【税理士監修】少額減価償却資産の特例|30万円未満の即時償却と一括償却資産の違い(令和8年度40万円改正対応)

【税理士監修】少額減価償却資産の特例|30万円未満の即時償却と一括償却資産の違い(令和8年度40万円改正対応)
鮎澤パートナーズ|公認会計士・税理士・社会保険労務士・行政書士
公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)・社会保険労務士(第13240067号)・行政書士(第24061284号)が監修。年間100社以上の中小企業の決算・節税対策・設備投資相談を支援。
📋 税理士監修 📢 令和8年度改正対応 💰 即時節税

少額減価償却資産の特例|30万円未満の即時償却と一括償却資産の違い(令和8年度40万円改正対応)

「30万円未満の備品は経費にできる?」「一括償却資産との違いは?」とお悩みの中小企業経営者・経理担当者に向けて、少額減価償却資産特例の適用要件・即時償却の節税効果・一括償却資産との比較・令和8年4月施行の40万円拡大改正・300万円年間上限の管理方法まで税理士が完全解説します。

🏆 結論:取得価額40万円未満は即時償却で当期の節税効果を最大化

少額減価償却資産の特例(租税特別措置法第67条の5)は、青色申告の中小企業者等が取得した1個あたり30万円未満(令和8年4月以後は40万円未満)の減価償却資産を、取得事業年度に全額損金算入できる制度です。年間上限300万円という枠はありますが、パソコン・厨房機器・事務機器など実務で頻出する設備投資に幅広く適用でき、即時償却による節税効果は数十万〜数百万円に達します。令和8年度改正で①取得価額が40万円未満に拡大、②適用期限が令和11年3月31日まで3年延長、③従業員数要件が500人以下から400人以下に縮小されました。本記事では改正対応・一括償却資産との使い分け・実務の注意点を完全解説します。

少額減価償却資産の特例とは|制度の基本と即時償却の効果

少額減価償却資産の特例は、青色申告を行う中小企業者等が、取得価額が一定金額未満の減価償却資産を取得した事業年度に、その取得価額の全額を損金算入できる制度です。通常の減価償却が耐用年数にわたって費用化するのに対し、本特例は取得年度に全額即時償却できる点が最大のメリットです。

制度の正式名称と法令根拠

本特例の正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」です。法人税については租税特別措置法第67条の5、個人事業主の所得税については同法第28条の2に規定されています。

制度創設は平成15年度税制改正で、当初の取得価額上限は10万円でしたが、その後段階的に引き上げられ、平成26年度改正以降は30万円未満が長く維持されてきました。令和8年度改正で制度創設以来初めて40万円未満に引き上げられた点が、本記事執筆時点(令和8年4月以降)の最大の論点です。

通常の減価償却との違い(即時償却の節税効果)

通常の減価償却では、固定資産の取得価額を法定耐用年数にわたって分割償却する必要があります。例えば、25万円のパソコン(耐用年数4年・定額法)を取得した場合、通常は4年間にわたって毎年約6.25万円ずつ費用化することになります。

本特例を適用すれば、25万円全額を取得年度に損金算入できます。法人実効税率を約30%とすると、取得年度の節税効果は25万円 × 30% = 7.5万円となり、この資金を翌期以降の運転資金や設備投資に再投入できます。

📢 令和8年度改正:防衛特別法人税の創設

令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から、法人税額に対して4%の防衛特別法人税が課されます。ただし課税標準の計算上、基準法人税額から年500万円が控除されるため、法人税額がおおむね500万円以下の中小企業には実質的な負担は生じません。控除を超える法人では、本記事に記載の実効税率が約1%上昇します。

🧮 即時償却の節税効果シミュレーション

38万円のノートPC1台を取得した場合(法人実効税率30%、耐用年数4年・定額法)
通常の減価償却:1年目9.5万円損金算入 → 当期節税額2.85万円
少額減価償却資産特例:1年目38万円全額損金算入 → 当期節税額11.4万円
差額8.55万円の節税効果が当期に前倒しで実現できます。

