公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
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不動産業を営む経営者に向けて、宅地建物取引士の設置義務・専任要件・2024年4月施行の常駐義務柔軟化・テレワーク対応・名義貸し禁止・旅行業務取扱管理者の設置義務までを行政書士が完全ガイドします。


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🏆 結論:事務所5人に1人以上の専任宅建士、2024年4月から兼務が柔軟化
宅建業者は各事務所に従業者5人につき1人以上の成年の専任宅建士を置く義務があります(宅建業法第31条の3)。「専任」とは事務所に常勤することが原則で、テレワークやIT活用での一部代替は認められています。2024年4月の国交省解釈運用改正で、他事務所の業務に従事できる場合が明確化されました。一方で名義貸しは3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の厳罰対象です。類似制度として、旅行業者も営業所ごとに旅行業務取扱管理者1人以上(10名以上は2人以上)の選任義務があります。
宅建業者は、事務所および特定の場所に、業務に従事する者の5分の1以上の割合で成年の専任の宅地建物取引士を置く義務があります(宅建業法第31条の3)。これは宅建業法の中で最も重要な体制要件の1つで、違反すると監督処分・免許取消の対象になります。e-Govの宅地建物取引業法に詳細が規定されています。
| 場所 | 必要な専任宅建士数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事務所(本店・支店) | 従業者数の5分の1以上 | 法第31条の3第1項 |
| モデルルーム・現地案内所 | 1名以上(人数無関係) | 法第31条の3第1項 |
| 展示会場等の臨時営業所 | 1名以上 | 法第31条の3第1項 |
| 契約締結のみの案内所 | 1名以上 | 法第31条の3第1項 |
| 従業者数 | 5分の1計算 | 必要な専任宅建士数 |
|---|---|---|
| 1〜5人 | 0.2〜1 | 1人以上 |
| 6〜10人 | 1.2〜2 | 2人以上 |
| 11〜15人 | 2.2〜3 | 3人以上 |
| 16〜20人 | 3.2〜4 | 4人以上 |
| 21〜25人 | 4.2〜5 | 5人以上 |
端数が出る場合は切り上げです。例えば11人の従業者がいれば、11÷5=2.2人なので、3人の専任宅建士が必要です。
💡 「従業者」の範囲
カウント対象は、事務所の代表者・役員(非常勤役員は除く)・正社員・契約社員・派遣社員(指揮命令関係ある場合)・アルバイト等、宅建業務に従事する者すべてです。受付・秘書・運転手など事務所業務に従事する者も原則含まれますが、宅建業務と全く無関係の純粋なバックオフィス業務者は除外される場合があります。従業者数の判定は事前に行政の事前相談で確認することが実務的です。
「専任」とは国土交通省の解釈によれば、原則として宅建業を営む事務所に常勤し、他の事業や他事務所との兼業を行わないことを意味します。ただし2024年4月施行の解釈運用改正で、一定のケースでは他事務所の業務に従事することが認められるようになりました。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 常勤性 | 事務所の通常の勤務時間(フルタイム)勤務 |
| 専従性 | 所属事務所で宅建業務に専従 |
| 成年性 | 成年者(または未成年でも営業に関する行為能力ある者) |
| 雇用関係 | 会社からの指揮命令関係が成立 |
国土交通省は2024年4月1日、宅建業法の「解釈・運用の考え方」を改正し、専任宅建士が他の事務所で業務を行うことができる場合を明確化しました。アナログ規制見直しの一環で、IT活用とテレワーク普及への対応です。
2024年4月以降、以下のケースで専任宅建士の他事務所兼務が認められます。
| ケース | 認められる条件 |
|---|---|
| 専任宅建士のテレワーク | 事務所以外でITを活用した適切な業務体制 |
| 他事務所の業務への一時従事 | 自己の事務所で一時的に宅建業務が行われていない間 |
| 兼業事業の業務 | 宅建業が一時的に行われていない間の他業務 |
📢 2024年4月施行の実務インパクト
この改正により、1人の専任宅建士が複数事務所の業務を柔軟にカバーできるようになりました。ただし常駐義務の完全廃止ではなく、所属する事務所で一時的に業務がない時間の他事務所業務が認められただけです。「遠隔地居住で常時テレワーク」や「他社との完全兼業」は引き続き不可です。不動産会社のミカタ等によれば、執筆時点(2025年2月)でこの改正内容があまり業界に認知されていないため、正しい運用が重要です。
宅建士資格を持たない者に宅建士の名義を貸すこと、実際に勤務しない不動産会社に専任宅建士として登録すること(いずれも「名義貸し」)は、宅建業法第13条第2項で明確に禁止されています。
| 類型 | 内容 |
|---|---|
| ①勤務していない事務所への専任登録 | 実際には勤務していない不動産会社の専任宅建士として登録 |
| ②宅建士免許ない者への名義貸し | 自己の宅建士証・登録情報を無資格者に使わせる |
| 違反者 | 罰則 |
|---|---|
| 宅建士(名義貸し者) | 宅建士登録消除(5年間再登録不可)+100万円以下の罰金 |
| 宅建業者(借りた側) | 免許取消+3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 法人(借りた側) | 両罰規定により法人にも罰金 |
