【税理士監修】法人税の別表とは|主要別表の種類・書き方・作成順序の実務ハウツー

【税理士監修】法人税の別表とは|主要別表の種類・書き方・作成順序の実務ハウツー
鮎澤パートナーズ|公認会計士・税理士
公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)が監修。年間100社以上の法人決算・会社設立を支援。
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法人税の別表とは|主要な別表の種類と書き方

法人税の別表は、申告書(別表1)・所得計算明細(別表4)・利益積立金明細(別表5)・税額計算明細など、所得と税額を法的に計算するための明細書群です。本記事では、中小法人が実際に使う9枚の代表的別表(別表1・2・4・5(1)・5(2)・7(1)・15・16(6)等)の役割と書き方、効率的な作成順序、別表間の連動関係を、税理士・公認会計士の実務目線で完全解説します。

🏆 結論:中小法人が使う別表は9枚、作成順序は別表2→15→16→5(2)①→5(1)①→4①→7→1の流れ

法人税の別表は全部で18種類(付表含め300以上の様式)ありますが、通常の中小法人で実際に使うのは9枚程度に絞れます。基本セットは別表1(申告書)・別表2(同族会社判定)・別表4(所得計算)・別表5(1)(利益積立金)・別表5(2)(租税公課)・別表7(1)(欠損金繰越)・別表15(交際費)・別表16(1)(2)(7)(減価償却)。最重要は別表4で、決算書の当期純利益から加算・減算で税務上の所得を算出します。別表5(1)は税務上の純資産管理、別表5(2)は租税公課の納付状況管理で、両者は別表4と密接に連動します。実務上、作成順序を間違えると数値整合性が崩れるため、別表2→別表15→別表16系→別表5(2)→別表5(1)→別表4→別表7→別表1の順で進めるのが定石です。

法人税の別表とは|申告書を構成する明細書群

法人税の別表とは、法人税申告書を構成する各種の明細書のことで、所得金額・税額の計算根拠を法的に証明する書類です。「別表1」が申告書本体、「別表2〜18」が計算明細書という位置付けになります。

別表の数と種類

区分 種類 概要
本表別表1〜18主要な計算明細書
付表各別表の付表(数十種類)本表で書き切れない詳細明細
次葉別表1次葉・別表4次葉等本表のページ追加分
付属書類決算書・内訳明細書等別表とは別の添付書類

別表の役割

別表は単なる「書類」ではなく、法人税の所得・税額計算の法的根拠を示す重要な書類です。税務調査では別表を出発点として調査が行われ、別表の不備は申告内容自体の不備とみなされます。

💡 実務のポイント

300以上の別表様式すべてを覚える必要はありません。実務では「中小法人で使う9枚」「特定取引がある場合の追加5〜10枚」を理解すれば、ほぼすべての中小法人の申告に対応できます。税務申告ソフト(達人シリーズ・JDLシリーズ・freee申告等)を使えば、必要な別表が自動選別され、別表間の数値リンクも自動化されるため、手書きでは現実的に困難な複雑な別表作成も標準化できます。

中小法人が使う9枚の基本別表

通常の中小法人(資本金1億円以下・特殊取引なし)で、ほぼすべての申告で使われる基本セットを整理します。

中小法人の必須9枚

別表 名称(略称) 役割
別表1申告書(本体)最終的な所得金額・税額の集約
別表1次葉申告書次葉税率適用区分の詳細
別表2同族会社判定同族・特定同族の判定
別表4所得計算税務調整の中核(加算・減算)
別表5(1)利益積立金額税務上の純資産管理
別表5(2)租税公課納付状況法人税・住民税・事業税の動き
別表7(1)欠損金繰越過年度赤字の繰越管理
別表15交際費等交際費の損金算入限度額計算
別表16(6)繰延資産創立費・開業費等の償却

取引別の追加別表

上記9枚に加えて、自社の取引内容に応じて以下の別表を追加で提出します。

取引・状況 追加別表
受取利息・配当がある別表6(1)所得税額控除・別表8(1)受取配当益金不算入
減価償却資産あり別表16(1)定額法・別表16(2)定率法
少額減価償却資産特例適用別表16(7)少額減価償却資産
一括償却資産別表16(8)一括償却資産
貸倒引当金の計上別表11(1)個別評価・別表11(1の2)一括評価
研究開発費の税額控除別表6(6)〜試験研究費の特別控除
賃上げ促進税制適用別表6(24)等
寄付金の支出別表14(2)寄付金損金不算入