適用対象法人の要件(中小企業者等)

適用対象となる「中小企業者等」の要件は以下の通りです。令和8年4月以後は従業員数要件が500人以下から400人以下に縮小されました。

要件 内容
資本金1億円以下の法人(大規模法人の子会社を除く)
従業員数400人以下(令和8年4月以後。改正前は500人以下)
申告形態青色申告書を提出する事業者
適用除外適用除外事業者(過去3年平均所得15億円超)

個人事業主の場合は資本金要件はなく、青色申告を行っており従業員数400人以下であれば適用可能です。ほとんどの個人事業主・フリーランスは無条件で対象となります。

【令和8年度改正】30万円未満→40万円未満へ拡大(2026年4月施行)

令和8年度税制改正により、本特例は制度創設以来最大の改正が行われました。改正の3つのポイントを正確に押さえることが、令和8年度以降の節税対策の出発点となります。

改正の3つのポイント(金額・期間・従業員数)

2026年4月1日以後に取得した資産から、以下の3点が変更されました。

  1. 取得価額上限の引上げ:30万円未満 → 40万円未満(資産1個あたり)
  2. 適用期限の延長:令和8年3月31日 → 令和11年3月31日(3年延長)
  3. 従業員数要件の縮小:500人以下 → 400人以下

年間上限300万円は変更ありません。物価高騰により30万円以上のパソコン・厨房機器・事務機器が増加していたことが取得価額引上げの背景とされており、より実態に即した使い勝手の良い改正と評価されています。

改正前後の比較表

項目 改正前(〜2026年3月31日) 改正後(2026年4月1日〜)
1個あたり取得価額30万円未満40万円未満
年間上限300万円300万円(変更なし)
従業員数要件500人以下400人以下
適用期限令和8年3月31日令和11年3月31日
対象資産器具備品・建物附属設備・無形固定資産等同左(変更なし)

取得日基準による適用判定(2026年3月vs4月)

📢 取得日基準の重要性

改正の境界は2026年4月1日以後の取得日です。同一事業年度内でも、2026年3月までに取得した35万円のパソコンは特例対象外(通常減価償却)、4月以後に取得した35万円のパソコンは特例対象(全額即時償却可)となります。3月決算法人は事業年度跨ぎで影響なしですが、12月決算法人は同一事業年度内に旧基準と新基準が混在するため、固定資産台帳の取得日管理が重要です。

30万円台のパソコン等の購入を予定している場合、2026年3月31日以前と4月1日以後では税務処理が大きく異なります。具体的には、38万円のノートPC1台を取得する場合、3月取得なら通常の減価償却(4年で按分)、4月取得なら特例適用で全額即時償却となり、当期の損金算入額が約29万円(38万円-9.5万円)も異なります。

従業員数要件についても、400人超500人以下の中小企業は2026年4月以後は特例の対象外となるため、改正前に駆け込みで設備投資を済ませる選択肢も検討余地があります。

一括償却資産との違い|10万円・20万円・40万円の境界

固定資産の取得価額帯ごとに、選択可能な税務処理が異なります。10万円未満は消耗品費、10万円以上20万円未満は一括償却資産、20万円以上40万円未満は少額減価償却資産の特例…と整理して理解する必要があります。

取得価額帯ごとの処理方法早見表

取得価額(1個あたり) 選択可能な処理 償却資産税
10万円未満消耗品費等で全額損金算入対象外
10万円以上20万円未満①一括償却資産(3年均等償却)
②少額減価償却資産の特例
③通常の減価償却
①は対象外
②③は対象
20万円以上40万円未満①少額減価償却資産の特例
②通常の減価償却
対象
40万円以上通常の減価償却のみ対象

