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業種別の簡易課税みなし仕入率(第一種〜第六種)完全ガイド|業種判定の迷いやすいケース
「自分の事業は何種に該当するのか」が分からず不安な個人事業主・法人に向けて、第一種〜第六種の判定基準と迷いやすい12パターンを完全ガイドします。この記事を読めば、自分の事業区分を正しく判定し、簡易課税と原則課税のどちらが有利かを判断できます。


業種別の簡易課税みなし仕入率(第一種〜第六種)完全ガイド|業種判定の迷いやすいケース
「自分の事業は何種に該当するのか」が分からず不安な個人事業主・法人に向けて、第一種〜第六種の判定基準と迷いやすい12パターンを完全ガイドします。この記事を読めば、自分の事業区分を正しく判定し、簡易課税と原則課税のどちらが有利かを判断できます。
🏆 結論:事業区分の判定は「取引ごと」に行い、迷ったら税理士に確認
簡易課税のみなし仕入率は事業区分(第一種90%〜第六種40%)で大きく異なります。判定を誤ると消費税を過大に納めるか、税務調査で追徴されるリスクがあります。判定は「事業者単位」ではなく「取引ごと」に行うのが原則。複数事業を営む場合は区分経理が必須です。
簡易課税制度とは、基準期間(個人事業主は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択できる消費税の計算方法です。実際の仕入にかかった消費税を計算する代わりに、売上にかかる消費税に業種ごとの「みなし仕入率」を掛けて仕入控除税額を算出します。
計算式:消費税の納税額 = 売上にかかる消費税 −(売上にかかる消費税 × みなし仕入率)
たとえば、課税売上2,000万円のサービス業(第五種事業・みなし仕入率50%)の場合、売上にかかる消費税200万円のうち100万円が仕入控除税額となり、納税額は100万円です。実際の経費にかかる消費税を個別に集計する必要がないため、事務負担が大幅に軽減されます。
簡易課税の適用を受けるには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 基準期間の課税売上高 | 5,000万円以下であること |
| 届出書の提出 | 「消費税簡易課税制度選択届出書」を適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに提出(消費税法第37条) |
⚠️ 注意
簡易課税を選択すると、原則として2年間は原則課税に戻せません。設備投資が多い年に簡易課税を選択していると、消費税の還付を受けられなくなるため、選択のタイミングは慎重に判断してください。
簡易課税のみなし仕入率は、事業の種類に応じて第一種事業から第六種事業まで6段階に分かれています。
| 事業区分 | みなし仕入率 | 該当する業種 | 判定のポイント |
|---|---|---|---|
| 第一種 | 90% | 卸売業 | 購入商品を加工せず「事業者」に販売 |
| 第二種 | 80% | 小売業・農林水産業(飲食料品の譲渡) | 購入商品を加工せず「消費者」に販売 |
| 第三種 | 70% | 農林水産業・建設業・製造業・電気ガス業等 | 原材料を加工して販売。加工賃型は除く |
| 第四種 | 60% | 飲食店業・その他(第一〜三、五、六に該当しないもの) | 固定資産の譲渡もここに該当 |
| 第五種 | 50% | サービス業(運輸通信業、金融保険業含む) | ITエンジニア・コンサルもここ |
| 第六種 | 40% | 不動産業 | 不動産仲介・賃貸管理等 |
💡 実務のポイント
事業区分の判定は「事業者単位」ではなく「課税資産の譲渡等ごと(つまり取引ごと)」に行います。同じ事業者でも、卸売と小売の両方を営んでいれば、卸売の売上は第一種、小売の売上は第二種として区分経理する必要があります。
以下は、よくある業種が第何種に該当するかをまとめた判定表です。自分の事業に最も近いものを確認してください。
| 業種 | 事業区分 | みなし仕入率 | 判定根拠 |
|---|---|---|---|
| 食品卸売業 | 第一種 | 90% | 仕入商品をそのまま事業者に販売 |
| コンビニ・スーパー | 第二種 | 80% | 仕入商品をそのまま消費者に販売 |
| 農業(飲食料品の譲渡) | 第二種 | 80% | 軽減税率対象の飲食料品は第二種 |
| 農業(花き・木材等) | 第三種 | 70% | 飲食料品以外は第三種 |
| 建設業(元請・自己材料) | 第三種 | 70% | 自己で材料を購入し加工→建設 |
| 建設業(加工賃型・人工出し) | 第四種 | 60% | 材料は元請支給、労務のみ提供 |
| 製造業 | 第三種 | 70% | 原材料を加工して製品を販売 |
| 製造小売業(パン屋等) | 第三種 | 70% | 製造した棚卸資産を自ら小売 |
| 飲食店(店内飲食) | 第四種 | 60% | 飲食店業は第四種 |
| 宅配ピザ(店内飲食なし) | 第三種 | 70% | 店内飲食スペースなしのテイクアウト専門 |
| ITエンジニア(受託開発) | 第五種 | 50% | サービス業に該当 |
| コンサルタント | 第五種 | 50% | サービス業に該当 |
| 美容院・理容院 | 第五種 | 50% | サービス業に該当 |