効率的な作成順序|9つのステップ

別表の作成は順序が重要で、各別表の数値が他の別表に転記される連動関係があります。効率的な作成順序を理解することで、申告書作成の品質と速度が大きく向上します。

中小法人の基本作成順序

📢 別表の作成順序フロー

STEP1: 別表2(同族会社判定)→ 同族会社か否かを確定
STEP2: 別表15(交際費)→ 交際費損金不算入額を確定
STEP3: 別表16(1)・(2)・(6)・(7)・(8)(減価償却関連)→ 償却超過額を確定
STEP4: 別表5(2)第1段階 → 期首から期中までの租税公課納付を集計
STEP5: 別表5(1)第1段階 → 期首から期中までの利益積立金を集計
STEP6: 別表4第1段階 → 当期純利益から加算・減算で所得を仮計算
STEP7: 別表7(1)→ 繰越欠損金の損金算入を計算
STEP8: 別表1次葉・別表1 → 法人税額を計算
STEP9: 別表5(2)・別表5(1)・別表4を第2段階で確定 → 申告書全体を完成

⚠️ 鶏と卵の問題

法人税申告書作成には「法人税額を計算するためには所得が必要だが、所得を確定するためには法人税額の租税公課納付が必要」というジレンマがあります。これを解決するため、別表5(2)→別表5(1)→別表4を「第1段階」で仮計算し、別表1で税額確定後、再度「第2段階」で確定する2段階アプローチが標準です。税務申告ソフトは自動的にこれを処理しますが、手書きでは循環参照に注意が必要です。

別表4の書き方|所得計算の中核

別表4は「所得の金額の計算に関する明細書」で、法人税申告書の中で最重要の別表です。決算書の当期純利益(=会計上の利益)を、税務調整の加算・減算によって税務上の所得金額(=課税対象)に変換します。

別表4の基本構造

区分 記載内容
①当期利益又は当期欠損の額損益計算書の当期純利益(または当期純損失)
②加算項目損金不算入額・益金算入額の合計
③減算項目損金算入額・益金不算入額の合計
④仮計①+②−③
⑤調整項目所得税額控除・外国税額控除等の追加調整
⑥差引計④+⑤(調整後)
⑦繰越欠損金等の控除別表7(1)で計算した損金算入額
⑧所得金額⑥−⑦(最終的な税務上の所得金額)

主な加算項目

項目 転記元の別表
損金経理をした法人税・住民税別表5(2)
交際費等の損金不算入額別表15
減価償却の償却超過額別表16(1)・(2)
役員給与の損金不算入額明細
寄付金の損金不算入額別表14(2)
納税充当金から支出した事業税等の額別表5(2)

主な減算項目

項目 転記元の別表
受取配当等の益金不算入額別表8(1)
減価償却超過額の当期認容額別表16(1)・(2)
納税充当金から支出した事業税等の額別表5(2)
還付された法人税・住民税別表5(2)
繰越欠損金の損金算入額別表7(1)

🧮 別表4の記載例

【前提】中小法人・当期純利益500万円・交際費損金不算入100万円・減価償却超過額50万円・繰越欠損金200万円

①当期利益: 5,000,000円
②加算合計: 1,500,000円(交際費100万+償却超過50万)
③減算合計: 0円
④仮計: 6,500,000円
⑦繰越欠損金: 2,000,000円
⑧所得金額: 4,500,000円

この所得金額が別表1に転記され、法人税額の計算根拠となります。

別表5(1)・5(2)の書き方|連動する2枚

別表5(1)の構造

別表5(1)は「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」で、税務上の純資産(利益積立金額+資本金等)の動きを管理します。会計上の純資産とは異なり、税務調整による留保項目を含みます。

区分 内容
期首現在利益積立金額前期末の確定値(前期申告の翌期繰越)
当期中の増加・減少別表4の留保項目を反映
差引翌期首現在利益積立金額期末時点の確定値
資本金等の額資本金+資本準備金+資本剰余金等