※20万円以上40万円未満の特例適用は令和8年4月1日以後取得分から。それ以前は20万円以上30万円未満が対象範囲。

一括償却資産(3年均等償却)の特徴

一括償却資産は、取得価額10万円以上20万円未満の減価償却資産について、取得価額の3分の1ずつを3年間で均等に償却する制度です(法人税法施行令第133条の2)。本特例とは別に独立して存在する制度で、青色申告でなくても適用可能です。

一括償却資産の最大の特徴は償却資産税(固定資産税)の対象外となる点です。取得価額150万円超(償却資産税の免税点)の事業所では、一括償却資産として処理することで償却資産税の節税につながります。

💡 一括償却資産の3年均等償却の落とし穴

一括償却資産は途中で売却・除却しても、未償却残高を一時に損金算入することはできず、3年間にわたって均等償却を継続する必要があります。早期廃棄が見込まれる資産については、通常の減価償却または少額減価償却資産の特例(取得時に全額損金算入)を選択した方が有利になることがあります。

どちらが有利か?判定フローチャート

10万円以上20万円未満の資産について、3つの処理方法のうちどれを選ぶべきかは、以下の3観点で判定します。

判定要素 一括償却資産 少額減価償却資産の特例
当期の節税効果3年で分散当期に最大
償却資産税対象外対象
青色申告要件不要必要
年間上限なし300万円
途中除却時継続償却(損金算入不可)既に全額損金算入済

実務的には、当期の業績が好調で節税ニーズが高い場合は少額減価償却資産の特例、償却資産税の節税を優先する場合は一括償却資産、と使い分けることが多いです。年間上限300万円の枠を消費したくない場合や、当期に多額の損金算入が不要な場合は一括償却資産が選択肢になります。

300万円の年間上限の管理方法

本特例には事業年度ごとに「取得価額の合計300万円」という年間上限があります(租税特別措置法施行令第39条の28第1項)。年度を超える設備投資計画では、上限管理が節税効果の決定要素になります。

期中の取得実績の追跡

年間上限300万円は、その事業年度中に取得し事業の用に供した資産の取得価額の合計額で判定します。期首から実績を累積管理し、300万円を超える見込みになった時点で残りの設備投資は通常の減価償却に振り替える運用が標準です。

事業年度が1年未満(設立初年度・解散事業年度等)の場合、300万円を月数按分する必要があります。例えば6ヶ月決算なら300万円 × 6/12 = 150万円が上限となります。

上限超過時の処理(超過分は通常減価償却)

🧮 300万円超過時のシミュレーション

38万円のノートPC10台(合計380万円)を1事業年度内に取得した場合
特例適用可:7台分(266万円)を全額即時償却 → 当期損金算入266万円
300万円超過分:残り3台分(114万円)は通常の減価償却(耐用年数4年・定額法)
・上限超過分の当期損金算入額:114万円 × 12/48 = 約28.5万円
・合計当期損金算入額:266万円 + 28.5万円 = 約294.5万円

上限を超える場合、どの資産を特例対象に充てるかは事業者の任意です。実務上は取得価額が高額な資産から特例を適用することで節税効果を最大化できます。上記例で言えば、38万円のPCを7台特例対象とし、残り3台を通常減価償却とするのが合理的です。

月割り計算は不要(取得時点で判定)

少額減価償却資産の特例は、取得して事業の用に供した時点で全額損金算入する制度であり、月割り計算は不要です(個別資産の取得日が事業年度末日に近くても、全額損金算入できる)。これは通常の減価償却が事業供用月数に応じて月割り計算する点と異なります。

ただし、年間上限300万円の月数按分(短期事業年度の場合)は別ルールとして適用されるため、設立初年度や解散事業年度では特に注意が必要です。

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適用要件と申告手続き

本特例の適用には、法人・個人事業主とも一定の手続要件があります。要件を満たさないと特例適用が否認され、通常の減価償却に戻されるため確実な実務対応が必要です。

適用要件4点

本特例の適用には以下の4要件をすべて満たす必要があります。

要件 内容
要件1 申告形態青色申告書を提出する中小企業者等であること
要件2 取得・事業供用資産を取得し、事業の用に供すること
要件3 損金経理取得価額相当額を損金経理(費用計上)していること
要件4 明細書添付確定申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」(別表16(7))を添付