| 美容院(店販商品の販売) | 第二種 | 80% | 仕入商品をそのまま消費者に販売 |
| 医業(社会保険診療除く) | 第五種 | 50% | 自由診療部分のみ課税対象 |
| 運送業 | 第五種 | 50% | 運輸業はサービス業の範囲 |
| 不動産仲介業 | 第六種 | 40% | 不動産業に該当 |
| 不動産賃貸業(事業用) | 第六種 | 40% | 不動産業に該当 |
| 学習塾・教育サービス | 第五種 | 50% | サービス業に該当 |
| 固定資産の譲渡 | 第四種 | 60% | どの業種の事業者でも第四種 |
実務で事業区分の判定に迷うケースを12パターンに整理しました。正しく判定できないと消費税の過大納付や追徴のリスクがあります。
建設業は原則として第三種事業(70%)ですが、材料が元請から支給され、自分は労務(人工)のみを提供する場合は「加工賃型の役務提供」となり、第四種事業(60%)に該当します。この10%の差は消費税額に大きく影響します。
飲食店業は第四種事業(60%)ですが、店内飲食スペースがない宅配専門店・テイクアウト専門店は第三種事業(70%)に該当します。ただし、店内飲食も行っている飲食店のテイクアウト売上は第四種のままです。
食料品小売店が仕入商品に軽微な加工(スライス、パック詰め等)をして販売する場合、その加工が「小売店舗において一般的に行われる」ものであれば、第二種事業(80%)として取り扱って差し支えないとされています。
パッケージソフトを製造して販売する場合は第三種事業(70%)に該当する余地がありますが、SaaS(クラウドサービス)としてサブスクリプション形式でサービスを提供する場合は第五種事業(50%)です。同じIT企業でも売上の種類によって区分が変わります。
自己の計算で原材料を購入し、下請業者にあらかじめ指示した条件で加工させて完成品とする「製造問屋」は、第三種事業(70%)に該当します。見た目は卸売に近くても、自己の計算で製造を行っている点が判定のポイントです。
美容院の施術は第五種事業(50%)ですが、店頭でシャンプーやトリートメントを仕入れてそのまま販売する場合は第二種事業(80%)です。施術売上と商品販売売上を区分経理しなければ、全体に最も低い第五種が適用されます。
宿泊業は第五種事業(50%)ですが、宿泊料とは別に料金が設定されている飲食サービス(特別料理・客室内冷蔵庫の飲料等)は第四種事業(60%)です。一方、「1泊2食付2万円」のように食事代込みの場合は、全額が第五種事業の対価となります。
不動産の仲介・賃貸は第六種事業(40%)ですが、不動産管理会社が行う建物の清掃・メンテナンス業務のみの収入はサービス業として第五種事業(50%)に該当する可能性があります。契約内容をよく確認する必要があります。
💡 実務のポイント
不動産管理会社の税務調査で「管理手数料は第六種(40%)ではないか」と指摘されるケースがあります。管理契約の内容が純粋な不動産賃貸の管理であれば第六種ですが、清掃・修繕などの役務提供が中心であれば第五種と主張できる場合もあります。契約書の文言と実態が一致していることが重要です。
令和元年10月の軽減税率導入に伴い、農林水産業のうち飲食料品の譲渡(軽減税率対象)は第二種事業(80%)に引き上げられました。花き・木材など飲食料品以外は従来どおり第三種事業(70%)です。同じ農家でも米と花を両方販売していれば、区分が必要です。
物品の修理は「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」として第四種事業(60%)です。ただし、修理に使用する部品を自ら仕入れて提供し、部品代込みの請求をしている場合は、部品部分と修理部分を分けて判定する必要が生じるケースがあります。
写真撮影やデザイン制作はサービス業として第五種事業(50%)です。ただし、デザイナーが印刷物(名刺・パンフレット等)の製造まで請け負う場合、印刷部分は第三種(70%)に該当する可能性があります。
事業で使用していた車両や設備機器を売却した場合は、事業者がどの業種を営んでいようと一律で第四種事業(60%)です。本業が卸売業(第一種)であっても、固定資産の売却収入は第四種で計算します。
AYUSAWA PARTNERS
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鮎澤パートナーズに相談する2種類以上の事業を営む場合は、各事業区分の課税売上高に対応するみなし仕入率の加重平均で仕入控除税額を計算します。
📐 シミュレーション前提条件
| 項目 | 施術(第五種) | 商品販売(第二種) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 課税売上(税抜) | 1,800万円 | 400万円 | 2,200万円 |
| 売上にかかる消費税 | 180万円 | 40万円 | 220万円 |
| みなし仕入率 | 50% | 80% | — |
| 仕入控除税額 | 90万円 | 32万円 | 122万円 |
| 消費税の納税額 | 98万円 | ||
2種類以上の事業を営んでいるのに事業区分ごとの売上を区分経理していない場合、区分していない部分の全体に、最も低いみなし仕入率が適用されます(消費税法施行令第57条第4項)。
