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「会社の株主名簿に名前があるが出資の実態がない」「創業時に親戚に名義を借りた株が残っている」といった同族会社経営者・相続人に向けて、名義株の認定基準と税務調査での発覚パターン、解消手続きまで完全ガイド。この記事を読めば、自社の名義株リスクを把握し、相続発生前に適切な対応を取れます。


「会社の株主名簿に名前があるが出資の実態がない」「創業時に親戚に名義を借りた株が残っている」といった同族会社経営者・相続人に向けて、名義株の認定基準と税務調査での発覚パターン、解消手続きまで完全ガイド。この記事を読めば、自社の名義株リスクを把握し、相続発生前に適切な対応を取れます。
🏆 結論:名義株は「出資の事実」と「株主の実態」で判定される
名義株とは、株主名簿上の株主と実質的な所有者が一致しない株式のことです。平成2年改正前の商法では株式会社設立に7人以上の発起人が必要だったため、家族・親戚・従業員に名前を借りて設立された会社は今も多く、歴史の古い同族会社で典型的に発生しています。税務上は「実質所有者課税の原則」により、誰が出資したか・誰が配当を受け取っていたか・誰が株主総会で議決権を行使していたかという実態で帰属が判定されます。名義株が放置されたまま相続が発生すると、被相続人の相続財産として課税され、非上場株式は評価が高額になりやすいため、重加算税込みで数千万円~数億円の追徴課税に発展するケースもあります。相続税法第2条の課税対象は実質で判定されるため、生前の名義整理が極めて重要です。
名義株とは、会社の株主名簿に記載されている株主と、実際にその株式の対価を出資した真の株主が一致しない株式のことです。法令上の定義はなく、税務・商事実務で使われている概念ですが、相続税の税務調査で頻繁に問題となる論点です。
名義株が生まれた最大の歴史的要因は、平成2年(1990年)改正前の旧商法にあります。改正前の商法では、株式会社を設立するためには最低7人の発起人が必要とされていました。中小企業の創業者が1人で事業を立ち上げる場合でも、会社設立のために親族・親戚・従業員・友人などから名義を借りて7人の発起人を揃える必要があり、名前だけ株主名簿に載せて実際の出資は創業者が全額負担するというケースが一般的に行われていました。
平成2年の商法改正で発起人の人数要件は撤廃され、その後の会社法(平成17年成立)では発起人1人でも株式会社を設立できるようになりました(会社法第25条以下)。しかし、旧商法時代に設立された会社の株主構成は現在もそのまま残っているケースが多く、創業から30年以上経過した中小企業には名義株が潜在的に存在する可能性があります。
| 経緯 | 典型的なケース | 発覚のきっかけ |
|---|---|---|
| ①旧商法・発起人要件 | 平成2年以前に設立、発起人7人を揃えるため親戚・従業員の名前を借りた | 創業者の相続発生時の株主名簿確認 |
| ②相続税対策の先取り | 将来の相続税を減らすため、最初から子ども名義で株式を保有 | 相続時に「出資実態がない」と指摘 |
| ③従業員持株会の名残 | 退職した従業員の名義のまま株式が残り、買戻しをしていない | M&A・事業譲渡時のデューデリジェンス |
| ④経歴の隠蔽 | 過去の破産歴・処分歴を表に出せないため、別人名義で事業を行う | 何らかの関係者からの内部告発や取引先の調査 |
💡 実務のポイント
実務では、創業から30〜50年の中小同族会社で事業承継のご相談を受けた際、株主名簿を確認すると発起人7人のうち数名が「連絡が取れない」「すでに死亡している」というケースが非常に多く見られます。この状態で創業者の相続が発生すると、税務調査で株主名簿の形式的な名義ではなく実質で判定され、多額の追徴課税に発展することがあります。事業承継の前段階として、株主名簿のクリーニングは必須です。
名義株の判定は、名義預金と同じく「実質所有者課税の原則」に基づき行われます。相続税法第2条が定める課税対象は、形式的な名義ではなく実質的な所有関係で判定するのが判例・裁決の確立した考え方です。
| 判定要素 | 具体的に確認される事実 | 名義株と判定される典型例 |
|---|---|---|
| ①出資の原資 | 設立時・増資時の払込金の原資、振込元の口座 | 払込金が実質的に創業者の口座から出ている |
| ②配当金の受領 | 配当金の振込先口座、領収書の署名、実際の費消 | 配当金が名義人以外(創業者等)に流れている |
| ③議決権の行使 | 株主総会への出席・委任状の提出状況、議事録の署名 | 名義人が株主総会に出席したことがない |
| ④名義人の認識 | 名義人が自身が株主であることを知っていたか | 名義人が株主であることを全く知らない |
| ⑤株券・証書の管理 | 株券・株主名簿記載事項証明書の保管者 | 名義人ではなく創業者が保管している |