要件4の明細書添付は実務で漏れやすいポイントです。法人税申告ソフトを使えば自動生成されますが、別表16(7)の記載漏れによって特例適用が否認された事例もあり、決算時の最終チェックが重要です。

別表16(7)の記載方法

別表16(7)「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」には以下の事項を記載します。

  • 少額減価償却資産の取得価額の合計額
  • 少額減価償却資産の取得価額の損金算入額
  • 個別の資産ごとの取得価額(法人税申告ソフトでは省略可能)

個人事業主の場合は、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に取得価額の合計を記載し、摘要欄に「措置法第28条の2」と記入します。確定申告書類への記載がない場合、特例適用は認められません。

損金経理の要件

「損金経理」とは、会計帳簿上で費用として計上することを意味します(法人税法第2条第25号)。本特例の適用には、取得時に「消耗品費」「事務用品費」「減価償却費」等の費用勘定で取得価額全額を計上する必要があります。

⚠️ 損金経理漏れに注意

資産勘定(器具備品等)に計上した後、申告調整(別表四)で損金算入する処理は特例適用要件を満たしません。確実に費用勘定に計上し、損金経理することが必須です。会計と税務の処理を一致させる原則(確定決算主義)が本特例にも適用されます。

償却資産税(固定資産税)との関係|申告漏れに注意

少額減価償却資産の特例で全額損金算入した資産であっても、市区町村に申告する償却資産税(固定資産税)の対象になります。本特例は法人税・所得税の節税策ですが、地方税である償却資産税は別途課税されるため、節税と申告義務を切り分けて理解する必要があります。

法人税で全額経費化しても償却資産税の申告は必要

償却資産税は、毎年1月1日時点で所有する償却資産について、その所在地の市区町村に申告する地方税です(地方税法第341条第4号)。本特例で全額損金算入しても、資産自体は事業所に存在しているため、償却資産税の課税対象となります。

税目 課税対象 申告先
法人税・所得税全額損金算入(特例適用)税務署
償却資産税申告対象(課税標準は減価償却後の評価額)市区町村

償却資産税の課税標準は資産の取得価額の合計が150万円(免税点)以下なら課税されませんが、申告義務は残ります。免税点判定のためにも事業所内の償却資産を毎年棚卸する必要があります。

申告対象外となる資産(一括償却資産・10万円未満)

償却資産税の申告対象から除外される資産は以下の通りです。

  • 取得価額10万円未満で消耗品費等で全額損金算入した資産:そもそも固定資産として計上していないため対象外
  • 一括償却資産(10万円以上20万円未満を3年均等償却):地方税法施行令第49条で対象外と明示
  • 無形固定資産(ソフトウェア等):償却資産税は有形固定資産のみが対象
  • 自動車・原動機付自転車等:自動車税・軽自動車税の対象のため重複課税回避

⚠️ 少額減価償却資産特例適用資産は償却資産税対象

本特例で全額即時償却した資産は、法人税では「消耗品費」のような費用処理に見えますが、税務上は減価償却資産です。償却資産税の申告では取得価額・取得年月を申告書(地方税申告書)に記載する必要があります。「経費にしたから償却資産税は不要」という誤解で申告漏れになるケースが多発しており、税務調査・市町村調査で指摘されると延滞金等が発生します。

業種別・資産別の活用例

少額減価償却資産の特例は業種を問わず適用できますが、業種ごとに頻出する資産が異なります。実務での典型例を3業種でまとめました。

飲食業(厨房機器・テーブル・什器)

飲食店の開業・改装では、厨房機器・テーブル・椅子・冷蔵庫・食器棚等の什器が大量に発生します。1個あたり30〜40万円程度の業務用厨房機器は本特例の典型対象です。

資産 取得価額目安 耐用年数 特例適用
業務用冷蔵庫25〜35万円6年
ガスコンロ・オーブン20〜40万円6年
テーブル・椅子(セット)10〜30万円5〜8年
POSレジ・タブレット端末15〜35万円5年

