低未利用土地譲渡100万円特別控除|措置法第35条の3の適用要件・必要書類を税理士が完全解説

低未利用土地譲渡100万円特別控除|措置法第35条の3の適用要件・必要書類を税理士が完全解説
鮎澤パートナーズ|公認会計士・税理士・社会保険労務士・行政書士
公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)・社会保険労務士(第13240067号)・行政書士(第24061284号)が監修。年間100社以上の土地譲渡所得・確定申告を支援。
📋 税理士監修 🏞 低未利用土地 💰 100万円控除

「使わない土地を売ったら税金が安くなる?」「100万円の特別控除はどんな土地が対象?」とお悩みの土地所有者・売却検討者に向けて、措置法第35条の3の適用要件・対象土地・譲渡対価500万円/800万円の判定・市町村確認書・必要書類・他特例との併用ルールまで完全ガイドします。

🏆 結論:譲渡対価500万円(一定区域800万円)以下なら100万円控除可能

低未利用土地等の譲渡100万円特別控除(措置法第35条の3)は、放置されている空き地・空き家等の利活用促進を目的とした特例です。適用要件は①個人が令和7年12月31日までに譲渡、②都市計画区域内、③所有期間5年超(長期譲渡所得)、④譲渡対価500万円以下(一定区域800万円以下)、⑤譲渡後に利用される、⑥配偶者等への譲渡でない、⑦他の譲渡所得特例の不適用、の7要件です。800万円の上限拡大区域は、市街化区域・用途地域・所有者不明土地対策計画区域。譲渡後コインパーキングとして利用される場合は対象外(令和7年確認分から厳格化)。節税効果は税率20.315%(長期譲渡)で約20万円、税率39.63%(短期譲渡:本特例対象外)では適用不可。必要書類は確定申告書+市町村確認書+売買契約書写し等。市町村への事前申請(土地所在地)が必須です。

低未利用土地等とは|土地基本法第13条の定義

「低未利用土地等」とは、長期間使用されていない土地や、利用が著しく低水準な土地のことを指します。少子高齢化・人口減少に伴い増加する空き地・空き家問題に対応するため、2020年(令和2年度税制改正)で創設された制度です。

地方の50坪の遊休地(評価額300万円)を売却したいクライアントの確定申告支援を担当した経験では、本特例の適用により譲渡所得から100万円が控除でき、長期譲渡税率20.315%適用で約20万円の節税効果が得られました。市町村確認書の取得手続きが1〜2ヶ月かかるため、譲渡前から計画的に進めることが重要です。長く使っていない土地の処分を検討している方は、必ず本特例の適用可能性を確認すべきです。

低未利用土地等の定義

区分 定義(土地基本法第13条第4項)
低未利用土地居住・事業・その他の用途で利用されていない、または利用程度が低い土地
低未利用土地等低未利用土地+その上の権利(借地権等)
具体例空き地・空き家・耕作放棄地・暫定的利用された土地
判定主体土地所在地の市町村長(or特別区長)

適用要件7つ

本特例の適用には、7つの要件すべてを満たす必要があります。1つでも欠けると適用できません。

適用要件マトリクス

要件 内容
①譲渡時期令和2年7月1日〜令和7年12月31日
②譲渡者個人(法人は対象外)
③土地所在地都市計画法第4条第2項の都市計画区域内
④所有期間譲渡年の1月1日時点で所有期間5年超(長期譲渡所得)
⑤譲渡対価500万円以下(一定区域は800万円以下)
⑥譲渡相手・利用配偶者等以外+譲渡後に利用される
⑦他特例との関係他の譲渡所得特例の適用なし

譲渡対価500万円/800万円の判定

譲渡対価の上限は、土地所在地により500万円または800万円に分かれます。一定区域内では800万円に拡張される優遇措置です。

800万円に拡張される区域

区域 内容
①用途地域指定区域市街化区域+用途地域が定められている都市計画区域
②所有者不明土地対策計画区域所有者不明土地の利用円滑化特別措置法第45条第1項の自治体区域
対象期間令和5年1月1日〜令和7年12月31日

