
別表16は「減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」で、減価償却の処理結果を法人税法上の限度額と比較し、超過額(損金不算入)または不足額(損金算入不足)を算出します。
別表16の主な様式
| 様式 | 対象 |
|---|---|
| 別表16(1) | 旧定額法・定額法による減価償却(建物・無形固定資産等) |
| 別表16(2) | 旧定率法・定率法による減価償却(機械装置・車両・備品等) |
| 別表16(6) | 繰延資産の償却(創立費・開業費・開発費・社債発行費等) |
| 別表16(7) | 少額減価償却資産(30万円未満)の損金算入 |
| 別表16(8) | 一括償却資産(20万円未満)の損金算入 |
別表1の書き方|最終的な税額計算
別表1は法人税申告書の本体で、別表4で算出した所得金額を基に法人税額・地方法人税額・差引納付すべき税額を計算します。
別表1の主要記載項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所得金額 | 別表4⑧から転記 |
| 法人税額 | 所得×税率(中小15%・大23.2%等) |
| 税額控除 | 所得税額控除・各種特別控除等 |
| 地方法人税額 | 法人税額×10.3% |
| 中間納付額の控除 | 中間申告で納付済みの税額 |
| 差引納付すべき税額 | 最終的に納付する税額 |
別表1次葉の役割
別表1次葉は別表1の補助書類で、軽減税率の適用区分(中小法人の年800万円以下の所得部分等)を詳細に計算します。複数税率が適用される場合に必要です。
よくある質問(FAQ)
まとめ
📋 この記事のポイント
- 法人税の別表は申告書を構成する明細書群(全300超の様式)
- 中小法人で実際に使う基本セットは9枚に絞れる
- 最重要は別表4(所得計算)、別表5(1)・5(2)と密接に連動
- 作成順序:別表2→15→16系→5(2)→5(1)→4→7→1の流れ
- 別表4の加算項目は決算書から税務上の所得への調整
- 留保項目は別表5(1)に転記、社外流出は転記しない
- 別表5(1)・5(2)の数値整合性が申告品質の指標
- 別表15:交際費の定額控除800万円(中小法人)
- 別表16:減価償却関連(定額法・定率法・繰延・少額・一括)
- 税務申告ソフトの活用で手書き作成のリスクを大幅軽減
🚀 次のアクション
- 自社で使う別表を9枚の基本セットからリストアップ
- 取引別の追加別表(減価償却・税額控除等)を確認
- 税務申告ソフトの導入を検討(達人・JDL・freee申告等)
- 別表4・5(1)・5(2)の連動関係を理解する
- e-Tax電子申告の利用環境を整える
- 判断に迷うケースは税理士に相談
法人税の別表作成は、法人税申告の品質を決定する最重要工程です。法人税の確定申告必要書類、法人の青色申告、法人決算の流れもあわせてご参照ください。別表の作成や数値整合性の確認でお困りの場合は、税理士にご相談いただくことを強くお勧めします。
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