IT・コンサル(パソコン・ソフトウェア・モニター)

IT企業・コンサルティング会社では、ハイエンドノートPC・大型モニター・サーバー機器が頻出資産です。物価高騰により30〜40万円のハイスペックPCが主流になっており、令和8年4月以後の40万円拡大改正の恩恵を最も受ける業種と言えます。

資産 取得価額目安 耐用年数 特例適用
ハイエンドノートPC25〜38万円4年
4Kモニター10〜20万円5年
業務用ソフトウェア(自社利用)10〜30万円5年
サーバー機器20〜40万円5年

製造業(工具・治具・小型機械)

製造業では工具・治具・小型機械が頻繁に取得されます。年間で多数の工具を購入する事業所では、300万円の年間上限に注意が必要です。

資産 取得価額目安 耐用年数 特例適用
電動工具(高機能)15〜30万円3年
専用治具・金型10〜40万円2〜5年
測定機器・検査機器20〜40万円5年
小型工作機械25〜40万円7年

適用時のよくある失敗と注意点

本特例の適用判定で実務上頻発するミスを3点整理しました。いずれも税務調査での指摘事例として頻出するパターンです。

据付費・運搬費の含め方を間違える

取得価額には付随費用(運搬費・据付費・設置工事費等)が含まれます(法人税法施行令第54条第1項)。本体価額が28万円でも、運搬費2万円・据付費3万円を含めると33万円となり、令和8年3月までの基準(30万円未満)では特例適用不可となります。

取得価額に含む 取得価額に含まない
本体価額事業供用後の保守料
運搬費・据付費・試運転費事業供用前の借入金利息(任意)
関税・引取手数料不動産取得税・自動車取得税(任意)
仲介手数料登記費用(任意)

消費税の取扱いは事業者の経理方式によります。税抜経理を採用していれば本体価額(税抜)で判定、税込経理であれば税込金額で判定するため、税込32万円(税抜29.1万円)のPCは税抜経理なら30万円未満で特例適用可、税込経理なら30万円以上で適用不可となります。

中古資産は耐用年数の判定が異なる

中古資産を取得した場合、新品の法定耐用年数ではなく短縮された「中古資産の耐用年数」が適用されます(法人税法施行令第57条第1項)。例えば法定耐用年数4年のPCを2年使用後の中古として購入した場合、残存耐用年数は約3年となります。

ただし、少額減価償却資産の特例自体は新品・中古を問わず適用可能です(取得価額が40万円未満であれば中古でも全額即時償却可)。中古資産で耐用年数の判定が重要になるのは、特例非対象(40万円以上)の場合の通常減価償却計算です。

リース契約は適用不可

⚠️ リース・レンタルは特例対象外

所有権移転外ファイナンス・リース契約は税務上「リース資産」として取り扱われ、リース期間にわたって定額償却する処理になります(法人税法第64条の2)。本特例は自社で取得した固定資産に対する制度であり、リース契約には適用できません。リース料を「賃借料」勘定で全額損金算入する処理は、所有権移転外リースでも別途検討可能ですが、本特例とは別ルールです。

レンタル契約(リースとは異なる短期賃貸契約)は単純に賃借料(費用)として処理するため、そもそも資産計上の対象外であり本特例も無関係です。設備投資の手段としてリース・レンタル・自社購入を比較検討する際、税務上の処理の違いを踏まえた総合判定が必要です。

よくある質問(FAQ)