💡 譲渡対価には建物等も含む

譲渡対価500万円(800万円)の判定では、土地等+土地上の資産(建物等)の譲渡対価の合計で判定します。

例:土地評価400万円+建物評価150万円=合計550万円の譲渡
→500万円超のため、500万円上限の地域では特例適用不可
→800万円上限区域なら特例適用可

土地のみの売却ではなく、建物含めた合計額で判定される点に注意。

対象となる土地の典型パターン

本特例の対象となる「低未利用土地等」は、市町村長が判定します。具体的なパターンを整理します。

典型的な対象土地

類型 具体例
空き地建物が建っていない更地(草が生え荒地化)
空き家敷地長期間人が住んでいない住宅敷地
耕作放棄地農地として利用されていない放置土地
資材置き場本来の用途ではなく一時的に物を置いている土地
利用が著しく低水準な土地本来の用途で利用されていれば得られる利用程度に比し著しく劣る土地

対象外となる土地

⚠️ 対象外パターン

  • 建物(家屋)の譲渡:本特例は土地等の譲渡のみ対象(建物分は別途)
  • 譲渡後コインパーキング:令和7年確認分から厳格化・利用とみなされず適用不可
  • 都市計画区域外:地方の調整区域等は対象外
  • 所有期間5年以下(短期譲渡所得):長期譲渡所得のみが対象
  • 事業用資産:事業所得・不動産所得の経費に算入される土地
  • 配偶者・同族会社等への譲渡:特別関係者への譲渡は対象外

節税効果のシミュレーション

本特例の節税効果は、譲渡所得の税率に依存します。長期譲渡所得の税率(20.315%)を基準に試算します。

節税効果の計算

🧮 シミュレーション:取得費200万円・売却450万円の更地

条件:
・売却価格:450万円(500万円以下)
・取得費:200万円
・譲渡費用:30万円(仲介料等)
・所有期間:15年(長期)
・所在地:都市計画区域内
・所有期間5年超→長期譲渡所得税率20.315%

譲渡所得計算:
譲渡所得=売却価格−取得費−譲渡費用
=450万円−200万円−30万円=220万円

(A)特例なしの場合:
譲渡所得220万円×20.315%=44.7万円の譲渡税

(B)特例適用の場合:
譲渡所得220万円−100万円=120万円
120万円×20.315%=24.4万円の譲渡税

節税効果:44.7−24.4=20.3万円

譲渡所得の税率

区分 所有期間 税率 本特例適用
長期譲渡所得5年超20.315%○適用可
短期譲渡所得5年以下39.63%×適用不可

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市町村確認書の取得手続き

本特例の最大の特徴は、譲渡前または譲渡後に土地所在地の市町村長が発行する確認書が必要となる点です。市町村への申請手続きを忘れると特例適用できません。

市町村確認書の取得手順

ステップ 内容
①土地所在地の市町村に問合せ担当部署(都市計画課等)を確認
②必要書類の準備土地登記簿・公図・売買契約書(写)・固定資産税納税通知書等
③確認申請書の提出市町村窓口or郵送で申請
④市町村による調査現地確認・低未利用土地該当性審査
⑤確認書の交付通常1〜2ヶ月で発行
⑥確定申告書に添付譲渡年の翌年3月15日までに確定申告

確認書に記載される事項

  • 土地等の所在地が都市計画区域内であること
  • 譲渡時において低未利用土地等に該当すること
  • 譲渡後に当該低未利用土地等が利用される予定であること
  • 譲渡対価の額(500万円・800万円判定用)
  • 所有期間に関する事項

確定申告の必要書類

本特例適用の確定申告には、通常の譲渡所得計算書類に加えて、市町村確認書等の特例関連書類が必要です。

必要書類一覧

書類 内容
①確定申告書(第三表)譲渡所得記載+本特例の適用を受ける旨を記載
②市町村確認書土地所在地の市町村長発行
③売買契約書写し譲渡対価500万円(800万円)以下を明示
④登記事項証明書所有期間(取得日)を確認
⑤譲渡所得の内訳書取得費・譲渡費用の計算
⑥その他補足書類仲介手数料領収書等の譲渡費用エビデンス

他の譲渡所得特例との関係

本特例は、他の譲渡所得特例と併用できません。複数の特例が適用可能な場合、有利な方を選択する必要があります。

本特例と併用不可の主な特例

特例 概要
固定資産の交換特例(所法58)交換による土地等の取得
収用等の譲渡特例(措法33〜33の3)収用による譲渡で5,000万円控除等
特定土地区画整理事業(措法34)区画整理事業による譲渡
特定住宅地造成事業(措法34の2)住宅地造成事業による譲渡
事業用資産の買換え特例(措法37)事業用資産の買換え
居住用財産の3,000万円控除(措法35)マイホーム売却の3,000万円特別控除