※ これらの要素は税務調査で総合的に確認されます。一つでも決定的な事実があれば名義株と認定される可能性があり、逆にすべての要素で名義人の実態を立証できれば認定を覆せる余地があります。
名義株の判定ロジックは、名義預金と基本的には同じ「実質所有者課税」の考え方に立っています。ただし株式固有の判定要素として、配当金受領と議決権行使という「株主としての権利行使の実態」が加わる点が異なります。
名義預金との詳細な比較や、共通する論点(贈与の成否、贈与税申告の有無等)は、「名義預金の判定基準と税務調査対策」でも併せて解説しています。
📊 公認会計士の視点
M&A・事業承継の場面では、譲渡企業の株主構成に名義株が混在していると、デューデリジェンスで必ず指摘されます。買手企業は「真の株主が後から権利主張してくるリスク」を嫌うため、クロージング前に名義株の整理を求められるのが通例です。相続だけでなくM&Aの選択肢を残すためにも、早期の名義整理が重要です。
相続税の税務調査では、被相続人が同族会社の創業者や経営者であった場合、株主名簿のチェックは必ず入念に行われます。どのような流れで発覚するかを整理します。
最も典型的なのが、同族会社の創業者・オーナー経営者の相続税申告時の税務調査です。調査官は、①法人税申告書の別表二(同族会社の判定)、②株主名簿、③株式の取得履歴、④配当金の支払調書──を突合します。過去の支払調書で配当が支払われていた人物が、相続税の申告で相続財産から欠落していると、そこが名義株疑義の入口になります。
ホールディングスや資産管理会社の株式については、実質的な出資者と名義が乖離していると、相続時に大きな問題になります。親会社から子会社への資金の流れ、名義人の所得水準と株式取得資金の整合性などが調査対象になります。
意外なパターンですが、名義株の名義人(名義を貸していた親戚など)が亡くなったときに、その相続人から「親の財産を整理していたら、知らない会社の株主だったと判明した」という申し出があり、それを契機に遡って名義株問題が明るみに出ることもあります。
⚠️ 注意:名義人の相続人からの権利主張リスク
名義株を放置している最大のリスクは、税務だけではありません。名義人が亡くなった後、その相続人から「父が持っていた株式を相続したので、正当な対価で買い取ってほしい」と主張されるケースがあります。名義人自身は「自分は単に名前を貸しただけ」と認識していても、その情報が次世代の相続人に伝わっていなければ、相続人は正当な株主として権利を主張します。訴訟に発展すると、会社の経営権そのものが揺らぐ事態にもなり得ます。
名義株が認定された場合、どのような税務上のリスクが生じるかを整理します。
非上場株式の評価は、財産評価基本通達に基づき、類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式のいずれかで算定されます。同族株主に該当する場合は、類似業種比準方式または純資産価額方式で評価されるため、会社の内部留保や業績が良い会社ほど1株当たりの評価額が高額になります。
📐 シミュレーション前提条件
| ケース | 本税(相続税) | 加算税 | 延滞税(概算) | 合計追加負担 |
|---|---|---|---|---|
| 期限内申告に含めた場合 | 1,500万円 | 0円 | 0円 | 1,500万円 |
| 調査で指摘(過少申告加算税) | 1,500万円 | 約210万円 | 約219万円 | 約1,929万円 |
| 調査で指摘(重加算税適用) | 1,500万円 | 525万円 | 約219万円 | 約2,244万円 |
※概算値です。非上場株式の評価額、相続税率、加算税の具体的な計算は個別事情により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
名義株と思って名義を本来の株主に戻す場合にも、慎重な手続きが必要です。国税庁が公表している相続税の調査等の状況においても、名義財産の指摘は継続的に高い非違割合を占めています。もし名義人が実は配当を受け取っていた、株主総会に出席して議決権を行使していたという実態があれば、税務署は「その名義人こそが真の株主」と認定します。その状態で株式の名義を変更すると、贈与税が課される可能性があります。
AYUSAWA PARTNERS
名義株・相続税対策のご相談は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。税理士・公認会計士・社労士・行政書士がワンストップで対応。株主名簿の調査から確認書作成、税務調査立会まで。
鮎澤パートナーズに相談する名義株を放置せず、生前のうちに解消することが最も確実な対策です。ここでは実務で広く使われている解消手続きを3ステップで解説します。
まず名義人(または名義人の相続人)に連絡を取り、①名義を貸した経緯、②実際に出資金を拠出したか、③これまで配当を受け取ったことがあるか、④株主として認識していたか──をヒアリングします。名義人が「自分は単に名前を貸しただけ」と認めてくれれば、解消手続きをスムーズに進められます。