別表5(2)の構造

別表5(2)は「租税公課の納付状況等に関する明細書」で、法人税・住民税・事業税の確定額・中間納付額・還付額の動きを管理します。

税目 記載内容
法人税前期確定分・当期中間分・当期確定分の納付状況
道府県民税・市町村民税同上(地方法人税含む)
事業税同上(損金算入)
利子税・延滞税納付状況
納税充当金の計算未払法人税等の動き

別表4・5(1)・5(2)の連動関係

💡 3表の連動関係

①別表5(2)で確定した「損金経理をした法人税・住民税」「納税充当金から支出した事業税等」は別表4の加算・減算に反映
②別表4の「留保項目」の合計は別表5(1)の「当期増減欄」に転記
③別表5(1)の翌期繰越額は会計上の純資産との差(税効果)を生み、別表5(2)の納税充当金と一致
この3表の整合性が法人税申告の品質の指標で、税理士の重要な確認ポイントです。整合しないとすべての申告がやり直しになるため、税務申告ソフトの自動チェック機能の活用が不可欠です。

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別表15の書き方|交際費等の損金算入限度額

別表15は「交際費等の損金算入に関する明細書」で、交際費・接待飲食費・会議費・福利厚生費等の処理結果を整理し、損金不算入額を算出します。

中小法人の交際費損金算入特例

中小法人(資本金1億円以下)の選択肢 内容
A: 定額控除限度額年800万円まで損金算入可
B: 接待飲食費50%控除接待飲食費の50%を損金算入可
どちらか有利な方を選択通常は定額控除800万円が有利

大法人(資本金1億円超)の取扱い

資本金1億円超の大法人は、接待飲食費の50%控除のみ適用可能で、定額控除800万円は使えません(資本金100億円超は接待飲食費も全額損金不算入)。

別表16の書き方|減価償却関連

別表16は「減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」で、減価償却の処理結果を法人税法上の限度額と比較し、超過額(損金不算入)または不足額(損金算入不足)を算出します。

別表16の主な様式

様式 対象
別表16(1)旧定額法・定額法による減価償却(建物・無形固定資産等)
別表16(2)旧定率法・定率法による減価償却(機械装置・車両・備品等)
別表16(6)繰延資産の償却(創立費・開業費・開発費・社債発行費等)
別表16(7)少額減価償却資産(30万円未満)の損金算入
別表16(8)一括償却資産(20万円未満)の損金算入

別表1の書き方|最終的な税額計算

別表1は法人税申告書の本体で、別表4で算出した所得金額を基に法人税額・地方法人税額・差引納付すべき税額を計算します。

別表1の主要記載項目

項目 内容
所得金額別表4⑧から転記
法人税額所得×税率(中小15%・大23.2%等)
税額控除所得税額控除・各種特別控除等
地方法人税額法人税額×10.3%
中間納付額の控除中間申告で納付済みの税額
差引納付すべき税額最終的に納付する税額

別表1次葉の役割

別表1次葉は別表1の補助書類で、軽減税率の適用区分(中小法人の年800万円以下の所得部分等)を詳細に計算します。複数税率が適用される場合に必要です。

よくある質問(FAQ)