💡 マイホーム3,000万円控除との優劣判定

マイホーム3,000万円控除と本特例100万円控除が両方使える場合(空き家敷地等)、3,000万円控除の方が圧倒的に有利です。本特例は3,000万円控除等の他特例が適用できない場合のセカンドベスト。

有利選択の判断は税理士相談を推奨します。

適用時の注意点

本特例適用にあたって、特に注意すべきポイントを整理します。

5つの注意点

⚠️ 適用時の落とし穴

  1. 譲渡後コインパーキング除外:令和7年確認分から厳格化・「利用される」要件を満たさず適用不可
  2. 譲渡対価の判定誤り:土地+建物の合計で500万円(800万円)判定・建物分を別計算するミス
  3. 市町村確認書の取得忘れ:確定申告時に間に合わないと特例不適用
  4. 所有期間判定誤り:譲渡年1月1日時点で5年超(購入日からではない)
  5. 他特例との競合:3,000万円控除等が使えるなら本特例より有利

よくある質問

空き家を取り壊して更地にしてから売却する場合、本特例は使えますか?
使える可能性があります。更地化した土地が低未利用土地として市町村が認める場合に対象です。ただし、空き家のままの売却で「空き家3,000万円特別控除(措法35第3項)」が適用できる場合もあり、そちらの方が有利になるケースが多いです。具体的な判断は税理士相談が必要です。
取得費が不明な土地でも本特例を使えますか?
使えます。取得費不明の場合は売却価格×5%(概算取得費)を取得費として計算可能(所法38)。例:売却価格400万円なら概算取得費20万円。譲渡所得が大きくなるため、本特例100万円控除の節税効果が大きくなります。古い相続土地で取得費が不明なケースで特に有効です。
親から相続した土地でも本特例の対象になりますか?
なります。相続土地は被相続人の取得時期を引き継ぐため(所法60)、相続後すぐの売却でも所有期間5年超と判定されるケースが多いです。ただし、相続税の取得費加算特例(措法39)が使える場合は、そちらとの併用不可点に注意。有利選択の判断が必要です。
土地に古い小屋(物置)があっても適用可能?
原則として小屋・物置等の付属建物程度なら適用可能です。ただし、譲渡対価500万円(800万円)の判定では、土地+小屋の合計対価で判断されます。住居等の本格的な建物がある場合は対象外となるケースが多く、市町村確認書発行の段階で判定されます。
譲渡後にコインパーキングになると本当に適用不可ですか?
令和7年確認分から厳格化されました。「譲渡後に低未利用土地等の利用がされる」要件があり、コインパーキング(暫定利用)は本格的利用とみなされず特例適用不可となります。買主の利用予定を売買契約書に明記しておくと安全です。「住宅建設予定」「事業用敷地利用予定」等が望ましいです。
市町村確認書の取得期間はどれくらい?
通常1〜2ヶ月程度です。混雑時期(年末年始等)はさらに長くかかる場合もあります。譲渡前から市町村に問合せして、必要書類・手続き期間を確認することを強く推奨します。確定申告期限(翌年3月15日)までに確認書が間に合わないと、本特例適用できません。
特例の適用期限はいつまでですか?
現行制度では令和7年(2025年)12月31日までの譲渡が対象です。令和8年度税制改正で延長されるかは未確定です。本特例の適用を検討している方は、令和7年中の譲渡完了を目指すか、延長動向の確認が必要です。延長されない場合、来年以降は通常の長期譲渡所得税率20.315%の負担となります。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 低未利用土地譲渡100万円特別控除(措置法第35条の3)
  • 令和7年12月31日までの個人の譲渡が対象
  • 都市計画区域内+所有期間5年超(長期譲渡所得)が必須
  • 譲渡対価500万円以下(一定区域800万円以下)
  • 800万円拡大区域:市街化区域+用途地域+所有者不明土地対策計画区域
  • 譲渡後にコインパーキング利用は対象外(令和7年確認分から厳格化)
  • 市町村確認書の取得が必須(取得期間1〜2ヶ月)
  • 節税効果:税率20.315%適用で約20万円
  • 他の譲渡所得特例(3,000万円控除等)とは併用不可

📝 次のアクション

  1. 所有土地が都市計画区域内かを確認
  2. 所有期間5年超(長期譲渡所得)を確認
  3. 譲渡対価500万円(800万円区域)以下かを試算
  4. 土地所在地の市町村に確認書発行手続きを問合せ
  5. 他の譲渡特例との比較で有利選択を税理士相談

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