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消費税と源泉徴収の関係|報酬・料金の支払い時の実務ポイント
フリーランスへの報酬支払いで「消費税込みの金額に源泉徴収するのか、税抜きで計算するのか」と迷っている経営者・経理担当者に向けて、正しい計算方法をケース別に解説します。この記事を読めば、インボイス登録の有無による違いまで含めて、源泉徴収額を間違いなく計算できるようになります。


消費税と源泉徴収の関係|報酬・料金の支払い時の実務ポイント
フリーランスへの報酬支払いで「消費税込みの金額に源泉徴収するのか、税抜きで計算するのか」と迷っている経営者・経理担当者に向けて、正しい計算方法をケース別に解説します。この記事を読めば、インボイス登録の有無による違いまで含めて、源泉徴収額を間違いなく計算できるようになります。
🏆 結論:原則は税込、ただし区分記載なら税抜でOK
源泉徴収の対象となる金額は、原則として消費税込みの報酬・料金の全額です。ただし、請求書に報酬額と消費税額が明確に区分されている場合は、税抜金額(報酬額のみ)を源泉徴収の対象にできます(所得税基本通達204-11)。税抜計算の方が源泉徴収額が少なくなるため、フリーランス側にとって有利です。なお、インボイス登録事業者であっても未登録事業者であっても、この取扱いに違いはありません。
法人や個人事業主が、税理士・弁護士・デザイナー・ライターなどの個人(フリーランス)に報酬を支払うとき、所得税と復興特別所得税を差し引いて支払う義務があります。これが源泉徴収です。ここで問題になるのが「消費税を含んだ金額で計算するのか」という点です。
所得税法上、源泉徴収の対象となるのは「支払った金額の全部」です。つまり、報酬に含まれる消費税等の額も含めた税込金額が原則の計算基礎になります。
ただし、請求書等に報酬・料金の額と消費税等の額が明確に区分されている場合は、消費税等の額を除いた報酬・料金の額のみを源泉徴収の対象にできます。これは所得税基本通達204-11に基づく取扱いです。
💡 実務のポイント
経理担当者から「税理士報酬の源泉徴収額が支払先によって違う」という質問を受けることがあります。原因はほぼ100%、請求書の記載方法の違いです。「報酬110,000円」と一括記載されていれば税込110,000円に対して源泉徴収し、「報酬100,000円+消費税10,000円」と区分記載されていれば税抜100,000円に対して源泉徴収します。どちらも正しいのですが、金額が異なります。
参考: 国税庁「No.6929 消費税等と源泉所得税及び復興特別所得税」
税込計算と税抜計算で源泉徴収額がどれだけ変わるか、具体的な報酬額で比較します。
📐 シミュレーション前提条件
| 報酬(税抜) | 税込金額 | 源泉(税込計算) | 源泉(税抜計算) | 差額 |
|---|---|---|---|---|
| 50,000円 | 55,000円 | 5,615円 | 5,105円 | 510円 |
| 100,000円 | 110,000円 | 11,231円 | 10,210円 | 1,021円 |
| 500,000円 | 550,000円 | 56,155円 | 51,050円 | 5,105円 |
| 1,000,000円 | 1,100,000円 | 122,542円 | 102,100円 | 20,442円 |
| 2,000,000円 | 2,200,000円 | 347,140円 | 306,300円 | 40,840円 |
※1円未満切捨て。100万円超の部分は20.42%の二段階税率を適用。
報酬額が大きくなるほど差額も大きくなります。年間で複数回の報酬支払いがある場合、累計すると数万円〜数十万円の差になることもあります。フリーランス側は、源泉徴収された金額は確定申告で精算されるため最終的な税負担は同じですが、手元資金(キャッシュフロー)に影響します。
消費税の基本的な仕組みについては「消費税の仕組みと基礎知識」で全体像を解説しています。
インボイス制度の開始に伴い、「インボイス未登録のフリーランスからの請求書で税抜計算できるのか」という疑問が多く寄せられます。結論から言えば、インボイス登録の有無にかかわらず、消費税額が区分記載されていれば税抜計算が可能です。
| 請求書の発行者 | 請求書の記載 | 源泉徴収の計算対象 |
|---|---|---|
| インボイス登録事業者 | 報酬と消費税が区分記載 | 税抜金額でOK |
| インボイス登録事業者 | 税込一括記載 | 税込金額(全額) |
| インボイス未登録事業者 | 報酬と消費税が区分記載 | 税抜金額でOK |
| インボイス未登録事業者 | 税込一括記載 | 税込金額(全額) |
💡 実務のポイント
インボイス未登録のフリーランスから「消費税を請求してはいけないのか」と相談されることがあります。免税事業者であっても、取引価格に消費税相当額を含めて請求することは法律上禁止されていません。また、請求書に消費税額を区分記載すれば、支払側は税抜計算で源泉徴収できます。インボイス登録の有無は、源泉徴収の計算方法には影響しません。影響するのは、支払側の仕入税額控除の可否です。
インボイス制度の全体像については「インボイス制度の概要と対応方法」で詳しく解説しています。
源泉徴収の対象となる報酬・料金は所得税法第204条で定められています。中小企業が支払う頻度の高い報酬の種類と税率を一覧で整理します。
| 報酬の種類 | 源泉徴収税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 税理士・公認会計士報酬 | 10.21%(100万円超は20.42%) | 月額顧問料・決算料が対象 |
| 弁護士・司法書士報酬 | 10.21%(100万円超は20.42%) | 司法書士は1回の支払いから1万円を控除して計算 |
| 社労士・行政書士報酬 | 10.21%(100万円超は20.42%) | 行政書士報酬は源泉徴収不要(所得税法第204条の対象外) |
| 原稿料・講演料 | 10.21%(100万円超は20.42%) | ライター・デザイナーへの報酬 |