上記の美容院の例で区分経理をしなかった場合、全額に第五種の50%が適用され、仕入控除税額は110万円(220万円×50%)。区分経理をした場合の122万円と比べて12万円多く消費税を納めることになります。
⚠️ 注意
区分経理をしないで不利な計算をしていることに気づかないまま何年も申告している事業者は少なくありません。消費税の更正の請求は原則5年以内なので、過去の申告も見直す価値があります。
1つの事業の課税売上高が全体の75%以上を占める場合、その主たる事業のみなし仕入率を全体に適用できる特例があります。3種類以上の事業を営む場合は、2事業の合計が75%以上であれば、2事業のうち高い方のみなし仕入率を残りに適用できます。
上記の美容院の例では、施術売上(第五種)が81.8%(1,800万÷2,200万)を占めるため、75%ルールにより全体に50%を適用できます。しかし、この場合は区分経理をした方が有利(122万円>110万円)なので、特例を使わないほうがよいことになります。
📊 公認会計士の視点
75%ルールの適用は「使える」と「使った方が有利」は別の問題です。必ず区分経理をした場合と比較して、有利な方を選択してください。特に、高いみなし仕入率の事業と低いみなし仕入率の事業を併営している場合は、区分経理をしたほうが有利になるケースが多いです。
簡易課税と原則課税のどちらが有利かは、「実際の課税仕入にかかる消費税」と「みなし仕入率で計算した消費税」のどちらが大きいかで決まります。
| 状況 | 有利な方 | 理由 |
|---|---|---|
| 実際の経費率がみなし仕入率より低い | 簡易課税が有利 | みなし仕入率で計算した方が控除額が大きい |
| 実際の経費率がみなし仕入率より高い | 原則課税が有利 | 実際の消費税を控除した方が控除額が大きい |
| 大規模な設備投資がある年 | 原則課税が有利 | 簡易課税では消費税の還付を受けられない |
| 仕入先がインボイス非対応 | 簡易課税が有利 | みなし仕入率での計算にインボイスは不要 |
なお、業種ごとの経費率の目安と税務調査リスクについては、「業種別の経費率の目安と税務調査リスク」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
📢 2割特例は令和8年9月30日の属する課税期間で終了
2割特例は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間が対象の時限措置で、個人事業者は令和8年分(2026年分)の申告が最後の適用です。令和8年度税制改正により、個人事業者に限り売上税額の3割を納める「3割特例」が令和9年分・令和10年分の2年間新設されました(法人は対象外)。簡易課税へ移行する場合は原則として適用したい課税期間の開始前までに届出が必要です(個人が令和9年分から適用するなら令和8年12月31日まで)。
インボイス制度導入に伴い、免税事業者から課税事業者に転換した事業者向けに「2割特例」が設けられています。これは消費税の納税額を売上にかかる消費税の2割に抑える制度で、実質的にみなし仕入率80%と同じ効果があります。
| 比較項目 | 2割特例 | 簡易課税 |
|---|---|---|
| 実質みなし仕入率 | 一律80% | 業種により40〜90% |
| 届出書の提出 | 不要(申告書に付記のみ) | 事前届出が必要 |
| 対象者 | インボイス制度で新たに課税事業者になった者 | 基準期間の課税売上高5,000万円以下の者 |
| 適用期間 | 令和5年10月〜令和8年9月の属する課税期間 | 制限なし(2年間の縛りあり) |
| 第五・六種にとっての有利不利 | 2割特例が有利 | みなし仕入率が80%未満のため不利 |
| 第一種にとっての有利不利 | 2割特例は不利 | みなし仕入率90%で有利 |
💡 実務のポイント
2割特例が使える期間中は、申告時に2割特例・簡易課税・原則課税の3つを比較して最も有利なものを選ぶのが鉄則です。2割特例は事前届出不要なので、申告時に選択できる柔軟性があります。ただし、2割特例の適用期間が終了した後は簡易課税の届出を出しておかないと原則課税に戻る点に注意してください。
事業区分を有利な方向に誤って申告した場合、税務調査で修正申告を求められます。たとえば、実態は第五種(50%)なのに第三種(70%)で申告していた場合、差額の消費税に加えて過少申告加算税(原則10%〜15%)と延滞税が課されます。
逆に、本来は高いみなし仕入率が適用できるのに低い率で申告していた場合は、更正の請求(5年以内)によって還付を受けられる可能性があります。過去の申告を見直す価値は十分にあります。
フリーランスの確定申告全般の流れについては、「フリーランスの確定申告の基礎と必要書類|小規模企業共済・iDeCoの活用まで完全ガイド」をご参照ください。
📋 この記事のポイント
✅ まとめボックス
簡易課税のみなし仕入率は事業区分で40%〜90%と大きく異なり、判定の誤りは消費税額に直結します。とくに建設業の加工賃型判定、飲食業のテイクアウト判定、複数事業の区分経理は税務調査でも頻出の指摘ポイントです。自分の事業区分に不安がある場合は、税理士に確認することをおすすめします。
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