⚠️ 不動産業界の「名義貸し」横行問題
宅建士の人材確保が困難な地方事業者で、月数万円の報酬で「名義だけ貸す」契約が横行しているとの指摘があります。発覚すると本人・事業者ともに重大な処分対象で、宅建業者は免許取消により廃業を余儀なくされます。名義貸しで得られる報酬額と、発覚時の損失(廃業・刑事罰・登録消除)を比較すれば、絶対に割に合わないリスクです。実務では、専任宅建士の確保が難しい場合は代表者自身が宅建士資格を取得する、または合同経営で宅建士を共有するなどの正攻法が推奨されます。
専任宅建士の要件を満たさなくなった場合(退職・転職・死亡等)、2週間以内に新たな専任宅建士を置く義務があります(宅建業法第31条の3第3項)。この期間を過ぎると監督処分の対象となります。
| 手続き | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 新たな専任宅建士の設置 | 要件喪失から2週間以内 | 法第31条の3第3項 |
| 変更届の提出 | 変更から30日以内 | 法第9条 |
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鮎澤パートナーズに相談する中小の不動産業者では、代表者自身が宅建士資格を取得するのが最も確実です。試験合格後に都道府県への登録と宅建士証交付を受けることで、自社の専任宅建士となれます。
宅建士資格保有者を役員として招聘する方法です。常勤役員として雇用契約を結び、専任宅建士として登録します。ただし役員就任には株主総会決議・法務局への就任登記が必要です。
正社員として宅建士資格保有者を採用する最も一般的な方法です。雇用保険・社会保険の加入義務もあり、社労士の支援が必要になります。
既存社員に宅建士試験の受験を奨励し、合格後に専任宅建士として登録する方法です。試験合格率は15〜18%で、合格まで1〜2年を要します。長期的な人材戦略として有効です。
| 戦略 | コスト | 期間 | 安定性 |
|---|---|---|---|
| 代表者自身が取得 | 受験料8,200円+登録料37,000円 | 1〜2年 | ◎最高 |
| 役員招聘 | 役員報酬年600〜1,200万円 | 採用・就任登記 | ○安定 |
| 正社員雇用 | 年収450〜700万円 | 採用活動 | △離職リスク |
| 社員に資格取得支援 | 教育費・合格報奨金 | 1〜2年 | ○長期安定 |
宅建士には、宅建業法で定められた3つの独占業務があります。これらは宅建士以外が行うと違法です。
| 独占業務 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 重要事項説明 | 契約前に物件・取引内容の重要事項を説明 | 法第35条 |
| 重要事項説明書への記名 | 重要事項説明書に宅建士として記名 | 法第35条 |
| 37条書面への記名 | 契約書面に宅建士として記名 | 法第37条 |
💡 IT重説の全面解禁
2022年5月の宅建業法改正で、IT重説(ビデオ会議システム等での重要事項説明)が売買・賃貸を含む全取引で解禁されました。対面重説と同等の効力があり、遠隔地取引の実務が大きく変わりました。IT重説でも宅建士証の提示義務・記名義務は変わらず、システム上で適切に実施する必要があります。テレワーク下の専任宅建士にとって、IT重説を前提とした業務設計が標準になりつつあります。
宅建業と類似の制度として、旅行業(旅行会社)では旅行業務取扱管理者の選任義務があります。旅行業法第11条の2に基づき、営業所ごとに有資格者を選任する必要があります。
| 資格 | 取扱範囲 | 実施団体 |
|---|---|---|
| 総合旅行業務取扱管理者 | 国内・海外両方 | 日本旅行業協会(JATA) |
| 国内旅行業務取扱管理者 | 国内旅行のみ | 全国旅行業協会(ANTA) |
| 地域限定旅行業務取扱管理者 | 市町村及び隣接市町村内 | 観光庁 |
詳細は観光庁の国土交通省 宅地建物取引業法 法令改正・解釈についてのページで確認できます。
| 営業所規模 | 選任必要人数 |
|---|---|
| 従業員10人未満 | 1人以上 |
| 従業員10人以上 | 2人以上 |
| 項目 | 宅建士(5人に1人) | 旅行業務取扱管理者 |
|---|---|---|
| 設置基準 | 従業者数に比例 | 10人で段階変動 |
| 複数営業所の兼任 | 条件付きで可(2024年4月〜) | 原則禁止 |
| 根拠法 | 宅建業法第31条の3 | 旅行業法第11条の2 |
| 独占業務 | 重要事項説明・記名 | 取引条件説明・旅行契約管理 |
| 資格取得 | 国家試験+都道府県登録 | 国家試験合格 |
💡 旅行業と宅建業の兼業事業者
観光地域で宅建業と旅行業の両方を営む事業者の場合、1人の従業員が宅建士と旅行業務取扱管理者の両方の資格を持つケースもあります。この場合、専任宅建士としての業務と旅行業務取扱管理者としての業務は、業務時間の配分や責任分担を明確に定めておく必要があります。社労士が就業規則と業務分掌を整備することで、両資格の適切な運用が実現できます。
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 専任宅建士不足(2週間超過) | 監督処分(指示・業務停止・免許取消) |
| 名義貸し | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金+免許取消 |
| 変更届未提出 | 50万円以下の罰金 |
| 成年者でない者の専任登録 | 監督処分 |
| 重要事項説明を宅建士以外が実施 | 監督処分 |
📋 この記事のポイント
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