中小法人で別表を全部作る必要はありますか?
いいえ、必要ありません。実際に使う別表は9枚程度に絞れます。基本セットは別表1・2・4・5(1)・5(2)・7(1)・15・16(6)・16(7or8)。これに加えて、減価償却資産があれば別表16(1)・(2)、受取配当があれば別表8(1)、税額控除を使えば別表6系を追加するだけです。300以上の別表様式は、特殊な取引・優遇措置に対応するためのもので、すべてを使う法人は極めて稀です。
別表4で「留保」と「社外流出」の違いは何ですか?
「留保」は会社内に留まる項目(別表5(1)に転記)、「社外流出」は会社外に出る項目(別表5(1)に転記しない)です。例えば、減価償却超過額や交際費損金不算入額は「留保」(将来の認容まで税効果を持つ)、配当金や役員賞与は「社外流出」(支払により会社から出ていくため税効果なし)となります。両者の区分は税効果会計の繰延税金資産・負債の計上に直結するため、正確な区分が必須です。
別表5(1)と別表5(2)の連動チェックポイントは?
別表5(2)の「納税充当金の計算」欄の翌期繰越額が、別表5(1)の「納税充当金」欄の翌期繰越額と一致することが必須です。両者が一致しない場合、申告書全体の数値整合性が崩れているため、別表4の留保項目の集計をやり直す必要があります。実務上、税務申告ソフトの「整合性チェック機能」を使って一致を確認するのが標準です。
交際費の定額控除800万円と接待飲食費50%控除はどちらが有利?
中小法人(資本金1億円以下)では、通常は定額控除800万円が有利です。接待飲食費が1,600万円以上ある場合のみ50%控除の方が有利になります(1,600万円×50%=800万円)。年間の接待飲食費が1,600万円を超える中小法人は限定的なため、ほぼすべての中小法人で定額控除800万円を選択するのが実務的です。年度ごとに有利な方を選択できるため、毎年の交際費実績を確認して判断します。
手書きで別表を作成することは可能ですか?
技術的には可能ですが、実務的に推奨されません。理由は①別表間の数値リンクが多数あり手書きでは整合性確保が困難、②令和2年4月以後開始事業年度から大法人・通算法人にe-Tax電子申告が義務化、③税務申告ソフト(達人・JDL・freee申告等)が普及しており月額数千〜数万円で使える、④国税庁の様式は毎年微修正されるため手書き様式の取得が手間、⑤計算ミスのリスクが高い、の5点です。中小法人もクラウド型の税務申告ソフトを導入するのが標準的な実務です。
別表7(1)で繰越欠損金を控除する順序のルールは?
古い事業年度の繰越欠損金から順に控除します(法人税法第57条)。例えば3年前・2年前・1年前にそれぞれ赤字がある場合、最も古い3年前の欠損金から控除し、所得を上回らない範囲で順に新しい年度の欠損金を控除します。控除限度額は中小法人で所得の100%、大法人で50%です。10年経過した繰越欠損金は時効で消滅するため、古い欠損金から優先的に使う仕組みになっています。
別表5(2)の「納税充当金」と「未払法人税等」は同じものですか?
同じものを指します。会計上は「未払法人税等」、税務上は「納税充当金」と呼ばれますが、内容は当期の法人税・住民税・事業税のうち翌期に納付する予定額です。両者は同額で別表5(2)・別表5(1)・貸借対照表の整合性を保ちます。仕訳上は「法人税等(費用)/未払法人税等(負債)」と計上し、納付時に「未払法人税等/現預金」とします。実務上、この納税充当金の計算が別表5(2)の中核です。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 法人税の別表は申告書を構成する明細書群(全300超の様式)
  • 中小法人で実際に使う基本セットは9枚に絞れる
  • 最重要は別表4(所得計算)、別表5(1)・5(2)と密接に連動
  • 作成順序:別表2→15→16系→5(2)→5(1)→4→7→1の流れ
  • 別表4の加算項目は決算書から税務上の所得への調整
  • 留保項目は別表5(1)に転記、社外流出は転記しない
  • 別表5(1)・5(2)の数値整合性が申告品質の指標
  • 別表15:交際費の定額控除800万円(中小法人)
  • 別表16:減価償却関連(定額法・定率法・繰延・少額・一括)
  • 税務申告ソフトの活用で手書き作成のリスクを大幅軽減

🚀 次のアクション

  • 自社で使う別表を9枚の基本セットからリストアップ
  • 取引別の追加別表(減価償却・税額控除等)を確認
  • 税務申告ソフトの導入を検討(達人・JDL・freee申告等)
  • 別表4・5(1)・5(2)の連動関係を理解する
  • e-Tax電子申告の利用環境を整える
  • 判断に迷うケースは税理士に相談

法人税の別表作成は、法人税申告の品質を決定する最重要工程です。法人税の確定申告必要書類法人の青色申告法人決算の流れもあわせてご参照ください。別表の作成や数値整合性の確認でお困りの場合は、税理士にご相談いただくことを強くお勧めします。

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