名義人の協力が得られたら、「株主名義変更に関する確認書」を作成します。この書面には、①対象株式の特定(発行会社・株式数・発行時期)、②名義人が真の株主ではないこと、③真の株主が誰であるか、④名義借りに至った経緯、⑤今後の株主名簿記載事項の変更に同意すること──を明記し、名義人と真の株主の双方が署名押印します。
📝 行政書士の視点
確認書は後日の税務調査で重要な証拠書類となるため、作成日を遡らせずに実際の作成日を記入し、可能であれば確定日付を公証役場で取得しておくと証拠力が高まります。書面の作成自体は行政書士の守備範囲で、実態に即した記載内容の整備、当事者の意思確認、確定日付の取得手続きまで一貫してサポートできます。
会社法第133条に基づき、株主名簿の名義書換えを行います。書換えには原則として名義人と真の株主の共同請求が必要です。同時に、法人税確定申告書の別表二「同族会社等の判定に関する明細書」の株主欄も、以後は真の株主で記載することになります。
| ステップ | 必要書類 | 担当専門家 |
|---|---|---|
| ヒアリング・事実整理 | 株主名簿・設立時定款・払込証明書 | 税理士・行政書士 |
| 確認書の作成 | 株主名義変更に関する確認書 | 行政書士 |
| 株主名簿書換え | 名義書換請求書、株主名簿記載事項証明書 | 会社の担当部署・行政書士 |
| 別表二の修正 | 法人税確定申告書別表二 | 税理士 |
名義人が「自分こそが真の株主である」と主張する場合、または配当金を受領していたなど株主としての実態がある場合、確認書による解消はできません。この場合は、名義人から真の出資者(または経営者)への贈与として処理し、贈与税を適正に申告する選択肢を検討します。
贈与税は、基礎控除110万円を超える部分に対して10%〜55%の累進税率で課税されます(相続税法第21条の5、第21条の7)。非上場株式の評価額が高額だと贈与税負担も大きくなるため、複数年にわたる分割贈与や、相続時精算課税制度の活用も検討する価値があります。
🔷 実務の重要ポイント
確認書による解消と贈与による解消では、税務上の取扱いが正反対になります。確認書は「元から真の株主の財産だった」という整理のため贈与税・相続税は発生しません。一方、贈与として処理すると多額の贈与税が発生します。両者を慎重に使い分ける判断が極めて重要で、実態が不明確なまま安易に贈与契約書を作ると、かえって贈与税の課税根拠を自ら作ることになりかねません。
名義株の整理は、創業者の存命中にこそ行うべき作業です。創業者が亡くなってからでは、当時の事情を知る関係者が減り、名義人の協力を得るのも困難になります。
| タイミング | 対応の難易度 | メリット/注意点 |
|---|---|---|
| 創業者存命中(事業承継前) | 比較的容易 | 当時の関係者から事情を直接ヒアリングできる/確認書をスムーズに作成可 |
| 事業承継時(代表交代時) | 中程度 | 後継者への引継ぎのタイミングで一括整理/時期的に余裕を持って対応可能 |
| 創業者の相続発生後 | 困難 | 当時の事情を知る人が少なく証拠確保が難しい/相続税申告期限(10ヶ月)内に整理が必要 |
| 税務調査中・指摘後 | 極めて困難 | 重加算税のリスク大/調査官に対する説明資料を整える時間が限られる |
非上場株式を後継者に引き継ぐ際には、事業承継税制(非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例)の活用が有力な選択肢です。ただし、この特例を適用するためには、株主構成が明確で、贈与・相続の対象となる株式数が確定している必要があります。名義株が混在しているとそもそも制度適用の前提を満たせないため、事業承継税制を検討する企業は、まず名義株の整理を済ませることが必須です。
税務面だけでなく、名義株を放置することには会社経営上のリスクも多数あります。
名義株対応は、税務・商事法務・書類作成が複合した問題で、ワンストップで対応できる専門家チームが有効です。当事務所では以下の支援を提供しています。
📋 この記事のポイント
名義株は、同族会社の事業承継・相続の場面で「隠れた爆弾」になりやすい論点です。設立から30年以上経過した中小企業の経営者は、まず株主名簿と設立時の払込経緯を見直すことから始めましょう。相続税法第2条が定める課税対象は実質で判定されるため、名義の形式だけを整えても解決しません。確認書の作成・株主名簿の書換え・法人税申告書の修正まで一貫して対応することで、将来の税務調査リスクと経営リスクの両方を下げられます。
鮎澤パートナーズでは、税理士・公認会計士・行政書士がチームで対応し、名義株の洗い出しから解消手続き、事業承継プランニングまでワンストップでサポートします。自社に名義株がある可能性を感じたら、まずは無料相談をご利用ください。
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