少額減価償却資産の特例と一括償却資産は併用できますか?
資産1個ごとに、本特例・一括償却資産・通常の減価償却のいずれかを選択する形になります。同一事業年度内で、A資産は特例適用・B資産は一括償却資産・C資産は通常減価償却、という併用は可能です。同一資産に両方の処理を同時適用することはできません。
青色申告でない場合でも適用できますか?
いいえ、本特例は青色申告書を提出する中小企業者等のみが対象です。白色申告の場合は適用できません。一括償却資産(10万円以上20万円未満を3年均等償却)は白色申告でも適用可能なため、白色申告事業者は一括償却資産の選択肢を活用します。
事業年度の途中で取得した資産も全額損金算入できますか?
はい、本特例は月割り計算が不要です。例えば3月決算法人が3月20日に取得・事業供用した35万円の資産でも、当期に全額を損金算入できます。通常の減価償却が事業供用月数で按分計算するのと異なる点です。
2026年3月末に取得した35万円のパソコンは特例適用できますか?
改正前の基準では取得価額30万円未満が対象のため、35万円は特例対象外となり通常の減価償却となります。2026年4月1日以後に取得すれば40万円未満まで対象となるため、特例適用可となります。3月決算法人なら事業年度跨ぎで影響なしですが、12月決算等の場合は取得日の管理が重要です。
償却資産税の申告は必要ですか?
はい、本特例で全額損金算入した資産も償却資産税の課税対象です。毎年1月1日時点で所有する償却資産を、所在地の市区町村に1月末までに申告します(免税点150万円以下なら課税はされませんが申告義務は残ります)。法人税の処理と地方税の処理を切り分けて理解する必要があります。
中古品でも特例適用できますか?
はい、新品・中古を問わず取得価額40万円未満(令和8年4月以後)であれば適用可能です。中古資産の場合は通常減価償却の耐用年数判定が異なりますが(中古耐用年数の見積り)、本特例自体は新品・中古に区別はありません。
ソフトウェアも特例の対象になりますか?
はい、自社利用のソフトウェアは無形固定資産として本特例の対象になります。SaaS型クラウドサービスの利用料(月額・年額)は資産計上ではなく経費処理されるため、本特例とは無関係です。パッケージソフトウェアの買い切り型ライセンスが典型的な対象です。
取得価額の判定で消費税は含めますか?
事業者の経理方式によります。税抜経理を採用していれば本体価額(税抜)で判定、税込経理であれば税込金額で判定します。例えば38万円(税込)のパソコンは、税抜経理なら34.5万円で30万円以上=特例非適用(令和8年3月まで)、税込経理なら38万円でも同じく非適用となります。消費税8%軽減税率の影響はないため、原則10%で計算します。

📋 この記事のポイント

  • 少額減価償却資産の特例は青色申告中小企業者等が活用できる即時償却制度
  • 令和8年4月以後は取得価額40万円未満(改正前は30万円未満)が対象
  • 従業員数要件は400人以下(改正前は500人以下)に縮小
  • 年間上限300万円は変更なし
  • 10万円以上20万円未満は一括償却資産との有利不利判定が必要
  • 本特例適用資産も償却資産税の申告対象となる
  • 取得価額には運搬費・据付費等の付随費用を含める
  • リース契約は本特例の対象外

まとめ

📋 少額減価償却資産の特例 総整理

  • 令和8年度改正で取得価額が30万円未満→40万円未満に拡大(2026年4月施行)
  • 適用期限は令和11年3月31日まで3年延長
  • 従業員数要件は400人以下に縮小(改正前は500人以下)
  • 1個38万円のPC10台購入なら7台分(266万円)が特例適用・残り3台は通常減価償却
  • 取得価額帯ごとに10万円/20万円/40万円の境界で処理が変わる
  • 本特例適用資産も償却資産税の申告対象(地方税法)
  • 付随費用(運搬費・据付費)を含めた金額で判定

少額減価償却資産の特例は、中小企業の設備投資に直結する重要な節税制度です。令和8年度改正で40万円未満への拡大が実現し、物価高騰時代の設備投資ニーズに即した制度となりました。一括償却資産・通常の減価償却との使い分けと、償却資産税の申告漏れ防止が実務の最重要ポイントです。本記事の内容を踏まえ、自社の設備投資計画と税務処理を最適化してください。

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