| コンサルティング報酬 | 10.21%(100万円超は20.42%) | 業務委託契約の個人への支払い |
| プロスポーツ選手の報酬 | 10.21%(100万円超は20.42%) | 賞金も対象 |
⚠️ 注意
行政書士報酬は源泉徴収の対象外です。よくある間違いとして、士業の報酬を一律に源泉徴収するケースがありますが、行政書士への報酬は源泉徴収してはいけません。逆に、司法書士報酬は1回の支払いにつき1万円を控除した残額に対して10.21%を乗じる特別な計算方法があります。
AYUSAWA PARTNERS
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鮎澤パートナーズに相談するフリーランスとの契約で「手取り○万円で」という手取り契約を結ぶケースがあります。この場合、報酬総額と源泉徴収額を逆算する必要があります。
手取り金額が100万円以下(税込ベースで約89.8万円以下)の場合、以下の計算式で報酬総額を逆算します。
報酬総額(税込)= 手取り金額 ÷ 0.8979(= 1 − 0.1021)
| 手取り金額(税込) | 報酬総額(税込) | 源泉徴収額 | 支払側の総支出 |
|---|---|---|---|
| 50,000円 | 55,686円 | 5,686円 | 55,686円 |
| 100,000円 | 111,370円 | 11,370円 | 111,370円 |
| 500,000円 | 556,855円 | 56,855円 | 556,855円 |
※1円未満切捨て。手取り金額が100万円以下のケース。
💡 実務のポイント
手取り契約で注意すべきは、「手取り金額=税込」か「手取り金額=税抜+消費税」かの認識合わせです。「手取り50万円」が「消費税込みで50万円振り込んでほしい」なのか「税抜報酬+消費税−源泉=50万円にしてほしい」なのかで計算結果が変わります。契約書で明確に定義しておくことをおすすめします。
源泉徴収の計算を正確に行うには、請求書の記載方法が重要です。支払側・受取側の双方にとって望ましい記載パターンを3つ紹介します。
| 税理士報酬 | 100,000円 |
| 消費税等(10%) | 10,000円 |
| 源泉所得税(100,000円×10.21%) | △10,210円 |
| 差引請求額 | 99,790円 |
| 税理士報酬(税込) | 110,000円 |
| 源泉所得税(110,000円×10.21%) | △11,231円 |
| 差引請求額 | 98,769円 |
支払先が法人の場合や、源泉徴収の対象外の報酬(行政書士報酬など)の場合は、源泉徴収を行いません。報酬+消費税の全額を支払います。
⚠️ 間違いやすいポイント
請求書に「報酬100,000円(税込)」と記載されている場合、これは区分記載ではなく一括記載です。「(税込)」と書いてあっても消費税額が別途明記されていなければ、100,000円全額が源泉徴収の対象です。区分記載とは「報酬90,909円+消費税9,091円=合計100,000円」のように、本体価格と消費税額が別々に表示されている場合を指します。
1回の支払いが100万円を超える場合、100万円以下の部分と100万円超の部分で異なる税率が適用されます。
源泉徴収税額 =(報酬額 − 1,000,000円)× 20.42% + 102,100円
報酬額には、税込計算の場合は消費税込みの金額を、税抜計算の場合は税抜金額を入れます。
| 計算方法 | 報酬(税抜150万円の場合) | 源泉徴収額 |
|---|---|---|
| 税込計算 | 165万円に対して計算 (165万−100万)×20.42%+102,100 | 234,830円 |
| 税抜計算 | 150万円に対して計算 (150万−100万)×20.42%+102,100 | 204,200円 |
| 差額 | 30,630円 | |
報酬が高額になるほど、二段階税率の影響で税込計算と税抜計算の差額が大きくなります。弁護士や税理士への高額報酬の支払いでは、請求書の区分記載を確認することが特に重要です。
年間5万円以上の報酬を支払った場合、支払調書(報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書)を税務署に提出する義務があります。支払調書に記載する「支払金額」と「源泉徴収税額」の取扱いを整理します。
支払調書の「支払金額」欄には、原則として消費税込みの金額を記載します。ただし、消費税額が明確に区分されている場合は、税抜金額で記載しても差し支えありません。ただし、税抜で記載する場合は摘要欄に「(税抜)」等と注記する必要があります。
💡 実務のポイント
支払調書の「支払金額」を税込で記載するか税抜で記載するかは、実務上混乱しやすいポイントです。統一的な基準はなく、支払先ごとに税込・税抜が混在しても問題はありません。ただし、受け取ったフリーランスが確定申告する際に金額の照合に使うため、請求書の記載方法と支払調書の記載方法を揃えておくと、双方のトラブル防止につながります。
税理士報酬100,000円(税抜)+消費税10,000円を支払い、源泉徴収10,210円(税抜計算)を差し引く場合の仕訳を示します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料(税理士報酬) | 100,000 | 普通預金 | 99,790 |
| 仮払消費税等 | 10,000 | 預り金(源泉所得税) | 10,210 |
税込経理方式を採用している場合は、「支払手数料110,000」として一括計上し、消費税の決算整理仕訳で処理する方法もあります。簡易課税制度を選択している場合の処理については「簡易課税のしくみと選択基準」をご覧ください。
📋 この記事のポイント
フリーランスへの報酬支払いで源泉徴収の計算に迷ったら、まず請求書の記載方法を確認してください。「報酬額+消費税額」が区分されていれば税抜金額で、一括記載なら税込金額で源泉徴収するのがルールです。不明な点があれば税理士に相談してください。
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